家の査定とは、建物と土地の価格を算出することです。家が売却されるときは土地とセットになることが基本なので、「家の査定価格=土地の価格+家の価格」となります。
また、家の査定は無料と有料の2種類があり、家の売却のための査定は無料が一般的です。有料査定を利用するときは特別な理由があるときに限られます。依頼した会社から査定が有料と言われた場合は、その理由を確認しておく必要があるでしょう。
家の査定が無料の理由は、査定をおこなう不動産会社は自社で不動産を売却してもらいたいという思惑があるからです。
不動産会社の大きな収入源は、不動産売買における仲介手数料で、売主と媒介契約を結んで売買のサポートをすることにより仲介手数料を得られます。そのチャンスを掴むために査定を無料でおこなっているのです。
不動産会社には仲介手数料を得るという明確な目的があるため、家の査定が無料と言われても心配は要りません。
不動産の無料査定と有料査定の違いはその目的です。無料査定は家を売却する際のおおよその価格を算出しますが、有料査定は相続や贈与などの際の不動産の評価額(正確な価値)を算出します。
そのため、有料査定は不動産鑑定士といった有資格者が行い、査定結果は裁判でも利用できます。
有料査定では有資格者に数十万円の報酬を支払うことになるため、少しでも高く売却することを目的としている不動産売買においては有料査定が用いられることはないでしょう。
自分の所有している家を無料査定したいなら、以下の方法がおすすめです。
【無料査定方法】
どの方法も手軽に家の査定価格を知ることができます。4つの査定方法について詳しく紹介するのでチェックしてください。
不動産一括査定サイトを利用すれば、一度に複数の不動産会社に査定依頼ができます。個別に依頼する必要がないため、時間と手間を省けるのがメリットです。また、ネット上で査定ができるので気軽に利用できます。
しかし、悪徳な不動産会社が混在する一括サイトで個人情報を入力してしまうと、悪用されることもあります。不動産一括サイトを利用する際は、登録されている不動産会社の信頼性に注目しましょう。
AI査定とは、人工知能を利用した査定方法のことです。指定された情報を入力することでAIが自動で家の査定をおこないます。査定結果が出るまでの時間が短いことがメリットです。
しかし、読み込まれているデータだけを参考に査定がおこなわれるため、一戸建てといった個体差の大きい物件においては正確な結果を得ることは難しいでしょう。
また、新しいデータをAIが読み込んでいなければ、最新の査定価格を知ることはできません。
不動産の査定は、専用のアプリでもおこなうことができます。査定アプリは不動産会社が運営している場合が多く、アプリによって査定方法や情報量が異なるのが特徴です。
結果がすぐに分かるタイプの査定アプリでは、AIを利用した査定がおこなわれます。AIが瞬時に結果を出してくれるので、1分以内に査定額を出すことも可能です。そのほか、アプリから申請を出すことで提携する不動産会社が査定をおこなってくれるものもあります。
スマホを利用して査定を依頼したいなら、ネットページよりもアプリの方が使いやすくて便利です。
不動産の売却を悩んでいる人の中には、氏名や電話番号などを入力することに抵抗がある人も多いでしょう。また、悪徳な業者に個人情報を知られてしまうかもしれないと、不安を覚える人もいると思います。
匿名査定では、個人情報を入力することなく査定価格の算出が可能です。地域や築年数のみの入力で結果が出るので、悪用される心配がありません。
ただし、匿名査定は実際に物件を見るわけではないため、正式な査定価格を出すことはできません。匿名査定でおおよその査定価格を把握したうえで、個別査定や訪問査定を依頼するのがおすすめです。
家の査定では、複数のポイントをチェックしていくことで金額が決まります。項目ごとに基準があり、それによって査定価格を決定するのが基本です。査定額に大きく影響する評価ポイントは以下の4つです。
【査定額に影響するポイント】
上記のポイントで高い評価が得られれば、査定価格は高くなります。
反対に、評価が低ければ査定価格も下がってしまうでしょう。
