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セカンドハウスを売却した時の税金は?節税対策や注意点も解説
「ボロボロに老朽化した家をどうにかしたいけれど、直すお金がない」という状況でも、諦めるのはまだ早いです。
お金がなくても、老朽化した家に対処する方法はいくつも存在します。家の修繕費用は箇所によって大きく変動するため、まずは費用相場と安全に関わる優先順位を把握することが大切です。
そのうえで、国の補助金や高齢者向けローン、あるいは現状のまま家を売却するなど多様な選択肢の中から、自分の状況に合った方法を見つけ出しましょう。
老朽化した家を放置すると、固定資産税の増加や資産価値の低下といった深刻なリスクを招くため、早めの対策が欠かせません。
本記事では、家の老朽化でお金がない時の具体的な対処法から費用を抑えるポイントまでを詳しく解説します。
老朽化した家の修繕にかかる費用は、建物の劣化具合や工事を行う範囲によって、数十万円から数百万円以上と大きく変動します。
限られた資金の中でやみくもに修繕を進めても、すぐに予算が尽きてしまうため、まずは雨漏りや耐震性、電気設備といった安全に直結する部分の修繕を最優先に考えましょう。また、複数の業者から見積もりを取って費用と工事内容を比較検討し、無駄な出費をなくすことを前提に計画を立てることをおすすめします。
なお、国土交通省の調査では、リフォーム資金の全国平均は、約154万円となっています。
| 総額 | 自己資金 | 借入金 | 自己資金比率 | |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 154万円 | 132万円 | 22万円 | 85.5% |
| 首都圏 | 160万円 | 149万円 | 11万円 | 93.2% |
| 中京圏 | 142万円 | 84万円 | 59万円 | 58.8% |
| 近畿圏 | 149万円 | 122万円 | 27万円 | 81.8% |
| 一戸建て(一軒家) | 168万円 | 140万円 | 28万円 | 83.4% |
| 集合住宅(マンション・アパート) | 105万円 | 102万円 | 3万円 | 97.1% |
このデータからもわかるように、多くの人が自己資金でリフォーム費用をまかなっていますが、借入金を活用するケースも少なくありません。
ここからは、一軒家とマンションのそれぞれの修繕費用の相場を紹介します。
| 修繕箇所・内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 屋根 | 40万~250万円 |
| 外壁 | 80万~250万円 |
| キッチン | 50万~150万円 |
| 浴室 | 60万~150万円 |
| トイレ | 20万~50万円 |
| 耐震補強工事 | 25万~200万円以上 |
| フルリフォーム | 500万~ |
一軒家の修繕費用は、立地や延床面積、建物の劣化の度合いによって大きく変わります。
特に、屋根や外壁といった外部の工事は、足場を組む必要があるため費用が高額になりがちで、100万円を超えることも珍しくありません。雨漏りやシロアリの被害が柱や土台といった建物の構造部分にまで及んでいる場合は、さらに高額な費用が必要になる可能性があります。
また、家全体を全面的に改修するフルリフォームでは500万円以上、家を解体して更地にする場合でも、木造30坪の住宅で100万円以上の費用がかかることを念頭に置いておくとよいでしょう。
| 修繕箇所・内容 | 費用相場 |
|---|---|
| キッチン | 50万~150万円 |
| 浴室 | 60万~150万円 |
| トイレ | 20万~50万円 |
| 壁紙・床の張替え | 10万~50万円 |
| 間取り変更 | 50万~400万円 |
| フルリフォーム | 300万~ |
マンションの修繕は、自分が所有し自由にリフォームできる「専有部分」と、住民全員で維持管理する「共用部分」に分けて考える必要があります。
キッチンや浴室、壁紙の張り替えといった専有部分のリフォーム費用は、すべて自己負担となります。一方で、外壁や屋上、廊下、エントランスといった共用部分は、マンションの所有者全員で積み立てている「修繕積立金」を使い、管理組合が主体となって計画的に修繕を進めるのが一般的です。
そのため、まずはご自身のマンションの管理規約や長期修繕計画を確認し、どこまでが自己負担の範囲なのかを正確に把握しておきましょう。
