不動産売却の相談は誰にすれば良い?状況によって違う!

不動産売却の相談は誰にすれば良い?状況によって違う!

不動産売買には多くの分野が関わってきます。そのため、不動産売却時に問題があった場合、不動産会社だけでは解決できないケースも出てきます。

不動産会社で解決できないケースは、トラブルとなった事項に詳しい専門家へ相談するようにしましょう。
ただし、相談するときにはトラブルの内容にあった専門家に相談しなければいけません。きちんと相談するには、専門家の得意分野や対応してくれる内容を把握する必要があります。

本記事では、不動産売却時に問題があったときに相談すべき専門家、その専門家の得意分野と仕事内容などについて解説します。
不動産売却時のトラブルに備えられ、実際に問題が起きてもスムーズに解決できるよう是非参考にしてください。

不動産売却の「価格」や「方法」に関する相談は不動産会社へ

不動産売却の「価格」や「方法」に関することは、不動産会社に相談しましょう。不動産会社は不動産のプロであり、正確な価格や相談者にあった売却方法を提示してくれます。

ただし、不動産会社に価格や方法を相談するときには、売却の基礎を理解しておかなければいけないので、不動産会社に確認するときに理解しておくべきことを解説します。

売却価格が確認できる

不動産会社へ「価格」について相談をすれば、売却価格を教えてくれます。しかも、不動産会社は「無料」で査定をして正確な査定額まで伝えてくれます。

査定額とは、売却価格の基になる金額です。売却価格は査定額を参考にして決定します。
ただし、不動産会社の査定は会社ごとに異なるため、より正確な査定額を知りたい人は複数の不動産会社に相談したほうがよいでしょう。

複数の不動産会社に相談するときには、ホームページや口コミを参考にし、取引実績豊富な不動産会社に依頼することが大切です。査定で価格を算出するときには、不動産会社が独自の判断で金額を上乗せしたり、減額したりします。
その際に、仕事を得るのを目的とし、不動産相場よりも高い査定額を出してくるケースもあります。不動産は相場があり、相場より高い価格で売り出してしまうとなかなか不動産が売却できません。
1社の査定では不動産会社が正確な査定額を提示してきているかわからないため、複数の不動産会社の査定額を聞き、正確な査定額を把握してから不動産を売り出していくことが大切です。

なお、査定を依頼するときには「簡易査定」と「訪問査定」があるため、必要にわけてどちらの方法を利用するか不動産会社に伝えましょう。

簡易査定とは、書類や取引事例などのデータのみを使用し、査定地の現場確認はおこなわずに査定する方法です。
簡易査定はその名の通り簡易の査定であるため、正確な査定額が出せません。簡易査定を依頼するケースとしては、不動産の価値を知りたいという場合です。相続が発生しそう、売却しなければならなくなりそうなど、将来的に不動産の売却をするときに利用します。

訪問査定とは、書類やデータだけでなく査定地の現場確認までおこなって査定をする方法です。訪問査定は簡易査定よりも正確な査定額が算出できます。
不動産売却するときには、正確な査定額の算出が必要となるため、不動産売却をすぐおこなうときには訪問査定を受ける必要があります。不動産売却は査定額を基に売り出し価格を決定します。
しかし、ここで間違った査定額を基に売り出し価格を決定してしまうと、相場からかけ離れた売り出し価格になりかねません。
不動産には相場があり、相場からかけ離れるとなかなか売却できないなどのリスクが発生するため注意しましょう。

売却方法が相談できる

不動産会社に「方法」の相談をすると「仲介」か「買取」のどちらの方法で売却したほうがよいのか教えてくれます。
不動産の売却方法は大きく分けて2つの方法があります。2つの方法とは、仲介と買取です。

「仲介」とは、チラシやインターネットなどの広告を利用し、一般個人の買い手を探す売却方法です。一般個人は自分の住まいを探しているケースが多く、相場で不動産購入をしてくれるケースが多くあります。
そのため、仲介で売却したほうが高値で売却できます。ただし、仲介を利用し高く売却できるのは、買い手の需要が高い地域です。仲介は一般個人をチラシやインターネット広告などで幅広く募ります。
しかし、買い手の需要がない地域ではいくら広告をおこなったとしても、買い手は見つかりません。そのため、買い手が少ない地域の不動産を売却するときには、買取を利用したほうがよいケースもあります。

