【不動産売却の注意点10選】物件の種類別・状況別の気を付けることも徹底解説

不動産の売却は、今後の人生を左右する大きなイベントの1つと言っても過言ではありません。しかし、不動産売却にはさまざまな注意点があることを知っている方は少ないでしょう。
そこで当記事では、不動産を売却する際の注意点を詳しく解説していきます。物件の種類や状況別の注意点も紹介するのでぜひ参考にしてください。
- 不動産売却時の注意点10選
- 状況に合わせて売却方法を選ぶ
- 不動産売却の流れと期間を把握して、余裕を持ったスケジュールを立てる
- 不動産の売却には費用がかかることを知っておく
- 近隣の物件相場を調べて売却価格を決める
- 査定を1社だけにお願いしない
- 査定額だけで仲介会社を選ばない
- 専任媒介契約を簡単に締結しない
- 不動産会社による囲い込みには要注意
- 不動産売買契約書の確認をしっかりおこなう
- 不動産売却した翌年に確定申告をする
- 【物件の種類別】不動産売却時の注意点
- 【マンション】同じ物件内の売り出し状況を把握する
- 【一戸建て】基本的にはリフォームは必要ない
- 【土地】境界線を明確にしておく
- 【状況別】不動産売却時の注意点
- 【相続した不動産を売却する場合】相続登記をおこなっておく
- 【ローン残債がある不動産を売却する場合】住宅ローンを完済して抵当権の抹消登記をしなければならない
- 【離婚を理由に不動産を売却する場合】財産分与やローン残債について決めておく
- 【住み替えを理由に不動産を売却する場合】購入と売却の順序を決める
- 内覧の際の注意点
- 内覧前に掃除をしておく
- 内覧者と口約束をしない
- 物件の瑕疵を正直に伝える
- まとめ
不動産売却時の注意点10選
はじめに、すべての不動産に関する売却時の注意点を解説していきます。不動産売却の際には下記の注意点に気をつけてください。
- 状況に合わせて売却方法を選ぶ
- 不動産売却の流れと期間を把握して、余裕を持ったスケジュールを組む
- 不動産の売却には費用がかかることを知っておく
- 近隣の物件相場を調べて売却価格を決める
- 査定を1社だけにお願いしない
- 査定額だけで仲介会社を選ばない
- 専任媒介契約を簡単に締結しない
- 不動産会社による囲い込みには要注意
- 不動産売買契約書の確認をしっかりおこなう
- 不動産売却した翌年に確定申告をする
後悔することのないよう、1つ1つしっかりと確認していきましょう。
状況に合わせて売却方法を選ぶ
1点目の注意点は、状況に合わせて売却方法を選ぶことです。不動産売却と一口に言っても、売却方法はさまざまです。
下記に代表的な売却方法とそれぞれのメリットをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
売却方法 | 特徴 | メリット | 売却までの期間 |
---|---|---|---|
仲介による売却 | 一般的な売却方法。買取による売却よりも高額で売りやすい。 | 売却価格が高い。 | 最短で売却までに6か月かかり、条件に応じてはそれ以上の期間売れ残る可能性がある。 |
買取による売却 | 仲介による売却の7割程度の金額で買取される。 | 短期間で売却できる。 | 最短1週間程度で売却できる。 |
買取保証付き売却 | 契約した期間内に売却できなかった場合、不動産会社が買取ってくれる。 | 確実に売却できる。 | 不動産会社と結んだ契約内容により、中期〜長期の間売却できない。 |
リースバック | 不動産会社に物件を売却するが、その後も家賃を支払うことにより住み続けられる。 | 引っ越す必要がない。 | 最短1週間程度で売却できる。 |
任意売却 | 住宅ローンの返済ができなくなった場合の売却方法。債権者の合意を得られればすぐに売却できる。 | 売却で得た費用を住宅ローンの残債と相殺できる可能性がある。 | 最短1週間程度で売却できる。 |
上記の表からもわかるように、不動産の売却方法によって価格も期間も大きく異なります。このため、特別な事情で売却する場合には「できるだけ最短で売却したい」「期限はないから、できる限り高額で売却したい」等の旨を不動産会社に伝えておきましょう。
不動産売却の流れと期間を把握して、余裕を持ったスケジュールを立てる
不動産売却に失敗しないためには、余裕を持ったスケジューリングも大切です。進学などに合わせて3月までに売却を完了したいなら前年の9月、物件の条件に自信がない場合には前年の3月までに売却の準備を始めましょう。
