不動産売却価格を自分で計算・調べる方法|査定を依頼する際のポイントも解説

不動産売却価格を自分で計算・調べる方法|査定を依頼する際のポイントも解説

不動産の売却にあたり「査定額4,000万円と言われたけど、本当に適正な価格なのか?」「不動産会社の言いなりになって損をしないだろうか?」と、不安を感じる方は多く見受けられます。売却で後悔しないためには、不動産会社に任せきりにするのではなく、事前に自分で相場の目安を把握しておくことが重要です。

そこで本記事では、不動産売却価格を計算する方法から、実際の売却価格が決まる仕組みや手残り額の考え方、査定で騙されないためのポイントなどを詳しく解説します。

不動産売却価格を自分で計算・調べる方法

不動産の売却価格を自分で調べる方法には、主に以下の4つがあります。

方法 概要 確認に必要な物 適している物件
固定資産税評価額から計算 固定資産税の評価額を元に計算式で算出 固定資産税納税通知書 土地・一戸建て・マンション
過去の成約事例から調べる 類似物件の成約価格を比較検討 インターネット環境 土地・一戸建て・マンション
公示地価から調べる 国が公表する標準地の価格から推定 国土交通省のサイト 土地
路線価から計算 国が定めた道路の価格から土地の価格を算出 国税庁の路線価図 土地

それぞれの方法には特徴があり、物件の種類や調べたい内容によって使い分けることが大切です。より正確な相場を知りたい場合は、過去の成約事例を調べる方法がおすすめです。実際に取引された類似物件の価格を確認できるため、最も現実に近い相場感をつかめます。

それぞれ詳しく解説します。

1. 固定資産税評価額から計算する

固定資産税評価額とは、市区町村が固定資産税を課税するために設定している不動産の評価額のことです。固定資産税評価額は、毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されているため、手元にあればすぐに確認できます。

一般的に、固定資産税評価額は公示地価の70%程度に設定されています。一方、公示地価に対して実際の売却価格は110〜120%程度になることが多いです。この関係をもとにすると、売却価格の目安は以下の手順で算出できます。

固定資産税評価額 ÷ 0.7 = 公示地価

公示地価 × 110〜120% = 売却価格の目安

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、以下のように計算します。

公示地価:2,000万円 ÷ 0.7 = 約2,857万円

売却価格の目安:約2,857万円 × 110〜120% = 約3,142万~3,428万円

このように、固定資産税評価額が分かれば、大まかな売却相場を数分で把握可能です。ただし、この方法で算出できるのはあくまで「目安」であり、実際の売却価格は物件の状態や立地、市場の需要などによって変動します。

また、マンションの場合は土地と建物それぞれの評価額を合算する必要があり、実勢価格(実際の取引価格)との差が出やすい点にも注意が必要です。それでも、固定資産税納税通知書さえあれば誰でも簡単に計算できるため、最初に試してみる方法としておすすめです。

関連記事:固定資産税評価額から売却相場は計算できる?計算方法と注意点を解説

2. 過去の成約事例から相場を確認する

過去の成約事例から相場を調べると、実際に売買が成立した類似物件の価格を比較検討するため、精度が高く現実的な相場を把握できます。主な調べ方は、以下の2つです。

  • レインズを活用する
  • 不動産ポータルサイトを活用する

不動産流通機構が運営する「レインズ(REINS Market Information)」では、無料で成約情報を閲覧できます。これにより、実際にいくらで売れたのかという実績を確認することが可能です。

一方、SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトでは、現在売り出し中の類似物件の価格を確認できます。ただし、不動産ポータルサイトでわかるのは「売り出し価格」であり、実際の成約価格は交渉などにより下がるケースが多いです。

レインズで過去の成約実績を、ポータルサイトで現在の市場動向を確認することで、より正確な相場感をつかめるでしょう。

関連記事:レインズとは|不動産売却で利用するメリットや個人でレインズを見る方法などを解説

3. 公示地価から調べる

公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表する「標準地における土地の適正な価格」のことです。全国約26,000地点の標準地について、1月1日時点の1㎡あたりの価格が公表されています(※)。

公示地価は、実際の取引価格(実勢価格)に近い水準とされることが多く、実勢価格の約90〜100%程度になるのが一般的です。ただし、都心や人気エリアでは需要が高いため、実勢価格が公示地価を上回る傾向があります。

公示地価を使った売却価格の計算方法は、以下のとおりです。

  • 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」にアクセス
  • 自分の土地に近い標準地の公示地価を確認
  • 公示地価 × 土地面積で概算を算出

