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不動産を売買や賃貸で契約する際に発生する費用の一つが、仲介手数料です。手数料額は、物件価格や家賃に応じて変わります。相場を理解しておくことで、不動産会社の提示額が妥当であるかを判断でき、安心して契約を進めることが可能です。
そこで本記事では、売買・賃貸における仲介手数料の違いや計算方法、支払うタイミング、値引きの可否など、知っておくべきポイントを詳しく解説します。
仲介手数料とは、不動産の売買や賃貸借契約が成立した際に、仲介業務を行った不動産会社に支払う成功報酬のことです。具体的には、以下のような取引成立までのさまざまなサポートに対する対価として支払われます。
成功報酬であるため、契約が成立しない限り費用は発生しません。
不動産の仲介手数料は、賃貸と売買で計算方法や金額の考え方が大きく異なります。賃貸では「家賃」を基準に上限が定められているのに対し、売買では「物件価格」に応じて段階的に計算される仕組みです。どちらの取引かによって費用感が大きく変わるため、まずはそれぞれの違いを押さえておくと、その後の内容をスムーズに理解できます。賃貸と売買の違いを、以下の表にまとめました。
| 項目 | 賃貸 | 売買 |
|---|---|---|
| 計算基準 | 月額家賃 | 物件の売買価格 |
| 上限の考え方 | 合計で家賃の1ヶ月分+税 | 売買価格が400万円超の場合:売買価格×3%+6万円+消費税 |
| 金額の目安 | 家賃の0.5〜1ヶ月分 | 数十万〜数百万円 |
| 支払いタイミング | 契約締結時 | 契約時と引渡し時の2回に分けるのが一般的 |
詳細な計算方法や具体例については、「売買」「賃貸」それぞれの章で詳しく解説します。
売買の仲介手数料は物件価格に応じて計算式が定められており、上限額が実質的な相場となります。本章では、仲介手数料の基本となる計算の考え方や、価格帯ごとの目安、低廉な物件に適用される特例、あわせて知っておきたい注意点を解説します。
不動産売買における仲介手数料には、宅地建物取引業法で定められた「上限額」があり、物件の売買価格に応じて以下の3段階の計算式が設定されています。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限額の計算式 |
|---|---|
| 200万円以下の場合 | 売買価格×5%+消費税 |
| 200万円超〜400万円以下の場合 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
| 400万円超の場合 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
この計算式は、マンション・戸建て・土地など、不動産の種類に限らず適用されており、宅地建物取引業法で定められた仲介手数料の上限です。そのため、上減額を超えて請求することは違反行為に該当します。
なお、仲介手数料を負担するのは、原則、売主と買主の双方です。売主は売主側の不動産会社に、買主は買主側の不動産会社に支払います。一つの不動産会社が売主・買主の両方を仲介する「両手取引」の場合でも、売主・買主それぞれが仲介手数料を支払うのが一般的です。
売買価格別の仲介手数料の上限額を、以下のテーブル表でまとめました。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限額(税込) |
|---|---|
| 500万円 | 23万1,000円 |
| 1,000万円 | 39万6,000円 |
| 1,500万円 | 56万1,000円 |
| 2,000万円 | 72万6,000円 |
| 2,500万円 | 89万1,000円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 |
| 3,500万円 | 122万1,000円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 |
| 4,500万円 | 155万1,000円 |
| 5,000万円 | 171万6,000円 |
| 5,500万円 | 188万1,000円 |
| 6,000万円 | 204万6,000円 |
| 6,500万円 | 221万1,000円 |
| 7,000万円 | 237万6,000円 |
| 7,500万円 | 254万1,000円 |
| 8,000万円 | 270万6,000円 |
| 8,500万円 | 287万1,000円 |
| 9,000万円 | 303万6,000円 |
| 9,500万円 | 320万1,000円 |
| 1億円 | 336万6,000円 |
仲介手数料は不動産会社が提供するサービスに対する報酬であるため、消費税の課税対象となります。2025年12月現在の消費税率は10%であるため、計算式で算出した金額に10%を加算した額が実際の支払額となります。
