築35年のマンションが売れない7つの理由と高く売るためのコツを解説

大切にしてきたマンションを売りに出したのに、なかなか買い手が見つからない。「やっぱり築35年も経っていると、売れないのだろうか…」と不安を感じていらっしゃるかもしれません。

しかし、売れない理由は単に「古いから」ではありません。買主がどのような点に不安を感じ、購入をためらってしまうのか。その具体的な理由と、対策方法を練ることが売却成功への第一歩となります。

この記事では、築35年のマンションが売れにくいと言われる理由から少しでも高く売るための具体的な戦略まで、一つひとつ丁寧に解説します。

最後までお読みいただければ、次に自分が何をすべきか明確になります。

まずは物件価格の正しい把握から!

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築35年のマンションが売れないと言われる7つの理由

ご自身のマンションがなかなか売れないと、「何が原因なんだろう」と悩んでしまいますよね

その理由は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。買主がどのような点に不安を感じるのか、その具体的な理由を一緒に見ていきましょう。

築35年のマンションが売れない7つの理由

  • 耐震基準への不安があるから
  • 住宅ローン控除が利用しにくいから
  • 配管など共用部の老朽化が心配だから
  • 室内設備やデザインが現代ニーズにマッチしていないから
  • 管理状態や修繕積立金の問題があるから
  • 周辺の競合物件に状況・価格で劣っているから
  • 相場よりも割高な売却価格を設定してしまっているから

耐震基準への不安があるから

売れない理由として、まず挙げられるのが「耐震基準」への不安です。買主は1981年6月1日に導入された「新耐震基準」を満たしているかどうかを、物件選びの際に非常に重要なポイントとして見ています。

日本は地震大国ですから、住まいの安全性は何よりも優先したいと考えるのが自然です。

結論、築35年のマンションは、2025年時点では1990年築となり、基本的にはこの新耐震基準を満たしています。しかし、買主の中には「古い=耐震性が低い」という漠然としたイメージを持っている方も少なくありません。

ですから、売却活動の際には「新耐震基準を満たしていること」を担当者や広告文に記載してもらうことが重要です。

住宅ローン控除が利用できないと誤解されているから

築35年のマンションは制度の対象であるにもかかわらず、多くの買主が「古いから対象外だ」と誤解しているケースが多くあります。

なぜなら、かつてこの制度には「マンションは築25年以内」という明確な築年数要件があったからです。この情報が広く浸透していたため、2022年の税制改正でこの要件が撤廃された後も、古い知識のまま判断してしまう買主が少なくありません。

現在の制度では、築年数の要件は「1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅」へと変更されています。

参照元:住宅ローン減税 – 国土交通省

これは実質的に新耐震基準を満たしていることを意味しており、築35年(2025年時点では1990年築)のマンションであれば、この条件を問題なくクリアしています。

住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が所得税などから最大13年間控除される、買主にとって非常に大きな制度です。

例えば、3,000万円のローンを組んだ場合、初年度分として翌年の確定申告・年末調整後に約21万円もの税金が戻ってくる計算になります。

この大きなメリットが受けられないと誤解されてしまうことで、物件の魅力が大きく下がり、売却の機会を逃してしまっている可能性があるのです。

対策として効果的なのは、売却を依頼する不動産会社に、この物件が住宅ローン控除の『建物要件』を満たしている事実を正確に伝え、広告にその旨を記載してもらうことです。

配管など共用部の老朽化が心配だから

室内のきれいさだけでなく、目に見えない部分の老朽化も買主が懸念する大きなポイントです

特に、給排水管といった共用部のインフラは、個人ではリフォームできず、将来的に大きな出費につながるリスクがあります。

人間の体で言えば、配管は血管のようなものです。いくら外見に気を遣っていても、血管が詰まったり脆くなっていたりすると、いつか大きな病気につながりますよね。

マンションも同じで、専有部である室内はリフォームで新しくできても、共用部である配管の交換には多額の費用がかかります。

【共用部配管の工事費用シミュレーション】

工事内容 工事方法 1戸あたりの費用目安 備考
給水管 更新工事(新しい配管に交換) 40万円~70万円 耐用年数は30~40年と長いが、壁や床を壊すため工事が大掛かりになりやすい。
更生工事(既存配管の内部を再生) 25万円~40万円 費用は安く工期も短いが、耐用年数は10~20年程度と短め。配管の状態によっては施工不可。
排水管 更新工事(新しい配管に交換) 50万円~80万円 勾配を考慮する必要があり、給水管より工事が複雑で高額になる傾向がある。
更生工事(既存配管の内部を再生) 30万円~50万円 給水管と同様、費用を抑えられるが耐用年数は短い。

