【マンション査定の基礎知識】注意点や査定額に影響するポイント、必要な書類をご紹介

マンションを売却したいと考えたら、まずは査定から始めましょう。査定をおこなえば売却するマンションの相場を知れるので、資金計画も立てやすくなります。
当記事では、マンション査定の基礎知識や注意点などについて詳しく解説していきます。「マンション査定の流れが知りたい」「少しでもマンションを高く売却したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- マンション査定の基礎知識
- マンション査定とは
- マンション査定の流れ
- マンション査定に必要な書類
- マンション査定価格の算出方法
- マンション査定はどこを見る?影響する10個のポイント
- ①立地(周辺環境)
- ②部屋がある階数・方角
- ③間取り・広さ
- ④設備・内装
- ⑤築年数
- ⑥耐震性
- ⑦管理状況
- ⑧マンションの施工会社
- ⑨共有施設
- ⑩修繕積立金・管理費
- マンション査定の注意点
- 複数社に査定を依頼する
- 査定額の根拠を確認する
- 基本的にリフォームは必要ない
- マンションの売却相場を把握しておく
- マンションの瑕疵を隠さない
- 契約する不動産会社を選ぶ際のポイント
- 売りたいマンションの条件を得意としている不動産会社を選ぶ
- インターネット広告に力を入れている不動産会社を選ぶ
- 販売活動・販売計画を確認する
- マンション査定に関するよくある質問
- インターネットでのマンション査定方法は?
- マンション査定は無料?
- 契約をせずにマンション査定だけでも依頼して良いの?
- まとめ
マンション査定の基礎知識
はじめに、マンション査定の基礎知識から解説していきます。
- マンション査定とは
- マンション査定の流れ
- マンション査定に必要な書類
- マンションの査定価格の算出方法
マンション査定は誰がおこなうのか、どのような流れで進んでいくのかについて知っておきましょう。
マンション査定とは
マンション査定とは、不動産会社が過去の売却事例などを基にマンションの売却価格を算出することを言います。
ブランド品などの査定の場合は、「査定額=売却額」となります。しかし、マンション査定で算出される価格はあくまでも予想金額なので、査定額で売却できるわけではないことを理解しておきましょう。
マンション査定の流れ
マンション査定の流れは、下記の手順で進んでいきます。
- 簡易査定を依頼…インターネットなどで複数の会社に依頼
- 簡易査定…いくつかの情報をもとに、査定額を算出
- 訪問査定を依頼…簡易査定の良かった不動産会社に依頼
- 訪問査定…不動産会社が現地で詳しく査定をおこなう
- 媒介契約…納得のいく査定額を出した不動産会社と契約
- 売り出し…売り出し価格を決定して売り出しを開始
簡易査定はその名の通り、いくつかの情報から査定をおこなう簡易的なものです。「机上査定」とも呼ばれ、不動産会社が該当の物件を訪れることなく査定をおこなう査定方法であるため、可能な限り複数社に依頼し、相場を把握しましょう。
マンションの相場が見えてきたら、実際に物件を見ながら査定をおこなう「訪問査定」を依頼します。訪問査定では情報のみではわからなかったマンションの現状を見てもらえるので、より正確な査定額が出ます。
訪問査定で納得のいく査定額が出れば、不動産会社と媒介契約を結び、売り出しをおこないましょう。
マンション査定に必要な書類
マンション査定には、いくつかの書類も必要です。なかにはすぐに準備するのが難しい書類もあるため、前もって必要書類を把握しておきましょう。下記に必要書類をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- 間取り図
- マンションのパンフレット等
- 重要事項説明書
- 売買契約書
- 管理規約や使用細則
マンション査定を依頼する際には、まず間取り図が必要です。間取り図はマンション購入時に売主から受け取っているはずなので、手元に用意しておきましょう。
また、マンションの管理組合の書類や新築時の売り出し広告があると、なお良いです。特に、売り出し広告にはマンションのアピールポイントが掲載されているので、可能な限り用意してください。
