 
			- 
						20平米はどのくらいの広さ?畳・坪に換算して分かりやすく解説						
 
                    「所有する土地が道路に接していないために、売却できずに困っている」というケースは少なくありません。
しかし、隣地の一部買収などで接道義務を満たすか、現状のまま隣地の所有者や専門の買取業者へ売却する方法を検討すれば、無道路地を売却することは十分に可能です。
なお、再建築ができない土地は担保価値が低く、住宅ローンが組めないため、買い手は専門業者や自己資金で購入できる層などに限定されてしまいます。その結果、売却相場は、接道義務を満たした通常の土地に比べて低くなり、同条件の整形地の3割から7割程度となるのが一般的です。
実際の査定額は個別の要素で大きく異なるため、具体的な相場を知りたい人は、無料で利用できる一括査定を利用してみることをおすすめします。
\ あなたの土地の相場はいくら? /
この記事では、無道路地が売れない理由から、売却方法、売却相場、税務上の評価方法までを解説します。
「無道路地」が売れない最大の理由は、再建築不可物件に該当しやすい点にあります。再建築不可となると、既存建物を解体したり災害で滅失した後に、原則として新築・建替が認められません(建築基準法43条)。
※参考:無道路地の評価|国税庁
土地の利用価値が著しく制限されることで、一般の住宅購入者や不動産開発業者といった買い手が現れにくいのが現状です。
さらに、再建築ができない土地は、担保価値が極めて低いと評価され、住宅ローンの審査が通らないケースがほとんどです。結果として、買い手は自己資金で一括購入できる富裕層や専門業者などに限定され、売却のハードルが上がってしまいます。
ここからは、無道路地が売れない理由を、さらに詳しく解説します。
建物を建てる敷地は、建築基準法で定められた「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」という「接道義務」を満たす必要があります。接道義務は、火災時に消防車がスムーズに進入したり、災害時に住民が安全に避難したりするための「命を守る道」を確保するという目的を持っています。
そのため、接道義務を満たしていない土地では、たとえ今建物が建っていても、それを取り壊して更地にすると、新たに建物を建築することが法的に認められないのです。
再建築不可という状態が、土地の資産価値を著しく下げている根本的な理由だといえるでしょう。
接道を満たせない土地は、金融機関から担保価値が低いと判断されやすくなります。つまり、購入希望者が住宅ローンを組もうとしても、審査に通らないケースがほとんどなのです。
国土交通省の資料でも、「金融機関における既存住宅の担保価値は、接面道路状況などを減価要因と定め、未接道等再建築不可物件の担保価値を低く見積もることが一般的である」「再建築不可物件のリセールが通常困難である」と明記されています。
現在、無道路地となっている土地の多くは、この接道義務が法律で定められる前や、ルールが厳格でなかった時代に生まれたものです。古い家が建ったままになっていることも少なくありません。
金融機関が融資に慎重になるのは、「建て替えができず、将来的な資産価値が見込めない」という不動産としての根本的な問題を抱えているためで、金融機関のリスク管理上、やむを得ない判断ともいえます。
以上のことから、無道路地を売却しようとしても、自己資金で一括購入できる人や不動産買取業者などに買手が限定されてしまうことが、無道路地の売却をより難しくする理由なのです。
\ あなたの土地はいくらで売れる? /
無道路地の売却が難しいことは事実ですが、売却方法として4つの選択肢があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、土地の状況や所有者の希望によってどの方法を選ぶべきか考えましょう。
ここでは、各方法を詳しく解説します。
無道路地を売却する時に最初に検討したいのが、隣接する土地の所有者への売却です。
隣地所有者が土地を取得すれば、自身の敷地を拡張でき、資産価値と利便性の両方を高められるという大きなメリットがあります。
不動産の世界では、隣り合った土地を一つにまとめる画地合併を行うと、単体のときよりも全体の価値が上がることがあります。例えば、隣地所有者の土地も敷地が狭く不整形だった場合、隣地と合わせることで、形が整った利用しやすい土地になり、資産価値が高まるケースも少なくないのです。