※上記はあくまで目安であり、配管の材質、配管がどこを通っているか(PS内か、コンクリート埋設か)など、マンションの構造によって費用は大きく変動します。

修繕積立金が不足していれば、突然「一時金として数十万円徴収します」といった事態にもなりかねません。買主は、こうした将来のリスクを警戒します

対策方法としては、後述する「ホームインスペクション」や修繕積立金の状況を確認しておく方法があります。

室内設備やデザインが現代ニーズにマッチしていないから

35年も経つと、人々のライフスタイルや住まいへのニーズは大きく変化しています。

キッチン、浴室、トイレといった水回りの設備が古かったり、間取りが現代の暮らしに合っていなかったりすると、買い手からどうしても敬遠されがちです

具体的に、どのような点が「現代のニーズに合わない」と判断されやすいのか、いくつか例を見てみましょう。

間取り・収納面

  • リビングとダイニングキッチンが壁で仕切られ、開放的なLDKとして使えない。
  • 玄関にシューズインクロークがなく、各部屋の収納もウォークインクローゼットではないため、収納力が全体的に低い。
  • リビング横の和室など、現代のライフスタイルでは活用しにくい部屋がある。

水回り設備

  • キッチンが壁付けで、料理をしながら家族の様子が見えない。
  • 浴室に「追い焚き機能」や「浴室換気乾燥機」が標準装備されていない。
  • 洗面台の収納が少なく、洗濯機パンが小さくて最新のドラム式洗濯機が置けない。

内装・その他設備

  • リビング以外の部屋にエアコン用のスリーブ(配管穴)や専用コンセントがない。
  • 各部屋のコンセントの数が少なく、現代の家電事情に対応できない。
  • 床や建具(ドア)が濃い茶色で、部屋全体が暗い印象を与えてしまう。

もちろん、これらは購入後にリフォームすれば解決できますが、その分の費用と手間がかかることを買主は計算に入れます。その結果、リフォーム費用分を値引き交渉の材料にされたり、そもそも検討の対象から外されてしまう可能性が残ってしまうのです。

管理状態や修繕積立金の問題があるから

マンションの価値は、建物そのものだけでなく「管理をどう維持していくか」にかかっています。

マンションの管理状態が悪かったり、将来の大規模修繕のための「修繕積立金」が計画通りに貯まっていなかったりすると、買主は購入をためらいます

なぜなら、管理組合が適切に機能しておらず、修繕積立金が不足しているマンションは、将来的に資産価値が大きく下落する可能性が高いからです。エントランスや廊下が汚れていたり、ゴミ置き場が乱雑だったりする状態は、管理が行き届いていないサインと受け取られます。

買主は「物件を買う」と同時に「管理組合の一員になる」という視点を持っており、将来にわたって安心して暮らせるコミュニティかどうかを厳しくチェックしているのです。

周辺の競合物件に状況・価格で劣っているから

不動産を探している人は、あなたのマンションだけを見ているわけではありません。
同じエリアにある、より築年数が新しい物件や、同じ価格帯でもっと条件の良い物件と比較され、見劣りしてしまうと、売却は難しくなります。

非常にシビアな現実ですが、買主は常に複数の選択肢を天秤にかけています。インターネットで物件情報を検索し、「同じ価格なら、少しでも新しい方がいい」「同じ古さなら、もっと安い方がいい」と考えるのは当然のこと。

ご自身のマンションが、周辺の競合物件と比べて価格面や条件面で優位性を示せない場合、内覧の申し込みすら入らないという状況に陥ってしまいます。

相場よりも割高な売却価格を設定してしまっているから

最後に、最も基本的かつ重要な理由が、売却価格の設定ミスです。

周辺の相場からかけ離れた高すぎる価格を設定してしまうと、買主の検討の土俵にすら上がることができません。

「愛着があるから高く売りたい」「住宅ローンが残っているから、この金額以上じゃないと困る」といった売り手側の事情は、残念ながら買主には関係ありません。

買主は、インターネットや不動産会社からの情報で、そのエリアの相場観をしっかり持っています。

相場より高すぎる物件は、検索結果の段階で除外されてしまいます。「とりあえず高く出して、反応がなければ下げればいい」という考えは、物件の鮮度を落とし、「何か問題があって売れ残っているのでは?」というネガティブな印象を与えかねないため、注意が必要です。

