【不動産売却にかかる税金はいくら?】確定申告は必要?節税対策に有利な特例・特別控除もご紹介

【不動産売却にかかる税金はいくら?】確定申告は必要?節税対策に有利な特例・特別控除もご紹介

不動産を売却する際は売却益ばかりに目がいってしまい、見落としがちなのが税金です。不動産売却時には、売却した際に出た利益等に対して、「譲渡所得税」「印紙税」「免許登録税」の3種類の税金がかかります。

しかし、そのような不動産売却にかかる税金について、詳しく知っている方は多くありません。

そこで当記事では、不動産売却にかかる税金や節税対策に有効な特別控除について、解説していきます。不動産の売却を検討している方は、ぜひ一度目を通してください。

不動産を売ったときにかかる3種類の税金

不動産を売ったときにかかる3種類の税金

はじめに、不動産売却時にかかる3種類の税金についてみていきます。

【不動産を売ったときにかかる税金】

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産・貴金属・株式などを売却して得た利益である「譲渡所得」に対してかかる税金です。譲渡所得には所得税や住民税がかかり、これらすべてを総称した名称が譲渡所得税となります。

譲渡所得税の求め方は、以下の計算式の通りです。

譲渡所得税=(売却価格-取得費用-譲渡費用-特別控除額)×税率(20~30%)

印紙税

印紙税は、商取引に伴って作成された契約書や領収書等の書類にかかる税金です。日本の印紙税法では、商取引で発行する特定文書に対して納税義務が課されています。下記に印紙税法の一部を引用したので、参考にしてください。

【印紙税法 第三条】
別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

(引用:印紙税法

印紙税の納め方として主たるものは、収入印紙です。納める税額は、契約金額によって下記のように異なります。

契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1,000円
100万円を超え500万円以下 2,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円

登録免許税

最後に挙げられる税金は、登録免許税です。登録免許税とは、不動産などを登記する際にかかる税金のことを指し、売主と買主の双方に発生します。

売主の場合には、抵当権を外すための「抵当権抹消登記」が必要です。抵当権抹消登記には、不動産1つにつき1,000円の登記免許税が発生します。

土地と建物の両方を売却する場合には、それぞれ別の不動産と見なされるので、登記免許税は2,000円です。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法

続いて、譲渡所得税の計算方法を解説していきます。契約金額や不動産の数で税額が決まる印紙税や登録免許税とは異なり、譲渡所得税は仕組みが複雑です。

譲渡所得税は、売却価格から売却にかかる経費などを差し引いて税率を乗ずることが求められます。下記に式をまとめたので、確認してください。

譲渡所得税=(売却価格-取得費用-譲渡費用-特別控除額)×税率(20~30%)

それぞれの項目について、詳しく確認していきましょう。

売却価格

売却価格は、その名の通り不動産を売却した価格のことです。譲渡価格と呼ばれることもあります。

取得費用

取得費用とは、売却した不動産を取得した際にかかった金額を指します。下記の項目が取得費用として換算できるので、ご確認ください。

  • 不動産を購入した代金
  • 不動産購入時に発生した税金
  • 不動産購入時に発生した仲介手数料
  • 建築費用
  • 設備などの諸費用

親族から相続した不動産などで取得費が不明なものに関しては、譲渡価格の5%が概算取得費となるので覚えておきましょう。

また、土地の場合には上記を換算すると取得費用が求められますが、建物の場合にはさらに「減価償却費」が引かれます。減価償却費は、下記の方法で計算可能です。

減価償却費=取得費×0.9×償却率×経過年数

償却率は構造や用途によって以下のように異なるので、併せて確認してください。

構造 事業用 非事業用(マイホーム)
木造 0.046 0.031
軽量鉄骨 0.038 0.025
鉄筋コンクリート 0.022 0.015

譲渡費用

譲渡費用とは、不動産売却の際に発生した下記の費用を指します。

  • 不動産屋に支払う仲介手数料
  • 土地の測量費
  • 貸家などの場合、売却に伴い発生した立退料
  • 建物の解体費用

特別控除額

特別控除額とは、政府の設けている特別控除の条件を満たすと譲渡所得から控除できる金額のことです。

例えば、住んでいた自宅を売却した場合、条件を満たすことで最大3,000万円もの金額を差し引くことができます。

譲渡所得税控除の特例・特別控除については、次の項で詳しく解説していきます。

税率

最後に税率について確認していきましょう。譲渡所得税にかかる税率は、不動産を所有した年月によって異なります。

不動産を売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」が適用され、5年超えの場合には「長期譲渡所得」が適用されます。下記にそれぞれの税率をまとめたので、確認してください。

譲渡所得の種類 所得税率 住民税率 合計税率
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得
(所有期間5年超え)
15.315% 5% 20.315%

譲渡所得税控除の特例・特別控除

譲渡所得税控除の特例・特別控除

譲渡所得税には、いくつかの控除の特例が存在します。下記に特例をまとめたので、ご覧ください。

  • マイホームを売ったときの特例
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 収用等により土地建物を売ったときの特例
  • 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

それぞれの控除をしっかりと確認して、譲渡所得税が控除されるか確認していきましょう。

マイホームを売ったときの特例

マイホームを売却する場合、下記の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

  • 売却した不動産が自宅利用であった(別荘や賃貸物件は不可)
  • 過去2年以内にマイホームの特別控除を受けていない
  • 過去2年以内にマイホームの買い替えをおこなっていない
  • 過去2年以内にマイホームの交換の特例を受けていない
  • 売り手と買い手の関係が親子や夫婦ではない
  • 最後に住んでいた時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している

