近年、マンションの価格は首都圏を中心に上昇傾向にあります。2008年のリーマンショックにより一時期価格は落ち込みましたが、その後2012年頃から緩やかに上昇しており、2022年にピークを迎えると言われていました。
しかし、コロナショックで一時的に価格が下降し、その後、同年前半は価格が減少したものの徐々に回復、2021年度には再び上がり調子になりました。
2022年はさらに上昇し、バブル期を超える勢いで価格が高騰しています。マンションの売却をするなら、今が最適なタイミングだと言えるでしょう。
近年マンションの価格が高騰している理由は、以下の5つです。
【マンションの価格が高騰している理由】
ここからは、高騰している理由について詳しく解説します。 マンションの購入や売却を検討している方は、ぜひチェックしてください。
マンションの価格が高騰している理由の1つに、2013年に日本銀行が打ち出した金融緩和政策の影響があります。
この政策によって住宅ローンの金利が低下し、前よりもローンの審査基準が緩くなったのでマンションを購入できる人が増加しました。
その結果、売主が価格を下げる必要がなくなりマンションの価格は上がり続けています。
公示地価の高騰も理由の1つとして挙げられます。公示地価とは、毎年国土交通省が3月に発表する日本の地価を決める基準です。
2021年までは首都圏を中心に公示地価は上昇していました。その背景には、2020年に開催を予定していた東京オリンピックによって日本の外国人観光客が増加したことがあります。
それに比例して、商業施設の発展や地域の都市開発が進み、利便性の高い地域のマンション価格が上昇しました。
マンションの価格が上昇しているのは、2015年に相続税法が改正されたことも理由として挙げられます。
相続税法の改正によって人々が負担する相続税が大きくなったので、資産を現金ではなくマンションなどの不動産として所有する人が増加しました。 自分の資産を不動産として所有することで、2つのメリットが得られます。
【資産を不動産として所有するメリット】
資産を不動産として所有することで、節税になるだけでなく老後の収入源にもなるため、多くの方がマンションを購入するようになりました。
しかし、節税する人が増加したので国が不動産への課税強化を検討しています。今後、何らかの形で不動産に課税するための税金改革を実施する可能性があるでしょう。
マンションの価格が上昇しているのは、2020年に開催を予定している東京オリンピックも影響しています。
東京オリンピックの開催が決まったことで、会場周辺の開発やインフラ整備に人件費や材料費が多くかけられることになり、建築費が高騰しました。
また、開催地周辺は海外の投資家からの需要が高まり、地価も上昇しました。
これらのことが要因となり、日本の不動産市場が一気に盛り上がりを見せたのです。
富裕層からの高級マンションの需要が増加したことも、原因の一つとして挙げられます。
近年では、都市部のマンションは富裕層向けに開発に力を入れているようです。富裕層からは、豪華なエントランス・共有スペースなど、付加価値やステータスになるものが求められます。また、都心へのアクセスの良さやマンションの景観も人気を左右するポイントです。
多少高価でも、これらを満たすマンションは非常に需要があるので、価格の上昇が続いているのでしょう。
近年のマンション価格は上がったり下がったりしていますが、全体的には右肩上がりです。今後もじわじわと上昇することが考えられます。
しかし、このまま価格上昇が続けば買い控えが起こる可能性が高いです。現在は低金利でマンションを購入しやすい時期ですが、景気が悪化することも予想できます。
新型コロナウイルスの影響もあるので、あくまでも予想として参考にしてください。
続いて、マンションの価格が下落する場合の原因を4つ紹介します。
【マンションの価格が下落する原因】
それぞれの原因について詳しく解説するので、今後の予想をする際の参考にしてください。
マンションの価格は、景気の悪化によって下落する可能性があります。新型コロナウイルス感染の影響によって、景気が悪化していると日本政府は判断しました。政府から経済が悪化していると判断されたのは、2009年に起こったリーマンショック以来です。
景気が悪化すると個人の消費が減少し、マンションの購入を踏みとどまる人が増えることが考えられます。その結果として、マンションの価格が下降するかもしれないというわけです。
マンションの価格は金利の増減によって変動する傾向があります。金利の増減は住宅ローンの総返済額に関わるため、高騰するとローンを組みたくないと考える人が多くなり、買い控えが起こる可能性が高いです。
その結果、売れないマンションの価格が下落することが考えられます。
マンション価格は、2022年の生産緑地の開放によって低下する恐れがあるでしょう。生産緑地とは、1992年に施行された生産緑地法によって国や自治体が指定した農地を指します。指定された土地は30年間税金が優遇される代わりに、農地として使用する以外の目的で売却するのを禁じられていました。
2022年は1992年から30年後にあたり、当時指定された農地の保有者が土地を手放せる年です。そのため、多くの土地が市場に出回ることが予想されます。土地が出回ると供給過多になるので、地価の下落と共にマンションの価格も低下することが懸念されています。
日本は2042年まで高齢化社会が進むと言われています。マンションに住む高齢者は多いので、彼らが亡くなった後に空き家になる物件は今後増える可能性が高いです。
空き家が多いマンションは、全体の収入が下がり管理状態が悪化することが懸念されます。その結果、質が悪くなって売れない中古マンションが増えることで、同時にマンション価格の低下も予想されます。
マンションの売却はタイミングが重要です。以下の2つを押さえて最適なタイミングで自分のマンションを売却しましょう。