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売却前に確認必須!築35年マンションの資産価値の調べ方

売れない理由が分かると、

「自分のマンションは大丈夫だろうか」

と不安になりますよね。しかし、やみくもに心配する必要はありません。

まずは客観的な事実として、ご自身のマンションの資産価値を冷静に把握することから始めましょう。確認すべきポイントは4つです。

新耐震基準を満たしているか確認する

最も重要なのが、マンションが「新耐震基準」を満たしているかどうかの確認です。これは資産価値の根幹に関わる部分であり、売却活動の前提となります。

確認方法は、マンションの「建築確認済証」に記載されている日付を見ることです。この日付が「1981年(昭和56年)6月1日」以降であれば、新耐震基準で建てられています。

築35年(2025年時点では1990年築)であれば、ほとんどの場合この基準をクリアしているはずですが、念のため書類で確認しておくと、買主や不動産会社に明確な情報として伝えられ、安心感につながります。

書類が見当たらない場合は、管理会社や役所の建築指導課などで確認できます。

マンションの管理状況(長期修繕計画)を確認する

次に、マンションの「現状」をチェックします。

具体的には、「長期修繕計画」と「修繕積立金の状況」を確認することで、マンションが将来にわたって適切に維持管理されていくかどうかを確認しましょう

これらの情報は、管理組合が保管している総会の議事録や決算報告書などで確認できます。特にチェックすべきポイントは以下の3つです。

  • 計画性: 今後25年〜30年を見据えた、具体的な修繕計画が立てられているか。
  • 資金: 計画通りに修繕積立金が貯まっているか。滞納者は多くないか。
  • 実行: 過去の修繕が、計画通りに実施されてきたか。

これらの情報がしっかりしているほど、マンションの管理状態は良好と判断でき、買主への大きなアピールポイントになります。

複数の不動産会社に査定を依頼する

最後に、不動産のプロの視点から具体的な査定額を出してもらいましょう
このとき、必ず複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。

なぜなら、1社だけの査定では、その金額が妥当なのか判断できないからです。不動産会社によって得意なエリアや物件種別が異なり、査定額にも数十万〜数百万円の差が出ることが少なくありません。

【不動産会社による査定額の違い(例)】
対象物件: 東京都世田谷区 / 築35年 / 65㎡ / 3LDK

不動産会社 査定額 査定根拠・特徴
A社(大手) 4,200万円 ・全国の膨大な取引事例データを基に算出。・築年数を機械的に評価に反映するため、やや保守的な価格になりやすい。
B社(地元密着型) 4,500万円 ・当該エリアでの売買実績が豊富。・管理状態の良さや、近隣の生活利便性など、データに表れにくい価値を高く評価。
C社(リノベーション系) 4,350万円 ・リノベーション後の再販価値を考慮。・「このリフォームをすれば、この価格で売れる」という具体的な提案とセットで提示。

※あくまでシミュレーションの例であり、正確な査定額ではありません

複数の会社に査定を依頼することで、ご自身のマンションの適正な価格帯が見えてきますし、各社の販売戦略や担当者の対応を比較することもできます。

最近では、インターネットの一括査定サイトを利用すれば、一度の入力で複数の会社にまとめて依頼できるので便利です。

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築35年のマンションを少しでも高く売るための4つの戦略

ご自身のマンションの現在地が把握できたら、次はいよいよ売却に向けた戦略を立てていきましょう。

築35年という条件は変えられませんが、少しの工夫で買主に与える印象を大きく変え、高く売却できる可能性を高めることができます。ここでは、特に効果的な5つの戦略をご紹介します。

物件の正しい評価額を把握する

インスペクションやリフォームと並行して、売却戦略を立てる上で基本となるのが「ご自身のマンションの正しい価値を把握すること」です。

相場からかけ離れた価格設定をしてしまうと、どんなに物件の状態が良くても買い手は現れません。

これは、中古車を売る時に複数の業者に見積もりを依頼するのと同じです。1社だけの査定額を鵜呑みにしては、その金額が本当に適正か判断できませんよね。

マンションの売却も全く同じで、不動産会社によって得意なエリアや顧客層が異なるため、査定額に数百万円もの差がつくことは珍しくありません。

1社だけの査定では、契約欲しさに相場より高い査定額を提示する「高預かり」といったケースに気づけないリスクもあります。

そこで不可欠なのが、複数の不動産会社に査定を依頼し、その査定額と根拠を比較検討することです。これにより、ご自身のマンションの客観的な相場観が掴め、納得感を持って売出価格を決めることができます。

