住宅を売却する7ステップ!売却時に必要な書類や費用・税金のほか、注意点も徹底解説

住宅を売却する7ステップ!売却時に必要な書類や費用・税金のほか、注意点も徹底解説

「家を売りたい!」と売却を考えてみたものの、何から始めたらよいかわからず、悩んでいる人は多いでしょう。

この記事では、初めての方でもわかりやすいように、住宅を売却するための7つのステップについてまとめました。家を売るときの注意点も解説していますので、これから売却を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

住宅を売却する7ステップ

住宅を売却する順序は、7つのステップに分けられます。これから家を売ろうと考えている人は、大まかな流れを理解しておくと、売却をスムーズに進められます。

  • 売却方法を決める
  • 不動産会社に査定依頼
  • 媒介契約を結ぶ
  • 住宅を売りに出す
  • 売買契約
  • 引き渡し
  • 確定申告をする

それでは、順に解説していきます。

①売却方法を決める

まずは、売却方法を決めます。住宅を売却する方法は、大きく分けて3つあります。

  • 仲介
  • 買取
  • 個人売買

仲介は、不動産会社に買主を探してもらう方法です。売却時の希望価格を決められるため、家を高く売りたい方におすすめです。売却が決まったら、不動産会社に仲介手数料を支払います。家が売れるまで時間がかかるケースが多く、おおよそ3か月から半年かかります。

早く売却したい人におすすめの方法が、不動産会社に家を買い取ってもらう買取です。買主が出てくるまで待つ必要がないため、売却を円滑におこなえます。仲介との違いは、家の売却価格が低くなる点です。早めに家を手放したい人は、買取をおこなっている不動産会社に依頼しましょう。

個人売買は、その名の通り、不動産会社を通さず個人で家の売買をおこなうやり方です。仲介手数料が発生しない、希望価格で買主を探せるというメリットがあります。しかし、専門知識が必須となり、初心者がおこなうのはかなり難しいといえます。

②不動産会社に査定依頼

次に、不動産会社に家の査定を依頼しましょう。家がいくらで売れるのか把握しておきます。

査定は、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。査定金額や、担当者の対応がいいかどうかを見極めやすくなるためです。

査定には、簡易査定と訪問査定があります。簡易査定は、現地調査をおこなわずに価格を算出する方法です。インターネットの一括査定を利用すると、忙しい方でも簡単に査定額を比較できます。

訪問査定は、不動産会社の担当者が現地を訪問して価格を決定します。担当者と直接話せるので、わからない点を相談できるメリットがあります。

信頼できる不動産会社を選ぶためにも、複数の会社を比べるのが大切です。

③媒介契約を結ぶ

売却する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売主と不動産会社が取り交わす契約です。

媒介契約には、3種類あります。

  • 専属専任媒介
  • 専任媒介
  • 一般媒介

専属専任媒介は、1社の不動産会社に依頼する契約です。不動産会社が見つけてきた買主と売買契約を結ぶことができ、契約期間は最長3か月と定められています。

専任媒介は、専属専任媒介と同じく、1社の不動産会社としか契約できません。自分で購入者を見つけた場合に契約を結べるのが、専属専任媒介と異なる点です。

一般媒介は、複数の不動産会社と契約を結べます。自分自身で買い手を見つけることができ、契約期間は設けられていません。複数の業者に買い手を探してもらえるため、取引の自由度が高いといえます。

売却を急いでいる人や不動産会社にお任せしたい人は、専属専任媒介や専任媒介を選ぶとよいでしょう。自分で積極的に買い手を探したい人は、一般媒介契約が向いています。不動産売却をスムーズにおこなうためにも、媒介契約ごとの特徴を理解しておきましょう。

④住宅を売りに出す

不動産会社と媒介契約を結ぶと、住宅を売りに出す販促活動が始まります。査定額を参考にしながら、売り出し価格を決めます。

売り出し価格とは、実際に売りに出される値段です。売り出し価格は、売主が自由に決めることもできますが、設定金額を高くしすぎると売れ残りの原因になります。

反対に、売却を急ぐあまり、設定金額を低くすると損をする可能性があります。価格設定は、不動産会社と相談しながら慎重に決めましょう。

不動産会社が買主を見つけたら、家の内覧がおこなわれます。気持ち良く内覧してもらえるよう、家の片付けや掃除をしておきましょう。

⑤売買契約

買主が見つかったら、次は売買契約に移ります。売買契約が結ばれると、正式に取引完了です。

売買契約を結ぶ前に、まずは売主と買主で価格や引き渡し日などの売却条件を確認します。条件に合意したら、宅地建物取引士から重要事項説明書で契約内容の説明がおこなわれます。