マンション購入時の売買契約書と重要事項説明書には、マンションの専有面積などの重要な情報が記載されています。必ず必要なわけではありませんが、より正確な査定額を出すためにも準備しておきましょう。
マンション査定価格の算出方法
マンションの査定額の算出には、大きく分けて下記の3つの算出方法が使われます。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
それぞれの算出方法を詳しく確認していきましょう。
取引事例比較法
取引事例比較法は、売却したいマンションと類似した条件の物件の取引事例を参考として、価格を算出する方法です。マンションの場合には、同じ建物内で過去に売買が成立した事例があれば、そちらを参考にすることが多いでしょう。
同じ建物内に売買が成立した事例がない場合には、同条件のマンションと比較し、築年数の違いや駅からの距離を比較して査定額を補正していきます。
原価法
原価法は、「同じマンションをもう一度建築したらいくらになるか」という、再調達価格を求めて査定価格の参考にする方法です。
売却予定のマンションと同じマンションを建てた場合の費用を算出した後に、経年による価格の低下を差し引き、正しい査定額を算出していきます。
収益還元法
収益還元法では、そのマンションを賃貸に出した場合に得られる年間の収益を基に、査定額を算出していきます。具体的には、年間の利回りが何%になるのかなどを計算して、売却価格の参考にします。
収益還元法は、主に投資用不動産の売却時に用いられる方法です。
マンション査定はどこを見る?影響する10個のポイント
マンションの査定額に大きく影響するポイントは、以下の10点です。
- 立地(周辺環境)
- 部屋がある階数・方角
- 間取り・広さ
- 設備・内装
- 築年数
- 耐震性
- 管理状況
- マンションの施工会社
- 共有施設
- 修繕積立金・管理費
それぞれ詳しく確認していきましょう。
①立地(周辺環境)
売却したいマンションの立地は、査定額に大きく影響します。特に、エリアの人気度や周辺施設の充実度の影響は大きいです。
都心部などの人気エリアでなくとも、公共施設や学校、病院などが近くにあり、住みやすいかどうかも評価ポイントになります。
②部屋がある階数・方角
同じマンションの同じ間取りであっても、売却予定の部屋がある階数や方角で査定額が異なります。具体的には、階数は上階になるほど査定額が高くなり、方角は南向きの陽当たりが良い部屋のほうが、査定額がつきやすいです。
また、方角とは別ですが、採光を取り入れやすい角部屋も査定額が高くなる傾向があります。
③間取り・広さ
当然ですが、部屋が広いほど査定額が上がる傾向にあります。また、2LDK・3LDK・4LDKなどのファミリーに適した間取りも需要が高く、査定額が高くなりやすいです。
しかし、一部例外として、広すぎる部屋やデザイン性に富んだ間取りは、価格が高くなりすぎて売却しづらいケースもあります。
④設備・内装
設備や内装も査定額に影響します。具体例には、キッチン・浴室・洗面所などの水回りの設備が挙げられます。水回りはほかの設備よりも経年劣化がわかりやすく、場合によってはリフォームを勧められる可能性もあります。
また、昨今では生ごみを処理できる設備であるディスポーザーを採用しているマンションも見られるようになりました。ディスポーザーのように、後付けが難しい設備が最初から付いている場合には、査定にプラスの評価を与えます。
⑤築年数
一般的に築年数は、新しいほど価格が高く、古くなるほど価格が安くなる傾向にあります。しかし、マンションの価格は、一概に築年数の長さでは判断できません。
査定価格はマンションの周辺相場を基準に変動していくので、土地の相場が上昇すれば買値よりも高く売却できるケースもあります。このほかにも、大規模マンションやタワーマンションは付加価値が付くため、築年数に影響されにくい傾向があります。
⑥耐震性
耐震性については、新耐震基準で建築されたマンションかどうかが重要なポイントとなります。新耐震基準とは、震度7の地震でも倒壊しない基準のことです。
新耐震基準で建築されたかどうかは、建物の築年数ですぐに判断できます。1981(昭和56)年6月1日以降に建てられた建物はすべて新耐震基準で建築されているため、ご自身のマンションの築年数を確認してみましょう。
⑦管理状況