楽に、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる「不動産一括査定」が便利です。まずはこうしたサービスを活用して、信頼できるパートナー探しと適正価格の把握を同時に進めていきましょう。

買主の不安を払拭するインスペクションの実施

古いマンションに対して買主が抱く最大の不安は、「目に見えない部分に欠陥がないか」という点です。

この不安を解消する最も効果的な方法が、「ホームインスペクション(住宅診断)」の実施です。

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が建物の劣化状況や欠陥の有無を診断し、報告書にまとめてくれるサービスです。費用は5万円〜7万円程度かかりますが、その効果は絶大です。

不動産の専門家によるお墨付き」があることで、買主は安心して購入を検討できますし、売主であるあなた自身も、建物の状態を正確に把握した上で売却活動を進められます。

もし診断で小さな不具合が見つかっても、事前に補修しておくことで、売却後のトラブル(契約不適合責任)を防ぐことにもつながります。

費用対効果を考えたリフォーム・リノベーション

室内が古びた印象だと、どうしても買主の購入意欲は下がってしまいます。そこで、費用対効果を意識したリフォームを検討するのも一つの手です。

ただし、全面的にリフォームする必要はありません。買主の好みが分かれるような大規模なリフォームは、費用がかさむだけで売却価格に反映されないことも多いからです。

ポイントは、買主の第一印象を左右する場所に絞って、コストを抑えながらきれいに見せることです。

優先順位が高い場所:

  • 壁紙(クロス)の張り替え:部屋全体が明るく新しく見える
  • 水回り(キッチン、浴室、トイレ)のクリーニングや一部設備交換
  • 床(フローリングや畳)の補修・張り替え

費用を抑えるコツ:

  • ハウスクリーニングで落ちる汚れは、まずプロに依頼する
  • リフォーム会社に「売却目的のリフォームである」と伝え、費用を抑えた提案をもらう

内覧希望者が魅力を感じるホームステージング術

リフォームまでは難しくても、内覧時の印象を劇的にアップさせる方法があります。
それが「ホームステージング」という、モデルルームのように家具や照明、小物を使って室内を演出する手法です。

内覧に来た人が「ここに住んだら、こんな素敵な生活ができそう」と具体的にイメージできるよう、生活感を消しつつもおしゃれな空間を作り上げます。

専門の会社に依頼すると費用がかかりますが、自分で行うことも可能です。

自分でできるホームステージングのポイント:

  • 片付けと掃除の徹底: まずは不要なものを処分し、隅々まで掃除する
  • 明るさの演出: 照明を一番明るいものに交換し、日中はカーテンを全開にする
  • 視線の統一: 家具の色やテイストを揃え、ごちゃごちゃした印象をなくす
  • 小物の活用: 観葉植物やおしゃれなクッション、間接照明などを置く

少しの手間で、物件の魅力は何倍にも高まります。

古いマンションの売却が得意な不動産会社を選ぶ

最後に、これらの戦略を成功させる上で最も重要なのが、パートナーとなる不動産会社選びです。
新築や築浅物件ばかりを扱う会社ではなく、「古いマンションの売却実績が豊富な会社」を選ぶことが絶対条件です。

古い物件には、古い物件ならではの売却ノウハウがあります。例えば、物件の弱みをどうカバーし、ヴィンテージマンションとしての魅力をどう伝えるか。

リフォームやインスペクションについて、的確なアドバイスをくれるか。そして何より、築古物件を探している購入希望者をどれだけ抱えているか。

複数の不動産会社と面談し、「この担当者なら、自分のマンションの価値を理解し、高く売るために一緒に頑張ってくれそうだ」と心から信頼できるパートナーを見つけることが、売却成功への一番の近道です。

どうしても売れない場合は買取か賃貸を検討しよう

様々な戦略を試しても、立地や物件の状況によっては、どうしても買い手が見つからないケースも残念ながらあります。

しかし、そこで諦めてしまうのはまだ早いです。売却には「仲介」以外にも方法があります。最終手段として検討できる2つの選択肢を見ていきましょう。

不動産会社による買取を検討する

「買取」とは、一般の買主を探す「仲介」とは異なり、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう方法です。

最大のメリットは、売却活動の手間や時間をかけずに、確実かつスピーディーに現金化できる点です。

買主を探す必要がないため、内覧対応や価格交渉もありません。また、売却後の欠陥に対する責任(契約不適合責任)が免除されるケースがほとんどなので、古い物件でも安心して手放すことができます。