家の修繕にはまとまったお金がかかりますが、手元にお金がない状態でも諦める必要はありません。公的な支援制度やローン、あるいは家を売却するという選択肢まで、お金がない時に取りうる対処法は存在します。
ここでは、具体的な9つの対処法を紹介するので、状況に合った方法を見つけてください。
親や祖父母、兄弟姉妹といった親族に相談し、資金援助を受けられないか検討してみましょう。
親族からの援助であれば、返済の必要がない「贈与」としてお金を受け取れる可能性があります。通常、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかりますが、住宅のリフォームや取得を目的とする場合は、省エネ等住宅の場合は最大1,000万円、それ以外の一般住宅の場合は最大500万円まで贈与税が非課税になる「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」という特例制度を活用できるかもしれません。
この制度には、建物の床面積や受贈者の合計所得金額などの要件があるので、詳しくは国税庁のホームページを確認するか、税務署に相談してみるとよいでしょう。
国や地方自治体では、住宅の安全性や性能を向上させるための様々な補助金・助成金制度を用意しています。制度をうまく活用すれば、リフォーム費用の一部を補助してもらえるため、自己負担を大きく軽減できます。
国の制度で代表的なものに「長期優良住宅化リフォーム推進事業」があります。これは、住宅の耐震性や省エネ性能を高めるリフォーム工事などに対して、最大160万円(子育て世帯などが改修する場合は最大210万円)が補助される制度です。ただし、利用するには工事前に専門家による住宅診断(インスペクション)が必須となります。
また、お住まいの市区町村でも、独自の補助金制度を実施している場合があります。特に、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅に対する耐震改修工事や、倒壊の危険性がある空き家の解体費用に対する補助は、多くの自治体で導入されています。
注意点として、ほとんどの補助金は、工事が完了し、一度自己資金で全額を支払った後でなければ補助金が振り込まれない償還払い(後払い)が基本です。
「手元にまったくお金がない状態で、修繕費用を先に払うことが難しい」という人は、リフォームローンなどと組み合わせて活用することを検討しましょう。
金融機関が提供するリフォームローンを利用して、修繕費用を借り入れる方法です。一般的に、住宅ローンよりも審査が通りやすい傾向ですが、借入限度額が低く、金利はやや高めとなっています。
特に60歳以上であれば、公的機関である住宅金融支援機構(JHF)が窓口となっている高齢者向けのローンがおすすめです。毎月の返済は利息のみで元金は死亡時に一括返済する「高齢者向け返済特例制度」や、より幅広い用途に使え、相続人に負債が残らない「ノンリコース型」も選べる「リ・バース60」などがあります。
数十万円程度の比較的少額な修繕費であれば、銀行や消費者金融が提供するカードローンでお金を借りる方法もあります。カードローンは、担保や保証人が不要で、審査も比較的スピーディーなため、急な出費にも対応しやすいのが特徴です。
ただし、リフォームローンに比べて金利が高い傾向にあるため、長期の借り入れには向きません。あくまで、補助金が振り込まれるまでの「つなぎ資金」として利用したり、短期間で返済できる見込みがある場合に限定して利用するなど、計画的な活用を心がけましょう。
もし、ブランド品や貴金属、高級腕時計など、価値のある品物を所有している場合は、それを担保として質屋でお金を借りる方法もあります。質屋は、品物の価値を査定し、その範囲内でお金を貸してくれるため、個人の信用情報に基づく審査は原則としてありません。
即日現金化できる手軽さがありますが、返済期限内に元金と利息を支払えなければ、預けた品物の所有権は質屋に移り、手元に戻ってこない「質流れ」という仕組みになっています。大切な品物を失うリスクがあるため、あくまで最終手段の一つとして考えておきましょう。
自宅にある不用品を売却して、修繕費用にあてるのも一つの手です。今はフリマアプリやネットオークションが普及しているので、スマホ一つで簡単に出品できます。大型の家具や家電は、リサイクルショップの出張買取サービスを利用するのも便利です。
一度に大きな金額を作るのは難しいかもしれませんが、壁紙の張り替えや蛇口の交換といった小規模な修繕費用であれば、不用品の売却で十分にまかなえる可能性があります。家の中を整理する良い機会にもなるでしょう。
