保有している土地の活用方法は多くあります。そのため、自分には何が最適なのか探すのは難しいと感じている人も多いようです。
土地活用としておすすめする以下の10通りの方法を確認し、今後の参考にしましょう。
それぞれ人気の理由を解説していきます。
アパート経営は、土地活用の方法としては長年人気のある活用方法です。人気の理由として以下が挙げられます。
【アパート経営のメリット】
アパートは、一度入居すると最低でも1年は住む方がほとんどです。そのため、収益が安定していて、中長期での収支が想定しやすい点が最大のメリットといえます。
また、アパートを建てる際にアパートローンを組むと、「団体信用生命保険」という保険に加入することになります。この保険は契約者が重度の病気や死亡した場合に、残りのローンを免除する機能を持っています。つまり、いわば生命保険の役割を持っているのです。
そして、建物を他人に貸し出すことによって相続税評価額を下げられるのでアパート経営は相続税対策にもなります。
ただし、アパート経営では空室に注意が必要です。ローンを組んでアパート経営をしている場合、空室は赤字を意味します。周辺環境などを考慮してアパートに対するニーズがあるのかを検討することは必須です。
戸建てを建てて、賃貸に出すことも人気の土地活用方法です。
【戸建て賃貸のメリット】
戸建て賃貸を好んで借りるのは、子どもがいるファミリー層である可能性が高くなります。そのような世帯では、その土地に定住して子どもが家を出るまでの数十年間住み続けることも想定できるのです。つまり、アパートよりも安定した収益を得られることも多くあります。
また、アパート経営やマンション経営とは異なり、管理会社に委託する必要もありません。基本的には1世帯しか住まないため、管理することが少ないためです。管理会社に支払う管理料金の相場は、賃貸収入のうち5〜10%ほどであることを考えると、戸建て賃貸のランニングコストは比較的少ないといえます。
そして、戸建てであれば居住者がいなくなっても自分たちの家としてそのまま再活用できます。この自由さも戸建て賃貸のひとつのメリットでしょう。アパート経営と同様、第三者に貸し出すことで相続税評価額を下げられるため、相続税対策にもなります。
ただし、戸建て賃貸はファミリー層が多く住んでいるエリア・地域でないと収益化しづらくなります。どんな土地でも戸建て賃貸にできるわけではない点に注意が必要です。
初期費用を支払うことができれば、マンション経営も土地活用の手段となります。
【マンション経営のメリット】
マンションのその性質上、鉄筋コンクリート造であるため、アパートと比較して寿命が長いというメリットがあります。これにより改修の費用が抑えられる点において、家賃が下がってしまう可能性が低い点はアパート経営よりも優れています。
また、アパート経営や戸建て賃貸経営と比較しても戸数も多くなるため収入総額が多くなりやすいです。相続税対策になる点はアパート経営や戸建て賃貸経営と同様です。
ただし、マンション経営は人気がある反面、以下のようにハードルが高い土地活用方法になります。
【マンション経営のデメリット】
事業として本格的な経営をおこなう方でないと、実現性は低いのがこのマンション経営といえます。
駐車場経営は、土地を持っている方であれば誰でも実現できる活用方法です。
【駐車場経営のメリット】
駐車場はマンションやアパート経営とは違い、スペースが小さくても気軽に始められるため、人気が高いようです。
また、コンクリート舗装するなど、土地を整えなくても需要さえあればそのまま駐車場経営を始められるため、初期投資の少なさも魅力となっています。
ただし、簡単に始められる分、収益性は低いのが特徴です。
コインランドリー経営は近年、土地の活用方法として人気になってきています。特に都心では、インバウンド需要の高まりからホテルや民泊に宿泊している外国人が多く、安定した需要があることも人気の要因です。
また、コインランドリー経営は、管理が簡単であることも魅力的です。定期的に簡単な掃除をするだけで運営できますし、機器の修理も数年に一度で済むので手間もかかりません。
ただし、設備導入費がかかってしまうことには注意が必要です。20坪程度のスペースでも初期投資で2,000万円ほどはかかります。
都心などの需要が高いところであれば投資の回収も容易ですが、地域によっては赤字経営が長期的に続く可能性もあるので、ニーズがあるのかをまずは確かめましょう。
トランクルームの運営は、広い土地であれば収益化もしやすくおすすめの活用方法です。
賃貸経営とは違い、コンテナで建物を建てるため初期投資や管理費・撤去の費用が安いことが最大のメリットになります。
また、トランクルームであれば駅からの距離や日当たりなどを気にする必要はありません。また騒音などの周辺環境が悪くてもニーズに影響が出づらい傾向になります。
そのため、一定の広さの土地であれば、容易に始められるためおすすめの活用方法です。
老人ホームは、少子高齢化社会にある日本では需要がますます大きくなってきています。
実際に厚生労働省のデータによると、入居定員数も施設数も以下のように右肩上がりに増えていることがわかります。
(出典:yurokyo.or.jp)
そのため、今後も伸びていく産業といえるでしょう。
【老人ホーム運営のメリット】
需要が落ちないだけではなく、老人ホームは一度入居すると、長ければ10年以上契約が続く長期契約のビジネスです。そのため、収益の安定性という観点ではこれに勝る活用方法はありません。
