【シェアハウス経営は難しい?】メリット・デメリットや運営の基礎知識を解説

【シェアハウス経営は難しい?】メリット・デメリットや運営の基礎知識を解説

従来型のアパートやマンションとはまた違う賃貸として、シェアハウスが注目されています。「人気のシェアハウスを賃貸経営してみたいけれど、アパートとどう違うの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、シェアハウス経営を検討中の方に向けて、シェアハウス経営のメリット・デメリット、初期費用やリスク回避のポイントなどを解説します。

シェアハウス経営とは

シェアハウスは、同じ賃貸でも「アパートやマンション以外の暮らし方」として単身者の間で人気です。

1つの家を複数人でシェアして住む形で、ルームシェアとの違いは、一人ひとりに個室が用意される点にあります。バス・キッチン・トイレリビングの共有部分を、複数の住人でシェアする形は、学生寮のイメージに近いかもしれません。

入居後すぐに生活をスタートできるよう、各個室にはベッドや棚を、共有部分にはテレビや冷蔵庫などの生活家電も必要で、オーナーの負担となります。単身者が入居してすぐに生活できる気軽さが、シェアハウス人気の理由の1つといえるでしょう。

シェアハウス経営のメリット

シェアハウスと聞くと、「独身の若者たちのおしゃれ気ままな共同生活」とイメージする方も多いはず。マンション・アパート経営ではなく、あえてシェアハウスを選ぶメリットはなんでしょうか。

シェアハウス経営のメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 費用対効果が高い
  • 空室リスクが少ない
  • コンセプトで価値を提供できる

この章では、他の賃貸形態(アパート・マンション)と比較した、シェアハウス経営のメリットについて詳しく解説します。

費用対効果が高い

他の賃貸経営と比較したシェアハウス経営のメリットとして、費用対効果の高さが挙げられます。

例として、戸建て賃貸10万円・シェアハウス1部屋4万円(全3部屋)で比較すると、シェアハウス3部屋が満室になった場合は1ヶ月12万円の家賃収入です。同じ戸建て住宅を扱っても、1軒まるごと貸すよりシェアハウスのほうが、収益性が高くなります。

駅・大学・オフィス街近くで入居者が望めそうな立地であれば、費用対効果の高いシェアハウス経営は得策といえるでしょう。

空室リスクが少ない

一戸建て賃貸が空室の場合は、収益ゼロです。しかし、シェアハウスは空室があっても、入居者が1人でもいれば、収益はゼロにはなりません。

入居者の有無で家賃収入がゼロか100かになってしまう一戸建て賃貸と違い、空室による損失を分散できるのもシェアハウス経営のメリットです。

コンセプトで価値を提供できる

独自のコンセプトで付加価値をつけられるのも、シェアハウスならではのメリットです。

大学や工場が近ければ「異文化交流ができるシェアハウス」、音楽好きに向けて防音設備を用意して「夜間でも楽器演奏ができるシェアハウス」など、ターゲットを絞ることで、通常の賃貸住宅との差別化が可能です。

そこでしかない付加価値があれば、「家賃が割高になっても入居したい」という層がいます。自分にお金を使える独身であれば、高めの家賃を設定してもニーズを感じるものです。

シェアハウス経営のデメリット

収益性やリスクヘッジ面で安心感のあるシェアハウス経営ですが、反対にデメリットも存在します。

シェアハウス経営によくあるデメリットには、以下の3つが挙げられます。

  • 物件探しが難しい
  • トラブルが発生しやすい
  • コストが高くなりがち

実際にスタートする前に、シェアハウス経営のメリットとデメリットの両方を十分に理解しておきましょう。

物件探しが難しい

一軒家をシェアハウス経営として貸し出す場合、シェアハウス向けの物件を探す必要があります。この物件探しが最初のハードルです。

個室の数(入居可能人数)によっては、トイレ・バス・キッチンが複数必要となり、共有のリビングもそれなりの広さが求められます。シェアハウス向けの物件は少ないため、見つかるまでに時間がかかるかもしれません。

シェアハウス経営を検討中の方は、先に物件を見つけておくか、それなりの準備期間が必要と覚悟しておきましょう。

トラブルが発生しやすい

家族以外のさまざまな立場の人間の共同生活は、当然入居者トラブルも発生しがちです。入居者ルールを設定し、入居者同士の間に入って問題解決に当たらなければなりません。

管理に不備があれば、クレーム対応に追われ、退去のリスクに悩まされることもあります。

アパート・マンションなどの賃貸物件と比較すると、住人同士の共有部分が多いシェアハウス経営は、住人トラブルの可能性も大きいです。管理能力・問題解決能力も必要です。「女性向け」と紹介するリスクヘッジや、専門業者に管理を委託する方法もあります。

コストが高くなりがち

シェアハウス経営のデメリットには、一戸建て賃貸と比べて初期費用・ランニングコストが高くなりやすい点も挙げられます。

入居後すぐに生活がスタートできるよう、家具や家電は備え付けが基本です。オーナー負担で事前に購入して設置しなければなりません。部屋数が多いほど、備え付け家具・家電の初期投資は増え、入居者が増えると故障による修理費用も発生します。

専門業者に管理を委託する場合は、さらに委託費用が発生することも念頭に置いておきましょう。

シェアハウス経営の初期費用

費用対効果では魅力があるものの、コストの高さにも検討の必要があるシェアハウス経営。共有部分・個室の家具・家電の購入費用を考えると、「初期費用が結構かかるのでは?」と思う方も多いことでしょう。

