築50年のマンションは売れない?売却の現実と確実に売る方法・注意点を解説

「築50年のマンションは資産価値がなく売れないのでは?」と不安ではありませんか?

築50年のマンションでも売却は可能で、実際に直近でも取引は成立しています。

【首都圏中古マンションの成立事例(一部抜粋)】

都道府県 市区町村 取引価格 間取り 面積 建築年 改装の有無 取引時期
東京都 新宿区 4,700万円 2LDK 50㎡ 1970年/築55年 改装なし 2024年第4四半期
東京都 中野区 3,200万円 2LDK 50㎡ 1970年/築55年 改装なし 2025年第1四半期
東京都 文京区 6,400万円 2LDK 75㎡ 1970年/築55年 改装なし 2024年第4四半期
東京都 世田谷区 5,600万円 2LDK 75㎡ 1970年/築55年 改装なし 2024年第3四半期

【首都圏中古マンションの築年数別成約率データ】

築年数 成約率
築0〜5年 31.9%
築6〜10年 35.6%
築11〜15年 36.2%
築16〜20年 26.7%
築21〜25年 23.2%
築26〜30年 16.6%
築31〜35年 11.6%
築30〜40年 11.1%
築41年以上 13.2%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」

築浅物件より成約率は下がるものの、築50年でも取引は成立していて、「売れない」のではなく、「売り方に工夫が必要」というのが実態です。

この記事では、どうすれば築50年のマンションを売却できるのか、具体的な方法と注意点を分かりやすく解説します。

まずは物件価格の正しい把握から!

築50年のマンションが売れない6つの理由

築50年のマンションが売れにくい理由は、単に「古いから」だけではありません。「旧耐震基準による安全性への不安や制度的なデメリット」と、「設備の老朽化や管理面での実質的なリスク」が重なり、検討できる買い手が著しく制限されてしまうのです。具体的には、以下の6つの理由が挙げられます。

築50年マンションが売れない6つの理由
  • 「旧耐震基準」のため安全性への不安が大きい
  • 買い手が「住宅ローン」を組みにくい
  • 買い手が「住宅ローン控除」を使えず税制メリットがない
  • 修繕積立金や管理費が割高になっている
  • 配管などの室内設備が古く高額なリフォームが必要
  • 管理組合が機能していないリスクへの懸念がある

では、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

理由1.「旧耐震基準」のため安全性への不安が大きい

築50年のマンションが売れない理由の1つ目は、旧耐震基準であるため大地震に対する安全性への不安が大きいことです。

築50年は、2026年から逆算すると1976年(昭和51年)前後に建てられた物件となるため、1981年以前の「旧耐震基準」に該当します。

旧耐震基準は「震度5強」までしか想定されておらず、現在懸念されている震度6〜7クラスの巨大地震に対する安全性は保証されていません。

居住する目的で購入するファミリー層にとって、安全性が不透明など命に関わるリスクは致命的です。

耐震補強工事が実施されていれば懸念は和らぎますが、費用の問題で未実施のマンションも多く、検討対象から外されてしまうのが現実です。

理由2.買い手が「住宅ローン」を組みにくい

築50年のマンションが売れない理由の2つ目は、買い手が住宅ローンを利用しづらいことです。

銀行は、融資の際に「土地評価額+建物評価額」を上限にお金を貸します。しかし、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年のため、築50年の建物は「価値ゼロ」として計算されてしまいます。

さらにマンションは一戸建てと異なり、一戸あたりの「土地の持分」が非常に小さいため、担保となる評価額が伸びにくく、結果として審査が降りにくい、融資額が制限されやすいという特徴があります。

その結果、買い手がリフォームまで考えていても、以下のように「物件を買うためのローン」すら満額降りず、物理的に買えなくなってしまうのです。

【融資評価のギャップ例】

項目 金額 備考
物件の価格 1,200万円
銀行の融資上限 500万円 建物価値ゼロのため「土地持分」のみ
不足する現金 ▲,700万円 購入時に必要な頭金(※リフォーム費用は別途必要)

築古物件では、このように「物件の価格」と「銀行の融資上限額」に乖離が生まれやすくなります。そのため、資金に余裕のある人や現金一括で購入できる人が中心となり、購入できる層が極端に限られてしまいます。