それぞれの条件について詳しく紹介するので、家の査定をする前に確認してください。
築年数が古くなるにつれて不動産の価値は下がります。
建物には耐用年数が定められており、木造住宅では22年、鉄筋コンクリート住宅では47年です。
耐用年数を超えた瞬間から急に住めなくなるわけではありませんが、維持費の負担が大きく印象が良くありません。
そのため、不動産の売却を考えているならできるだけ築年数が浅いうちに手放すのがおすすめです。
一般的に、日当たりや風通しが良いほど査定額は高くなります。
また、方角は南向きが最も良いとされており、南東西北の順番で査定価格は下がります。
二方向に面している場合は、南東が最も評価が高くなるのでチェックしておきましょう。
家の手入れをこまめに行い大切にしていれば、維持管理状態が良いと評価され、査定額は上がります。
特に、築年数が経過すればするほど、維持管理状態による差は大きくなるでしょう。
キッチン・トイレ・お風呂などの水回りの状態は、築年数によって状態が悪くなる項目のため細かくチェックされます。
また、築年数が古いとシロアリ被害のリスクも考慮しなければなりません。
水回りの欠陥の修繕やシロアリ対策をおこなっている場合は、築年数が古くても査定額が高くなることがあるので、不動産会社に隠さず伝えるようにしてください。
駅やバス停が近くにあると、交通の便が良いとされて不動産価値が高くなります。
スーパーや学校などが近くにある場合も、生活がしやすい場所ということで高い評価が得られるでしょう。
ただし、線路のすぐ近くなど騒音が聴こえる可能性が高い場所では、駅が近くても査定額が低くなる傾向があります。また、立地によって景観も異なるので、「利便性が悪い場所=立地が悪い」と言い切ることはできません。
家の査定は、あらかじめ準備しておくことでスムーズに進めることができます。素早く売却するためにも事前準備は大切です。
ここでは、家の査定前に準備することを紹介します。準備しておくことを知っておけば、初めての不動産査定でも迷うことなく行動できるでしょう。
【家の査定前に準備すること】
家の購入時に住宅ローンを組んだ人は、ローンの残高を必ず確認しておきましょう。
住宅ローンの残高は、ローンを組んだ銀行に残高証明書を発行してもらうことで確認が可能です。
不動産の売却益でローンを返済できない場合は、一括返済を求められるので別途資金を用意する必要があります。慌てることのないようにあらかじめ準備しておきましょう。
また、住宅ローンを組んだときは銀行が抵当権を付けていることが多いです。売却の際には抵当権を抹消する必要があるため、「住宅ローンを完済しているから大丈夫」と安心せず、一度確認しておきましょう。
家の売却では、以下のような書類が必要となります。
【必要書類】
簡易査定を受けた後に準備することもできますが、家の間取り図など査定に役立つ書類がたくさんあります。
事前に用意しておくことで、査定から売却までスピーディーに進めていくことが可能です。
ネットを利用して家の売却相場を調べておくことも重要です。自分が売却したい不動産と似ている物件を探して相場を把握しておくことで、査定額が妥当か判断できるようになります。悪徳な不動産会社に騙されないためにも、売却相場を調べておきましょう。
ただし、不動産売買サイトに記載されている価格は売り出し価格なので、実際に売主の手元に残る額とは異なります。不動産売買サイトの価格よりも安くなることは覚えておきましょう。
戸建て住宅の売却を考えている場合は、土地の境界と利用履歴についてもチェックしておきましょう。土地の境界の確認を怠っていると、売却時に隣人とトラブルになることがあります。
土地の境界が未確定となっている場合は、査定時に不動産会社の担当者にその旨を伝えてください。
当然、不動産会社も土地の境界のチェックはおこないますが、自分で把握しておくことで安心して取引を進めることができます。
また、土地の利用履歴についても確認する必要があります。土壌汚染や地中障害物が見つかる可能性があるからです。
土地の利用履歴は不動産会社から質問されるので、知っている範囲で答えられるように準備しておきましょう。
