築20年一戸建ての売却相場|築年数別の相場や高く売るポイントなども解説

築20年一戸建ての売却相場|築年数別の相場や高く売るポイントなども解説

「築20年の家だけど売れるだろうか?」そんな疑問を感じている人もいるでしょう。一戸建ては、築年数が経過すると資産価値が減少し、築20年を超えると資産価値がほぼなくなるといわれています。

しかし、築20年の一戸建であっても条件によってはスムーズな売却も可能です。この記事では、築20年の一戸建て売却相場や売却のポイント、少しでも高値で売却するコツについて詳しく解説します。

築20年一戸建ての売却相場

築20年一戸建てといっても、地域や面積など条件によって売却額は大きく異なります。しかし、建物は築年数の経過に伴い資産価値が減少するという点は、知っておく必要があります。

一般的に、木造住宅は築10年を超えると新築時の50%まで下落し、築20年を超える頃には建物の価値はほぼゼロになるといわれています。

国道交通省の「中古住宅流通・リフォーム市場の現状」の中古戸建住宅の価値グラフでは、築20年を超えた木造住宅の資産価値は新築時の15%ほどとなっています。

中古戸建住宅の価格査定の例

これは、木造住宅の耐用年数が22年であることが関係しています。築22年を超えると資産価値がないと判断されるため、築20年の一戸建ての資産価値もほぼゼロとなるのです。

そのため、築20年の一戸建てを売却する場合、土地の価格での売却となるケースが多いでしょう。

築年数別の戸建て売却相場

築年数によってどのように売却額が変わるのか、みていきましょう。レインズの2022年首都圏中古戸建住宅の売却額は次の通りです。

~築5年 ~築10年 ~築15年 ~築20年 ~築25年 ~築30年 築30年超
価格(万円) 4,700 4,448 4,325 4,033 3,931 3,227 2,319
下落率(築5年を基準) 0% 5.4% 8.0% 14.2% 16.4% 31.3% 50.7%
土地面積(㎡) 112.4 116.1 130.7 137.8 137.6 151.7 169.4
建物面積(㎡) 95.5 97.5 102.6 106.5 111.3 114.2 100.3

参考:REINS TOPICS

首都圏の場合、築20年の中古戸建の売却相場は約4,000万円です。これは、築11〜15年とそれほど大差ない価格といえます。

しかし、築年数ごとに徐々に売却額は落ちていき、築30年を超えると築5年の半分ほどの価格になってしまいます。

築20年を超えると売却額が大きく減少していく可能性があるので、築20年の戸建てであれば早めに売却を検討することが大事だといえるでしょう。

築20年の一戸建てでも需要はある

築20年の戸建ともなると、建物もだいぶ古くなるので、売れないのではと考えている人も多いでしょう。しかし、築20年の戸建ての需要は、築浅の戸建ての需要と大きく変わるものではなく、売れないわけではありません。

レインズによる2022年中古戸建の築年数ごとの登録数に対する成約率では、築16〜20年の成約率が37.1%に対し、築11〜15年では37.2%とほとんど変わりません。

さらに、築5年以下の築浅物件の成約率28.8%と比較すると、築16〜20年の方が成約率は高いという結果も出ているのです。

築20年であっても大きく成約率が下がることはなく、一定の需要が見込めるといえるでしょう。

対新規登録成約率(%)

中古戸建住宅の対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数)

参考:REINS TOPICS

築20年の戸建てでも需要が大きく下がらない理由に、価格の安い物件を購入してリフォーム・リノベーションする買い手が多くいるという点が挙げられます。

首都圏で、新築や築浅の注文住宅を購入するとなると、かなりの資金が必要になり、断念する人も少なくないでしょう。その点、築20年であれば建物の価格が大きく落ちるため、資金のハードルが下がります。