ただし、デメリットとして、買取価格は仲介で売却する場合の相場価格の7割〜8割程度になるのが一般的です。スピードと確実性を取るか、少しでも高い金額を目指すかを天秤にかけて判断する必要があります。

メリット デメリット
買取 ・すぐに現金化できる

・売却活動の手間がかからない

・契約不適合責任が免除されることが多い

・周囲に知られずに売却できる

・売却価格が相場の7〜8割になる

・仲介で売ればもっと高く売れた可能性がある

賃貸に出して家賃収入を得る

売却にこだわらず、「賃貸」に出して家賃収入を得るという選択肢もあります

特に、住宅ローンを完済している場合や、賃貸需要が見込めるエリアにある場合は、有効な資産活用法となり得ます。

マンションを所有し続けることで、将来的に周辺エリアが再開発されるなどして資産価値が上がる可能性もあります。また、家賃収入は安定した不労所得となり、私的年金の代わりにもなり得ます。

ただし、空室リスクや家賃滞納リスク、入居者トラブルへの対応、固定資産税や管理費といった維持費がかかり続けるといったデメリットも考慮しなければなりません。賃貸管理会社に管理を委託することもできますが、その場合は管理手数料が発生します。

メリット デメリット
賃貸 ・安定した家賃収入が得られる

・資産として持ち続けることができる

・将来的な資産価値上昇の可能性がある

・空室や家賃滞納のリスクがある

・維持費(管理費、固定資産税など)がかかる

・入居者

トラブルに対応する必要がある

これらの選択肢は、それぞれにメリット・デメリットがあります。ご自身の状況や今後のライフプランと照らし合わせ、不動産会社とも相談しながら、最適な方法を慎重に検討することが大切です。

まとめ

今回は、築35年のマンションが売れない理由と、その状況を打開するための具体的な戦略について解説しました。

売れない理由は、単に「古いから」という漠然としたものではなく、「耐震性」「住宅ローン控除」「老朽化」といった、買主が抱く具体的な不安に起因します

しかし、それらの不安は、一つひとつ対策を講じることで解消していくことが可能です。

まずはご自身のマンションの資産価値を客観的に把握し、インスペクションや費用対効果の高いリフォーム、ホームステージングといった戦略で物件の魅力を最大限に引き出しましょう。

そして何よりも、古いマンションの売却に強い、信頼できる不動産会社というパートナーを見つけることが成功の鍵を握ります。

売却活動が長引くと、どうしても気持ちが滅入ってしまうことがあるかもしれません。しかし、諦める必要はまったくありません。

あなたのマンションの価値を正しく理解し、適切な戦略を実行すれば、きっと良い買主とのご縁につながるはずです。この記事が、その一助となれば幸いです。

築35年のマンション売却に関するよくある質問

最後に、築35年のマンション売却に関してよく寄せられる質問にお答えします。

リフォーム費用は売却価格に上乗せできますか

リフォームにかかった費用をそのまま売却価格に上乗せできるケースは稀です。

一般的に、リフォームによる売却価格の上昇幅は、投資した費用の5割〜7割程度と言われています。買主にも好みがあるため、良かれと思って行ったリフォームが評価されないこともあるからです。

そのため、売却前のリフォームは、壁紙の張り替えやハウスクリーニングなど、費用を抑えつつ第一印象を良くするものに留めるのが賢明です。

売却にかかる費用や税金はどれくらいですか

マンション売却時には、主に以下の費用や税金がかかります。

  • 仲介手数料: 不動産会社に支払う成功報酬。(売買価格の3%+6万円)+消費税が上限。
  • 印紙税: 売買契約書に貼る印紙代。売買価格によりますが、数万円程度です。
  • 抵当権抹消費用: 住宅ローンが残っている場合に、司法書士に支払う登記費用。5万円前後が目安です。
  • 譲渡所得税・住民税: 売却して利益(譲渡所得)が出た場合にかかる税金。所有期間が5年を超えていれば税率は軽減されます。

これらを合計すると、売却価格の4%〜5%程度が目安となります。

売却までにかかる期間の目安はどれくらいですか

不動産会社に仲介を依頼してから、売買契約が成立するまでの期間は、一般的に3ヶ月程度が目安とされています。その後、買主のローン審査などを経て、物件の引き渡し(決済)まではさらに1ヶ月〜2ヶ月ほどかかります。

したがって、トータルでは4ヶ月〜6ヶ月程度を見ておくとよいでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、物件の状況や市場の動向によって大きく変動します。売却を急ぐ場合は、不動産会社にその旨を伝え、販売戦略を相談することが重要です。


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