土地売却・査定

【土地査定シミュレーションとは?】メリットや注意点、不動産会社の査定との違いを解説

土地査定シミュレーションとは?

土地査定シミュレーションとは、「人ではなく人工知能がデータをもとにして土地の価格を算出する査定ツール」のことです。

匿名で利用できるようになっており、誰でも気軽に活用できますが、その仕組みや精度について不安に感じる方も多くいるのではないでしょうか。

まずは以下の2つのポイントについて正しい情報を把握しておきましょう。

  • 土地査定シミュレーションの仕組み
  • 土地査定シミュレーションの査定精度

土地査定シミュレーションの仕組み

土地査定シミュレーションは、人工知能である「AI」が、これまでの過去のさまざまな土地のデータをもとに価格を査定します。

土地査定シミュレーションの主な流れは、以下の通りです。

  1. 査定を希望する物件の種類を選択(マンション・土地・戸建て)
  2. 都道府県や市区町村などの住所・土地の面積や築年数などの情報を入力
  3. 「〇〇万円〜〇〇万円」と、ある程度幅がある価格が算出される

基本的には30秒から1分ほどで算出結果が見られるため、ちょっとした隙間時間にも活用できるのが大きなポイントです。

土地査定シミュレーションの査定精度

土地査定シミュレーションでは、これまでのデータをもとに算出されるため、調べる土地により精度が変わります。

過去の参照データが多ければ精度が高い算出が可能ですが、データが少なければ正確な価格を出すことはできません。

そのため、土地査定シミュレーションの精度はそこまで高くなく、実際に査定してもらった際には算出された金額と大きく異なるというケースもあります。

土地査定シミュレーションと不動産会社の土地査定の4つの違い

これまでは、土地の価格を知るためには不動産会社に査定を依頼する方法が一般的とされていました。

では、土地査定シミュレーションと不動産会社の土地査定にはどのような違いがあるのでしょうか。

主に、以下の4つが異なる点として挙げられます。

  1. 査定をおこなう人
  2. 査定結果が出るまでの時間
  3. 査定の精度
  4. 査定の評価ポイント

①査定をおこなう人

土地査定シミュレーションと不動産会社の査定では、査定をする人が異なります。本記事でもお伝えしている通り、土地査定シミュレーションではAIがデータをもとに算出しますが、不動産会社の土地査定は不動産業者の人間がおこないます。

土地査定シミュレーションは、住所や氏名などの個人情報が不要で匿名での算出ができるため、好きなタイミングでサービスを利用することが可能です。

不動産会社での査定の場合は、個人情報や詳しい土地の情報が必要となるため、気軽にいつでもできるということにはなりません。

②査定結果が出るまでの時間

査定結果が出るまでの時間は、土地査定シミュレーションと不動産会社を比較すると大きな違いがあります。

土地査定シミュレーション 30秒から1分ほど
不動産会社 数日から数週間

上記のように査定結果が出るまでの差は大きく、「ある程度の金額だけでもすぐに知りたい」という方は、土地査定シミュレーションを活用してみましょう。

③査定の精度

土地査定シミュレーションの精度は、そこまで高いものではありません。反対に不動産会社での査定は、AIのように過去データのみでおこなうのではなく、今後の土地相場の予測などを考慮しておこなわれるため、比較的精度が高くなります。

「ハッキリとした正しい価格を知っておきたい」という方には、不動産会社での査定がおすすめです。

④査定の評価ポイント

査定するうえで重要となる評価ポイントですが、ここもそれぞれを比較すると大きく異なる点があります。

土地査定シミュレーション 売りたい土地の大きさ・建物の広さ・所在地など
不動産会社 売りたい土地の大きさ・建物の広さ・所在地・周辺環境・土地の形・日当たりなど

土地査定シミュレーションの場合、上記のように大きさや広さ、住所などといった客観的なデジタル情報のみで算出されます。

不動産会社の場合、このようなポイントと併せて、周辺環境や日当たりなどの主観的な住み心地や、これまでの経験に基づく実感情報も加味して査定されます。

土地査定シミュレーションのメリット

土地査定シミュレーションには、3つのメリットがあります。

  • 査定結果がすぐにわかる
  • 個人情報の入力が不要で匿名で利用できる
  • 24時間いつでも査定ができる

ここでお伝えする項目について理解し、土地査定シミュレーションを有効的に活用できるようにしておきましょう。

査定結果がすぐにわかる

土地査定シミュレーションの最大のメリットと言っても過言ではないポイントが、査定結果が出るまでの時間が早いことです。必要な情報を入力すれば、およそ数十秒程度ですぐに結果を確認できます。