しかし、以下のようなデメリットも存在します。
【老人ホーム経営のデメリット】
上記のポイントに注意さえすれば、安定性という観点では適した土地の活用方法です。
近年では、賃貸併用住宅経営も土地活用の方法として人気になっています。賃貸併用住宅経営とは、その名の通り、自分が住む住宅の一部を賃貸にする活用方法です。
この活用方法の最大のメリットは、住宅ローンの返済が賃料でまかなえる点です。住宅として戸建てを建てるよりは、よりお得な返済プランを組める点において魅力的でしょう。
将来的に入居者がいなくなったとしても二世帯住宅としての活用方法もあるため、相続をしやすい点も人気の理由です。
ただし、以下のようなデメリットがあります。
【賃貸併用住宅経営のデメリット】
あくまで、自分たちで住むよりはローンの返済が楽になる土地活用方法だと捉えておきましょう。
太陽光パネルを設置して発電をするのも、ひとつの手です。
【太陽光発電のメリット】
最大の魅力は、太陽光パネルを置くだけで始められる手軽さです。設置自体は業者に依頼すれば数日で完了するので手間がかかりません。
また、業者に依頼すれば、発電した電気を売却することも可能です。これによりただ土地として残しておくよりもより有効的な活用ができるでしょう。
ただし、日照時間が長い土地でないと収益化が難しい点には注意しましょう。都心や住宅地などで、周辺に建物が立っている場合には、影が多くなってしまっているエリアも多数あります。
事前に業者に相談して、十分な日照時間が確保できるのかの確認が必須です。
事業用定期借地とは、店舗などの事業用の土地として貸し出すことです。
あなたが個人的に事業者に貸し出すわけではなく、中間業者と契約をすることで、小売店などの事業者が利用することになります。建物を建設する必要もありませんし、ビジネス目的での利用であれば10年単位の長期での貸し出しも多いため、安定した収益の確保が可能です。
注意点は、契約の内容を理解しておく必要がある点です。貸し出す中間業者も借りる事業者もできるだけ自分が損しないような契約内容を目指します。
そのため、契約内容を把握せずに貸し出すと、以下のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
【事業用定期借地で起こりうる問題】
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、税理士や弁護士、行政書士と密に連絡を取り合い、適切な契約を結ぶ必要があります。
最後に、土地活用を円滑におこなうためのポイントを確認しましょう。
【堅実な土地活用をするためのポイント】
それぞれ理解しておくことで、事前にトラブルを防ぎましょう。
土地が位置している場所によって、求められているものは異なります。周辺を田んぼに囲まれているような地域で駐車場やトランクルームをオープンしても、需要がないのは想像できるでしょう。
このように、立地にあった経営をおこなうことは、土地を有効活用する上では大前提となります。
もしあなたが、土地の活用方法に迷っているのであれば、地域の不動産屋に相談をしてみましょう。地域に根付いた不動産屋であれば、その土地の人が求めているものを把握しているためです。
「やりたいこと」をやるのも大切ですが、長期的に資産価値を高めていくためには、「求められているもの」を理解することも重要です。
税金対策をおこなうことも、非常に重要なポイントです。そもそも土地は、更地のまま何も使わなくても固定資産税がかかります。
しかし、住居用の建物を建てるだけで、住宅用地の特例により固定資産税が最大で6分の1程度まで下げられるのです。
それにプラスして、この記事で紹介したような活用をおこなえば収益が上がりますし、運営費を経費扱いにするなどして、所得税や住民税を節税することもできます。
土地を有効活用して、税金対策をおこないましょう。
計画のない事業で成功することはありません。収入だけでなく、運営にかかる費用や税金など全てを考慮した収益計画を立てておくことは、有効な土地活用には必須です。
また、収支計画をもとに「いつまでに」「いくら」あれば今後の計画として問題ないのか改めて確認しておきましょう。収支計画と今後の資金の計画を事前に照らし合わせておくことで、価値のある土地の活用方法が見えてきます。
都市計画法で定められている用途地域による規制についても、理解しておきましょう。用途地域とは、以下の表のように建てられる建物に制限がある地域のことを指します。
(出典:mlit.go.jp)
上記のような用途地域に指定されていると、建築物の建て方(広さや容積率など)に制限がかかってしまいます。
たとえば、第一種低層住居専用地域では、以下のように建築できるものとできないものが細かく指定されています。
【第一種低層住居専用地域で建築できるもの・できないもの】
このように用途地域の制限については、国土交通省のホームページなどで事前に確認しておきましょう。
今回は、おすすめの土地活用ランキングについて解説してきました。土地活用においては、収支計画や目標を事前に決めておくことが成功の第一歩となります。
また、用途地域などそもそも実現ができない活用法もあるため、保有している土地のことをよく知っておくことも重要です。土地は上手に活用すれば、収益化もできますし、税金対策にもなります。
この記事がきっかけとなり、あなたの土地活用がトラブルなく成功することを願っています。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。