また、「買取」とは不動産会社が買主となり、直接不動産を購入するという売却方法です。不動産会社は不動産を買い取りして、リフォームなどを施工し商品化します。商品化した後は、一般個人に向けて再販売したり自社で運用したりします。
買い取りは買い手の需要などは関係ないため、買い取って利益が出ると不動産会社が判断すれば買取可能です。ただし、買い取りは商品化するコストがかかるため、買取金額は不動産相場より安くなります。
そのため、買い取りを利用するのは買い手の需要が少ない地域の不動産を売却するとき、早く不動産を現金化するときなどにするとよいでしょう。

仲介と買取の違いをまとめると次の表の内容になります。

仲介 買取
買主 主に個人 不動産買取会社
売却手続期間 買主を探すのに時間がかかる場合も多い 仲介に比べ売却手続き期間は短い
売却価格 相場価格で売却できる可能性がある 相場より売却価格が低くなることもある

なお、仲介で売却するときには不動産会社と媒介契約を締結しなければいけません。

媒介契約とは、不動産の買い手を見つけるように不動産会社へ依頼する契約です。媒介契約には3種類の契約方式があります。

媒介契約の3種類の契約方式は、次のとおりです。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約(明示型・非明示型)

それぞれの契約方式には特徴があるため、内容の違いを理解しておく必要があります。

媒介契約の具体的な違いは、次の表のとおりです。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
依頼可能な会社数 1社のみ 1社のみ 複数社
依頼主への報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 なし
レインズへの登録義務 5営業日以内
(媒介契約締結から)
7営業日以内
(媒介契約締結から)
なし
自己発見取引 不可

※レインズとは、国土交通大臣が指定する組織が運営する不動産売買情報ネットワークです。レインズは不動産会社のみが閲覧できます。
※自己発見取引とは、売主が自分で見つけた買主であれば不動産会社を仲介させることなく売買契約ができる取引です。

専属専任媒介契約は、不動産会社1社にしか売却活動の依頼ができず、自己発見取引も認められていません。依頼した不動産会社1社で売り切ってもらう必要があるため、不動産会社に対する責務が重い契約になっています。

専任媒介契約は、不動産会社1社にしか売却活動の依頼はできませんが、自己発見取引が認められています。そのため、専属専任媒介契約よりも不動産会社に対しての責務が軽くなっています。

一般媒介契約は、不動産会社何社に対しても不動産売却依頼が可能で自己発見取引も認められているため、不動産会社の責務はほぼありません。

このような違いがあるため

  • 信頼できる不動産会社が見つかったときには専属専任媒介契約
  • 信頼できる不動産会社が見つかったが自己発見取引する可能性もある場合は専任媒介契約
  • 知り合いの不動産会社に依頼しないといけないなど複数の不動産会社に依頼するときには一般媒介契約

を締結するとよいでしょう。

不動産売却で「税金」に関する相談は税理士へ

不動産売却で「税金」に関することは、税理士に相談しましょう。不動産に関する税金は不動産会社に聞きがちですが、税金は内容がよく変わるため、税理士に相談したほうがよいでしょう。

また、そもそもの話になりますが、税金の具体的な内容や計算方法を税理士以外が教えた場合、無料で教えたとしても税理士法違反になる可能性があります。
そのため、税金について具体的な相談をするときには、必ず税理士に相談しましょう。なお、不動産関連の税金に関して税理士に相談するとよい理由は、次のとおりです。

  • 確定申告や税金に関して相談できる
  • 正確に回答してもらえる

本章では、不動産売却時に税金について税理士に相談するメリットについて解説します。

確定申告や税金に関して相談できる

税理士には確定申告や税金に関して相談できます。

不動産売却をしたときに譲渡所得が発生した場合、不動産を売却した年の翌年に必ず確定申告しなければいけません。
しかし、不動産売却をして譲渡所得が発生したかどうかは、一般個人ではわかりません。そのため、税理士に譲渡所得が発生するかどうか、確定申告をしなければいけないのか、申告するときにはどうやって申告したらいいのかなどを確認できます。

不動産売却時に課税される譲渡所得税(住民税・復興特別所得税含む)は、売却する不動産によっては数百万もの税金が課税されるケースもあります。
譲渡所得税は不動産会社でも計算できますが、売却する不動産が建物付きの不動産の場合は税理士に相談したほうがよいかもしれません。

建物を売却したときには、建物の減価償却まで計算する必要があります。減価償却とは、建物の築年数が経過するごとに建物の価値が下落していくため、下落した価値を差し引く会計上の処理です。
この減価償却の計算が複雑なため、建物があるときの不動産売却のときには税理士に相談することをおすすめします。