(引用:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームを売却した際、一定の要件を満たす方は、軽減税率の特例が適用されます。下記に要件をまとめたので、参考にしてください。

  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと(ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます)
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと

(引用:国税庁「No.3305 マイホームを売った時の軽減税率の特例」

上記に該当すると、不動産を売却した際の長期譲渡所得金額に応じて、以下のように軽減税率が適用されます。

長期譲渡所得金額(=A) 税額
6,000万円以下 A×10%
6,000万円超 (A-6,000万円)×15%+600万円

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続で受け取った空き家を売却した際にも適用される特例があります。下記の条件を満たせば、最大で3,000万円の控除が可能です。

  • 相続した土地もしくは建物付の土地を更地にして売却する
  • 昭和56年5月31日以前に建築されている建物である
  • 売却代金が1億円以下
  • 相続から売却するまでの間に居住もしくは賃貸に出していない
  • 売却時時点で一定の耐震基準を満たしている
  • 相続した時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
  • 相続の開始直前に被相続人以外の居住者がいない
  • 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

(引用:国税庁「No,3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例」

収用等により土地建物を売ったときの特例

収用権の認められている公共事業に伴い不動産を売却した場合にも、適用される特例が存在します。下記の条件を満たすと、最大で5,000万円の控除が可能です。

  • 売却した土地が固定資産であること
  • その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けていない
  • 買取の申し出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売却している
  • 公共事業の施工者から最初に買取等の申し出を受けた者が売却している(その者の死亡に伴い相続または遺贈により当該資産を取得した者を含む)

(引用:国税庁「No.3552 収用等により土地建物を売った時の特例」

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

最後に挙げられる特例は、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除です。この特別控除では、令和2年7月1日から令和4年12月31日までの期間において、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下で売った方が対象です。

低未利用土地等に該当する土地を下記の条件で売却した際に、最大で100万円まで譲渡所得を控除できます。

  • 売却した土地などが、都市計画区域内にある低未利用土地等であること
  • 売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えている
  • 売り手と買い手が、親子や夫婦などの特別な関係ではない
  • 売却金額が低未利用土地等の上にある建物等の対価を含めて500万円以下である
  • 売却後にその低未利用土地等の利用がされること
  • 売却した土地などについて、他の譲渡所得の課税の特例の適用を受けていない
  • この特例を受けようとする低未利用土地等と一筆であった土地から前年または前々年に分筆された土地またはその土地の上に存する権利について、前年または前々年にこの特例の適用を受けていない

(引用:国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」

不動産売却の税金に関する注意点

不動産売却の税金に関する注意点

不動産売却時にかかる税金には、いくつかの注意点が存在します。下記に注意点をまとめたので、参考にしてください。

  • 所有期間は売却した年の1月1日のデータ
  • 不動産売却にかかる税金は分離課税なので、会社員でも確定申告が必要

大切なことなので後から後悔することのないよう、ぜひ目を通しておきましょう。

所有期間は売却した年の1月1日のデータ

譲渡所得税を計算する際は、所有期間に注意しましょう。所有期間は、売却した月で計算するのではなく、売却した年の1月1日のデータでの計算になります。

つまり、2017年4月1日に取得した不動産を2022月5月1日に売却した場合の所有期間は4年です。譲渡所得の税率は所有期間が5年を超えると下がるので、間違えのないようにしましょう。

不動産売却にかかる税金は分離課税なので、会社員でも確定申告が必要

2つ目の注意点は、不動産売却には確定申告が必要であることです。不動産売却にかかる税金は「分離課税」に分類されるので、会社員であっても確定申告の必要があります。

また、譲渡所得税控除の特例を利用する場合、いずれの特例も適用のために確定申告が必要です。不動産を売却した方は、翌年の確定申告を必ずおこなうようにしてください。

不動産売却で発生する税金はいつ払うの?納付時期と納付方法

不動産売却で発生する税金はいつ払うの?納付時期と納付方法

不動産売却ではさまざまな税金がかかりますが、それぞれの納付方法や納付期限は異なります。納付時期をあらかじめ理解しておくことで納付忘れを防止できるので、しっかりと確認しておきましょう。

下記にそれぞれの税金の納付期限・納付方法をまとめたので、参考にしてください。

税金の種類 納付方法 納付のタイミング
印紙税 契約書に収入印紙を貼りつけて消印を押す 売買契約締結時
登録免許税 収入印紙にて納付 抵当権の抹消登記をおこなったとき
譲渡所得税(所得税) 所得税の確定申告を提出し、その後納付書で納付 物件の引き渡しが完了した翌年の確定申告時
譲渡所得税(住民税) 給与所得者:確定申告をした場合には手続き不要
普通徴収:納付書で納付
物件の引き渡しが完了した翌年の確定申告時

まとめ

当記事では、不動産売却にかかる税金の種類や譲渡所得税控除の特例・特別控除について解説しました。

不動産を売却する際には、「譲渡所得税」「印紙税」「登録免許税」の税金がかかります。譲渡所得税には控除や特例措置があるので、自身の不動産が該当するか一度確認してください。

当記事を参考に、税金に関する知識をしっかりと身につけて、損のない不動産売却をおこないましょう。

プロフィール
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。