例えば、最寄りの標準地の公示地価が25万円/㎡で、土地面積が100㎡の場合は「25万円 × 100㎡ = 2,500万円」が目安となります。ただし、標準地と自分の土地では立地条件や形状が異なるため、実際の価格とは差が生じる可能性があることを理解しておきましょう。

なお、公示地価と似た指標として「基準地価(都道府県地価調査)」があります。基準地価は都道府県が7月1日時点で調査したもので、調査の主体とタイミングが異なるのが特徴です。

基準地価も公示地価と同様に売却価格の目安として活用でき、両方を確認することでより多角的に不動産の価格動向を把握できます。

関連記事:公示地価とは?基準地価や路線価との違いをわかりやすく解説

(※)参照元:国土交通省|令和7年地価公示の実施状況

4. 路線価から計算する

路線価とは、国税庁が毎年7月に公表する「道路に面した土地の1㎡あたりの評価額」のことです。主に相続税や贈与税の計算に使われる指標で、公示地価の80%程度の水準に設定されています。

公示地価の110〜120%程度が売却価格の目安になることが多いため、路線価からも売却価格を推定できます。路線価を使った売却価格の計算式は、以下のとおりです。

路線価 × 土地面積 ÷ 0.8 = 公示地価

公示地価 × 110〜120% = 売却価格の目安

例えば、路線価が20万円/㎡で、土地面積が100㎡の場合は以下のように計算します。

公示地価:20万円 × 100㎡ ÷ 0.8 = 2,500万円

売却価格の目安:2,500万円 × 110〜120% = 2,750万~3,000万円

路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で無料で調べることが可能です。地図上で自分の土地が面している道路を探し、その道路に記載されている数字が路線価になります。

この方法は、主に土地や一戸建ての土地部分の価格を知りたい時に有効です。ただし、土地の形状が不整形だったり、複数の道路に面している場合は計算が複雑になります。そのような場合は、不動産の専門家や税理士に確認してもらうことをおすすめします。

関連記事:不動産売却における路線価とは?土地査定に必要な価格の調べ方や実勢価格との違いを解説

自分で計算・調べた不動産売却価格はあくまで目安なので注意

自分で計算・調べた不動産売却価格は、あくまで相場の目安であり、実際に売買が成立する価格とは一致しないことがあります。これは、不動産の価格が一律に決まるものではなく、売却の過程や市場状況によって決まるためです。

不動産売却の際に知っておくべき価格には、主に以下の3つがあります。

価格の種類 意味 決める人 タイミング
査定価格 不動産会社が算出する売却可能価格 不動産会社の担当者 売却検討時
売り出し価格 実際に市場に出す価格 売主 売却活動開始時
成約価格 実際に売買が成立した価格 売主と買主の交渉 契約時

まず、売主は自身で調べた相場や、不動産会社の査定価格を参考にして「売り出し価格」を決めます。しかし、最終的な「成約価格」は、買主との価格交渉や市場の需給バランスによって決まります。

一般的には、成約価格は売り出し価格よりも低くなることが多いです。ただし、近年は不動産価格の高騰や需要増加の影響により、人気エリアでは売り出し価格と成約価格の差(価格乖離率)が小さい、あるいはほとんど差が出ないケースも見られます。

このように、査定価格・売り出し価格・成約価格はそれぞれ役割が異なるため、自分で計算した価格だけを過信するのは危険です。しかし不動産会社に査定を依頼する前に、自分で相場を把握しておくことは重要です。

相場感を持っていれば、不動産会社から提示された査定価格が妥当かどうかを判断できます。また複数社に査定を依頼した際に、どの査定が根拠のあるものかを見極める材料にもなるからです。

実際の不動産売却価格に影響を与える要素

不動産売却価格に影響する8つの要素(立地条件・築年数・建物の状態・土地と建物の広さや形・間取り・管理状況とメンテナンス履歴・市場動向・その他の要素)を示した分類図

不動産の売却価格は、固定資産税評価額や成約事例などから一定の目安を算出できますが、最終的な価格は物件ごとの条件や市場環境によって大きく左右されます。そのため、同じエリア・同じ広さであっても、売却価格に差が出ることは多くあります。