リースバックは、今の自宅を専門の事業者に売却し、同時にその事業者と賃貸契約を結ぶことで、家賃を払いながらそのまま住み続けることができます。自宅の所有権は失いますが、売却によってまとまった現金を一度に手にできるため、ローン審査に通らない場合でも資金を調達できる可能性があります。
ただし、リースバックは、売却価格が通常の市場価格よりも大幅に安くなるのが一般的で、毎月支払う家賃が周辺の相場よりも高く設定される傾向があるという大きなデメリットがあります。
さらに、賃貸契約であるため、契約の更新ができずに退去を求められるリスクもゼロではありません。
メリットとデメリットの差が大きいサービスなので、利用を検討する場合は、契約内容を十分に理解し、将来のリスクも考慮したうえで慎重に判断してください。
火災保険は、火事だけでなく、台風や大雪、雹(ひょう)といった自然災害によって建物が受けた損害も補償の対象となる場合があります。
例えば、「台風で屋根瓦が飛んでしまった」「大雪の重みで雨樋が歪んでしまった」といったケースでは、火災保険を使って修繕できる可能性があります。ただし、経年劣化による雨漏りや、老朽化が原因の破損は補償の対象外となるため注意が必要です。
損害の原因が自然災害によるものか、経年劣化によるものかの判断は難しいため、まずは加入している保険会社や、保険申請のサポートを行っている専門業者に相談してみましょう。
どうしても修繕や維持が難しい場合は、家を売却するのも一つの選択肢になります。お金がない状況で家を売却する場合、解体費用などの先行投資が不要な2つの方法が現実的です。
| 古家付き土地として売却する | 建物を解体せずにそのままの状態で売り出す方法。 解体費用を負担する必要がないうえ、売却活動中の固定資産税も住宅があることで軽減されたまま維持できる。 |
|---|---|
| 買取業者に買い取ってもらう | 専門の「買取業者」に家を直接買い取ってもらう方法。 建物がどんなに古くても、雨漏りしていても、現状のまま買い取ってくれる上に、最短で数日~数週間で現金化が可能。 |
古家付き土地として、建物を解体せずにそのままの状態で売り出す方法では、売主にとっては、解体費用を負担する必要がないうえ、売却活動中の固定資産税も住宅があることで軽減されたまま維持できるのがメリットです。ただし、買主が解体費用を負担することになるため、その分、更地として売るよりも売却価格は安くなります。
また、専門の「買取業者」に家を直接買い取ってもらう方法では、買い取った物件にリフォームを施して再販売することを目的としているため、建物がどんな状態でも現状のまま買い取ってくれます。売却までのスピードも速く、最短で数日~数週間で現金化が可能です。一方で、売却価格が市場価格の6~7割程度と、仲介で売るよりも大幅に安くなる点はデメリットです。
価格を取るか、スピードと確実性を取るか、状況に合わせて最適な方法を選ぶとよいでしょう。
家の修繕にはお金がかかりますが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。限られた予算を最大限に有効活用するため、4つのポイントを意識して計画を進めるとよいでしょう。
あれもこれもと手を出すと、あっという間に予算オーバーになってしまいます。まずは、どこを修繕すべきか、優先順位を明確にしましょう。
以下の基準を参考に、本当に必要な工事から着手するのがおすすめです。
まずは生命の安全を確保し、建物の寿命を縮める原因となる不具合から対処していくのが、コストを抑えるうえでの鉄則です。
一度の工事で家全体を完璧に直そうとせず、優先順位の高い箇所から段階的にリフォームを行うのも費用を抑える賢い方法です。
例えば、「今年はまず雨漏りを確実に止め、来年に給湯器を交換し、再来年に外壁を塗装する」といったように、複数年にわたって計画を分けることで、一度の大きな出費を避けられます。
リフォームを段階的に行う方法なら、資金計画に余裕が生まれ、精神的な負担も軽くなります。長期的な視点に立ち、無理のない範囲で少しずつ家の状態を改善していきましょう。
専門的な技術や資格が不要な範囲であれば、自分で修繕を行うDIYも費用を抑える方法として検討しましょう。
例えば、壁の塗装や壁紙の張り替え、簡単な棚の取り付けなどは、ホームセンターで道具や材料を揃えれば、業者に依頼するよりもはるかに安く済みます。
ただし、電気配線の工事や水道管の接続、建物の構造に関わる作業は、専門の資格が必要です。知識がないまま行うと、漏電や漏水といった重大な事故につながる危険性があるため、これらの工事は必ずプロの業者に依頼してください。
