RC造とは「鉄筋コンクリート造」のことを指しています。RCはReinforced Concrete Constructionの頭文字を取った略称です。
RC造の建物は、鉄筋とコンクリートによって構成されており、木造住宅と比較すると非常に頑丈と言えます。さらに、RC造は頑丈さだけではない様々なメリットも存在するので、次の項で詳しく見ていきましょう。
RCマンションの主なメリットは下記の5点です。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
1点目に挙げられるメリットは、耐震性や耐久性の高さです。RC造は木造住宅と比較すると耐震性が高いと言われています。
耐震性が高いと言われる理由には、鉄筋とコンクリートの特性が大きく関係しています。コンクリートは圧縮される力に強く、一方で鉄筋は引っ張られる力に強いのが特徴です。このため、地震特有の横揺れにも縦揺れにも耐えうる耐震性・耐久性の高さを誇ります。
気密性の高さもRC造のメリットです。木造や鉄骨造の場合、木や鉄骨で作成した枠組みに石膏ボードと呼ばれる壁を貼って施工しています。枠とボードで施工した壁にはどうしても隙間が生じるため、その結果、気密性は低くなってしまいます。
一方で、RC造の壁はコンクリートで固めて作られたコンクリート壁です。現地でコンクリートを練って壁にしているので、隙間は生じません。気密性の高い家には、冷暖房が効きやすい・湿度を一定に保ちやすいなどのメリットが挙げられます。
次に挙げられるメリットは、耐火性の高さです。RC造は木造とは異なり材質そのものが燃えることはありません。火災が発生した際には外壁にかかる温度は1000℃とも言われていますが、RC造の強度は温度に影響されないという特徴があります。
木造住宅の耐火温度は250℃・鉄骨造は550℃と言われているので、RC造の耐火性の高さがよくわかるでしょう。
遮音性が優れているという点もRC造のメリットです。木造住宅の場合、上階や左右の住宅の生活音が響きやすいと言う特徴があります。
コンクリート壁により気密性に優れているRC造では遮音性にも優れ、住人は周囲の生活音を気にすることのない快適な生活が送れるでしょう。
最後に挙げられるメリットは、設計時の自由度の高さです。RC造は木造と比較すると柱の数が少なく、リフォームやリノベーションとの相性が非常に良いという特徴があります。
また、設計段階においても木造では難しい丸みのあるデザインや変形したデザインにも対応できます。設計に拘りたい方はぜひRC造を検討してみてください。
多くのメリットがある一方で、RCマンションには下記の3つのデメリットも存在します。
後悔することのないよう、メリットのみではなくデメリットについてもしっかり目を通しておきましょう。
1点目に挙げられるデメリットは、建築費用が高額になりやすいことです。下記に木造とRC造の坪単価の違いをまとめたのでぜひ参考にしてください。
上記の表からもわかるように、RC造は木造と比較すると建築費用が約2〜3倍となります。その分耐用年数が高いなどのメリットはありますが、初期費用や建築費用を抑えたい方にはあまり適していません。
ただし、昨今は木材の価格の高騰により差が少しずつ縮まっているため、実際にどのくらいの差があるのかは不動産会社に聞いてみましょう。
地盤の強化が必要である点も大きなデメリットと言えるでしょう。RC造の建物を建築する場合、その重量に耐えうるほどの頑丈な地盤が必要になります。
このため、地盤が脆弱なエリアや地盤沈下の危険がある場所では、地盤改良工事からスタートしなければいけません。もちろんその分だけ工事費用がかさむので、予算を多く見積もっておく必要があるでしょう。
最後に挙げられるデメリットは、結露が発生しやすいことです。RC造の建物は、コンクリートの特性から建設後の数年は壁に水分が残ってしまいます。
このため、梅雨の時期はカビやすく冬は結露しやすいというトラブルに見舞われることもあるでしょう。
RC造と比較されやすい構造としてSRC造があります。SRC造は鉄骨鉄筋コンクリートの略称で、RC造に鉄骨が組み込まれた構造です。鉄骨のしなやかさとコンクリートの耐久性の両方を兼ね備えています。
この項では、SRC造のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