「安ければ売れるはず」と思っても、「買いたいけれどローンが降りない、降りても足りない」という層が大半を占めてしまうのが、築50年マンションの厳しい現実です。

理由3.買い手が「住宅ローン控除」を使えず税制メリットがない

築50年のマンションが売れにくい理由の3つ目は、住宅ローン控除が使えないため、買い手にとって税制メリットがなく、実質的な購入費用が割高になることです。

住宅ローン控除は、10年間で最大数百万円単位の税金が戻ってくる強力な制度ですが、新耐震基準である必要があり、築50年の旧耐震基準の物件は対象外となります。

耐震補強工事を行うなどして基準を満たし「耐震基準適合証明書」を取得できれば築50年のマンションでも住宅ローン控除が利用できますが、大規模な耐震補強工事が必要なケースが多く、集合住宅であるマンションでは費用や合意形成の面でハードルが高いのが実情です。

同じ価格の物件を買う場合でも、控除の有無で以下のように買い手の「実質負担額」に大きな差が生まれます。

【実質負担額の比較(物件価格3,000万円の場合)】

物件タイプ 物件価格 住宅ローン控除の想定額 実質負担額
住宅ローン控除が使える物件 3,000万円 約126万円 2,874万円
住宅ローン控除が使えない物件 3,000万円
0円(原則対象外)
3,000万円

※住宅ローン控除:年末ローン残高×0.7%×10年(最大値)として簡易計算

このように、控除が使える物件と比べて実質負担額が数百万円も増えてしまうため、経済的なメリットを重視する層からは敬遠されてしまいます。

理由4.修繕積立金や管理費が割高になっている

築50年のマンションが売れにくい理由の4つ目は、修繕積立金や管理費が割高になっていることです。物件価格の安さがウリでも、月々のランニングコストが高いと買い手に敬遠されやすくなります。

建物は古くなると不具合が発生しやすくなるため、築古マンションの修繕積立金は値上がりする傾向にあります。

築年数による修繕積立金の差(月額平均)
  • 築1年:8,554円
  • 築50年:11,214円(約1.31倍)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2024年度)」

この高い固定費は購入後も払い続けなければなりません。そのため、トータルの住居費をシビアに計算する買い手からは、「結局、毎月の維持費が高いならもう少し築浅の方が良い」と判断されてしまうのです。

理由5.配管などの室内設備が古く高額なリフォームが必要

築50年のマンションが売れにくい理由の5つ目は、配管などの室内設備が古く、高額なリフォームが必要になることです。購入希望者は、物件価格だけでなく将来的な改修費用も考慮するため、売却のハードルが上がります。

築50年ともなると、床下の給排水管や電気配線も寿命を迎えています。表面をきれいにするだけでは、水漏れや設備故障のリスクを解消できないことが多く、床や壁をすべて剥がして配管から交換する「スケルトンリノベーション」が必要になるケースがあります。

【購入後にかかるリフォーム・修繕費用の目安(50㎡程度の場合)】

分類 項目 懸念される理由 費用相場の目安
目に見える費用 水回り設備交換(キッチン・浴室・洗面所・トイレ)、内装(壁・床)張替 設備寿命(15〜20年)を2巡しており、故障や水漏れリスクが高いため 300〜500万円
目に見えないリスク対策 解体、給排水管の更新、間取り変更、断熱改修など 古い配管の劣化により、水漏れや補修費用リスクが高いため 700〜1,000万円

「物件価格+リフォーム費用」の総額で見ると、給排水管や電気配線の寿命目安である30年未満の築20年~25年の方が、高額なリフォーム費用の持ち出しがなくて良いと考える人も多く、支出を抑えたい層にとって、あえて築50年の物件を選ぶ理由が薄れてしまうのです。

理由6.管理組合が機能していないリスクへの懸念がある

築50年のマンションが売れにくい理由の6つ目は、管理組合の運営が滞るリスクがあるため、購入希望者に不安を与えやすいことです。

国土交通省の調査によると、築古マンションほど、所有者の高齢化や相続未登記・相続放棄による「所有者不明」が増加し、総会での決議が困難になる課題を抱えています。(参考:「マンションを取り巻く現状と課題」国土交通省)

一度総会での決議が困難な状態になると、その状況を解決するための法的手続きを決める総会すら所有者不足で成立しないため立て直しは困難となり、買い手は以下のような負の連鎖を懸念します。