安全にできる範囲を見極め、DIYとプロへの依頼をうまく使い分けることがポイントです。
修繕を業者に依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。1社だけの見積もりでは、提示された金額が適正なのか、工事内容が適切なのかを判断できません。
最低でも3社程度から見積もりを取り、それぞれの工事項目の内訳や単価、使用する建材などを詳細に比較検討します。そうすることで、おおよその費用相場が把握でき、不当に高額な請求をしてくる業者を避けられます。
また、業者と価格交渉をする際の有効な材料にもなります。手間はかかりますが、数十万円単位で費用が変わることもあるため、信頼できる業者に適正価格で依頼するためにも、相見積もりは必ず行いましょう。
「お金がないから」と、老朽化した家をそのまま放置し続けると、状況はさらに悪化し、最終的にはより大きな金銭的負担となって自分に返ってくる可能性があります。具体的な4つのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
最も注意すべきは、固定資産税の急増リスクです。
2023年12月に施行された改正「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、放置されて管理が不十分な空き家は、自治体によって「管理不全空家」に指定されることになりました。自治体から状態の改善を求める「指導」を受け、それに従わずに「勧告」が出されると、土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する「住宅用地特例」という措置が解除されてしまいます(同法第13条第2項)。
この特例がなくなると、土地にかかる固定資産税が実質的に最大6倍に跳ね上がるのです。「何もしない」という選択が、逆に多額の税負担という形で大きな打撃になりかねないので注意してください。
建物の構造躯体の劣化が進むと、建物の強度は著しく低下します。特に、地震や大型の台風が発生した場合には、家が倒壊したり、屋根や壁が崩落したりする恐れがあります。
もし倒壊によって隣家を損壊させたり、通行人にケガを負わせたりした場合は、損害賠償責任を問われることになります。自分たち家族の安全だけでなく、近隣住民の安全をも脅かす危険性があることを、重く受け止めなくてはなりません。
管理が行き届かない老朽化した家は、害虫や害獣にとって格好の住処となります。ネズミやハクビシン、ゴキブリやハチなどが巣を作り、繁殖するケースが後を絶ちません。
これらの害虫・害獣の発生は、悪臭や騒音、糞尿によるアレルギーなどの健康被害を引き起こすだけでなく、近隣の家にまで被害が及ぶこともあり、深刻なご近所トラブルに発展する原因にもなります。
家を放置すればするほど建物の劣化は進み、資産としての価値は下がり続けます。最初は小さな雨漏りでも、放置すれば柱や土台を腐らせ、気づいた時には大規模な修繕が必要になっているということも少なくありません。
そうなると、修繕費用は雪だるま式に膨れ上がっていきます。いざ売却しようと思っても、建物の状態が悪すぎて買い手が見つからず、結局は高額な解体費用を負担するだけの「負動産」になってしまうリスクがあるのです。
ここまで様々な対処法を解説してきましたが、「自分の場合はどれが合っているのか分からない」と感じる方もいるかもしれません。そこで、状況に合った最適な選択肢を見つけるための簡単なセルフ診断を用意しました。
【補足】
上記の対処法を実行するうえで少しだけ資金が足りない場合は、「不用品の売却」で資金を作ったり、「カードローン」を短期的に利用したりする方法も併せて検討してみてください。
「ボロボロに老朽化した家を直すお金がない」という問題は深刻で、一人で抱え込んでいると精神的にも追い詰められてしまいます。しかし、本記事で解説したように、お金がなくても取りうる選択肢は数多く存在します。
重要なのは、放置し続けることのリスクを正しく理解し、できるだけ早く行動を起こすことです。特に、2023年12月に施行された改正空き家法によって、放置は固定資産税の急増という形で直接的な経済的負担につながる可能性が高まっています。
まずは、修繕にかかる費用の相場を把握した上で、「補助金やローンを活用して修繕し、住み続ける」「修繕せずに、そのままの状態で売却する」といった大きな方向性を決めることから始めてください。一人で悩まず、自治体の相談窓口や、信頼できる不動産会社、リフォーム業者といった専門家に相談し、状況に合った解決策を見つけましょう。