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空き家をそのままにしておくと、固定資産税などの管理経費がかかってしまいます。とくに2023年改正の「空家等対策特別措置法」により、管理不全空家等も固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1)が解除される可能性があるため、放置はリスクです。
せっかく保有しているのであれば、収益を生み出せるように工夫をしたいところです。ここでは、人気の空き家活用方法3選を紹介します。
【人気の空き家活用方法3選】
賃貸は、必要な修繕を加えて人に貸す方法です。毎月安定した家賃収入が見込めるもので、不動産投資の最も一般的な方法です。ここでは、賃貸のメリットとデメリットを解説します。
空き家を賃貸物件として貸し出せば、家賃収入を得られます。収益化できれば物件の固定資産税や修繕費に充てられるほか、生活費やローンの返済にも役立ち、生活に余裕が生まれるでしょう。
また、家を空けておくよりも人が住んでくれれば家屋の老朽化を防ぐこともできるため、一石二鳥となります。
実際、通気・通水が行われることで湿気や害虫被害の抑制につながります。
賃貸物件として貸し出すには、耐震性・防火設備などの基準を満たしているかの確認が必要です。入居者が決まるよう、物件をほかのものより競争力のあるものにするには、原状回復や内装リフォームなどの修繕費用を最初に捻出しなければなりません。
また、入居者募集や管理を不動産会社に委託する場合、賃貸住宅管理業法に基づく登録業者に依頼することが望ましいとされています。
契約が成立した場合には、仲介手数料(通常は賃料の1か月分+消費税)や広告費などが発生する点もデメリットのひとつでしょう。
空き家は、シェアハウスとしても活用できます。シェアハウスは手頃な料金ということもあって若い年代に人気で、リモートワーク需要の高まりや地方移住志向の影響で再注目されています。こちらもメリットとデメリットがあるので、確認しておきましょう。
シェアハウスでは複数の入居者が共同で暮らすため、人あたりの家賃が安くなる一方で、オーナーにとっては安定した家賃収入を得やすいというメリットがあります。
一棟貸しと違って複数の入居者がいることから、一人一人の家賃は少なくても人数分の家賃収入が手に入ります。結果的に一人に貸すよりも、多くの収入を得られるでしょう。
また、空室リスクが軽減される効果もあります。一棟貸しやアパート・マンションの経営であれば、入居者が退去していった場合は空室になりますが、シェアハウスの場合、入居者が退去しても他の入居者が残るため、収入が途絶える心配が少なく安心です。
一時的に入居者が減っても家賃収入がゼロになることはなく、さらに需要が高いため、次の入居者も比較的見つかりやすい傾向があります。
シェアハウスでは入居者の数が多いため、生活音や共有スペースの使い方などを巡るトラブルが発生する可能性があります。また、入居者の入れ替わりが激しい傾向があり、退去者が出れば、その都度募集対応が必要です。
さらに、一軒家をそのままシェアハウスとして貸し出すのは難しいため、個室化・防音対策・トイレ・キッチンの複数設置などのリフォームが必要なのもデメリットといえるでしょう。
また、個室に鍵を設置する場合や10人以上の入居を想定する場合は、建築基準法上「寄宿舎」とみなされ、用途変更の確認申請や消防設備の設置が必要になる場合があります。
シェアハウスと並んで民泊も人気です。もともと、外国人旅行者や国内のバックパッカー(低予算で旅行する個人旅行者)を中心に、比較的安価に長期間滞在したい人のニーズがありました。現在でも、多様な旅行形態を求める外国人などに人気があり、注目されています。
2018年に住宅宿泊事業法が施行されて以降、国内で民泊をおこなう場合には、許認可のほかに届出をすることで開始できるようになりました。以前は旅館業法に合致しない場合は違法という状況でしたが、現在では次の3種類の民泊形態が認められています。
【民泊の3形態】
また、家主が不在の場合は、民泊管理業者への委託が必要です。
ホテルやB&Bのような宿泊施設のほか、自宅などを宿泊施設として提供するインターネットサービスを展開している「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの普及により、日本でも民泊が一般的になってきました。インバウンド需要の回復やリモートワーク利用者の増加により、今後も安定した需要が見込まれます。
また、民泊には180日以下と営業日数の制限がありますが、運営制限期間外には、マンスリー賃貸や企業の短期社宅利用など、他の用途で併用運用することも可能です。