SRC造の最大のメリットは、トップクラスの耐震性能や耐火性能があることです。RC造に鉄骨を加えてさらに強度を高めているので、地震や火災の被害を最小限にまで留められるでしょう。
また、RC造よりも柱や梁にスペースを取らないため、より自由な設計が可能な構造です。
SRC造には、RC造よりも建築費用がかかり工期も長期化しやすいというデメリットが挙げられます。
完成までに膨大な費用がかかるので、マンションの家賃や販売費用にも大きく影響し、かえって売却しにくい状況に陥るケースも考えておきましょう。
ここまでは、RCマンションのメリット・デメリットについて解説していきました。メリットとデメリットを総括すると、RCマンションは下記のような方におすすめの構造と言えるでしょう。
上記のような方は、RCマンションを選択することをおすすめします。しかし、RC造は建築費用が高くなる傾向があるので、防音性や耐震性をそこまで重視しない方は木造のほうがおすすめです。
RC造は防音性の高い構造ですが、マンションによってその性能は様々です。そのため「住人の騒音問題に悩まされたくないからRCマンションにしたのに防音性が低かった」というトラブルは多々あります。
既に建てられている中古のRCマンションを検討する場合、防音性を確かめるには下記の方法が有効です。
それぞれ詳しく見ていきます。
隣接する住居との壁を叩くと防音性を確認できます。密度が高いマンションの場合には低くつまった音がし、密度が低いマンションの場合には高く軽い音がします。
誰でも簡単にできるので、内見の際には隣接する住居との壁を叩き、その音の響き方でコンクリートの密度を確認しましょう。
続いて挙げられる確認方法は、窓を閉めた状態で手を叩くという方法です。防音性の高い建物の場合には、叩いた音は壁に吸収されずに跳ね返ってきます。
間取りなどによって違いがあるため、全ての物件に共通して言える確認方法ではありませんが、壁を叩く方法と同様に非常に簡単な調べ方なので、ぜひ試してみてください。
最後に挙げられる方法は、マンションの構造を確認することです。RC造は厳密にいうと「ラーメン構造」と「壁式構造」と呼ばれる2種類の構造があります。
壁式構造は柱と梁の代わりにコンクリートのみで壁を支える構造なので、ラーメン構造よりも防音性に優れているのが特徴です。防音性を気にされる場合には、不動産会社や管理会社に一度構造について尋ねてみましょう。
最後に、RCマンションに関するよくある質問をまとめました。現在RCマンションに関して疑問に思うことがない方でも、今後困ることがあるかもしれません。
後から疑問に思うことのないように、よくある質問に目を通しておきましょう。
RCマンションの法的な耐用年数は47年と定められています。耐用年数=建物の寿命ではなく、毎年、減価償却していった結果、47年後に建物の価値が0になることを示しています。
RCマンションの寿命は法定耐用年数の47年です。しかし、築50年以上経過しているのにもかかわらず、現役の賃貸マンションは数多くあります。
その理由は、RCマンションは定期メンテナンスや修繕を施すことにより老朽を遅らせられるからです。実際に国土交通省の『「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介』には、「RC造の寿命は117年」「メンテナンスにより150年まで延命できる」と記載されています。
これらのデータを加味すると、RCマンションの寿命は最大で150年程度であることがわかるでしょう。
RCマンションを建築する場合、地域や依頼する業者によって多少の差はありますが、平均して坪単価80〜120万円が相場です。
解体時の相場は坪単価6〜8万円程度となり、マンションを解体するだけで数百万円のコストがかかってしまいます。
当記事では、RCマンションの特徴やメリット・デメリットについて解説していきました。RCマンションは木造と比較すると耐火性・耐震性・耐久性に優れた構造です。
しかしその一方で、費用が高額になりやすい・結露が発生しやすいなどのデメリットもあります。
当記事で紹介したRC造のメリット・デメリットを参考に、ご自身のニーズにあった構造を探してみてください。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。