アパート経営は儲かる?リスクが高いと言われる理由や失敗しないためのコツ

現在土地をお持ちの方や土地活用を考えている方は、一度はアパート経営について考えたことがあるのではないでしょうか。アパート経営は特別な知識がなくとも比較的安定した収入を得られ、さらに節税対策にもなります。
しかし、その一方でアパート経営はリスクが高いとも言われており、不安に感じている方も多いでしょう。
そこで当記事では、アパート経営の特徴や失敗しないためのコツを詳しく解説していきます。土地活用や土地査定、アパート経営を検討している方はぜひ参考にしてください。
- アパート経営の特徴
- アパート経営とマンション経営の違い
- アパート経営(不動産投資)と株式投資の違い
- アパート経営がおすすめの人
- アパート経営のメリット
- 一部屋を貸すよりも安定した収入を得られる
- 固定資産税・相続税の節税対策ができる
- アパート経営により定年後も生活資金を得られる
- アパートを担保にでき、銀行融資を受けやすい
- アパート経営は失敗する?リスクとその対処法
- 空室による収入低下のリスク
- 老朽化による大規模修繕のリスク
- 自然災害のリスク
- 事業計画通りに進まないリスク
- アパート経営で失敗しないためのコツ
- 目的や目標を明確にする
- 地域の需要を把握してターゲットを決める
- 資金計画を綿密に立てる
- アパート経営の知識を蓄える
- アパート経営で必要な費用
- 初期費用
- アパートの維持・管理費用
- アパート経営の収入
- アパート経営の収入金額例
- アパート経営の利回り
- アパート経営に関するよくある質問
- 不動産にかかる税金は何がある?
- アパート経営は確定申告が必要?
- アパートの建築期間はどのくらい?
- まとめ
アパート経営の特徴
アパート経営の特徴について解説していきます。その他の資産運用との違いと、どのような方にアパート経営がおすすめなのかを詳しくまとめていくので、ぜひ把握しておきましょう。
アパート経営とマンション経営の違い
アパート経営の他に挙げられる代表的な不動産投資の方法として、「マンション経営」があります。アパート経営とマンション経営の最大の違いは、必要な資金です。
一般的にマンション一棟の戸数は非常に多く、エレベーターやエントランスも要するため、どうしても規模が大きくなってしまいます。そのため、マンション経営には初期投資として莫大な資金がかかることが多いです。
その一方で、戸数が少なく規模の小さいアパート経営は、限られた資金の中でもスタートできます。はじめて不動産投資を行う方におすすめなのは、アパート経営と言えるでしょう。
アパート経営(不動産投資)と株式投資の違い
アパート経営やマンション経営などの不動産投資と株式投資の最大の違いは、値の安定感です。
株式投資では、社会情勢等の様々な理由によって購入した株価が半値になることもあれば、倍値になることもあります。一方で不動産投資では、よほどの理由がない限り大きな値動きはせず、経年とともに緩やかに値が動いていきます。
さらに、株式投資では投資者が自発的に市場の動きを確認する必要がありますが、不動産投資ではほぼ全ての業務を不動産会社に委託可能です。
どちらの投資方法が優れているとは一概に言えませんが、手間もリスクも最小限に抑えられるのは不動産投資でしょう。
アパート経営がおすすめの人
では、アパート経営はどのような方に適しているでしょうか。下記にアパート経営がおすすめの方の特徴をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【アパート経営がおすすめの人の特徴】
- 使用していない土地がある方
- 不労所得を得たい方
- 節税対策をしたい方
- 所有する土地を収益につなげたい方
- 定年後の収入が欲しい方
- 少ない資金の中から不動産投資をスタートしたい方
特に、土地を持て余して無駄な固定資産税を払っている方には、アパート経営がおすすめです。「興味はあるけど、あと一歩が踏み出せない」という方は、次の項のアパート経営のメリットを参照してみてください。
アパート経営のメリット
アパート経営では、下記のメリットが得られます。
【アパート経営のメリット】
- 一部屋を貸すよりも安定した収入を得られる
- 固定資産税・相続税の節税対策ができる
- アパート経営により定年後も生活資金を得られる
- アパートを担保にでき、銀行融資を受けやすい
それぞれ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
一部屋を貸すよりも安定した収入を得られる