売却価格に影響を与える主な要素は、以下のとおりです。

要素 プラスになる要素 マイナスになる要素
立地条件
  • 駅徒歩10分以内
  • 商業施設や学校が近い
  • 公共交通機関の利便性が高い
  • 駅から遠い(徒歩15分以上)
  • 周辺に生活施設が少ない
  • 交通の便が悪い
築年数
  • 築浅(築10年以内)
  • 新築に近い状態
  • 築古(築20年以上)
  • 大規模修繕の時期が近い
建物の状態
  • リフォーム済み
  • メンテナンスが行き届いている
  • 設備が新しい
  • 経年劣化が目立つ
  • 修繕が必要な箇所が多い
  • 設備が古い
土地・建物の広さや形
  • 専有面積や土地面積が広い
  • 土地が整形地(正方形や長方形)
  • 間口が広い
  • 専有面積や土地面積が狭い
  • 旗竿地など不整形地
  • 間口が狭い
間取り
  • 動線が良い間取り
  • 日当たりが良い
  • 収納が豊富
  • 使いにくい間取り
  • 日当たりが悪い
  • 収納が少ない
管理状況とメンテナンス履歴 【マンション】

  • 管理組合の運営が良好
  • 計画修繕が適切に実施
  • 共用部分が清潔

【一戸建て】

  • 修繕やリフォーム履歴あり
【マンション】

  • 管理組合の運営に問題
  • 修繕積立金が不足
  • 共用部分の清掃が不十分

【一戸建て】

  • 修繕やリフォーム履歴なし
市場動向(市況)
  • 周辺エリアの不動産需要が高い
  • 金利が低い
  • 再開発で地域の価値が上昇
  • 周辺エリアの不動産需要が低い
  • 金利が高い
  • 地域の人口が減少
その他の要素
  • 眺望が良い
  • 閑静な住宅街
  • 南向き
  • 騒音がある(線路沿い等)
  • 墓地や工場が近い
  • 北向き

不動産の売却価格は多くの要素が複雑に絡み合って決まるため、自分で計算した価格はあくまで参考値にすぎません。これらの条件を総合的に判断し、実際に「いくらで売れるか」を見極めるためには、地域特性や市場動向を熟知した不動産会社による査定が不可欠です。

不動産の売却価格から手残り額を計算する方法

不動産を売却する際には、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。手残り額は、以下の計算式で算出できます。

売却価格 − 諸費用 − 譲渡所得税 − 住宅ローン残債 = 手残り額

売却価格から差し引かれる費用や税金について、順番に詳しく見ていきましょう。

1. 不動産売却にかかる費用の目安は売却額の5~10%

不動産売却にかかる費用の目安は売却額の5〜10%ほどで、以下のような費用が発生します。

費用項目 概要 目安金額
仲介手数料 不動産会社に支払う成功報酬 売却価格400万円超の場合:
売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
譲渡所得税 売却によって利益(譲渡所得)が出た場合に課税される税金 所有期間5年以下:約39%
所有期間5年超:約20%
印紙税 売買契約書に貼付する税金で、売却価格に応じて金額が変動 1万〜6万円程度(売却価格による)
抵当権抹消費用 住宅ローン完済時に発生する登記費用 登録免許税:不動産の数×1,000円
司法書士費用:1万〜3万円程度
その他 ハウスクリーニング、測量費用、残置物の処分費用など 物件により異なる

売却価格だけでなく、最終的にいくら手元に残るのか(手取り額)を意識しておくことが重要です。売却を検討する段階で、おおよその費用感を把握しておくと、資金計画も立てやすくなります。

2. 売却で利益が出た場合は譲渡所得税が発生

譲渡所得税は、売却によって得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金です。譲渡所得は、以下の計算式で算出できます。

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

取得費は、物件を購入した時の価格から減価償却費を差し引いた金額のことです。譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、登記費用など、売却にかかった費用のことです。

なお、建物部分に関しては、減価償却費の計算が必要になり、以下の計算式を使用します。

減価償却費 = 建物取得価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率は建物の構造によって異なり、木造は0.031、鉄筋コンクリート造は0.015などと定められています。

譲渡所得が算出できたら、所有期間に応じた税率をかけて譲渡所得税を計算しましょう。

適用される税率の目安
  • 所有期間が5年以下の場合:短期譲渡所得として約39%(所得税30%+住民税9%)
  • 所有期間が5年を超える場合:長期譲渡所得として約20%(所得税15%+住民税5%)

詳しい計算方法は、国税庁のホームページで確認できます。

参照元:国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの

参照元:国税庁|「減価償却費」の計算について

3. 住宅ローン残債がある場合は完済が必要

住宅ローンが残っている場合は、売却代金を使ってローンを完済することが原則です。まずは、金融機関から送付される「返済予定表」や、インターネットバンキングなどで現在のローン残債額を正確に確認しておきましょう。

売却価格がローン残債を上回っていれば問題ありませんが、売却価格が残債を下回る場合(オーバーローン)は注意が必要です。この場合、不足分を自己資金で補填しなければ売却できません。