購入後にリフォーム・リノベーションすれば、築浅と変わらない状態かつ自分の好みの家にすることも可能です。建物の購入費を抑えられるので、リフォーム・リノベーションに費用をかけても築浅の物件よりも購入費用を抑えられる可能性も高いでしょう。

このように最初からリフォーム・リノベーションすることを前提としている買主であれば、築年数の古さがネックになることはありません。むしろ、価格の安さを優先して購入される可能性があるので、築20年の家でも問題なく売却できるのです。

築20年の一戸建ての売却を実現するためのポイント

築20年の一戸建ては売却できる可能性はありますが、築浅の物件に比べれば売却しにくいのも事実です。ここでは、築20年の一戸建て売却のポイントとして、次の5つを解説します。

【築20年の一戸建ての売却を実現するためのポイント】

  • すぐに売却しようとせずに長期的な計画で売却を進める
  • リフォーム・リノベーションをする
  • リフォーム・リノベーションをあえてしない
  • 不動産会社に直接買い取ってもらう
  • 専任媒介契約・専属専任媒介契約で契約する

すぐに売却しようとせずに長期的な計画で売却を進める

家を売却する場合、一般的には3か月から半年ほどの期間がかかります。しかし、築20年の戸建てとなると、それ以上の期間がかかる可能性があります。

短期間での売却を目指すのではなく、長期的な計画を最初から立てておきましょう。短期での売却を目指そうとすると、値下げなどが必要になります。それでも売れないと、焦りから損な条件になることや、買い手に足元を見られて値下げ交渉を持ちかけられやすくなります。

売り急いで損失を出さないように、余裕を持ったスケジュールで売却に臨めるようにしましょう。

リフォーム・リノベーションをする

築20年の家であってもリフォーム・リノベーションすることで、新築と変わらない状態にすることも可能です。築20年ともなると、劣化が目立つだけでなく、生活に支障が出る欠陥が発生している可能性もあります。特に、雨漏りや水漏れなどは、買い手の印象を下げやすいのでリフォームしておくことをおすすめします。

築20年一戸建てをリフォームする場合の相場

築20年の一戸建てでリフォームする場合、リフォーム規模にもよりますが100〜500万円ほどが目安です。築20年を超えると、ほどんとの設備は交換が必要になります。

また、配管の劣化など目に見えない部分でトラブルを起こしている可能性もあり、その場合は大規模なリフォームが必要です。簡単な設備の交換であれば100万円前後でリフォームできますが、構造から大きく変えるようなリフォームでは費用も高額になるので注意しましょう。

リフォーム・リノベーションをあえてしない

リフォーム・リノベーションは、必ずしも必要ではありません。特に、築年数の古い家の購入を検討している人は、購入後にリフォームすることを前提に価格の安い物件を求めているケースも少なくないのです。

リフォームした分を上乗せして売り出してしまうと、安い物件を求めている人から避けられやすくなります。また、見た目をきれいにしたといっても、買い手の好みのデザインや色でなければ意味がありません。リフォームしたことで買い手が限定され、なかなか買い手が付かないことで値下げせざるを得なくなると、リフォームしただけ損失が出かねないのです。

このように、リフォームにお金をかけたからといって必ず売れるわけではありません。まずは、リフォームせずに売り出して、売れない場合に不動産会社に相談しながらリフォームを検討するとよいでしょう。

ただし、先述したように水漏れなどデザインなどに関わらず生活に支障が出る部分については、リフォームしたほうが買い手の印象を上げやすくなります。リフォームしたほうがいいか判断に悩む場合も、自分で決めるのではなく、不動産会社に相談することをおすすめします。