重要事項説明書とは、不動産の管理や取引内容が記載されている公的な書類です。説明内容に問題がなければ、実印を押して売買契約締結となります。

売買契約は一度締結されると、簡単にはキャンセルできません。わからない点があれば、必ず契約前に確認しておきましょう。

⑥引き渡し

売買契約時に決めた日程で、家の引き渡しと決済をおこないます。引き渡し前に、まず購入代金が売主に振り込まれます。決済は、万が一トラブルが起きたときにも対処できるよう、午前中におこなわれることが多いようです。

その際、家の名義を売主から買主に変更する所有権移転手続きや、ローンが残っている場合は抵当権の抹消手続きが必要になります。

購入代金の振り込みが確認できたら、必要書類や鍵の引き渡しがおこなわれます。スムーズに引き渡しがおこなえるように、引き渡し日までに引っ越しを終わらせておきましょう。

⑦確定申告をする

住宅を売却した際は、確定申告が必要なケースがあります。確定申告は、売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に税務署で手続きをおこないます。

確定申告が必要になるのは、譲渡所得が発生するケースです。譲渡所得とは、家を売却して得られた利益を指します。譲渡所得は課税対象となるため、必ず確定申告をおこないます。

不動産を売却しても利益が出なかった場合は、確定申告をおこなう必要はありません。しかし、損失が出た場合は、確定申告をおこなうことで損失分の控除が受けられます。

確定申告をおこなうには必要書類を準備し、管轄の税務署に提出します。確定申告をしないと延滞税がかかる場合もあるため、必ず期間内におこないましょう。

住宅を売る際に必要な書類

ここまで、住宅を売却する流れを説明してきました。売却を円滑に進めるためにも、必要書類はあらかじめ準備しておきたいものです。売却時に必要な書類は、次の通りです。

  • 登記済権利証
  • 間取り図と測量図
  • 固定資産税納税通知書
  • 地積測量図、境界確認書
  • 実印、印鑑証明
  • 身分証明書
  • 建築確認済証、検査済証

登記済権利証、間取り図・測量図、固定資産税納税通知書、地積測量図・境界確認書は、物件価格の決め手になる書類です。不動産会社に査定を依頼する前に準備しておきます。

必要書類はとても多く、取得するには時間もかかります。不動産会社からアドバイスを受けながら早めに書類を揃えておきましょう。

住宅を売る際にかかる費用・税金

住宅を売却する際には、さまざまな費用や税金がかかります。「どんな税金がかかるのか」「費用はどのくらい必要か」など、費用や税金についても知識を深めておくのが大切です。詳しい内訳は、次の通りです。

  • 仲介手数料
  • 抵当権抹消費用
  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • その他

仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料です。売却価格によって仲介手数料の金額は変わります。売却価格が400万円以上の場合、計算方法は、次の通りです。

仲介手数料=(売却額×3%)+6万円+消費税

抵当権抹消費用は、不動産1件につき1,000円かかります。

譲渡所得税とは、家を売却した際に出た利益にかかる税金です。利益が出ない場合は、税額は0円になります。

譲渡所得税=(譲渡所得-特別控除額)×税率

税率は、不動産の所有期間によって変わります。5年以下の所有は短期譲渡所得となり、税率は39.63%です。5年を超える場合は長期譲渡所得が適用され、税率は20.315%となります。

印紙税とは、売買契約書を作成したときにかかる税金です。印紙税の金額は、不動産を売買した金額に応じて1,000円~6万円かかります。

その他に、手続きをおこなった司法書士への報酬や、引っ越し代がかかります。家を売却する際は、一般的に売却価格の5~7%の費用がかかるので、前もって準備しておきましょう。

住宅を売却する際に気をつけるべき注意点

住宅を売却する際は、いくつかの気をつけるべき注意点があります。あらかじめ注意点を知っておけば、実際に売却する時も冷静に行動できます。売却時に押さえておきたい注意点は、次の通りです。

  • 不動産査定は複数社に依頼する
  • 売り出す前に相場を調べる
  • 売却前にリフォームしない
  • 3,000万円の特別控除を活用する
  • 売り急ぎをしない