誰でもできる事前準備が、家の掃除です。「机上査定」の場合は家の中を見られることがないので不要ですが、実際に中を見て査定をおこなう「訪問査定」の場合は、事前に家中を綺麗にしておくと良いでしょう。
綺麗に掃除されている家ならば、管理が行き届いていると判断され、査定結果にも良い影響があります。
ハウスクリーニングまでおこなう必要はありませんが、できるだけ良い状態を見せられるようにしましょう。
家の査定を依頼する際は、いくつか注意点があります。
【家の査定を依頼する際の注意点】
上記の点を把握していなければ、悪質な業者と契約を結んでしまうこともあるので、しっかりと確認しておきましょう。
不動産の査定は、一社ではなく複数の不動産会社に依頼しましょう。一社に依存してしまうと、査定額が高いのか安いのか判断できず、損をしてしまう可能性があります。
具体的には、3社以上に査定を依頼するのがおすすめです。
会社によって得意な分野が異なったり、全国展開している大手と地元に根付いている会社でも査定のポイントが異なることがあるため、それぞれの特性をよく理解したうえで依頼する会社を選定しましょう
売却額や時期などの希望は依頼時にしっかり伝えておきましょう。
事前に希望を伝えておかなくては、納得して不動産を売却することは難しくなります。
伝えておくべき希望の例は、以下のとおりです。
【不動産売却の希望例】
希望を伝えておくことで、不動産会社はどういった形で販売促進をおこなうのか決めやすくなります。
結果的に家が売れやすくなることもあるため、小さなことでも希望は伝えておきましょう。
不動産会社を決めるときは、査定額だけでなく根拠も含めて比較しましょう。
例えば、A社2000万円・B社2100万円・C社3000万円という査定結果が出たとします。
この場合、C社だけ明らかに査定価格が高いです。その理由が、C社にとって売却しやすい物件であるというのなら、特別な心配は要りません。しかし、理由もなくおおよその価格として3,000万円を提示している場合は要注意です。
不動産会社の中には、契約を取るためにわざと高い査定額を出す悪徳業者もいます。
査定額が高い会社を選びたいのは当然のことですが、その査定額に根拠があるかどうかも含めて選定することが重要です。また、「査定額=売れる金額」ではないことも忘れてはいけません。
家の査定について詳しく解説してきましたが、いくつか疑問が残っている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、家の査定に関するよくある質問を3つ紹介します。
【よくある質問】
悩みを解決しておくことで、不動産の査定から売却までの手続きを迷わず進めることができます。
家の査定をネットでおこなうことに、問題はありません。また、ネットでの査定は無料でおこなえます。
しかし、ネット上でできるのは簡易査定のみです。正確な査定金額を出すためには、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れて確認する必要があります。
通常は、個人情報を利用して勝手に不動産会社が家を訪ねて来たり、電話をかけてきたりすることはありません。
ただし、悪徳な不動産会社の場合は訪ねて来ないと言い切ることはできません。
そのような悪徳な不動産会社に情報を与えないためにも、一括査定サイトの選定には注意が必要です。
悪徳な不動産会社への対策をとっている、信頼性の高い一括査定サイトを選びましょう。
親族が所有している家など、自分の家以外の査定も可能です。家の築年数や住所などを伝えて、気軽に査定をしてもらいましょう。
しかし、自分の家以外を売却することは基本的にできません。
家を売却できるのは基本的に持ち主のみなので、注意してください。
今回は家の査定について紹介しました。
家を売却するためには、まず査定を依頼することがスタートラインです。
査定は無料でおこなえるため、少しでも気になったときは気軽に依頼してみましょう。
査定の依頼には準備すべきものや注意点があります。事前に確認して、納得できる査定・売却を目指しましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。