シェアハウス経営の初期費用は、平均250~400万円が標準的です。

一戸建て賃貸賃貸に比べると高い初期費用ですが、利益率・空室リスクの分散ができるというシェアハウス経営のメリットも考慮しながら検討してください。

シェアハウスを始める際に役に立つ5つのポイント

シェアハウス経営成功のポイントは、スタート時の準備にかかっています。

【シェアハウスを始めるときの準備ポイント】

  • 必要最低限の設備を準備しておく
  • 共有スペースは最も重視する
  • 個室はすぐに住めるようにしておく
  • コンセプトを決めておく
  • 宣伝して見込み客を集めておく

何事も準備八割。この章では、シェアハウスを始めるときのポイント5つを解説します。重要ポイントを知って、スムーズなシェアハウス経営をスタートしましょう。

必要最低限の設備を準備しておく

入居者あってこそのシェアハウス経営です。まずは、必要最低限の「個室」の設備を優先しましょう。

もちろん「個室・共有部分で必要な家具家電をすべて揃えてから」が理想ですが、揃う前に入居希望者が現れたときにチャンスを逃してしまいます。

入居希望者がすぐに生活をスタートできるよう、まずは個室の家具家電(ベッド・クローゼット・エアコン等)を優先して準備してください。

共有スペースは最も重視する

シェアハウスの一番の魅力は、プライベートもありながら誰かと共同生活も送れる点です。共有スペースに魅力がなければ、入居者から選んでもらえません。

シェアハウスにおいて、エアコン・調理器具・洗濯機・ドライヤーなどの生活家電は、最初から用意されているのが基本です。生活必需品は、最低限揃えておきましょう。

共有スペースで他の人と楽しい時間を過ごすことに価値を感じる人もいます。複数人でくつろげる大きなソファや大型テレビがあると、よりシェアハウスとしての価値が高まります。

個室はすぐに住めるようにしておく

前述の通り、シェアハウスは入居後すぐに生活がスタートできるように設備が整えられているもの。安いシェアハウス生活を好んで点々とするタイプの気ままな単身者もいます。空室になる期間を減らして利益を上げるためにも、個室はすぐに入居できるように常に整えておきましょう。

シェアハウス希望者は家具・家電を持っていないことが多いため、個室にエアコン・クローゼット・ベッドの生活に最低限必要なものが揃っていれば、入居を決めやすくなります。

また、安全・プライバシー面も配慮が必要です。個室・浴室には鍵を必ず用意してください。

コンセプトを決めておく

シェアハウス成功の秘訣は、コンセプトにもあります。シェアハウスに住みたい人の傾向や、そのシェアハウス独自のメリットを精査し、コンセプトを決めておくことが大切です。

シェアハウス希望者の希望・目的として、以下のものが挙げられます。

  • 家賃を安く抑えたい
  • 一人では寂しいので誰かと同居したい
  • シェアハウスに憧れている
  • さまざまな職業・国の人と異文化交流をしたい
  • 同じ音楽関係・芸術関係が集まる場所で暮らしたい
  • 外国人OKのシェアハウスで語学力を高めたい

ターゲットを絞ってコンセプトを設定すると、集客もしやすくなります。大学・外国人の多い地域や、オフィス街が近くさまざまな業種の会社がある地域など、その地域の特性に合わせて決めるのも良いでしょう。

宣伝して見込み客を集めておく

シェアハウスに憧れや興味を持っているものの、迷っている方もいます。潜在的な見込み客のために、シェアハウスの広告宣伝も必要です。不動産会社だけでなく、大学や企業にもアプローチしておくと寮代わりに紹介してもらえる可能性もあります。

シェアハウスの共同生活に不安を感じる方に向けて、インターネット等で間取りや部屋の中を公開し、安心感を持てるような情報発信もしていきましょう。

リスクを抑えるなら定期借家契約の活用がおすすめ

シェアハウスは通常のアパート・マンション賃貸に比べると、住人同士のトラブルが発生しやすい環境です。家賃が安い分、トラブルによっては複数の住人に退去されるリスクもあります。リスクを抑えるため、定期借家契約を活用しましょう。

「定期借家契約」とは、期間の定めがある賃貸借契約です。トラブルを起こす入居者は、期間満了を理由に退去を迫ることができます。通常の賃貸の「普通借家契約」では、1~2年ごとの更新時期で相手の希望があれば更新する必要があります。重大な問題がない限り、オーナー側から退去を迫ることはできません。

契約期間を設定する定期借家契約は、問題のある住人の退去を促し、運営しやすくするリスクヘッジとしておすすめです。もちろん、定期借家契約でも期間の更新は可能です。入居者側も管理側もストレスのない運営になります。

まとめ

シェアハウス経営は、空室リスクの分散や利益率の高さから、新しい賃貸経営のスタイルとして注目されています。空室リスクの分散や利益率の高さも大きなメリットですが、経営に失敗しないためには、リスク面も十分に知っておいてください。

住人同士の距離が近い分、住人トラブルを防ぐための対策も重要です。入居者とコミュニケーションを取って円滑に進めるオーナーもいますが、面倒な管理は管理業者に委託する方法もあります。

シェアハウスは最初の物件探しでつまづく方も多いため、専門家に相談・委託するのもおすすめです。

プロフィール
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。