このように、隣接地を取得することで生まれる相乗効果を見込んで交渉できるため、全く関係のない第三者に売るよりも有利な条件で話が進む可能性もあります。まずは隣地所有者に売却の意思を伝え、交渉してみることが、早く・高く売れる可能性のある方法といえるでしょう。
土地の法的欠陥を解消し、誰でも家を建てられる「再建築可能な土地」にしてから一般市場で売却する方法もあります。実現できれば、売却価格の大幅な向上が期待できます。
具体的な方法としては、隣地の所有者と交渉し、土地の一部を買い取らせてもらう、あるいは自分の土地の一部と交換(等価交換)するといった方法があります。
そのため、隣地所有者との合意に基づき2m以上の幅を確保できる「通行地役権」を設定し、法務局で登記することが、確実な資産価値向上につながります。
このような方法で再建築不可物件であることを解消できれば、通常の土地として売却活動を始められます。
隣地への売却が難しい場合や、手間をかけずに早く売りたいと考える場合は、「訳あり物件」を専門に扱う買取業者への売却がおすすめです。
法的な問題などを抱えた不動産を専門に扱う買取業者は、無道路地の問題を解決するための専門知識やノウハウを持っています。隣地交渉や行政手続きといった煩雑なプロセスを自社で行うことを前提に、土地を現状のまま買い取ってくれます。
所有者にとってのメリットは、隣地所有者との交渉や市役所での手続きといった手間を一切かけることなく、土地を早く現金化できる点です。また、通常の不動産売買で売主が負うことのある「契約不適合責任」が免除される契約が一般的なため、売却後の心配から解放される安心感も大きいでしょう。
ただし、買取業者は再販までのコストやリスクを織り込んで価格を算出するため、売却価格は市場価格よりも低くなる傾向があります。
\ 複数者の査定額をまとめて比較! /
接道義務を満たしていなくても、法的な救済措置を利用して「再建築可能な土地」として売却する方法があります。
建築基準法には、接道義務を満たさない土地でも、敷地の周囲の状況などから特定行政庁(市町村など)が安全上支障ないと判断した場合に、建築を「許可」または「認定」する制度が定められています。例えば、敷地の周りに公園や広場があったり、公道につながる農道に接していたりするケースがあります。
許可や認定を得ることができれば、法的に再建築が可能な土地となるため、資産価値を向上させた上で売却することが可能です。
許可や認定を取得して売却する方法を検討する場合は、専門家への相談や、管轄の行政窓口への事前確認を必ず行いましょう。
実際の取引では、無道路地の売却価格は、周辺にある接道義務を満たした通常の土地(整形地)の価格を基準に、大幅な割引が適用されます。
具体的な価格は個別の条件によって大きく異なりますが、無道路地の売却価格は、同条件の整形地の3割から7割程度となるのが一般的です。
| 状況・立地 | 一般的な市場価値(整形地比) | 主な価格変動要因 | 
|---|---|---|
| 都市部(接道回復の可能性が高い) | 50% ~ 70% | 隣地買収・地役権設定の交渉の難易度とコスト。 | 
| 都市部(完全に囲まれ回復困難) | 30% ~ 50% | 既存建物の有無と状態(リフォームによる賃貸利用の可否)。駐車場や資材置場としての需要。 | 
| 郊外 | 20% ~ 40% | 周辺地域の開発動向と土地需要。隣地所有者の土地利用意向(敷地拡大のニーズ)。 | 
| 地方・過疎地域 | 10% ~ 30% 以下 | 土地需要そのものが低い。隣地所有者への売却以外に選択肢がほぼない。 | 
例えば、地方で需要が乏しく、かつ接道義務を回復する見込みが全くない土地の場合、その価値は整形地の3割以下、時には1割から2割程度まで下落することもあります。
なお、最終的な売却価格は、以下のような個別要因にも大きく左右されるため、同じ無道路地でも価格には大きな幅が生まれることを覚えておいてください。
| 要因 | ポイント | 
|---|---|
| 隣地所有者との関係 | 価格を決定づける大きな要因の一つ。関係が良好で、現実的な価格で土地の買収や通行地役権の設定が見込まれる場合、再建築可能な土地になるポテンシャルがあると評価される。逆に、交渉不可、法外な買収費用を要求されるなどの場合、価格は著しく低くなる可能性あり。 | 
