タワーマンションとは、60m以上の高さで、20階建て以上の住居建築物です。
一般のマンションとは、住宅環境にかなりの違いがみられます。購入した人はどのような点を後悔しているのでしょうか。以下に10つの理由をまとめました。
【タワーマンション購入で後悔する10の理由】
それぞれの理由について、順番にみていきましょう。
タワーマンションを購入した人が最も後悔する点は、管理費と維持費の高さです。
タワーマンションの特徴である豪華な共用スペースは、住人から集められた多額の管理費によって運営されています。
さらに、タワーマンションは数年に一度の修理や点検が必要です。そのための修繕積立費を払うのも、住民にとっては大きな負担になっています。
地盤が弱い豊洲や武蔵小杉のタワーマンションでは、近年の大型台風により浸水などの大きな被害が出ました。被害が出るたびに修繕が必要となり、管理費や維持費も高くなります。
タワーマンションのエレベーターが渋滞する問題は、住民にとって大きなストレスになっています。
朝の通勤時間や夕方の帰宅ラッシュの際には、エレベーターの前に行列ができるほどです。人数制限で乗れない、各階でストップして進まない、エレベーターの中は満員状態、といった現象が毎日起きています。
エレベーター数の不足が主な原因ですが、地震などの災害時にはパニックが予想されるため、後悔する人が多いポイントです。
タワーマンションの高層階では洗濯物が干せません。なぜなら、洗濯物や布団、ハンガーなどの物品が落下する危険を防ぐために規定されているからです。
そもそも、ベランダが設置されていないタワーマンションも多いので、洗濯物を干すのに適さない環境だと理解しておきましょう。
洗濯方法は、乾燥機か部屋干し、コインランドリーの利用などに限られます。外に干して乾かしたい人には、タワーマンションは向いていないと覚えておきましょう。
タワーマンションでの荷物の受け取りは、非常に手間がかかる作業です。
宅配ロッカーは1階に設置されている場合が多いため、重量のある荷物を高層階まで運ばなければなりません。複数人で運べれば良いですが、一人暮らしでは非常に大変です。
また、タワーマンションではセキュリティが強化されており、入館には何重ものチェックを通過します。食品配達などの業者を玄関まで案内する場合、ロック解除の作業が何回も発生しがちです。
タワーマンションを購入した人の多くは、地震で大きく揺れる建物を見て後悔する人もいます。
タワーマンションは、震度7の直下型地震でも倒壊しない構造基準を満たしています。しかし、倒壊を防止するためにわざと建物を揺らす構造になっており、揺れ幅が尋常ではありません。
階層が高くなればなるほど大きく揺れます。倒れないとは分かっていても、恐怖を感じて後悔する人は後を絶たないようです。
多くの家庭が住むタワーマンションでは、住む階によって地位が決まる場合があります。いわゆる「タワーマンションカースト」です。
高層階の住民は年収や職業もトップクラスの人が多く、富裕層などのエリートが住む傾向があります。低層階の住民に対して優越感を持っている人は、人間関係の中でマウントを取るのです。
高層階の生活環境にあわせようと、精神的に追いつめられ、購入を後悔している人は多く存在します。
タワーマンションの弱点の1つが、インターネット回線の不安定さです。テレワークが当たり前の現代では、インターネットの回線が遅い点を後悔している人が増えています。
特に、一括でケーブルテレビに加入しているタワーマンションの接続速度は遅くなりがちです。最近では、光回線での契約が増えてきたため、タワーマンションのインターネット環境問題は改善されつつあります。
広いプールや、ジム、高級感あふれるラウンジやゲストルームなど、豪華な共有施設が特徴のタワーマンションですが、実際に使用する機会はほとんどありません。
定期的に使用しようとしても、予約が埋まっていて使用できなかったり、時間が合わなかったりと、自分のライフスタイルに組み入れるのは難しいです。
高い管理費と維持費を払っているにもかかわらず、ほとんど使用しない点は、購入を後悔する大きな原因になっています。
タワーマンションは子育てに適した建物とはいえません。なぜなら、高層階から子どもが転落する可能性があるからです。