1点目のメリットは、安定した収入を実現できることです。アパート経営はマンション・戸建て1部屋のオーナーになるよりも、長期的で継続した収入が見込めます。
マンション・戸建て1部屋のオーナーの場合、空室期間中には収入が一切ありません。戸数の多いアパートであれば、全ての部屋が空室になるリスクはほとんどないので、安定した収入を得られます。
また、アパートは学生から社会人まで幅広い層からの需要があり、一度入居すると一定期間は退去しません。多くの方に需要があるうえに空室のリスクが分散できるのは、アパート経営の最大の魅力と言えるでしょう。
固定資産税・相続税の節税対策ができる
固定資産税や相続税の節税をしたい方にもアパート経営はおすすめです。なぜなら、お金よりもアパート(不動産)として相続した方が相続税の課税評価額が低くなるからです。
アパート経営をすることにより節税できる制度は多く、相続税の他にも住民税・贈与税・固定資産税・都市計画税などの節税にもなります。アパート経営で使える軽減制度についてまとめたので、参考にしてください。
【アパート経営で使える軽減制度】
軽減制度 | 節税可能な税金 |
---|---|
損益通算 | 所得税・住民税 |
貸家建付地 | 相続税 |
住宅用地の特例 | 固定資産税・都市計画税 |
生前贈与 | 贈与税 |
節税対策を行いたい方は、ぜひアパート経営を検討してみましょう。
アパート経営により定年後も生活資金を得られる
アパート経営を行うことにより、老後の資金を捻出できるというメリットもあります。ローンを組んでアパート経営を行う場合でも、定年までに完済しておけば家賃のほとんどを収入として充てることが可能です。
また、アパート経営は不動産会社等のプロに管理を委託すれば、老後でも無理なく経営していけます。老後の生活資金に不安がある方は、若いうちからアパート経営を検討しておくのも1つの手でしょう。
アパートを担保にでき、銀行融資を受けやすい
最後に挙げられるメリットは、銀行の融資を受けやすいという点です。アパート経営を行っている場合、不動産というわかりやすい現物があるので、銀行がお金を貸してくれる可能性が高まります。
不動産を利用した融資を受けることでレバレッジ効果も期待できるので、少ない自己資金から大きな利益を得たい方にもアパート経営はおすすめと言えるでしょう。
アパート経営は失敗する?リスクとその対処法
アパート経営には数多くのメリットがありますが、その一方で失敗した際のリスクも考えておく必要があります。具体的なアパート経営のリスクは以下の4つです。
【アパート経営のリスク】
- 空室による収入低下のリスク
- 老朽化による大規模修繕のリスク
- 自然災害のリスク
- 事業計画通りに進まないリスク
事前にリスクを把握しておけば、万が一の際の適切な対処も可能です。それぞれの対処法も詳しくまとめたのでぜひ参考にしてください。
空室による収入低下のリスク
1点目に挙げられるリスクは、空室による収入低下です。空室問題は、アパート経営を行う全ての方が1度は考える問題でしょう。
アパート経営の主な収入源は家賃となるので、空室期間が長いほど想定していた収入が得られない赤字の状態が続いてしまいます。しかし、逆手に取ると空室期間がない状態が続けばアパート経営は概ね成功するということです。
空室のリスクを軽減するためには、事前の市場調査や他の物件との差別化を図るのが効果的です。具体的にどのような空室対策をすれば良いのかわからない場合には、不動産会社などのプロに相談してみるのも良いでしょう。
老朽化による大規模修繕のリスク
2点目に挙げられるリスクは、老朽化による大規模修繕です。これは不動産投資や土地活用の全てに言えることですが、建物は経年劣化による修繕が必要になってきます。
具体的には10年に1度程度の頻度で修繕が必要になるので、後から困ることのないよう計画的に修繕費用の積み立てをしていきましょう。また、清掃や点検などの日々のメンテナンスを行っておくと建物の寿命を延ばせます。
自然災害のリスク
地震や津波などの自然災害も、アパート経営をするうえで大きなリスクになるでしょう。特に、火事・地震・津波などで被災したアパートは、空室のリスクのみではなく不動産価値の目減りという大きな損失を生み出します。
このようなリスクを軽減するためには、火災保険への加入がおすすめです。一般的な火災保険では、火災・落雷・盗難・水災などで生じた損害のカバーはできます。火災保険に付帯する地震保険も契約しておくと、よりリスクを軽減できるでしょう。
事業計画通りに進まないリスク
最後に挙げられるリスクは、事業計画通りに進まないことです。事業計画とは、アパート経営をするために金融機関に提出する計画のことを言います。融資を受けるうえで非常に重要なので、客観的にデータを収集して計画を練らなければいけません。しかし、入念にデータを収集しても事業計画通りに進まないことはあります。