【管理不全に陥ったマンションのリスク】

リスクの分類 具体的な懸念事項
意思決定の麻痺 連絡がつかない所有者が増え、総会が開けず、修繕や建て替えの決議が不成立になりやすい。
財政破綻 管理費・修繕積立金の滞納/未納が増え、資金不足で必要なメンテナンスができなくなる。
環境悪化 共用部の清掃や設備点検が止まり、ゴミの放置や設備の故障が常態化する(スラム化)。

管理不全による資産価値の喪失は、買い手が恐れるリスクの一つです。そのため、居住目的のファミリー層はもちろん、資産価値重視の投資家からも敬遠されやすくなります。

築50年でもスムーズに売れるマンションの共通点

ここまで築50年マンションの厳しい現実をお伝えしましたが、全ての物件が売れ残るわけではありません。築50年でもスムーズに売れるマンションには、主に「土地の価値が高い」「管理状態が良い」という2つの共通点があります。

  • 土地の価値が高い:立地条件が良く、土地としての資産価値が評価される
  • 管理状態が良い:修繕履歴が明確で、管理計画認定などの評価がある

それぞれ確認しましょう。

立地条件が良く、土地の資産価値が高い

法定耐用年数47年を超えた築50年のマンションは建物価値はほぼゼロですが、裏を返せば「土地値(土地だけの価格)」に近い価格で家を購入できるという魅力があります。

そのため、「土地としての資産価値」が高い物件は、投資家や不動産業者からの需要があり、スムーズに売れる傾向があります。

【土地の価値が評価されやすい物件】

ポイント 具体的な内容 購入検討者の評価
駅近 徒歩5〜7分以内 通勤・生活利便性が高い
敷地権が広い マンションの一戸あたり土地持分が広い 土地としての資産価値が残りやすく、値崩れしにくい
再開発が期待されている 容積率に余裕があり、将来の建て替えや用地買収の可能性がある 将来の「建て替え」や「用地買収」による値上がり益が狙え、投資家・不動産業者からの需要が高い

管理状態が良く、修繕履歴や「管理計画認定」の評価が高い

マンションは築年数が古い物件ほど、管理の質が成約率を左右しています。買い手は「あと何年住めるか(建物の寿命)」や「将来の負担」を厳しく見ています。

そのため、管理状態が良好で、修繕履歴や「管理計画認定」の評価が高い物件は、買い手の不安を払拭でき、選ばれやすい傾向です。

【スムーズに売れやすい管理状態の目安】

ポイント チェック項目 買い手にとってのメリット
修繕履歴 大規模修繕や給排水管の更新が実施済みか 過去のメンテナンス実績による「建物の寿命」への安心感がある
修繕積立金 積立金総額が十分にあり、資金計画が健全か 入居後の「積立金値上げリスク」が低い
耐震補強 新耐震基準相当の耐震補強工事が実施済みか 震災時の「倒壊リスク」が低い
公的認定 管理計画認定制度の認定を受けているか 【フラット35】の金利引き下げなどが利用できる

特に近年、差別化の切り札として注目されているのが、自治体による「管理計画認定制度」です。

もし認定を受けているマンションであれば、買い手が【フラット35】の金利引き下げ(維持保全型)などを利用できるため、「ローンが使いにくい・控除がない」という築50年のデメリットを補う強力なアピール材料になります。

出典:国土交通省「マンション管理・再生ポータルサイト

築50年のマンションを売却するポイント

築50年のマンションを売る場合、一般的な築浅マンションと同じ戦い方をしていては、ライバルに埋もれて売れ残ってしまいます。

「住宅ローンが使いにくく、基本的に税制メリットもない」「リフォーム必須」というハンデを補うために、ターゲットを投資家や業者に切り替えたり、売り方を変えたりする戦略が必要です。

  • 値下げして「現金一括購入」できる層を狙う
  • 買い手の不安を減らす「ホームインスペクション」を実施する
  • 早く売却するなら不動産会社の「買取」を検討する
  • マンション敷地売却制度が検討されているか確認する
  • 「築古マンション」の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ

それぞれ確認していきましょう。

値下げして「現金一括購入」できる層を狙う

築50年のマンションを売るための基本戦略は、ローンが降りない一般層ではなく、キャッシュで買える「投資家」や「富裕層」をターゲットにすることです。

投資家や富裕層に購入を決断させるカギは、リフォーム費用をかけても元が取れる「割安感」です。購入後にリフォーム費用をかけても十分に元が取れる価格設定にすることで、売れやすくなります。