また、不動産売却するときには、さまざまな税金が課税されます。そして、課税される税金について正しい知識を得るのは困難です。
正しい知識を持っていなければ、税金の減税措置や特例を利用できなくなる恐れもあるため、税金については税理士に相談してアドバイスを受けましょう。

正確に回答してもらえる

税理士に相談すれば、税金について正確な回答を得られます。

税金は、毎年改正されるなど内容がよく変更されるため、実は不動産会社の担当者はあまり税金について正確な知識を持っていません。しかし、税理士は税金のプロであり、改正内容なども熟知しています。
税金の申請や納税でミスがあると、追徴課税されるなど取り返しがつかない事態に発展する可能性があるため注意しましょう。

税理士に相談するのはハードルが高く、抵抗を感じる人もいるかもしれません。
しかし、気軽に相談できる税理士事務所も多くあるため、ホームページなどで気軽に相談できる税理士事務所を見つけておきましょう。

不動産売却で「法律」に関する相談は弁護士へ

不動産売却で「法律」に関することは弁護士に相談しましょう。

不動産にはさまざまな法律が関係してきます。不動産と密接に関連する法律であれば、不動産会社の担当者でも回答してくれるでしょう。
しかし、かなりの法律知識が必要なものや、多少不動産と関連する程度の法律の場合、不動産会社よりも弁護士に相談したほうが適切なアドバイスをもらえます。
特に裁判関連については、弁護士(一部訴訟は司法書士も可)の専門分野のため、必ず弁護士に相談するようにしましょう。

本章では、不動産売却時に法律について弁護士に相談するメリットについて解説します。

遺産分割などの相談ができる

相続など遺産分割に困ったときには、弁護士に相談すれば適切なアドバイスを受けられます。

遺産分割とは、法定相続人同士が話し合いをし、どのように遺産を分けるのか決めることです。遺産分割が終わったら、法定相続人全員で遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書が整っていれば不動産売却活動開始でき、相続登記も可能となります。

しかし、遺産分割は遺書がない状態で進められる手続きのため、法定相続人同士の話し合いがうまく進まないケースがあるのも事実です。遺産の話し合いが一旦こじれてしまうと、遺産分割するのは困難となってしまいます。
そのため、トラブルになる前に遺産分割の協議が始まったところで、弁護士に依頼して遺産分割の話し合いをとりまとめてもらうわけです。

不動産を売却するには遺産分割協議書の作成が条件となるため、遺産分割で揉めそうな状況であれば、すぐにでも弁護士に遺産分割手続きの代行を依頼したほうがよいでしょう。
あらかじめ弁護士に登記まで依頼しておけば、遺産分割協議のとりまとめや遺産分割協議書の作成、相続登記まで行ってくれます。

裁判についても依頼できる

不動産に関するトラブルが起きると、なかなか話し合いで解決できず、訴訟になるケースも多くあります。訴訟になってから弁護士に依頼してもよいのですが、早期解決のためにはトラブル発生時から訴訟対策をしたほうが有利になります。
トラブル発生時点で弁護士に相談していれば、トラブルの経緯などを弁護士が把握したまま訴訟に対応できるからです。

ただし、弁護士に相談していても訴訟となった場合には、別途訴訟に関する費用が必要になることには注意しなければいけません。
もともと弁護士費用は相談料だけでも高額になりがちであり、相談料に加えて訴訟費用が必要となると用意しなければいけない金額もかなりの額になります。
もしトラブル解決を訴訟で解決するつもりであれば、あらかじめ弁護士に訴訟費用の見積もりを提出してもらうとよいでしょう。

「借金返済」に関係する不動産売却の相談は司法書士へ

不動産売却で「借金返済」に関することは司法書士に相談しましょう。借金返済にはさまざまな方法があります。そして、その借金返済のプロが司法書士です。

多額の借金返済については弁護士の取り扱い領域になります。しかし、借入先1つにつき、元金140万円までであれば司法書士でも対応可能です。
司法書士は弁護士に比べ相談料が安い傾向にあり、まさに借金返済の相談先としてあっています。

借金返済には様々な手法がある

司法書士はさまざまな借金返済方法に対応できます。そのため、司法書士に相談すれば不動産を売却せずとも借金返済・借金減額できる場合もあります。

司法書士に相談できる借金返済方法は次のとおりです。

  • 任意整理
  • 個人民事再生
  • 特定調停
  • 自己破産

「任意整理」とは、法律家が消費者金融などの貸金業者と交渉し、利息をカットしたり返済期間を3~5年で返済していく許可を取得して返済額を圧縮する方法です。返済可能な金額を設定するため、任意整理をすると返済がかなり楽になります。