それぞれ詳しく解説します。

不動産査定は複数社に依頼する

住宅を売却する際にまず気をつけるべき点は、不動産査定を複数社に依頼することです。査定額は相場があるものの、不動産会社によっても金額が異なるためです。

複数の会社に査定を依頼すると、不動産の販売価格を比較できます。販売価格は高すぎると売却が難しくなりますし、安すぎても損をする可能性があります。

不動産会社にも、大手企業や地元密着型の店舗、戸建てが得意な会社もあれば、中古物件を専門に扱う会社までさまざまです。

手続きが面倒だからといって1社のみに依頼すると、不動産会社の査定額が妥当な価格かどうか判断がつきません。複数の会社を比較し、安心して売却を任せられる不動産会社を見極めましょう。

売りに出す前に相場を調べる

不動産を売却する前に、相場を調べておきましょう。相場を知っておけば、「価格が高くて売れ残った」「安くしすぎて損をした」といった失敗を防げます。

住宅を売却するときに重要なのは、相場を基準に販売価格を決めることです。相場とかけ離れた価格を設定しても、売れ残る可能性が高くなります。

相場を調べるには、不動産会社に査定を依頼する以外に3つの方法があります。

  • 路線価
  • 公示地価
  • 固定資産税評価額

路線価とは、道路(私道は除く)が面する宅地1㎡あたりの価格です。路線価は、国税庁から毎年発表され、全国地価マップより調べられます。

公示地価は、国土交通省が毎年1月に発表している、調査地点1㎡あたりの土地の価値です。国土交通省の土地総合情報システムから誰でも調べられるようになっています。

固定資産税評価額は、住んでいる市町村から毎年4~6月に送付される固定資産税納付書にて確認できます。

いずれも国や市町村が定めており、売買価格を決める指標になります。不動産会社の査定額と合わせて参考にするとよいでしょう。

売却前にリフォームしない

売却前にリフォームするのは、あまりおすすめしません。「綺麗にしたほうが高く売れるだろう」と安易にリフォームすると、費用を回収できない可能性があります。また、リフォームして販売価格が上がると、売れ残りのリスクが高くなるためです。

家のデザインや内装の好みは、人によって異なります。購入後に自分好みにリフォームしたいと考える買い手も多いので、無闇に手を加えるのは控えるべきです。

しかし、リフォームしたほうが良いケースもあります。築年数が古い住宅の場合、「汚くて住み心地が悪そう」とネガティブな印象を覚える買主もいます。傷みの激しい箇所や、汚れの目立つ水回りだけでもリフォームしておけば、印象が良くなり買い手がつきやすくなるといえるでしょう。

とはいえ、自己判断でリフォームをおこなうと、余計な出費を増やす恐れがあります。売却前にリフォームするべきか悩んだら、まずは不動産会社の担当者に相談してみましょう。

3,000万円特別控除を活用する

売却で損をしないためにも、3,000万円の特別控除が活用できないか、要件を確認してみましょう。

3,000万円の特別控除とは、不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。譲渡所得が3,000万円以上であれば3,000万円が控除され、3,000万円以下であれば税金がかかりません。

3,000万円の特別控除を活用するためには、次の要件を満たさなければなりません。

  • 自分が住んでいる自宅を売却するか、住まなくなった日から3年目の年末までに自宅を売却する
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していない
  • 売却した年、その前年および前々年にマイホームの買換え特例や譲渡損失の繰越控除を利用していない
  • 売却した家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など、他の特例の適用を受けていない
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でない

3,000万円の特別控除を活用できれば、節税効果はかなり高くなります。しかし、売却物件で3,000万円の特別控除を利用すると、購入物件の住宅ローン控除は利用できません。どちらが有利になるかは売却価格によるので、不動産会社に一度確認してみてください。

売り急ぎをしない

家を売却する際は、売り急ぎをしないことが大切です。売り急ぎとは、売却を急いで安く売ることです。

家の売却は、順調に進んでも6か月ほど時間がかかります。販売を開始してから、買主が見つかるまでは約3か月、長いと半年近くかかるケースもあります。さらに家の売買契約から引き渡しまで1~2か月の時間が必要です。

住宅の売却は金額も高く、買主は購入に慎重になるため、なかなか決断に至らない場合もあります。売り急ぎをしないように、ゆとりをもったスケジュールを組んでおくのが大切です。

まとめ

この記事では、住宅を売却する7つのステップと、売却時に必要な書類や費用、注意点について解説しました。住宅の売却は手続きが複雑で、時間もかかります。売却で損をしないためには、複数の不動産会社を比較し、ゆとりをもったスケジュールを組むことが大切です。

売却の流れや注意点をあらかじめ理解しておくことで、失敗するのを防げます。必要な知識をしっかり身につけ、少しでも高く売却できるようにしましょう。

プロフィール
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。