| アクセス確保の物理的可能性 | 周囲が建物で密集しておらず、物理的に2メートル幅の通路を確保できる見込みがあるか。通路を確保する見込みが全く立たない土地の場合、価値は最低限に留まる。 | 
| 立地と需要 | 都心部などの需要が高いエリアでは、再建築不可であっても駐車場や資材置場としての利用価値が見込めるため、地方の無道路地に比べて高い価格で取引される可能性があり。 | 
| 既存建物の状態 | 更地よりも、建物が存在する方が価値は高くなる傾向。賃貸需要が見込めるエリアであれば、収益物件としての価値が評価額に上乗せされることも。 | 
具体的な相場を知りたい場合は、一括査定を利用して実際の査定価格をチェックしてみましょう。
\ あなたの土地はいくらで売れる? /
無道路地の評価額には、相続税などを計算する際の「税務上の評価」と、実際の売買で用いられる「市場での評価」の2種類があり、これらの金額は大きく異なることを理解しておく必要があります。
市場での評価は、周辺の相場や隣地との関係、立地といった個別要因を総合的に判断し、実態に即して決められた価格です。
「税務上の評価」の計算方法
税務評価では、控除できる通路開設費用相当額は、控除前の土地評価額の40%が上限とされています。そのため、市場価値が7割以上も下落しているような土地でも、税務評価では最大でも40%しか減額されません。
市場価値がほぼゼロに近い資産に対して、不当に高い相続税が課されるようなケースもあるので注意が必要です。この場合、不動産鑑定士による正式な鑑定評価が有効な対抗手段となります。不動産鑑定評価は、市場性や個別要因を詳細に分析するため、通達に基づく画一的な評価よりも実態に近い価額を算出できます。
隣地所有者との交渉がまとまらず、専門の買取業者に売却することにも抵抗がある場合、売却以外の方法で問題を解決することも検討しましょう。
主な対処法として、3つの方法を紹介します。
建物を建てられなくても、建築確認申請が不要な用途で土地を活用し、収益化を目指す方法です。固定資産税の負担を軽減したり、新たな収入源にしたりできる可能性があります。
例えば、駐車場やバイク置き場、近隣住民や事業者向けの資材置き場として貸し出す方法が考えられます。また、土に触れる機会を求める都市部の住民向けに、家庭菜園や貸し農園として利用することもできるでしょう。これらの活用により、少なくとも固定資産税を賄う収益を得られるかもしれません。
ただし、土地へのアクセスが不便な場合は利用者が現れにくい点も考慮しておく必要があります。
相続によって取得した不要な土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討する方法もあります。しかし、この制度は無道路地の解決策として万能ではなく、利用できないケースが多いのが現状です。
制度には、管理に手間や費用がかかりすぎる土地などを承認しない要件が定められており、まさに無道路地が直面しがちな、通行権に問題がある土地は対象外となる可能性が高い点に注意が必要です。
利用するには法務局による審査があり、10年分の土地管理費相当額の負担金を納める必要があります。制度の利用を検討する際は、まず管轄の法務局で相談し、自身の土地が要件を満たすかどうかを確認することから始めましょう。
個人や法人、あるいは自治体などに寄付や贈与をすることで所有権を手放す方法もありますが、手放せる可能性は低いと認識しておくことをおすすめします。
無道路地は活用が難しく、固定資産税の負担だけが発生するため、引き取り手を見つけるのは難しいといえます。特に自治体は、利用価値のない土地の寄付は財政負担につながるため、原則として受け付けません。
親族や知人への贈与も考えられますが、相手に負担を押し付けることにもなりかねないため、慎重に判断する必要があるでしょう。
解決策は、隣地交渉などで「再建築可能」な状態を目指すか、手間や時間をかけずに「訳あり物件専門の買取業者」に現状のまま売却するかの、大きく2つの道筋が現実的な選択肢となるでしょう。
無道路地をそのまま放置すると、管理の負担が続くだけでなく、空き家問題の一因となり、周辺環境へ悪影響を及ぼすリスクもあります。自身の状況や土地のポテンシャルを正しく見極めるためにも、まずは無道路地のような訳あり物件の取り扱いに長けた不動産会社や専門家に相談し、最適な売却方法を検討しましょう。
\ あなたの土地はいくらで売れる? /