結果が出るまで長く待つ必要がないので、仕事の休憩中や家事の合間など、ふとした瞬間に手軽に利用できます。

個人情報の入力が不要で匿名で利用できる

不動産会社の査定と違い、土地査定シミュレーションでは細かな個人情報の入力が必要ありません。

  • 土地の詳しい住所や面積
  • 売却を希望する理由や売りたい時期
  • 氏名
  • 連絡先(電話番号やメールアドレス)

不動産会社で査定してもらう場合、上記のような情報はほとんどの場所で必須となります。そのため、ただ査定価格を知りたいという場合でも、後になって不動産会社から営業電話がかかってきたり、訪問を受けたりするケースも珍しくありません。

土地査定シミュレーションは個人情報が漏れず一切の営業電話がこないため、このように悩んでいる方にもおすすめの方法といえます。

24時間いつでも査定ができる

土地査定シミュレーションでは、AIが登録されている過去のデータをもとに算出するので、すべてがネット上での完結となり、不動産会社のように営業時間を気にする必要はありません。

そのため、24時間いつでも好きなタイミングで査定が可能です。「仕事で忙しくなかなか時間がとれない」という方の場合でも、寝る前の数分で査定結果を見られます。

土地査定シミュレーションのデメリット・注意点

どのようなツールにも、メリットがあればデメリットがあります。土地査定シミュレーションのデメリットは、以下の3つです。

  • 正確な査定価格はわからない
  • 土地査定シミュレーションのみでは売却できない
  • 売却に関する相談はできない

土地査定シミュレーションを正しく理解するためにも重要な項目なので、それぞれについて詳しくみていきましょう。

正確な査定価格はわからない

土地査定シミュレーションは、過去データを参考に価格を算出するため、あくまでも予想の域を超えません。

現在の状況や相場、周辺環境などの土地の個別事情を反映した正確な査定価格を出せず、実際の売却価格と大きな差が出ることもあります。

「すぐに売却したい」「正しい価値を知りたい」という方の場合、土地査定シミュレーションではなく不動産会社の査定を利用しましょう。

土地査定シミュレーションのみでは売却できない

土地査定シミュレーションは「過去のデータを参照して土地の価格を算出する」というためだけのツールです。そのため、実際に土地を売却する場合は、必ず不動産会社の訪問査定を受ける必要があります。

土地の価格には、形状や日当たりなど現地に行かなければわからない細かな情報も大きな影響を与えますが、そうした価格を土地査定シミュレーションで出すことはできません。

正式な取引をするためには、専門の資格を持つプロに査定を依頼し、正しい手続きを踏んで売却するようにしましょう。

売却に関する相談はできない

土地査定シミュレーションは、AIが過去データを参照して価格を算出する便利なツールですが、逆に言えばそれ以外のことは一切できません。不動産会社の査定であれば、販売戦略や売却後について相談が可能です。

「本格的に売却を検討している」「売却したいけれどどうすれば良いかわからない」と考えている方には、土地査定シミュレーションではなく不動産会社の査定がおすすめです。

土地査定シミュレーションの活用方法

土地査定シミュレーションのメリット・デメリットを把握したところで、「正確な査定価格が出なくてもやる必要はあるのか」と疑問を感じている方もいるでしょう。

ここからは、土地査定シミュレーションの活用方法を紹介します。

  • 売却計画の第一歩にする
  • 信頼できる不動産会社か判断する材料にする

売却計画の第一歩にする

土地査定シミュレーションで算出された査定価格は正確ではありませんが、およその目安にはなるため、基準の1つとして参考にすることは可能です。ある程度の価格がわかっていれば、売ってからどのくらいの差額が残るのかなどを判断しやすくなります。