また、ローンを完済する際には、あわせて抵当権抹消の手続きを行います。抵当権抹消とは、金融機関が不動産に設定している担保権を解除する登記手続きのことです。これを行わないと、不動産を第三者へ引き渡せません。

これらの費用も不動産売却に伴う諸費用の一部となるため、売却前の段階で必ず資金計画に組み込んでおくことが重要です。

4. 手取り額計算シミュレーション

実際の手取り額がどれくらいになるのか、具体例で見てみましょう。

3,000万円で購入したマンション(築25年、建物価格1,500万円、鉄筋コンクリート造)を4,000万円で売却し、ローン残債が1,000万円ある場合を想定します。

  1. 減価償却費を計算
    1,500万円 × 0.9 × 0.015 × 25年 = 506万円
  2. 譲渡所得を計算
    売却価格4,000万円 − 取得費(3,000万円 − 506万円)− 譲渡費用150万円 = 1,356万円
  3. 譲渡所得税を計算(所有期間5年超の場合)
    1,356万円 × 20.315% = 約275万円
  4. 手残り額を計算
    4,000万円 − 諸費用150万円 − 譲渡所得税275万円 − ローン残債1,000万円 = 2,575万円

この例では、4,000万円で売却しても、最終的な手残り額は約2,575万円となります。実際には3,000万円特別控除などの特例が適用できる場合もあるため、詳細は税理士に相談するようにしましょう。

不動産会社の売却査定で騙されないためには?

何も考えずに査定を任せてしまうと、相場とかけ離れた価格を信じてしまったり、不利な条件で売却を進めてしまったりする可能性があります。以下のポイントを押さえることで、信頼できる不動産会社を見極め、適正な価格で売却しやすくなります。

  • 希望の最低価格や時期を決めておく
  • 複数の不動産会社で査定してもらう
  • 不動産一括査定サイトを活用する

1. 希望の最低価格や時期を決めておく

査定を依頼する前に、最低価格と売却時期の希望を明確にしておきましょう。最低価格は、以下のような情報を考慮して設定します。

  • 住宅ローン残債
  • 売却にかかる諸費用(仲介手数料、登記費用など)
  • 次の住居の購入資金

また、諸費用を考慮した手残り額を計算し、最低限必要な売却価格を算出しておきます。相場より高すぎる希望価格を設定すると売却期間が長引くため、自分で調べた相場を参考に現実的な価格を設定することが大切です。また、転勤や住み替えなど売却期限がある場合は、その旨を不動産会社に明確に伝えておきましょう。

期限がある場合は、やや低めの価格設定でスピード重視の売却戦略を立てる必要があるためです。事前に自分の希望条件を整理しておくことで、不動産会社との交渉もスムーズに進められます。

2. 複数の不動産会社で査定してもらう

不動産の査定額は、不動産会社によって数百万円単位で差が出ることもあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。複数社の査定を比較することで、適正な相場観をつかめるだけでなく、極端に高い査定や低い査定を見極められます。

また、各社の営業担当者の対応や提案内容を比較できるため、信頼できる不動産会社を選ぶ判断材料にもなります。なかには、契約を取るために相場より高い査定額を提示し、実際には売れずに後で値下げを提案してくる会社もあります。そのため査定額の根拠をしっかり説明できるか、地域の売却実績があるか、担当者の対応は誠実かなど、総合的に判断することが重要です。

3. 不動産一括査定サイトを活用する

複数の不動産会社に一社ずつ査定を依頼するのは手間がかかります。そこで便利なのが「不動産一括査定サイト」です。不動産一括査定サイトとは、物件情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に同時に査定依頼ができるサービスのことです。

忙しい方でも、効率的に複数社の査定を受けられます。また、一括査定サイトに登録している不動産会社は、サイト運営会社が実績や評判などを審査したうえで提携しているため、信頼性の面でも安心です。

ただし、査定依頼後は複数の不動産会社から連絡が来るため、対応に時間が取られる可能性があります。あらかじめ対応可能な時間帯を伝えておくなど、スムーズなやり取りができるよう準備しておきましょう。

まとめ

不動産の売却価格は、固定資産税評価額や過去の成約事例、公示地価、路線価などを使って自分でも目安を把握できます。ただし、実際の成約価格は立地や物件状態、市場動向によって変動します。

また、売却価格から諸費用や税金、ローン残債を差し引いた金額が手元に残る点にも注意が必要です。事前に相場を把握し、希望条件を整理したうえで複数社に査定を依頼することが、納得のいく売却につながるでしょう。

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