例えば、3,000万円の物件の場合は「3,000万円×3%+6万円=96万円」に消費税10%を加えた105.6万円が仲介手数料です。
一方、物件価格そのものについては、売主が個人の場合は非課税、不動産会社などの法人が売主の場合は課税対象となります。広告などで表示されている価格が税込か税抜かを確認し、正確な仲介手数料を把握しましょう。
2024年7月の法改正により、800万円以下の低廉な空家等については仲介手数料の特例が設けられました。
この特例では、通常の計算式にかかわらず、最大33万円(税込)まで仲介手数料を請求できます(※)。
本特例の対象となるのは「800万円以下の宅地(土地)または建物」で、以下のように使用の状態は問いません。
たとえ空家であって、物件の売買代金が800万円を超える場合は、特例の対象外です。不動産会社は媒介契約の締結時に依頼者へ特例について説明し、合意を得る必要があります。
賃貸における仲介手数料は、合計上限が家賃1ヶ月分であり、売買の場合と考え方が異なります。本章では、仲介手数料の基本的な算定ルールや、家賃別のおおよその金額感、適用される特例制度について解説します。
賃貸物件の仲介手数料では、貸主と借主の双方から受け取れる手数料の合計が「家賃1ヶ月分+消費税」です。上限の範囲内であれば、不動産会社は自由に仲介手数料を設定できます。
なお、本計算に含まれる「家賃」とは月額賃料を指し、共益費や管理費、駐車場代は含まれません。また、仲介手数料の負担者が借主のみか貸主・借主の双方かによっても考え方が異なります。
| 仲介手数料の上限 | |
|---|---|
| 借主のみが負担 | 原則家賃0.5ヶ月分+消費税 |
| 貸主・借主の双方が負担 | 原則家賃0.5ヶ月分+消費税 ※各負担社から上記を受け取れる |
借主のみが仲介手数料を負担する場合、宅地建物取引業法に基づく告示で定められた規則で、借主が事前に承諾した場合に限り「家賃1ヶ月分+消費税」まで請求することが認められています。
また、貸主と借主の双方が仲介手数料を負担する場合、それぞれから「家賃0.5ヶ月分+消費税」ずつを受け取るのが本来の原則です。この場合、不動産会社が受け取る仲介手数料の合計は上限の「家賃1ヶ月分+消費税」となります。
参照元:国土交通省|<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ
家賃別の仲介手数料は、以下のとおりです。
| 家賃 | 仲介手数料(税込) | |
|---|---|---|
| 0.5ヶ月分の場合 | 1ヶ月分の場合 | |
| 5万円 | 2万7,500円 | 5万5,000円 |
| 7万円 | 3万8,500円 | 7万7,000円 |
| 10万円 | 5万5,000円 | 11万円 |
| 13万円 | 7万1,500円 | 14万3,000円 |
| 15万円 | 8万2,500円 | 16万5,000円 |
| 17万円 | 9万3,500円 | 18万7,000円 |
| 20万円 | 11万円 | 22万円 |
| 23万円 | 12万6,500円 | 25万3,000円 |
| 25万円 | 13万7,500円 | 27万5,000円 |
物件の賃貸を検討している方は、参考にしてみてください。
2024年7月1日より、賃貸物件においても仲介手数料の特例が設けられています。本特例では「長期の空家等」の仲介について、貸主から受け取る仲介手数料の上限が「1ヶ月分の賃料×2.2倍(税込)」まで引き上げられました(※1)。「長期の空家等」とは、主に以下の2つを指します(※2)。
借主からも仲介手数料を受領する際には「合計して賃料1ヶ月分の2.2倍以内」であり、以下のように上限を超えて報酬を受領できるのは貸主である依頼者からのみです。
不動産会社は媒介契約締結時に貸主へこの特例について説明し、合意を得る必要があります。
(※1)参照元:国土交通省|<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ
(※2)参照元:国土交通省|空き家等に係る媒介報酬規制の見直し
仲介手数料を支払うタイミングは、売買と賃貸で以下のように異なります。
それぞれ詳しく解説します。
不動産売買における仲介手数料の支払いタイミングは、一般的に「売買契約締結時に半額、物件引渡し時に残り半額」の2回です。法律上は契約成立時に全額を請求することも可能です。しかし、売買契約から引渡しまでには通常1~2ヶ月程度の期間があり、仲介手数料も高額になることから、不動産会社側のリスク分散の観点で分割払いが一般的になっています。
賃貸物件の仲介手数料は、賃貸借契約が正式に締結されたタイミングで支払うのが一般的です。不動産会社への支払い確認が取れた後、正式に契約が成立し、鍵の引渡しを受けられます。仲介手数料のほか、敷金・礼金や日割り家賃、各種保険料、前家賃などを一緒に支払う必要があります。
