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実家が空き家になったらどうする?空き家に起きる問題や活用方法について解説

空き家になった実家の維持・管理にかかる費用

もしも実家が空き家になってしまった場合、そこにかかる維持費・管理費についてご存じでしょうか。空き家になった実家の維持・管理にかかる費用は、主に以下の5つです。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 水道光熱費
  • 修繕費用
  • 火災保険

それぞれについてよく理解しておきましょう。

固定資産税

毎年1月1日に不動産の所有者に課税されるのが、固定資産税です。固定資産税評価額が自治体により決定され、標準税率をかけた金額が固定資産税額になります。

固定資産税の計算式は、下記の通りです。

固定資産税評価額(課税評価額)×標準税率=固定資産税

所有する空き家の敷地が、小規模住宅用地である200㎡以内の場合、「固定資産税の住宅用地の特例」を受けることができ、課税標準額が6分の1となります。200㎡を超える部分に関しては、課税標準額が3分の1です。

都市計画税

市街化区域内に空き家がある場合、土地と家屋にはそれぞれ都市計画税が課税されます。都市計画税は、課税標準額に一定の税率がかけられますが、上限は0.3%です。

都市計画税の計算式は、下記の通りです。

固定資産税評価額(課税評価額)×税率(上限0.3%)=都市計画税

敷地面積が200㎡以下の小規模住宅用地の場合は、課税標準額が3分の1になる特例が受けられます。また、200㎡を超える一般住宅用地の場合も、特例として課税標準額が3分の2となります。

水道光熱費

人が住んでいない状況であっても、様子を見に行った際などに使用できるように、水道や電気などのライフラインを契約したままにしておくことも多くあるでしょう。

そのような場合、契約している間の基本使用料は、必ず発生します。ある程度の費用をしっかりと把握しておき、毎月どのくらいの料金がかかるのか、年間でいくらほどの支出となるのかをチェックしておきましょう。

修繕費用

誰も住んでいない不動産は、手入れが行き届かず、老朽化が進みやすくなります。また、空き家には「空家等対策の推進に関する特別措置法」があり、特定空家等に登録されると、管理における助言や警告などが出されます。

何もせずにそのまま放置し続けると、固定資産税の特例が受けられなくなってしまうため、注意しなければいけません。特定空家等に指定される定義は、下記の通りです。

この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

(引用:空家等対策の推進に関する特別措置法 第二条

特定空家等に指定されないためには、ある程度の期間で空き家になった実家を訪問し、修繕が必要な場合はしっかり手直しする必要があります。これらの修繕費用についても、空き家の管理費として組み込んで考えておきましょう。

火災保険

火災保険は必須ではありませんが、不動産を所持し続ける場合は、万が一に備えて加入しておくのがおすすめです。空き家は住宅ではなく一般物件(店舗や事務所など)として扱われることが多く、一般的な火災保険と比較すると、保険料が割高になる傾向です

しかし、実際に災害などで被害が出てしまうと、高額な損害賠償を請求されるケースも少なくありません。空き家を管理する場合、こうしたリスクに備えるためにも火災保険に加入しておくことが大切です。

実家を空き家にしておくことで起きる5つの問題

空き家になった実家を相続しても、どうすればよいのかわからず、そのままの状態で放置してしまっているケースも少なくありません。しかし、実家を空き家にしておくことで、以下5つの問題が起きる可能性があります。

  • 管理の手間と費用の負担が継続する
  • 資産価値が低下していく
  • 老朽化による倒壊の危険性が高まる
  • 近所迷惑になる可能性がある
  • 治安・景観を悪化させてしまう

それぞれについて詳しく確認していきましょう。

①管理の手間と費用の負担が継続する

本記事でお伝えしたように、空き家には水道光熱費だけでなく、固定資産税・火災保険などの費用が生じます。さらに、家の手入れをするために通う際にも、交通費がかかります。空き家を管理するサービスを利用することも可能ではありますが、無料ではありません。

必ず何らかの費用が生じるため、空き家として所持している間は、こうした負担が継続します。

②資産価値が低下していく

建物は、時間が経過するほど老朽化が進みます。さらに、日本の一軒家は木造である場合が多いため、管理が十分できていないほか、換気が不十分な場合、劣化が早まり資産価値はどんどん低下してしまいます

不動産としての価値が失われてから売却したいと考えても、すでに廃屋と同じ扱いになってしまい、買い手を見つけられなくなるでしょう。

③老朽化による倒壊の危険性が高まる

空き家でとくに注意すべきは、倒壊です。老朽化が進めば、台風や地震などによる倒壊の危険性が増してしまいます。

建物の倒壊は近隣の家屋に被害が及ぶこともあり、高額な損害賠償義務が生じます。万が一、相手が死亡してしまった場合は、数千万円を超えるほどの高額な賠償金を支払わなければいけません。

④近所迷惑になる可能性がある

空き家は、人目につかない場所としてゴミを不法投棄されるリスクがあります。その結果、ゴミが放つ異臭が立ち込めて、近所迷惑になる可能性が高いです。

また、害虫が発生したり野良猫・野良犬などが住み着いたりしてしまうと、公衆衛生を悪化させてしまうので近隣からの苦情はより強くなります。このような場合は、行政から所有者へ指導が入ることは避けられません。