事業計画と実際の収支に差異をなくすためには、数十年先まで見据えて現実的な数字を把握してください。予期せぬ出費も想定して計画を立てると、余裕を持ったアパート経営ができるでしょう。
アパート経営で失敗しないためのコツ
次に、アパート経営で失敗しないコツをご紹介していきます。具体的なコツは以下の通りです。
【アパート経営で失敗しないためのコツ】
- 目的や目標を明確にする
- 地域の需要を把握してターゲットを決める
- 資金計画を綿密に立てる
- アパート経営の知識を蓄える
上記のコツを押さえて失敗のないアパート経営をしましょう。
目的や目標を明確にする
1点目のコツは、目的や目標を明確にすることです。「なんとなくアパート経営をしたい」という理由でアパート経営を始めるのは、失敗の元になります。
「節税をしたい」「定年後に潤沢な収入が必要」「土地を賢く使いたい」など、アパート経営をするうえでの具体的な目的や目標を持ちましょう。
地域の需要を把握してターゲットを決める
ターゲットや地域の需要を把握するのも重要なポイントになります。なぜなら、ファミリー世帯の多い住宅街で単身向け物件を建築してもあまり需要がなく、空室のリスクが付き纏うからです。同様に、単身世帯の需要が高いエリアにファミリー世帯向けの物件を建築しても、思うような成果は得られないでしょう。
このように、アパート経営で成功するためには地域の需要の把握が非常に重要です。地域の需要については、その土地に詳しい不動産会社に聞くとよくわかるでしょう。
資金計画を綿密に立てる
目的を明確にしてターゲットを把握した物件を建築しても、資金計画がうまくいかなければ何の意味もありません。ターゲット層に見合った物件の建築費・維持費を綿密に計算して、資金計画を立てていきましょう。
さらに、周辺相場と自身の物件の賃料比較や、コストを何年で回収できるかの計算もかかせません。できるだけ客観的で具体的な資金計画を立ててみてください。
アパート経営の知識を蓄える
最後に挙げられるコツは、アパート経営の知識を蓄えておくという点です。何ごとにも言えることですが、投資や経営を始めるためにはその分野に関する知識を深める必要があります。下記に知っておいた方が良い知識をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【アパート経営に必要な知識】
- 宅建業法
- 建築基準法
- 民法
- 確定申告や損益通算の仕組み
全ての知識に精通するのは非常に困難なので、最初は不動産会社や建築会社に相談するのも良いでしょう。
アパート経営で必要な費用
次に、アパート経営を始めるに当たって必要な費用について解説していきます。アパート経営にかかる費用は初期費用と維持費・管理費の2つに分けられます。
それぞれの費用の概算をわかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
初期費用
まずは初期費用から見ていきましょう。アパート経営の初期費用としてかかるお金は下記の通りです。
費用項目 | 費用の目安 |
---|---|
アパートの建築費用や取得費用 | 土地の大きさや建物により異なる |
不動産所得税 | 固定資産税評価額×税率 |
印紙税 | 1,000円~60,000円 |
登記費用 | 300,000円~500,000円 |
アパートローン手数料(ローンで購入する場合) | 借入額の1~3%前後 |
各種保険料 | 500,000円 |
外注費 | 物件により異なる |
最も費用を要するのは、アパートの建築・取得費用です。更地の状態からアパートを建築する場合、平均して1坪あたり50~120万円程度の費用がかかります。
どの程度の土地に、どれほどの規模のアパートを建築するのか加味して、初期費用を算出していきましょう。
アパートの維持・管理費用
アパート経営にかかる費用は初期費用だけではありません。建築が完了し、入居者を募集してからもランニングコストとして下記の費用がかかります。
費用項目 | 支払うタイミング | 費用の目安 |
---|---|---|
光熱費 | 毎月 | 10,000円 |
損害保険料 | 毎月 | 10,000円~100,000円 |
管理費 | 毎月 | 家賃の5% |
修繕費 | 随時 | 10,000円~1,000,000円 |
大規模修繕費・リフォーム費 | 随時 | 100,000円~3,000,000円 |
仲介手数料 | 随時 | 家賃の半月分 |