【価格設定のシミュレーション(相場2,000万円・リフォーム1,000万円の場合)】

設定 売出価格 買い手の判断
強気の価格 1,800万円 総額2,800万円になり、新耐震物件より高くなるため売れない。
売れる価格 1,000万円 総額2,000万円に収まり、投資採算が合うため即決される。

ターゲットを現金層に絞り、「買い手がリフォームして採算が合うか」という視点で、買い手にメリットのある価格戦略をとることが重要です。

近隣の相場価格、買い手のリフォーム費用などの想定など、値付けに関してはプロである不動産会社と相談して決めましょう。

買い手の不安を減らす「ホームインスペクション」を実施する

建物の古さに対する不安を払拭するために、5万〜10万円程度の費用をかけ「ホームインスペクション(住宅診断)」を実施するのもおすすめです。成約を阻害する「買い手の不安」を取り除くと同時に、契約後のトラブルを防ぐことにもつながります。

ホームインスペクションを行うことは、単なる状態確認にとどまらず、売主・買主双方に以下のメリットがあります。

  • 買主の決断を後押しする
    築50年の物件を狙う投資家は、「リフォームにいくらかかるか」を気にします。検査によって「配管の水漏れなし」などのお墨付きがあれば、リフォーム予算が確定できるため、購入の決断(買付)がスムーズになります。
  • 売主自身を守る「契約不適合責任」対策
    劣化状況(雨漏り・設備故障等)を事前に把握して契約書に明記(告知)することで、その不具合については責任を免責できます。

「悪い結果が出るのが怖い」と実施をためらうケースもありますが、以下のような対処法があります。不具合を隠して売る方が成約は遠のき、リスクも大きいことを覚えておきましょう。

【ホームインスペクション結果への対処法】

判断の方向性 具体的なアクション メリット
現状で売る 修繕費相当分を値引きし、「不具合あり(免責)」として売る 手出し費用ゼロで、契約後のトラブルも回避できる
修繕して売る 不具合を補修し、「検査合格物件」として売り出す 安心感を付加価値にして、相場以上で売れる可能性がある

ホームインスペクションで建物の状態を確認し、「致命的な欠陥だけ修繕して売るか、安く現状のまま安全に売るか」決めるのが、合理的かつ安全な戦略です。

早く売却するなら不動産会社の「買取」を検討する

「いつ売れるかわからない状態で待つのが辛い」「近所に知られずに早く処分したい」という場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」も検討してみましょう。

価格は市場相場の6〜7割になりますが、築50年特有のリスクをすべて業者が引き受けてくれるため、「安全を買う」という意味で、決して悪い選択肢ではありません。

【築50年のマンションにおける「買取」のメリット】

メリット 具体的な恩恵
トラブル回避 売却後の「契約不適合責任」が免責されるため、水漏れ等が発覚しても賠償が不要
スピード 最短数日で現金化できるため、資金計画が立てやすい
手間なし 「現状渡し」が基本のため、ゴミの処分や掃除、リフォームが不要

まずは仲介で売り出し、一定期間売れなければあらかじめ合意した価格で買い取ってもらう「買取保証」というサービスもあります。

期限を決めて確実に手放したい方は、仲介の媒介契約を結ぶ前に不動産会社に相談してみましょう。

マンション敷地売却制度が検討されているか確認する

稀なケースですが、マンションの管理組合で「マンション敷地売却制度」の検討(デベロッパーへの一括売却)が話題に出ている場合は、大きなチャンスです。不動産会社に必ず伝えましょう。

「マンション敷地売却制度」とは、耐震性が不足しているマンションを、区分所有者の5分の4以上の賛成で、建物と敷地を一括してデベロッパーなどに売却できる制度です。

個人でこの制度を利用しようと動くことは難しいですが、もし管理組合の総会などで話題に出ているなら、「将来的にデベロッパーによる高値買取の可能性がある物件」として、投資家への強力なアピール材料になります。

あくまで「決定事項」ではなく「検討中」の事実として伝えることが重要ですが、出口戦略が見えない他の築古物件との大きな差別化になります。

「築古マンション」の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ

どの方法を選ぶにしても、売却成功のポイントはパートナーとなる不動産会社選びです。「築浅が得意な会社」と「築古が得意な会社」はノウハウが全く異なります。

特に築50年を超えるマンションの売却では、耐震基準のリスクをどう説明するか、どのような買主層にアプローチするかなど、深い知識と経験が不可欠です。以下のポイントを参考に、信頼できる会社を見極めましょう。