同じ空き家を活用するなら、賃貸よりも宿泊料の方が高額で収益性が高くなります。しかし、180日以下の営業日数制限がネックとなり、長期契約が望めません。また、閑散期には登録サイトでの宣伝が必要となるほか、旅行客が相手になるため、設備の破損や備品の持ち帰りなどのリスクも大きいです。

空き家を活用したビジネスには、以下のようにさまざまな形態があります。
| リフォームする場合 |
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<メリット> 初期費用が抑えられる <デメリット> |
|---|---|---|
| 建て替える場合 |
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<メリット> 収益性が高い <デメリット> |
| 更地にする場合 |
|
<メリット> 柔軟に活用できる <デメリット> |
この項では、初期投資が比較的少なく、すぐに事業化できる可能性がある「リフォームする場合」に絞り、以下のように細かく分けて解説していきます。
【リフォームする場合の活用例】
※実際の売却活動では、不動産会社ごとに提示される査定額や提案内容に差があります。
一戸建て住宅を賃貸する際は、本業が忙しい方は個人で管理するよりも、賃貸管理会社に委託するのがおすすめです。
また、借家の契約形態には、普通借家契約と定期借家契約があります。普通借家は更新があり借主が優遇されるので、将来的に自分で住む予定がある場合や短期賃貸を希望する場合は、定期借家契約を選ぶようにしましょう。
空室リスクもありますが、契約によっては管理会社が入居者を探してくれることもあります。
シェアハウスを経営する場合、入居者の募集は専用サイトや不動産業者などの管理会社を通じて募集することになります。また、近年ではTwitterやInstagramなどのSNSを使った募集も盛んです。
一戸建てより入所者が多くなるため収入が安定する一方、個室化リフォーム・防音対策・トイレや洗面所の増設などの改修費用が発生します。
また、10人以上の入居を想定する場合は、建築基準法上「寄宿舎」に分類される可能性があり、用途変更や消防設備設置義務が生じるため、自治体への確認が必要です。
これまでは旅館業法の規制があり参入が難しかった民泊ですが、2018年の住宅宿泊事業法により規制が緩和されました。低価格で旅行したい人に人気の民泊ですが、宿泊日数は180日までとなります。
また、家主不在型(運営者が現地にいない場合)は、住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられています。
低価格で旅行したい人や外国人旅行者に人気ですが、宿泊者の入れ替わりが激しいのが特徴です。利用者募集は民泊専用サイトでおこなうことが多くなります。
介護施設として活用する場合には、デイサービス施設やグループホームとして利用することになります。バリアフリー対応の改修が必要なため初期費用がかかりますが、介護施設の需要は高いため、入居者集めに苦労することは少ない傾向です。
介護保険が適用されれば経営も安定するので、収益性も安定して高くなります。特に、郊外や地方では高齢化が進んでいるため、人気が出る可能性が高いでしょう。
2017年に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が成立し、日本で「住宅セーフティネット制度」がスタートしました。高齢者や障害者・子育て世帯・被災者・外国人など、さまざまな理由で住宅の確保に配慮が必要な方が対象で、需要は今後も増加する見込みです。
セーフティネット住宅に登録すると、「セーフティネット住宅情報提供システム」から検索できるようになります。主に、所得の低い方が対象なので収益は低いですが、自治体によっては改修費補助や家賃低廉化補助を受けられる場合もあります。
(参照:国土交通省「住宅セーフティネット制度について」)
新型コロナウイルスの感染拡大防止を契機に、地方で仕事をおこなう「ワーケーション」が取り上げられるようになりました。サテライトオフィスは、勤務地を問わない企業やフリーランスなどの出勤が不要な方に最適なオフィスとして人気を集めています。
総務省や自治体が推進する「ふるさとテレワーク」や「地方創生テレワーク交付金」などの制度を活用すれば、改修費の一部を補助される場合もあります。高速インターネット回線が必要ですが、そのほか大きな改修の必要もなく事業を始められるでしょう。
ただし、サテライトオフィスとしての活用は主に都心での需要が多いでしょう。郊外などではサテライトオフィスを活用した働き方をしている人が少ない点には、注意が必要です。