不動産会社に直接買い取ってもらう

不動産を売却する方法には、大きく次の2種類があります。

  • 仲介
  • 買取

一般的な売却方法が、不動産会社に仲介してもらい、買主を見つけてもらう仲介です。一方、買取とは不動産会社が買主となって直接不動産を買い取る方法のことをいいます。

仲介の場合、築年数が古いなど条件の悪い物件では、なかなか売却しにくくなります。買取であれば、仲介では売りにくい物件でも買い取ってもらえる可能性があります。

ただし、買取は仲介より売却額が低くなり、一般的に仲介の7〜8割ほどといわれています。

とはいえ、買取であれば、不動産会社に直接買い取ってもらえるので短期間で売却が可能です。仲介ではないため、仲介手数料は発生せず、不動産会社は買取後にリフォームするので事前のリフォームも不要と、コストを抑えた売却ができます。

値段が下がってもすぐに売却したい、仲介で挑戦したけど売れないという場合は、買取を視野に入れるとよいでしょう。買取について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事:不動産の買取には2種類ある!仲介との比較や買取の流れについて解説

専任媒介契約・専属専任媒介契約で契約する

仲介で売却する場合、不動産会社と結ぶ媒介契約には次の3種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

それぞれの違いを一覧で確認しましょう。

契約できる不動産会社 レインズへの登録義務 営業報告義務 自己発見取引 契約期間
一般媒介契約 複数可能 なし なし 可能 定めなし
専任媒介契約 1社のみ 契約から7日以内 2週間に1回以上 可能 最長3ヶ月
専属専任媒介契約 1社のみ 契約から5日以内 1週間に1回以上 不可 最長3ヶ月

一般媒介契約では、複数の不動産会社と契約できるというメリットがあります。しかし、複数の会社と契約されると不動産会社は仲介手数料を得られる可能性が下がることから、営業活動への優先度も下がりやすくなるのです。

特に、築20年を超える物件は長期的な営業が必要になり、その分広告費や人件費もかさみます。そのうえで、仲介手数料を得られないとなると、不動産会社にとってはタダ働きしただけになってしまうので、より避けられやすいのです。

また、レインズへの登録義務もないため不動産会社のネットワークに自分の家の情報を掲載してもらえないというデメリットもあります。

一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、仲介手数料を得られる可能性が高いので、不動産会社も熱心に営業してくれやすいのです。

築20年の一戸建てを少しでも高く売るコツ

売却が難しいとはいえ、売る以上は少しでも高値で売却したいものです。築20年の一戸建てでも、コツを押さえれば高値で売却できる可能性があります。

少しでも高値で売却したいなら、以下のコツを押さえておくとよいでしょう。

【築20年の一戸建てを少しでも高く売るコツ】

  • 事前に相場をチェックしておく
  • ホームインスペクション(住宅診断)を実施
  • 中古戸建ての売却が得意な不動産会社に依頼する
  • 土地の価格が上がりそうなら様子を見てみる
  • 不動産査定を複数社に依頼してみる

事前に相場をチェックしておく

売り出し価格は、基本的に売主が決めます。しかし、相場からかけ離れた高い価格では、売却が難しくなります。なかなか売れないことで、値下げが必要になることもあるでしょう。

反対に、相場よりも安すぎると売れやすくなりますが、売っても損失が出てしまう恐れがあります。値決めをする際には、相場を把握して適正価格をつける必要があります。

また、査定時に不動産会社の提示する価格が妥当なのかの判断も、相場を把握しておかないとわからないでしょう。相場をチェックするには、次のような方法があります。

  • 過去の類似物件の取引価格をチェックする
  • 売り出し中の不動産価格をチェックする
  • 公示価格をチェックする

同じエリアの類似物件の売却価格を調べることで、自分の家の価格の参考にできます。過去の不動産取引は、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や不動産流通機構の「レインズ・マーケット・インフォメーション」で検索できるので、調べてみるとよいでしょう。

不動産ポータルサイトで掲載されている、類似物件の売り出し価格を調べるのもおすすめです。築20年の家になると売却額の多くが土地の価格になってくるので、公示地価などで土地の価格を押さえておくのも大切です。