信頼できる不動産会社・担当者のチェックリスト
  • 築50年以上のマンションの売却実績が豊富にあるか
  • 該当エリアの市場動向に詳しく、販売戦略について詳しい説明がもらえるか
  • 良いことだけでなく、「売れないリスク」や「価格の厳しさ」を正直に伝えてくれるか
  • 不動産関連の法律や税金についての説明が丁寧で、質問にも回答してもらえるか

査定を依頼する際は、複数社に声をかけて、より自分が信頼できる担当者を選びましょう。

どうしても売れない場合の選択肢

あらゆる手を尽くしても買い手がつかない場合、所有し続けることは、管理費や固定資産税の負担が続く「負動産」化のリスクを招きます。通常の売却が難しい場合の、撤退戦略(損切り・別ルート)も知っておきましょう。

  • 賃貸に出して「収益物件(オーナーチェンジ)」として売る
  • 無償譲渡、寄付する

賃貸に出して「収益物件(オーナーチェンジ)」として売る

「住むための家」として売れないなら、「投資するための商品」に切り替えるのが有効です。安くてもいいから借りたいという層に入居してもらい、「入居者がいる状態(家賃収入がある状態)」で投資家に売却します。

投資家は、建物の見た目よりも「利回り(投資額を何年で回収できるか)」を重視するため、家賃収入さえ確保できていれば、築50年でも買い手がつく可能性が十分にあります。

後戻りできない注意点
日本の法律では入居者の権利が非常に強いため、一度賃貸契約を結ぶと、売主の都合で退去してもらうことはほぼ不可能です。「やっぱり普通に売りたいから出て行って」とは言えないため、ターゲットが完全に「投資家」に限定されます。

一般の方が適正な家賃(利回り)を設定するのは難しいため、必ず「賃貸」と「売却」の両方を扱っている不動産会社に相談しましょう。「賃貸管理から売却まで一括で任せたい」と依頼すれば、プロが最適なシミュレーションをしてくれます。

無償譲渡、寄付する

仲介でもマンション買取でも複数の不動産会社に断られてしまった際は、最終手段として、無償譲渡や寄付を検討しましょう。

「タダで手放すのはもったいない」という気持ちがあるかもしれませんが、売却せずに不動産を持ち続けると、固定資産税や管理費を払い続ける持ち出しのリスクがあります。

【無償譲渡・寄付の現実的な選択肢】

譲渡先・方法 特徴と進め方 実現の難易度
隣の部屋の所有者 「部屋を繋げて広くしたい」「親族を近くに住ませたい」というニーズがある場合に有効。管理組合を通じて打診する。 中(相手の意向次第)
無償譲渡サイト 「みんなの0円物件」などのマッチングサイトを利用し、贈与として引き取り手を探す。登記費用などは相手負担にできることが多い。 低(見つかる可能性あり)
自治体への寄付 防災用地などで利用価値がある場合のみ受け付けるが、条件は極めて厳しく、断られるケースが大半。 高(ほぼ不可能)

まずは可能性の高い「無償譲渡サイト」への登録や、管理組合を通じた「隣人への打診」から検討し、自治体への寄付は「ダメ元」と考えておくのが現実的です。

築50年のマンション売却の注意点

失敗やトラブルを避けるために、売却活動前に必ず押さえておくべき4つの注意点を解説します。

  • まずは耐震基準と「耐震適合証明書」取得の可否を確認する
  • リノベーションやリフォームは原則しない
  • 売却後のトラブルを防ぐため「契約不適合責任」は免責にする
  • 建て替え計画がある場合は「費用負担」と「売却益」のバランスを見極める

まずは耐震基準と「耐震適合証明書」取得の可否を確認する

売り出す前に、管理会社や管理組合に「耐震基準適合証明書」が取得できる物件かどうかを確認しましょう。

もし取得可能であれば、買い手が「住宅ローン控除」を使えるようになるため、築50年でも「買いたい!」と思ってもらえる確率が上がります。「実は取得できたのに、確認せずに売り出して損をした」という事態だけは絶対に避けましょう。