【マンションの売却をする時のポイント】
2つの項目について詳しく解説していきます。
マンションは基本的になるべく早く売却しましょう。その理由は、築年数が経つにつれて売却額が下落するからです。少しでも高く売りたいなら早期売却をおすすめします。
ただし、マンション周辺の環境の変化で購入時よりも価格が高騰するケースもあります。そのため、マンションを売却する時は、不動産一括査定サイトなどのツールを用いて相場価格を確認してから検討しましょう。
近年のマンション価格は少しずつですが上昇しています。そのため、2022年以降はマンションの売却に適していると言えるでしょう。
しかし、マンションの価格は状態や立地などで変動するものです。必ず不動産会社に不動産査定依頼をして、価格の相場を把握してから売却してください。
マンションを購入するタイミングは、資産や人生プランを考慮して決めましょう。無理をしてローンを組んでも、後から返済に追われる可能性が高く、後悔することになります。今後の人生設計をよく考えてから購入を検討してください。 ただし、購入までに長い時間を要すると、以下の3つのリスクが生まれます。
【マンション購入までに時間をかけるリスク】
上記のリスクを回避するためにも、早めに購入に踏み切ることも大切です。
マンションを購入するなら、売却する時のことも考えて資産価値が下がらない物件を選びましょう。 価値が下がらないマンションの特徴は以下の3つです。
【資産価値が下がらないマンションの特徴】
マンションの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
マンションの価値は立地によって左右する傾向があります。特に以下の2つがポイントです。
【立地に関するポイント】
以上の特徴を押さえているマンションは、築年数が経過しても高価格で売却できる可能性が高いです。
また、2020年以降は新型コロナウイルスの対策をしている地域への注目が集まっています。今後は地域の行政力がマンションの資産価値に影響を与えるかもしれません。
マンションは空き家の割合が増えると価値が下がる傾向があります。そのため、現在入居している方の年齢も重要なポイントです。
入居者の高齢化が進むマンションは近い将来空き家が増えます。マンションを購入する前に不動産会社に入居者の年齢層を確認しておきましょう。
災害が少ない地域に建設されたマンションは、価格が下がりにくいと言われています。近年予想できない台風による水害や停電で、ライフラインが機能しなくなるマンションが散見されました。中には災害対策が整っていないマンションもあります。
そのため、マンションを購入する時はハザードマップや災害履歴を調べておくのが良いでしょう。
ここまで紹介した内容を踏まえたうえで、マンションの価格を確認する時の注意ポイントを解説します。マンションの価格を見る時は以下の2つに注意しましょう。
【マンションの価格を確認する時の注意ポイント】
それぞれについて詳しく解説します。
マンション価格をチェックする時は最新の情報をきちんと確認しましょう。インターネットで調べられる情報は数ヶ月前の情報の可能性があります。データの内容も重要ですが、まずはいつの情報なのか確認してください。
また、実際に売却する価格を決める時も、不動産会社の提示する売値をそのまま鵜呑みにするのは危険です。相場より安価なケースもあるため、最新のデータに基づいて考えることが必要でしょう。
マンションを売却する際は、不動産査定額だけでなく相場も参考にしてください。相場を把握することで、査定額が妥当な金額か判断できるようになります。自分のマンションと同じような条件の物件の相場を調べておきましょう。 マンションの相場の調べ方は以下の3つです。
【マンションの相場の調べ方】
一括査定サイトで相場を調べるのが最も簡単なのでおすすめです。
マンションを売却する時は、以下の3つのコツを押さえておくと、高額で取引できる可能性が高くなります。
【マンションを売却する際のコツ】
少しでも高く売却するためにも確認しておきましょう。
マンションを売却する時はスケジュールに余裕を持つことが大切です。急いで売却することになると、売却額を妥協しなければいけない可能性が出てきます。不動産会社や買手と交渉ができるように、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
マンションの売却には3ヶ月以上かかるケースが多いと言われています。そのため、売却したい時期の3〜4ヶ月以上前から行動を始めましょう。
自分のマンションに似た物件がいくらで売れているか把握することも大切です。マンション価格の相場を把握しておかないと、安価な条件での売却を提案されても気づけない可能性があります。
損をしないためにも、事前に相場を把握した状態で売却を決めましょう。
マンションを売却する時は、仲介してくれる不動産会社選びも重要です。不動産会社には物件の種類で得意・不得意があります。売りたい物件について得意な不動産会社を選びましょう。
また、高値での売却実績がある不動産会社を選べば、売却するタイミングやコツなどをアドバイスしてもらえます。
近年マンションの価格は高騰しています。しかし、今後日本政府の税金政策などで低下する可能性も十分あるでしょう。そのため、マンションの購入・売却をするなら今後の相場の変化を注意深く確認する必要があります。
マンションの購入を検討している方は、資産価値が高くなる・維持できる物件を探すことが重要です。売却を検討している方は、自分のマンションを事前に査定してもらい、相場を把握したうえで早期に売るのが良いでしょう。
この記事を参考に、マンションの価格変動を予想して損のない購入・売却をしてください。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。