毎月かかるものとしては、物件の光熱費・損害保険料・管理会社に支払う管理費などが挙げられます。随時かかるものの中には修繕費やリフォーム費があり、大規模な修繕は10年に1回程度の頻度で行う必要があるでしょう。
また、新たに入居者を募集して賃貸契約を結んだ場合には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
アパート経営の収入
アパート経営では家賃収入が主な収入源となります。この他に入居時や更新時に得られる礼金・更新料などもありますが、毎月の収益として得られるのは家賃と共益費です。
費用項目 | 得られるタイミング | 費用の目安 |
---|---|---|
家賃 | 毎月 | 物件により異なる |
共益費 | 毎月 | 家賃の5~10%程度 |
礼金 | 入居時 | 家賃の1~2か月分 |
更新料 | 更新時 | 家賃の1~2か月分 |
家賃・共益費は1ヶ月に1回の頻度で収入として手に入りますが、礼金・更新料は入居時や更新時など限定的です。「思ったより収入が得られない」という事態を避けるためにも、収入金額例や利回りをしっかりと確認しておきましょう。
アパート経営の収入金額例
アパート経営で得られる収入を計算する際は、アパートの総部屋数と家賃で算出していきます。例として、2階建て・全10部屋・家賃70,000円の建物で計算していきましょう。
月間の収入 | 70,000円×10部屋=700,000円 |
---|---|
年間の収入 | 700,000円×12か月=8,400,000円 |
上記の表からもわかるように、2階建て・全10部屋・家賃70,000円のアパートでは月間で70万円、年間で840万円もの収入が見込めます。この収入からローンや税金、維持費などの各種諸経費を差し引いたのが手取りの金額です。
アパート経営の利回り
アパート経営の利回りには3つの種類があり、それぞれ計算方法が異なります。下記に利回りの計算方法をまとめたので参考にしてください。
利回りの種類 | 計算方法 |
---|---|
表面利回り | 年間家賃収入÷物件購入価格×100(%) |
実質利回り | (年間家賃収入-年間経費)÷(物件購入価格+取得諸経費)×100(%) |
想定利回り | 空室0の年間家賃収入÷物件購入価格×100(%) |
アパート経営のオーナーとして十分な利益を得るためには、最低でも3%・理想は5%の想定利回りを1つの目安にしましょう。
アパート経営に関するよくある質問
最後にアパート経営に関するよくある質問をまとめました。税金や確定申告などについて詳しく解説していくので、後から困らないようぜひ目を通しておいてください。
不動産にかかる税金は何がある?
アパート経営のために取得した不動産には、大きく分けて3回税金がかかるタイミングがあります。タイミングごとにかかる税金をまとめたのでぜひ参考にしてください。
税金がかかるタイミング | 税金の種類 |
---|---|
購入時 | 不動産所得税・登録免許税・印紙税 |
保有時 | 固定資産税・都市計画税・所得税・住民税 |
売却時 | 所得税・住民税 |
上記からもわかるように、不動産は取得時・保有時・売却時に様々な税金がかかります。アパートの購入費用のみではなく、不動産にかかる税金までしっかり踏まえた資金計画を考えておきましょう。
アパート経営は確定申告が必要?
アパート経営をする場合、基本的には家賃として得た収入を申告する必要があります。その際には、控除などの得られるメリットが多い青色申告を利用しましょう。下記に青色申告のメリットをまとめたのでぜひ参考にしてください。
【青色申告のメリット】
- 65万円もしくは10万円の控除を受けられる(規模により異なる)
- 親族を雇った場合、その人の給与を全額必要経費として算入可能
- 繰越控除の制度を利用できる
アパートの建築期間はどのくらい?
一般的な木造2階建てのアパートの場合、平均して3~4か月の建築期間がかかります。軽量鉄骨や重量鉄骨で建築する場合にはもう少し時間を要するでしょう。
建築期間については、建築するハウスメーカーや工法により差が出るので、事前に必ず建築会社に確認しておいてください。
まとめ
当記事では、アパート経営の特徴や注意しなければならないポイントについて解説してきました。アパート経営は、比較的少ない資金からスタートできるおすすめの不動産投資です。
資金計画やターゲット層の把握などいくつかの注意点も存在しますが、不動産経営のプロに相談することでリスクを最大限抑えた経営が行えます。
アパート経営は定年後の生活の安定を図れるだけではなく、土地を余らせてしまっている方の場合は節税効果も期待できます。土地活用に興味がある方は、ぜひアパート経営を検討してみてください。