外出するにも時間がかかり、エレベーターも渋滞しがちなタワーマンションでは、子どもが元気よく遊べる環境が不足しています。そのため、一日中部屋にいる小さな子どもが、外への興味を示すのは自然な反応です。
ベランダや柵がないマンションも多いため、ふとした隙に子どもが転落するリスクは十分にあります。
購入時はかなりの高額物件であるタワーマンションですが、資産価値が下がるリスクが懸念されています。高い価格での売却を計画していた人にとっては、大きな不安材料です。
資産価値が下がる原因の1つに、タワーマンションが建設されすぎた点があげられます。価格の相場を決める際に参考とする競合物件が多すぎて、マンションが供給過多になっているのです。
高い価格での購入が資産価値につながる保証がないため、後悔している人が多いポイントとなっています。
では、後悔せずにタワーマンションを購入するにはどうしたらよいのでしょうか。この章では、後悔しないタワーマンションの選び方についてまとめました。
【後悔しないタワーマンションの選び方】
それぞれについて、詳しく解説します。
タワーマンションの購入を検討する際は、収入や貯金などの自らの資産と照らし合わせる必要があります。
なぜなら、必要な資金は購入額だけではないからです。マンションの長期的な維持を目的とした、管理費や税金、修繕積立費などの算出をしなければなりません。
身の丈に合わない物件を購入し、ローンや諸経費の支払いが生活を圧迫するのは避けたいところです。豪華な施設やサービスだけを重視せず、現在の収入や資金にマッチした物件を選びましょう。
不動産を購入する時の鉄則は、必ず複数の不動産会社の物件を比較する点です。
タワーマンションの価格は立地によってかなり左右されます。交通アクセスや部屋の広さ、周辺環境や地盤の強さなどが重視されるポイントです。
また、タワーマンションに実際に住んでいる人に接触すると、周辺環境や住み方のポイントなどの情報が手に入ります。タワーマンションの購入で不安に思っている点を相談しアドバイスをもらうのも、良い物件と出会うための方法です。
さまざまなタワーマンションを内覧し、自分にあった物件を見つけましょう。
物件を内覧する際に、エレベーターの数の確認は必ずしておきましょう。
タワーマンション購入者のストレスの主な原因は、エレベーターの渋滞や故障による時間のロスです。毎日の生活に関わる重要なポイントなので、しっかりとチェックする必要があります。
また、災害の時はエレベーターが使えないため、避難経路もあわせて確認しておくと安心です。特に、小さな子どもがいる家庭はマンション内での移動手段について重点的にみておきましょう。
将来的に売却を考えている人は、資産価値が下がりにくいタワーマンションを選びましょう。
まず検討すべきは「立地」です。特に交通アクセスや地盤の強さが重視されます。また、再開発エリアでは土地の価格が高騰するため、価値が保たれやすい点が特徴です。
中古物件の場合は、不動産会社による管理体制も資産価値に影響を与えます。加えて、不動産会社のネームバリューも価値が下がらない要因になるため、物件選びの参考にしてください。
タワーマンションを購入して後悔したくない人は、賃貸マンションを借りるのも1つの方法です。
タワーマンションの生活を一度体験でき、生活環境や設備の使い方、交通の利便性などをじっくりと検討できます。タワーマンションでの生活が合わない場合は引っ越せるので、精神的にも負担が少ない方法です。
タワーマンションの賃貸料は決して安くはありませんが、資金に余裕がある人は試してみると良いでしょう。
この記事では、タワーマンション購入で後悔する10つの理由と、後悔しない選び方について解説しました。タワーマンションのメリット・デメリットがわかり、購入する際の注意点が明確になったのではないでしょうか。良いか悪いかの判断は人によってさまざまであり、あくまでも自分の生活スタイルを基準にする姿勢が大切です。タワーマンションを選ぶポイントを押さえ、後悔しない購入をしましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。