「個人民事再生」とは、返済できなくなった借入金を裁判所手続きによって減額し、原則3年間で返済できる金額を返済していく手続きです。
司法書士は裁判所での手続きの代行ができないため、個人民事再生を実際に行うときには弁護士に依頼するほうがよいでしょう。
裁判所の手続きを一般個人が行うのはハードルが高く、申請方法を間違えると個人民事再生手続きができなくなります。相談だけであれば司法書士でも構いません。

「特定調停」とは、借入返済できなく恐れがあるときに、裁判所の調停を利用し貸主と借主で返済できる方法について話し合い解決する手続きです。
特定調停も裁判所を介して利用する方法のため、相談は司法書士でも構いませんが、実際に特定調整を依頼するときには、弁護士に依頼しましょう。

「自己破産」とは、財産や収入などが不足し借金を返済できないとき、裁判所の許可をもって債務を免除してもらう手続きです。もし自己破産手続きを取る場合は、最初から弁護士に相談したほうがよいかもしれません。
自己破産手続きを自己で行うことは困難であり、なおかつ破産が管財事件になってしまった場合、裁判所に預ける予納金が司法書士に依頼していると大幅に上がってしまうケースもあります。
たとえば、東京地方裁判所の予納金は、弁護士に依頼すれば20万円で済みますが、司法書士に依頼すると予納金は原則50万円になってしまいます。
依頼料は司法書士のほうが安くても、予納金の額の違いで総額予算が逆転してしまうケースもあるため注意しましょう。

なお、管財事件とは自己破産するにあたって処分しなければいけない財産があるときに、破産管財人を選出して財産の売却をし、財産を債権者に分配する手続きです。

比較的相談費用が安い

司法書士の相談料は、弁護士よりも安い傾向にあり、借金返済についても気軽に相談可能です。司法書士は借金返済のプロであるため、現状を把握したうえで、適切な対応・アドバイスを行ってくれます。

ただし、司法書士は高額の借金返済手続きができないことには注意する必要があります。借入先1件に対して元金140万円までしか取り扱えません。
また、裁判所を介して行う裁判手続を代行できないデメリットもあります。そのため、借金返済の内容によっては弁護士に依頼したほうがよいケースもあります。

司法書士への相談料は安い傾向にあるものの、手続き料金や実費は弁護士とあまり変わらないケースもあるため注意しなければいけません。
つまり、少額の借金返済なら司法書士、多額の借金返済なら弁護士と使い分けをするのがよいでしょう。

不動産売却に関する「境界」の相談は土地家屋調査士へ

不動産売却で「境界」に関することは土地家屋調査士に相談しましょう。

土地や一戸建てを売却するときには原則、土地の境界確定と境界標設置をしなければいけません。境界確定・境界標設置は、有資格者である土地家屋調査士と測量士がおこなう必要があります。
ただし、土地家屋調査士は境界を「測る」プロであり「紛争」を解決するプロではありません。そのため、境界についての紛争を解決するときには、土地家屋調査士ではなく弁護士に相談しましょう。

境界を確定させるときは土地家屋調査士に相談

境界を確定させるときには、土地家屋調査士に相談しましょう。

境界を確定させるとは、隣地との境はどこか測量をし、道路などの行政や隣の私有地所有者から境界は測量したラインであっていますと承諾してもらうことです。つまり、測量+隣地の承諾が境界の確定です。
境界の確定をするには測量に加え、役所への申請・確認までおこなわなければいけません。この作業は、土地家屋調査士と測量士がおこないます。

また、土地もしくは一戸建てを売却するときには、土地の境界確定が原則必要となります。境界の確定をしておかないと土地の面積が確定できず、売買金額も確定しないからです。
土地や一戸建ての売却活動前に境界確定ができればベストですが、もし金銭的な面で境界確定できない場合、売買契約締結後におこなっても構いません。
ただし、売買契約締結後に境界の測量をおこなうと、不動産の現金化まで時間がかかってしまうため注意しなければいけません。すぐに現金化できない理由は後述しますが、境界の確定には2ヶ月以上かかってしまいます。