また、本当に売るべきか迷っている場合でも、ツールを利用しておよその査定価格を知ることで、売るかどうかの判断材料にもなります。

信頼できる不動産会社か判断する材料にする

土地査定シミュレーションの査定価格は、不動産会社から出された金額と比較することで、その会社が信頼できるかどうか判断する材料になります。複数の会社で査定した場合に、価格の査定が低い会社は「早く売却したい」あるいは「自ら買取りしたい」といった思惑があるかもしれません。逆に、価格の査定が高すぎる会社は、「専任をとにかく獲得して、あとでやっぱり売れないから価格を下げる」という意向があるかもしれません。

土地査定シミュレーションよりも高い査定額を出す不動産会社の場合は、なぜこの金額になるのか根拠を明確に出してもらうようにしましょう。金額に対する説明が不十分と感じる不動産会社は、信用できる取引相手とはいえません。

土地査定シミュレーションを活用することで、こうした不動産会社の対応や説明力などをしっかりとチェックすることが可能です。

土地査定シミュレーションに関するよくある質問

土地査定シミュレーションは、誰でも気軽に土地の価格を調べられる便利なツールですが、まだまだ疑問に感じている部分が多いという方も少なくありません。

ここでは、土地査定シミュレーションに関するよくある質問3つに回答します。

  • 土地査定シミュレーションと不動産会社の土地査定はどっちがおすすめ?
  • 土地査定シミュレーションは無料?
  • 土地査定シミュレーションの計算方法は?

土地査定シミュレーションの基本とも言うべき大切なポイントなので、お伝えする内容をしっかりと理解し、納得したうえでツールを活用してみてください。

土地査定シミュレーションと不動産会社の土地査定はどっちがおすすめ?

土地査定シミュレーションと不動産会社の土地査定は、査定額が出される期間や精度など異なる部分が多くあります。下記の表は、土地査定シミュレーションと不動産会社の比較です。

精度 査定額の算出時間 料金 個人情報や土地情報の詳細 利用可能時間 相談・売却手続き
土地査定シミュレーション 精度が低い 数十秒から1分ほど 無料 必要なし 24時間 不可
不動産会社 精度が高い 数日から数週間 無料もしくは有料 必要 営業時間内 可能

このように、手軽にいつでも利用できる土地査定シミュレーションと比べると、不動産会社は時間もかかり営業時間内でしか対応してもらえません。

そのため、「とりあえず目安としての金額をすぐに知りたい」「いくらくらいの価格になるのか興味がある」という軽い気持ちの場合は、土地査定シミュレーションがおすすめです。

一方、「本格的に土地の売却を検討しているため正確な価格が知りたい」「プロの話を聞いて売却するかどうか判断したい」と考えている方は、不動産会社に相談しつつ査定してもらいましょう。

土地査定シミュレーションは無料?

土地査定シミュレーションは、無料で活用できます。

また、細かな個人情報なども必要なく24時間対応しているため、いつでも好きなタイミングでツールを利用可能です。

土地査定シミュレーションの計算方法は?

土地査定シミュレーションで算出される価格は、過去の類似物件の事例や国土交通省の2つのビッグデータにある記録からAIが算出しています。国土交通省のビッグデータは、下記の2つです。

  • 地価公示データ
  • 都道府県地価調査データ

土地査定シミュレーションでは、こうした信頼性の高いデータを用いてAIが査定価格を算出するため、本記事でもお伝えしているように目安の1つとして有効な活用が可能です。

まとめ

土地査定シミュレーションは、正確性に不安を感じる部分はありますが、ある程度の目安としての金額を知るには非常に有効的な手段といえます。

無料かつ24時間いつでも好きなタイミングで活用できるため、依頼するために仕事を調整したりスケジュールを合わせたりといった煩わしさもありません。

本記事で紹介した土地査定シミュレーションの特徴・メリット・活用方法などを参考に、ぜひ所有する土地の本来の価値を調べてみてはいかがでしょうか。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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