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事業用定期借地権とは?特徴やメリット・デメリット、契約期間について徹底解説!

事業用定期借地権とは

事業用定期借地権とは、事業のために期間を定めて土地の貸し出しが可能となる権利です。事業用定期借地権にはさまざまなルールがあり、それらを守ることで土地を事業用定期借地として貸し出せるようになります。

事業用定期借地権の定められたルール3つを詳しく解説しますので、それぞれの内容についてよく把握しておきましょう。

用途が事業用に限られる

その名の通り、目的が事業のみというのが大きなポイントです。事業とは、事務所や店舗、工場など、住居以外の用途のことを指します。そのため、アパート、マンションなどの集合住宅の場合は事業用定期借地権の利用は不可能となります。

契約期間が定められている

事業用定期借地権の契約期間は、10年以上50年未満と定められています。期間を決めての契約となり、満了となればそのまま契約は解除され更新はできません。最短でも10年の契約期間となっているため、安定した収入を長期的に得ることが可能です。

また、契約が解除されて土地の貸し出しが終了となったら、基本的に建物などは壊して更地の状態で返還する必要があります。

公正証書で契約する

公正証書とは、公証人が公証役場で作成する書類です。契約する全員が公証役場へ行き、案文を提出します。公証人が公正証書を作成し、契約する全員に読み聞かせ、署名と捺印をもらえば完了です。

事業用定期借地権は、この公正証書での契約となっており、独自で契約書を作成しても効力はありませんので注意しておきましょう。

そもそも借地権とは

借地権とは、物件建築のために、その地代を支払うことで土地を借りる権利を指します。建築物がない駐車場、工場などの資材置き場としてなどは利用できません。

借地権は「賃借権」「地上権」があり、下記のような違いがあります。

賃借権 建物の売却を第三者にする場合、地主の許可がなければできない
地上権 売却、転貸などは、地主の承諾がなくとも自由におこなえる

さらに、借地権はさらに下記の2つの種類に分類されるため、確認しておきましょう。

借地法(旧法)
  • 1992年8月以前から土地を借りているケースに適用
  • 契約更新が可能
借地借家法
  • 1992年8月以降に土地を借りているケースに適用
  • 5つの種類がある
  • 普通借地権と定期借地権が存在

次に、上記の借家借地法でお伝えした5つの種類について詳しく解説します。本記事冒頭でも紹介している事業用定期借地権もこの5種類のなかに含まれています。それぞれの内容や特徴について、ここで深く理解しておきましょう。

普通借地権

期限に定めはありますが、更新することが可能となるため半永久的な継続が可能です。建物の構造はとくに関係なく、最初の契約では30年、お互いが同意しているうえでの契約更新であれば、1度目は20年で、その後は10年ごとの更新となります。

定期借地権(一般定期借地権)

50年以上の長期にわたり契約が可能となる借地権です。契約期間の更新はありません。利用目的の定めはなく、住居用としての貸し出すことが可能です。契約が終了したら、土地を更地にしてから返還となります。

事業用定期借地権

商業施設、店舗、事務所などの事業を目的とした借地権です。法改正される前までは、10年以上20年以内といった期間が定められていましたが、現在は10年以上50年未満に変更となっています。定期借地権同様、契約の更新はなく、終了したら更地にしてからの返還が基本です。

建物譲渡特約付借地権

契約終了時に建物がある場合、貸主が相当の対価を支払って買い取ります。マンションなどの建物であれば、買取後そのまま経営できるのが大きなポイントです。契約期間は30年以上となっているため、安定した収入が得やすい借地権といえます。

一時使用目的の借地権

10年以下の契約も可能な一時使用目的の借地権は、1年以内の契約などでも利用できます。工事をするための仮設事務所、プレハブ倉庫など使用目的も問いません。返還時の方法なども双方の話し合いで決めることができるため、自由度が高いのが特徴です。

事業用定期借地権の契約期間

事業用定期借地権の契約期間は、10年以上50年未満と定められています。本記事でもお伝えしたように、これまでは10年以上20年以内といった契約期間となっていました。

しかしこの場合、建物の建設をしても、問答無用で必ず20年後には取り壊さなければいけないことになります。事業者にとっては不都合な面が大きく問題視されており、法改正で契約期間が10年以上50年未満に見直されました。

2つの契約期間

事業用定期借地権は、2つの契約期間があります。

  • 10年以上30年未満
  • 30年以上50年未満

契約期間の更新はないため、最初の契約時に期間を決める必要があります。もしも今後、土地の活用予定がない場合、長期的な30年以上50年未満の契約のほうがおすすめですが、将来的に活用予定がある場合、10年以上30年未満での契約にしておきましょう。

契約期間の更新

最初の契約が30年以上50年未満の長期となった場合に限り、契約更新ができます。また、契約終了の場合でも買い主に建物買取請求権を行使することが可能です。

しかし、10年以上30年未満の場合、建物買取請求権はないため、契約が終了となったら更地にして返還するのがルールとなります。また、事業用定期借地権は原則として途中解約はできません。

もしも途中で解約する可能性がある場合、契約内容に中途解約権を留保する特約を盛り込むようにしておきましょう。

事業用定期借地権のメリットは?