仲介手数料の値引きは、基本的に難しい傾向にあります。ただし、売買と賃貸によっても値引きに対する考え方が異なります。
宅建業法で定められているのは「上限額」であり、それより安く設定することは法律上問題ありません。そのため、値引き交渉自体は可能です。しかし、仲介手数料は不動産仲介会社の売上に直結するため、大幅な値引きは難しいのが実情です。
値引きに応じてもらいやすいケースとして、売主・買主の両方を同じ不動産会社が仲介する「両手取引」の場合が考えられます。会社側が双方から手数料を得られるため取り分である報酬額も大きくなることから、交渉の余地が生まれやすくなるからです。
ただし、過度な値引き要求には注意が必要です。不動産会社との信頼関係を損ねると、物件調査や契約書類作成が雑になったり、交渉時のサポートが手薄になったり、トラブル発生時の対応が遅れたりする可能性も考えられるでしょう。そのため、仲介手数料の値引き交渉以外で費用を抑えるために、以下のような方法がおすすめです。
複数の不動産会社を比較する際は、値段だけでなく、担当者の対応力や会社の信頼性も総合的に判断することが重要です。
賃貸の仲介手数料も値引き交渉は法律上可能ですが、実際に応じてもらえる可能性は売買よりもさらに低くなります。賃貸の仲介手数料は不動産会社の主要な収益源であり、金額も比較的少額(家賃の0.5〜1ヶ月分)であるため、利益率が低く値引きの余地が少ないです。
それでも交渉の余地があるケースとして、5〜8月にかけての閑散期は、繁忙期を避けることで交渉しやすいと考えられます。また、長期間空室になっている物件は、オーナーが早く決めたいと考えているため交渉余地が生まれやすいです。
値引き交渉以外で費用を抑えるなら、最初から仲介手数料が安い不動産会社を選ぶのが確実です。また、敷金・礼金が不要な物件を選んだり、初月の家賃が無料になるフリーレント物件を選んだりすることで、初期費用全体を抑えられるでしょう。
仲介手数料に関してよくある質問は、以下の4つです。
それぞれ詳しく解説します。
仲介手数料の分割払いは、原則として認められていません。売買の場合は契約時と引渡し時の2回払いが一般的ですが、これは分割払いではなく、業務の進捗に応じた2段階の支払いになります。
また賃貸の場合は、契約時に一括で支払うのが基本です。ただし、不動産会社によっては、特別な事情がある場合に限り、個別に相談に応じてくれるケースもあります。
仲介手数料無料や半額を謳う不動産会社も存在しますが、必ずしもお得とは限りません。仲介手数料を無料にできるのは、以下のようなケースです。
ただし仲介手数料を無料にしている会社のなかには、別の名目で費用を請求したり、物件価格に上乗せしたりするケースもあり、結果的に負担が増える可能性があります。さらに、仲介手数料は不動産会社にとって重要な収益源であるため、報酬が適正でなければサービスの質が低下するリスクもあります。
そのため、物件の調査や交渉、アフターフォローまで含めて安心できる取引を望むなら、適正な仲介手数料を支払って信頼できる不動産会社を選ぶことが、長期的には賢明だと言えるでしょう。
仲介手数料は成功報酬制であるため、売買契約や賃貸借契約が成立しなければ支払う必要はありません。たとえ不動産会社と媒介契約を結んで後で、何度も内見に同行してもらったとしても、最終的に契約に至らなければ仲介手数料は発生しません。
ただし、媒介契約書に特別な条項が記載されている場合や、通常の業務範囲を超える特別な依頼(遠方への出張や特殊な調査など)については、実費を請求される可能性があります。媒介契約を結ぶ際は、契約書の内容をよく確認し、不明な点は事前に質問しておくことが重要です。
売買契約後に契約解除となった場合、仲介手数料の取り扱いは解除の理由によって対応が異なります。買主の住宅ローン特約による解除や、契約書に定められた条件未達成による解除など、正当な理由がある場合は、すでに支払った仲介手数料は返金されるのが一般的です。
しかし、買主や売主の一方的な都合による契約解除の場合には、すでに仲介業務が完了しているため、仲介手数料の返金はされないケースがあります。また、手付解除(買主が手付金を放棄して解除する)の場合も、原則として仲介手数料は返金されません。契約解除時の仲介手数料の取り扱いについては、媒介契約書や重要事項説明書に記載されているため、契約前に必ず確認しておくことが大切です。
仲介手数料は、不動産会社が契約成立までに行う業務への報酬であり、売買と賃貸で計算方法や金額の相場が異なります。売買では物件価格に応じた段階式で算出され、数十万円から数百万円に達するのが一般的です。賃貸では家賃を基準に、合計で1ヶ月分と消費税が上限となります。
また、2024年の法改正により、売買では800万円以下の物件に最大33万円の特例が設けられ、賃貸では長期空室に対して上限が2.2倍に拡張されました。相場を理解しておくことで提示額の妥当性を判断でき、安心して契約を進めることができます。