もし境界の確定をせずすぐに不動産を現金化したい場合は、境界の確定不要で購入してくれる不動産買取業者に買い取りを依頼するとよいでしょう。

早期に土地・不動産売却できる

早めに境界の確定をしておけば、早期売却につながるため、急いで不動産売却したいときにはあらかじめ境界確定をしておきましょう。

土地や一戸建てを売却するときには、境界確定をしておかなければいけません。
しかし、境界確定には時間がかかり、測量に1週間、役所への申請と承認に2ヶ月以上かかります。そのため、売買契約締結後に境界確定を開始すると、2ヶ月以上は引き渡し=不動産現金化できません。役所への申請は年末年始や申請が重なると、4ヶ月以上かかるケースもあります。

不動産売却活動前に境界確定ができるのであれば、不動産売却前に土地家屋調査士に相談して境界確定を開始しましょう。

不動産売却に関する「関連会社間取引」の相談は不動産鑑定士へ

不動産売却で「関連会社間取引」に関することは不動産鑑定士に相談しましょう。

関連会社間取引とは、その名のとおり関係会社同士で不動産売買をすることです。関連会社同士で不動産売買をする場合、お互いの会社で売却金額を談合して決定してしまうケースが後を絶ちません。
談合する主な理由は税金逃れです。関連会社取引では税金逃れが発生しやすいため、税務署は関連会社取引があったときに、税金逃れをしていないか確認します。

そこで有用なのが不動産鑑定士のおこなう「不動産鑑定」です。不動産鑑定をした書類があると、税務署の調査に対して相場で売却したことが証明できます。
そのため、関連会社取引をするときには、不動産鑑定士に相談することをおすすめします。

当事者間で不動産取引を行うなら鑑定評価が必要

当事者間の不動産取引は、関連会社取引以外にも親子での不動産取引が該当します。

親子での不動産取引は関連会社取引以上に親子の話し合いで金額を決定してしまうことが多く、相場から大きくかけ離れた低い金額で売買すると贈与税の課税対象になってしまいます。贈与税が課税されても納税をすれば問題ありません。

しかし、贈与税を申告せずに安い金額で売買をしてしまうと脱税に該当してしまいます。脱税をすると無申告税・延滞税などの対象となり、悪質な場合は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金と非常に重い罪に問われます。
このような違法行為をおこなうことがないよう、不動産鑑定士による不動産鑑定をおこなって鑑定通りの金額で不動産売買をおこないましょう。

不動産鑑定士の不動産鑑定は、不動産の経済的な価値を判定して価値を算出しているため、国などが公表するデータにも不動産鑑定が用いられます。
それほど不動産鑑定は不動産価値を適切に算出できるため、税務署などの調査でも鑑定額どおりに売買していれば問題になりません。

適正価格であると立証できる

不動産鑑定士の不動産鑑定は、不動産の価値を正確に算定します。

不動産鑑定が正確なのには理由があり、不動産鑑定をするときには3つの不動産価値算出法を利用して計算するからです。

不動産鑑定で利用する価値算出方法は、次のとおりです。

  • 取引事例比較法
  • 収益還元法
  • 原価法

【取引事例比較法】

不動産鑑定をする不動産の近隣の取引事例を基にし、不動産市場の動きなどを加味して鑑定する方法です。

【収益還元法】

不動産鑑定をする不動産が生み出す収益を算出し、現在の価値と比較し鑑定する方法です。

【原価法】

不動産鑑定する不動産を再度建築した場合の金額を算出し、築年数による価値減少を加味して鑑定する方法です。

不動産鑑定をおこなうときには、これらの鑑定を組み合わせながら不動産価値を算出します。そのため、算出される金額はかなり正確です。
不動産売買をするときには正確な価値を把握して売却金額を決めるため、不動産鑑定をしておけばスムーズな不動産売買が可能となります。

まとめ

不動産売却時にはさまざまな問題が起きます。問題が起きたときには基本的に不動産会社に連絡し解決します。
しかし、問題によっては不動産会社では解決できないときもあるため、問題の内容によっては専門家に相談しましょう。

なお、不動産売却時の相談先は、次のとおりです。

  • 不動産会社:「価格」や「方法」
  • 税理士:「税金」
  • 弁護士:「法律」
  • 司法書士:「借金返済」
  • 土地家屋調査士:「境界」
  • 不動産鑑定士:「関連会社間取引」

これらの専門家の専門分野を理解しておけば、不動産売却時に問題があったとしてもすぐに相談先がわかり、問題も解決できることでしょう。
問題があったときには、すぐ各専門家に相談するようにしましょう。大きな問題になる前に相談しておけば、問題が早期解決しスムーズな不動産売買をおこなえます。

不動産売却は人生で一度あるかどうかの大きなイベントのため、トラブルが起きないよう相談先を把握し、満足いく売却を進めていきましょう。