事業用定期借地権を行使することで、どのようなメリットがあるのかご存じでしょうか。土地を活用したい方のなかには、事業用定期借地権のメリットについて具体的な内容がわからずに、なかなか貸し出しに踏み切れない方も少なくありません。

ここでは、事業用定期借地権の主な4つのメリットについて紹介します。得られるメリットについてよく把握することで、効率的な土地の運用が可能となります。

①貸出期間を選べる

事業用定期借地権は、10年から50年の間で貸出期間を選べます。土地活用の方法を考えている場合は、短期の10年契約、とくに活用などは考えていない場合は長期の50年契約がおすすめです。

こうした土地活用の方向性を加味して契約を決められるのは、大きなメリットといえます。

②事業リスクを負わずに安定した収入を得られる

事業用定期借地権利用を検討する土地は、住居には向かないような立地や形状であることがほとんどですので、売却しようとしてもなかなか売れずに残ってしまうこともあります。

また、自分で事業をスタートさせようとしてもリスクを考えて躊躇してしまうことも少なくありません。事業用定期借地権を利用すれば、こうしたリスクを抑えて長期的に安定した収入が見込めます。

③居住用より高い地代

居住用よりも事業用として貸し出すほうが、地代を高く設定できます。事業用定期借地権を利用する土地は沿道にあるケースが多く、土地としての評価が高いのも特徴です。

人が住むための土地としては不向きですが、利用したいと考える事業者がいる場合は、比較的高値の地代での貸し出しが可能です。

④相続税の軽減

定期借地権が設定されている土地は、残存期間に応じて評価減が認められています。定期借地権の残存期間月の減税率は下記の通りです。

5年以下 5%
5年超から10年以下 10%
10年超から15年以下 15%
15年超 20%

たとえば、4,000万円の土地を30年契約で貸し出し、10年後に相続が発生した場合の相続税の評価額は20%減です。

4,000万円×20%=800万円

このように、800万円の評価減が受けられるということになります。

事業用定期借地権のデメリットは?

事業用定期借地権のメリットはさまざまですが、反対にデメリットもあります。しかし、事前にデメリットを把握しておけば、予想外の損失やトラブルの回避が可能です。

ここで紹介する3つのデメリットについて、正しい情報を深く理解しておきましょう。

①中途解約ができない

契約期間中に中途解約ができないのが、借地権の特徴です。解約に関する特約などを盛り込んでいる場合、借主から解約はできるものの、貸主からすることは不可能となってしまいます。

一度契約すると期間の満了まで継続するのが基本となっているため、安易な契約には注意してください。

②借主の経営破綻リスク

契約期間中にもしも借主の経営が破綻してしまった場合、建物だけがそのまま残る状態となるリスクがあります。更地に戻す際には、費用を貸主が負担しなければいけないケースも少なくありません。しかし、経営破綻しても建物の所有者は借主です。

建物の解体などは貸主の独断で決めることはできないため、収益が得られないだけではなく、法的な処置や手続きなど、さまざまな手間がかかってしまいます。

③固定資産税の減税なし

人が住むための居住用であれば、6分の1、3分の1の減税が受けられる特例があります。しかし、住居用ではなく事業用の貸し出しの場合、この減税を受けることはできません。

これまで住宅が建設されており、建物を解体後に土地を事業用定期借地として貸し出す場合にはとくに注意してください。

事業用定期借地権の地代相場は?

全国的な相場は、200平米ほどで1年間で約80万円となります。路線価、利回りなどから計算する方法もありますが、基本的に事業用定期借地の地代相場は、固定資産税の公租公課2倍から3倍が一般的です。

事業用定期借地権に向いている土地

事業用定期借地権に向いている土地の最大の特徴は、何十年も長期的な利用予定がない土地です。最低でも10年、最長50年ほどの契約となるため、事業者側にもメリットがある土地でなければ契約率は下がります。

また、ロードサイドにあり人の流れが豊富、大きさがまとまっている土地などは向いているといえます。

建物のためだけの広さではなく、駐車場なども含めればおよそ数百坪以上の広さは欠かせません。数十坪の広さであっても事業内容によっては可能ですが、基本は広く大きな土地が向いているといえます。

まとめ

本記事では、事業用定期借地権についてご紹介しました。住居としては向かない土地であっても、事業のための場所としてはとても魅力的であることは少なくありません。

  • 貸出期間が定められている→10年以上から50年未満で選択
  • 事業用としての目的のみで貸し出し可能
  • 低いリスクで安定的な収入が得られる
  • 住居よりも高い地代
  • 契約は必ず公正証書を作成

主な特徴は、上記の通りです。それぞれの内容を正しく把握してスムーズに貸し出せるようにするためにも、本記事の情報を参考に準備をしておきましょう。

矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)

関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。

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