査定額には、マンションの管理状況も大きく影響します。新築当時と変わらない管理体制が保たれているマンションや、管理人・コンシェルジュ付きの物件は、付加価値としてアピールが可能です。
しかし、ずさんな管理がされている状態の良くないマンションは、査定額にマイナスの影響を与える可能性があります。
⑧マンションの施工会社
マンションの施工をおこなった会社が大企業や有名企業である場合、査定額にプラスに働きます。また、有名企業でなくとも施工実績が豊富な会社であれば、査定時に良い印象を持ってもらえます。
一方で、過去に施工不良があった会社が建築したマンションの場合には、査定に悪い影響を与えてしまう可能性が高いです。
⑨共有施設
昨今では、豪華な共有施設が充実しているマンションも多くなってきました。実は、共有施設もマンション査定に大きく影響します。
キッズスペースやジム、大浴場やプールなどの共有施設がある場合には、査定時にアピールしてみましょう。
⑩修繕積立金・管理費
マンションの場合には戸建と異なり、住宅ローン以外に修繕積立金と管理費の固定費が毎月かかります。
一般的に、修繕積立金は築年数を追うごとに高くなっていくので、高すぎる固定費はマイナス査定の要因になります。
マンション査定の注意点
あまり知られていませんが、マンション査定の際には気を付けるべき注意点が存在します。後から「こんなはずではなかった」と後悔することがないよう、注意点をしっかりと確認しておきましょう。
- 複数社に査定を依頼する
- 査定額の根拠を確認する
- 基本的にリフォームは必要ない
- マンションの売却相場を把握しておく
- マンションの瑕疵を隠さない
それぞれについて詳しく確認していきます。
複数社に査定を依頼する
1点目の注意点は、不動産査定を複数社に依頼することです。マンションの査定方法は不動産会社によって異なるため、査定額に大きな差が出ることがあります。1社のみの査定を鵜呑みにしてしまうと、数百万円の損をしてしまうケースもあるでしょう。
そのため、査定額の相場や平均値を知るためにも不動産査定は複数社に依頼してください。相場感を知れるだけでなく、不動産会社ごとの腕や対応も比較検討できます。
査定額の根拠を確認する
査定額の高さのみで不動産会社を選ぶことはやめましょう。なぜなら、あくまでも査定額は過去の事例を基に算出した想定金額だからです。売却できる保証金額ではないので、査定額の高さにつられないように注意してください。
それよりも、査定額の根拠がしっかりしている不動産会社が信頼できます。過去の取引事例や類似マンションの相場感など、査定額に至った根拠を詳しく確認してください。
基本的にリフォームは必要ない
マンション売却を検討している方の中には、査定額を少しでも上げるために事前にリフォームをする人も少なくありません。しかし、素人が自己判断でリフォームすることは、大変危険です。
なぜなら、数百万円かけてせっかくリフォームをしても、査定額が上がるとは限らないからです。査定額が上がらなければ、数百万円のリフォーム代は無駄な出費となってしまいます。
もちろん、物件価格を底上げできるケースもあるので、不動産会社と相談してから、リフォームをおこなうようにしてください。
マンションの売却相場を把握しておく
マンション査定を依頼する前に、自身でもある程度の相場感を把握しておく必要があります。なぜなら、正しい相場感を身に付けておかないと、不動産会社の言いなりになりかねないからです。
マンション売却における深い知識を得る必要はありませんが、売却したいマンションの類似物件の相場を把握して、査定額が妥当であるかどうかは判断できるようにしておきましょう。
マンションの瑕疵を隠さない
最後にあげられる注意点は、マンションの瑕疵(かし)を隠さないことです。マンションを売却した場合、買主は物件に不具合があった際に、売主に契約不適合責任を追及できます。
最悪の場合、契約を白紙にできる「契約解除」も追及できるため、マンションの瑕疵は絶対に隠さないようにしてください。
告知義務の範囲や期間は、明確には定められていません。そのため、知っている瑕疵をすべて告知することが最善と言えます。
契約する不動産会社を選ぶ際のポイント
- 売りたいマンションの条件を得意としている不動産会社を選ぶ
- インターネット広告に力を入れている不動産会社を選ぶ
- 販売活動・販売計画を確認する