リノベーションやリフォームは原則しない

「綺麗にすれば売れるはず」と、独断で数百万円規模のリフォームをするのは危険なので原則やめましょう。築50年の物件を買う層は、「安く買って自分好みにリノベしたい」あるいは「投資用にフルリノベ前提」であることが大半で、売主の趣味で行ったリフォームは無駄になる(価格に上乗せできない)ことが多いからです。

築50年のマンションは、フルリフォームが必要なケースも多く、リフォーム費用が1,000万円前後に膨らむケースもでてきますが、売却時に回収できないのでは意味がありません。

実施するとしても、プロのハウスクリーニング程度に留め、リフォームが本当に必要かどうかは必ず不動産会社と相談して決めましょう。

売却後のトラブルを防ぐため「契約不適合責任」は免責にする

契約不適合責任とは、引き渡し後に不具合が見つかった場合に売主が責任を負うものですが、築50年のマンションでは売却後のトラブルを防ぐため「免責(責任を負わない)」とするのが鉄則です。

特に築50年では、床下の給排水管が劣化している可能性が高く、引き渡し後に水漏れが発生すると、「階下の部屋への損害賠償」まで請求されるリスクがあります。必ず不動産会社に「免責条件で売りたい」と強く伝えて特約に入れてもらいましょう。

建て替え計画がある場合は「費用負担」と「売却益」のバランスを見極める

建て替えの話が出ている場合でも、安易に完成を待たず、「今のうちに現状のまま売却すること」も有力な選択肢として検討しましょう。

マンションの建て替えには、所有者が1,000万円以上の追加費用(持ち出し)を負担するケースも珍しくありません。また、工事期間中には仮住まいなどの手間や費用も発生します。

「将来の建て替え後の価値」と「自分の持ち出し費用・時間」を天秤にかけ、計画が決定する前に、現状のまま売却して現金化したほうが結果的に手元に残るお金が多い場合があることを忘れないようにしましょう。

築50年のマンション売却に関するよくある質問

築50年のマンション売却を検討する際に、多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

リフォーム費用は売却価格に上乗せできますか?

A.原則として、上乗せできません。たとえば300万円かけてリフォームしても、売却価格が300万円上がることは稀です。築50年の買い手は「投資家」や「リノベ前提の個人」が中心です。

彼らは「ボロボロでもいいから安く買いたい(自分で直したい)」と考えているため、売主の判断でお金をかけると、赤字になる可能性が極めて高いです。

タダでも売れないことはありますか?

A.立地や管理状況によっては、残念ながらあり得ます。都心部であれば、価格を下げれば売れるケースが大半です。しかし、人口減少が著しい過疎地や、管理費が高額なリゾートマンションなどは、需要が全くなく「タダでも引き取り手がない」ことがあります。その場合は、有償引取サービスの利用や、相続発生時であれば「相続放棄」などを検討する必要があります。

築50年のマンションはいつまで住めますか?

A.「管理」と「お金(修繕積立金)」の状態次第です。鉄筋コンクリート自体は、適切に管理すれば100年以上持つと言われています。しかし、コンクリートの寿命より先に、給排水管やエレベーターの修理費用を住民が払えなくなり、住めなくなる「経済的な寿命」が尽きるケースがあります。

築50年だから明日にでも住めなくなる…といったことは基本的にありませんが、もし現在の管理状況や積立金の額に不安があるなら、「まだ普通に住める(値段がつく)」うちに売却して手放すことを検討しましょう。

まとめ:まずは「査定」で自分のマンションの立ち位置を知ろう

築50年のマンション売却は、旧耐震という大きなハンデがあります。しかし、ここまで解説してきた通り、旧耐震であっても「土地の価値」や「管理の質」が評価されたり、ターゲットを投資家に変えたりすることで、売却できる可能性は十分にあります。

最も重要なのは、「自分一人で悩んで、売り時を逃さないこと」です。

まずは、以下の2つの視点で不動産会社の査定を受けてみましょう。

  • 仲介査定:市場で一般の買い手に向けて、いくらで売れそうか(チャレンジ価格)
  • 買取査定:業者が即金で買い取るなら、いくらになるか(現実的な下限価格)

この2つの金額を知ることで、「時間をかけて高く売る」のか、「安くても確実に手放す」のか、ご自身の状況に合わせた正しい判断ができるようになります。

まずはGMO不動産査定のような無料で利用できる一括査定サービスを活用し、自分に合った不動産会社を探しましょう。

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