空き家を時間貸しとして活用する際は、時間を区切って会議室や撮影スタジオとして多目的に使用してもらう方法があります。専用の会議スペースを作るか、民家のまま貸し出すかのどちらかのタイプが可能です。フリーランスや出張者には会議室の需要があるので、コワーキングスペースとの相性も良いでしょう。
ただし、不特定多数が利用するため、住宅地では騒音や駐車トラブルなどへの配慮が必要です。近隣対策として利用ルールの明示やセキュリティカメラ設置が有効です。
また、都心ではさまざまなニーズがありますが、郊外では地域によって使われ方が異なるため、その地域の市場を調査してから内装などを決めることをおすすめします。
店舗として貸し出す場合は、借主が事業形態に合ったリフォームをおこなう必要があり、家主としても許可しなければなりません。もともと居住用の物件だった場合は、用途変更(建築基準法上の「住居系から店舗系」)や消防法対応(消火器・避難経路など)の確認が必要です。
小売店や飲食店として活用するには、給排水・換気・電気容量の確保など、居住用にはない設備工事が伴う場合があります。
とはいえ個人の居住用ではなく事業用で使用するため、家賃滞納のリスクが少ないのがメリットといえます。
コワーキングスペースは、フリーランスや起業家、ノマドワーカーなどといった場所に縛りがない環境で働いている人たちが集まる共同のワークスペースです。
高速のインターネット環境を整備することは必須で、ほかに共有プリンターやシュレッダー、ドリンクサーバーといった機器が必要となります。
フリーランスなどに需要は高いですが利用者の募集が課題となるので、新聞や雑誌などで取り上げてもらうかSNSで宣伝するのも有効です。
昨今ではクラウドファンディングや補助金(商店街活性化支援事業)を活用して改修資金を集めるケースも増えています。一旦利用者が集まれば定着率が高いので、経営が安定するのがメリットです。
空き家をトランクルームとして活用するには、空き家をそのまま生かすか1畳程度のスペースに区切って貸し出すなどの方法があります。
人に貸すわけではないので、出入りが少なく管理人の常駐も必要ありません。そのため、管理の手間やコストを省くことができるのがメリットです。改修もそれほどおこなわずにすみ、安定した収入を確保できるのがメリットとなります。
ただし、屋内型トランクルームにする場合は、消防法に基づく換気・非常口・照明の確保などが必要で、自治体によっては「倉庫用途」への用途変更確認が必要です。無人運営が可能な分、スマートロックや監視カメラなどのIoTセキュリティ設備導入がおすすめです。

空き家問題は多くの自治体が重要な地域課題として捉えているため、各自治体で補助金を設けていることがあります。補助金の種類と概要は、おおむね次のように分類できます。
| 補助金の利用目的 | 概要 |
|---|---|
| 除却 | 空き家の解体工事・撤去処分にかかる費用 |
| 改修 | 空き家のリフォーム・改修工事にかかる費用 |
| 取得 | 空き家の取得・購入費用や、他地域からの転入者に対してかかる費用 |
| その他 | 空き家の店舗利用や集会所としての利用などその他の費用 |
(参考:全国補助金一覧|空き家の補助金・助成金の都道府県別リスト)
補助金がもらえる条件や助成金額は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。概要を知るには、次に紹介する官民の空き家バンクなどから、補助金の情報をたどるのも良い方法です。
また、複数の補助制度を組み合わせて利用できる場合(解体+移住支援など)もあるため、専門家や不動産会社に相談するのもおすすめです。

従来、空き家問題は自治体で取り組まれていましたが、近年は国としても全国的な空き家バンクを整備する動きがあります。
国土交通省は民間事業者と連携して、次のような全国的な空き家バンクを支援しています。
【全国的な空き家バンク】
このようなサービスを活用すれば、効率的に空き家を見つけることが可能になります。ただし、人気の物件は掲載されて数日で契約が決まってしまうこともあるので、注意しましょう。
気になる物件を見つけたら、早めに自治体または掲載不動産会社へ問い合わせることが重要です。
空き家は、ただ保有しているだけでは固定資産税がかかってしまい、「持っているだけで赤字になる」という状況に陥ります。そのため、積極的に活用することをおすすめします。
空き家の活用方法には、賃貸として貸し出す方法のほかにも、民泊、シェアハウス、コワーキングスペース、トランクルームなどとして活用する方法もあります。
さまざまな活用方法がありますが、最終的には「どこに需要があるのか」を見つけ出すことが最も重要な確認事項です。この記事を参考にして空き家の活用方法を学び、収益を生み出せるよう、うまく活用していきましょう。
参考:空き家解決の新たな選択肢。不動産事業の新イノベーション「アキサポ」とは?|施工の神様