これまで上手く付き合いを続けてきた近隣住民との関係を悪化させてしまうこともあり、迷惑をかけるだけでなく大きなトラブルを巻き起こしてしまいます。

⑤治安・景観を悪化させてしまう

ゴミの放置・害虫の発生などだけではなく、手入れがされていない荒れ果てた庭や家屋は、それだけで景観を悪化させます

また、建物内に生活できる家具や布団などがあれば、不審者が住みつくケースもあり、犯罪者の格好の隠れ家となってしまいます。放火犯に目をつけられることもあり、もしも所有者が延焼の原因を作ったと認められてしまえば、莫大な損害賠償責任を負わなければいけません。

手入れをしていない空き家は、治安や景観を悪化させてしまい、犯罪発生率を上げてしまう恐れがあります。

実家が空き家になった時の対処法

では、実家が空き家になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。上記で説明したように、空き家は放置すれば、リスクやデメリットが多くなってしまいます。そのため、早めに対処しなければいけません。

実家が空き家になった際は、以下の5つの対処法があります。

  • 空き家のまま管理する
  • 売却する
  • 更地にする
  • 賃貸として活用する
  • 空き家バンクに登録する

正しく管理することができれば、本記事で紹介したようなリスクを抑えることも可能です。ここでお伝えする5つについて、しっかりと理解しておきましょう。

空き家のまま管理する

まずは、空き家のまま管理することを考えましょう。ただし、老朽化や近隣への迷惑を防ぐために、しっかりとメンテナンスをおこなう必要があります。正しく管理できなければ、トラブルは回避できません。

管理を正しくおこなっておけば、トランクルームとして利用する・将来的に親族の誰かが住居として活用するなどの選択肢も増えます。自分で管理するのが難しい場合は、管理会社に依頼するのも1つの手段です。

売却する

空き家となった実家は、売却することでその後の管理や維持費などの心配がなくなります。また、現金化できる点も大きなメリットです。

売却する場合は、まず名義を確認し、所有者が誰になっているかをチェックしましょう。親の名義になっていると、そのままでは売却できないので、所有権移転登記をおこなってください。

空き家を売却する場合、令和5年12月31日までであれば「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が適用されるため、早めに決めると安心です。

更地にする

建物を壊して更地にすれば、倒壊の危険性や不審者の隠れ家となってしまうリスクを大幅に減らせます。放火やゴミの放置などもなくなり、空き家におけるトラブルの要因となる多くのことは解決できます。

また、定期的な管理やメンテナンスの頻度も減らすことができるため、負担も軽くなるでしょう。

ただし、解体費用がかかるだけではなく、固定資産税がかなり大きくなってしまうケースも少なくありません。まずは、解体した場合のシミュレーションをして、どのくらいの負担となるのか、建物がある場合とよく比較してみてください。

賃貸として活用する

空き家となった実家を賃貸として活用する場合、毎月安定した家賃収入を得られます。立地や周辺環境により家賃には大きな変動がありますが、少なくとも数万円以上の継続的な収入を得られるのは大きなメリットです。

しかし、賃貸として活用する場合は、リフォームやリノベーションなどを事前におこなう必要があるため、初期投資が大きな負担となります。さらに、必ず借り手が見つかるわけではないことや、家賃滞納のリスクなどもあります。

このような場合、「住宅セーフティネット制度」を活用するのがおすすめです。一定の要件が満たされれば、改修費用を国が補助してくれます。さらに、入居者に対する家賃補助などもあり、入居希望者が見つかりやすくなるでしょう。

空き家バンクに登録する

空き家バンクは、空き家の所有者と空き家を借りたい・買いたい利用希望者をマッチングするためのサービスです。空き家バンクに登録すると、ポータルサイトなどで情報が公開されて、利用者を募集できます。

また、空き家バンクの運営は自治体がしており、さまざまな助成や補助があります。自治体によって内容は異なるため、まずは事前に確認しておきましょう。

空き家になった実家は「相続放棄」も選択肢の1つ

売却するほどの価値がない、管理するための時間や余裕もないという場合は、「相続放棄」するという選択肢もあります。相続放棄をすれば、空き家の問題に悩まされることはありません。

しかし、相続放棄は簡単にできるものではないため、まずは親族全員でしっかりと話し合いましょう。空き家の相続が負担となってしまう場合、自分が相続放棄しても他の誰かにその負荷がすべてのしかかる形になってしまいます。

また、相続放棄すれば、空き家以外の遺産もすべて放棄することになるため、じっくり考えてから決断するようにしましょう。

相続放棄をする場合、相続の開始を知ってから3か月以内に必要書類を家庭裁判所に提出する必要があります。もしも期間内に対応が難しい場合、期間を延長するための申し立てが可能です。

まとめ

今回は、実家を空き家にしておくことで起きる5つの問題や空き家の活用方法を紹介しました。空き家はしっかりと管理しなければ、必ず問題が発生します。最悪の場合、莫大な損害賠償が発生してしまうケースもあるので、未然に防がなければいけません。

しっかりとメンテナンスをして正しく管理することで、こうしたデメリットを回避することが可能です。まずは本記事でお伝えした内容をよく把握し、実家の空き家についての現状と今後どう対処すべきかを明確にしておきましょう。

矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)

関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。

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