それぞれについて詳しく解説していきます。
売りたいマンションの条件を得意としている不動産会社を選ぶ
不動産会社と一口に言っても、地元に密着している会社もあれば、特定の沿線を得意としている会社もあります。そのため、売却したいマンションの条件を得意としている不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社の過去の取引実績などを参考にすると、自身のマンションを得意としているかどうか、見極めることができます。取引実績は各不動産会社のウェブサイトから参照が可能です。
インターネット広告に力を入れている不動産会社を選ぶ
昨今では、実際に不動産会社に訪れなくとも、インターネット上で物件情報を見られるようになりました。そのため、インターネット広告に力を入れている不動産会社を選ぶことも重要です。
インターネット広告に力を入れている会社に依頼すれば、多くの買主の目に留まる機会が増えます。広告に力を入れている会社を探すには、不動産ポータルサイトで社名を検索してみましょう。
販売活動・販売計画を確認する
不動産会社によって、販売活動や販売計画は大きく異なります。見込み客の有無やどのような販売手法を用いているかは、売却に大きく影響するので事前に確認しておきましょう。
特に注目したいのが、「レインズ」への登録です。レインズは、不動産会社間で物件情報を共有するポータルサイトです。売主にとっては、レインズに物件を登録してもらったほうが、売却できる確率が上がります。
不動産売却を成功させるには、1人でも多くの人の目に留まる販売活動をしている不動産会社に依頼しましょう。
マンション査定に関するよくある質問
最後に、マンション査定に関するよくある質問に回答します。
- インターネットでのマンション査定方法は?
- マンション査定は無料?
- 契約をせずにマンション査定だけでも依頼して良いの?
少しでも多くの知識を蓄えて、マンションの査定をスムーズにおこないましょう。
インターネットでのマンション査定方法は?
インターネットでマンションの査定額を調べるには、以下の方法が有効です。
- AI査定アプリ・自動シミュレーション
- 匿名査定
- 不動産一括査定
それぞれの査定方法の特徴をまとめたのでぜひ参考にしてください。
査定方法 | 特徴 |
---|---|
AI査定アプリ・自動シミュレーション | 必要事項のいくつかの情報を入力するだけで、AIが査定額を算出してくれる。実際の査定額と大きく異なる場合が多い。 |
匿名査定 | 最短10秒で査定結果がわかる。査定額はおおよその金額であるため、実際の査定額と大きく異なる場合が多い。 |
不動産一括査定 | 複数の不動産会社に一括査定を依頼できる。さまざまな査定額とその根拠も知れるので、相場感や会社ごとのサービスの違いわかる。 |
一概に、どの方法が良いとは言えませんが、匿名査定やAI査定は概算の査定額でしかないため、参考価格にしかなりません。売却を前向きに検討しているのであれば、まずは不動産一括査定を選択するのがおすすめです。
マンション査定は無料?
マンション査定は、無料で依頼できます。なぜなら、マンションの査定は、不動産会社にとって営業活動の一環であるからです。
査定をきっかけに媒介契約を結び、仲介手数料を得ることが目的なので、査定は無料となっています。つまり、査定は不動産会社側にもメリットのある行為なので、遠慮せず無料で依頼しましょう。
契約をせずにマンション査定だけでも依頼して良いの?
契約をせずにマンション査定を依頼しても、問題ありません。実際に売却に前向きであっても、査定額の結果次第で契約をおこなわない人も多くいます。
もちろん冷やかしは良くありませんが、契約を結ばずとも査定だけの依頼をすることは悪いことではありません。
まとめ
当記事では、マンション査定の基礎知識や査定に影響するポイント、注意点などについて詳しく解説してきました。
マンションの査定は必ず複数社に依頼をして、査定額や営業担当者の質などを比較検討しましょう。複数の不動産会社に査定してもらうことにより、売却価格の相場や不動産会社ごとの対応も確認できます。
マンションの売却は、査定と不動産会社選びで決まると言っても過言ではありません。当記事で紹介した査定の注意点や不動産会社の選び方を参考に、ぜひ満足できるマンション売却をおこなってください。