ホームインスペクション(住宅診断)を実施

ホームインスペクション(住宅診断)とは、プロの住宅の状態を診断してもらうサービスです。住宅診断士が第三者の立場で、住宅の不具合などを細かく検査してくれます。

築20年の家の場合、雨漏りや屋根の欠損・床下のカビなど目に見えない不具合も多く、生活に支障が出る恐れがあります。また、そのことを不安に思う買い手も多いでしょう。

ホームインスペクションを受けることで、目に見えない住宅の状態も可視化できます。住むうえで問題ない家と証明できるので、買い手も安心して購入を決めやすくなるでしょう。

中古戸建ての売却が得意な不動産会社に依頼する

不動産会社によって、得意分野は異なります。中古戸建を売却するなら、中古戸建に強い不動産会社を探すことが大切です。

特に、築年数の古い家は買い手が限られるので、買い手の見つけ方や買い手に合わせた営業戦略などが必要になってきます。中古戸建の実績がある不動産会社なら、その辺のノウハウもしっかりあります。

反対に、中古戸建の実績がない不動産会社では、的外れな営業をとらえてなかなか売れない可能性もあるでしょう。

不動産会社を選ぶ際には、実績や取扱不動産なども確認して自分の物件にあっているかもチェックすることが大切です。

土地の価格が上がりそうなら様子を見てみる

築20年の物件は、建物の価格はほぼつかないため、土地の価格が売却額の大半を占めます。土地の価格は経年劣化で落ちることはありませんが、需要などで上下するものです。今後土地価格が上がるようなら、売却額アップも期待できるので、上がるのを待つのも一つの手といえるでしょう。次のようなケースでは、土地の価格が上がる可能性があります。

  • 周辺に大型商業施設や学校などが建設される
  • エリアの人口増加
  • 経済に大きな影響の出るイベントがある(オリンピックや万博・新幹線開通など)
  • 好景気

好景気や世界的なイベントが開催される場合、土地価格にも影響が出ることがあります。また、エリアの人口増加や周辺の環境変化によって土地価格が上がることもあるのです。売却を検討しているなら、周辺の開発予定などの動向はチェックしておくようにしましょう。

ただし、土地価格の上昇を正確に予測することは難しいものです。土地価格の上昇を待って売却を控えていると、その間にも築年数は経過していく点にも注意が必要です。

不動産査定を複数社に依頼してみる

売却を決めたら、最初に不動産査定を受けます。このとき、査定を依頼する不動産会社はできるだけ複数にすることをおすすめします。

不動産査定は、売却の成功を左右する大きなポイントです。最初から1社に絞って依頼していると、査定額の妥当性の判断もつかないでしょう。たまたまその会社が安い査定額だった場合、安値で売却を進めることになってしまいます。

反対に、高値であっても相場よりも高い価格では売れ残ってしまう恐れもあります。複数の不動産会社に依頼することで、査定額の比較ができるのです。

このとき、査定額だけでなく不動産会社の対応や実績、担当者との相性も一緒にチェックすると、信頼できる不動産会社に出会いやすくなります。

とはいえ、複数の会社に査定依頼するには時間も手間もかかります。一括査定を利用すれば、効率よく不動産会社の比較ができるのでおすすめです。

一括査定や不動産会社の選び方について、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:不動産売却に利用できる一括査定とは?メリットについて解説!

関連記事:不動産売却の基礎知識をプロが解説!知らなきゃ損する売却時の心構えと不動産会社の選び方

まとめ

築20年一戸建ての売却相場や売却のポイント、高値で売るコツについてお伝えしました。築20年の一戸建ては、建物の価値がほぼないため土地の価格での売却になります。

築年数が古いことで売りにくい物件ではありますが、ホームインスペクションや不動産会社選びなどのコツを抑えれば、スムーズかつ少しでも高値での売却も期待できます。

築20年一戸建ての売却を検討しているなら、この記事を参考に満足いく売却ができるようにしてください。