特に、土地や戸建て等の物件はマンションと比較して買い手が見つかりにくいので、早めに動くことが大切です。状況によっては隣地との境界を確定するための測量や、大規模な修繕が必要となるケースもあるので、準備は早いに越したことはありません。
不動産の売却には費用がかかることを知っておく
不動産の売却時には、さまざまな費用が発生することも忘れてはなりません。不動産を売却した費用がそのまま自身の懐に入るわけではないので、くれぐれも注意してください。
下記に不動産売却時に発生する代表的な費用をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- 仲介手数料
仲介をした不動産会社に対して(売却額×3%)+6万円+消費税を支払う必要がある。 - 印紙税
不動産の売却価格に応じて200円〜60万円の印紙税が発生する。 - 抵当権抹消費用
買主に抵当権を移すために抵当権抹消をおこなう。費用は司法書士に依頼した場合5,000円〜2万円前後かかる。 - 各種税金
「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」などの税金が発生する。費用は売却した年の1月1日時点での保有期間で異なる。
近隣の物件相場を調べて売却価格を決める
売却する不動産の売れ残りを阻止するためにも、周辺の物件相場の下調べは欠かせません。物件の相場は不動産ポータルサイトでも確認できますが、その土地の相場を熟知した不動産会社に相談した方が正確な売却価格を導き出せるでしょう。
相場を熟知している不動産会社に相談することにより、売れ残りだけではなく安売りして後悔するリスクも減らせます。
査定を1社だけにお願いしない
あまり知られていませんが、不動産を売却する際の査定額は不動産会社によって大きく異なります。このため、査定は1社のみにお願いするのではなく、複数社への依頼が欠かせません。
複数社に査定を依頼することにより、自身の持つ不動産の価値を理解できるだけではなく、不動産会社ごとの対応やスキルの有無も比較検討できます。昨今では、不動産の査定を一括で依頼できるサイトもあるのでぜひ活用してください。
査定額だけで仲介会社を選ばない
査定額の高さのみで不動産会社を決定することはおすすめしません。なぜなら、契約をするために虚偽の高額な査定額を提示する不動産会社もあるからです。
もちろん、できるだけ高く売却することは重要ですが、不動産会社選びは下記のポイントを押さえておこなうようにしましょう。
- 不動産会社の専門性と実績
- 営業マンの実力と人間性
それぞれ詳しく解説していきます。
不動産会社の専門性と実績
不動産会社選びの1つ目の基準は、会社自体の専門性と実績です。不動産会社には、賃貸を得意としている会社や売買のみをおこなっている会社、物件管理に力を入れている会社等、さまざまなスタイルがあります。
そのため、「売却したい不動産から近い会社だから」「査定額が一番高かったから」などの理由で不動産会社を決めず、実績の高さに注目して売買に特化した会社を選ぶようにしてください。不動産会社が得意としている事業は会社のウェブサイトで確認できます。
営業担当者の実力と人間性
営業担当者の人間性や実力も大切です。不動産会社に売却を依頼する際、必ずといって良いほど営業担当がつきます。
不動産売却は営業担当者の良し悪しで決まると言っても過言ではないので、必ず担当者の実力や人間性を見るようにしてください。希望や条件にしっかりと耳を傾け、初心者に対してわかりやすい根拠のある提案をおこなう営業担当者は信頼できます。
一方で、親身に話を聞かない営業担当者や、そもそも誰が担当の営業担当者かわからない不動産会社は信頼できないと言えるでしょう。
専任媒介契約を簡単に締結しない
次に挙げられる注意点は、専任媒介契約を簡単に締結しないことです。専任媒介契約を解説する前に、不動産会社との媒介契約の種類を紹介していきます。
媒介契約の種類 | 複数の不動産会社との契約 | 自分で探した買主との契約 | 契約期間 | 業務状況の報告 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | できる | できる | 自由に決められる | 任意 |
専任媒介契約 | できない | できる | 3か月以内 | 2週間に1回 |
専属専任媒介契約 | できない | できない | 3か月以内 | 1週間に1回 |
上記の表からもわかるように、不動産会社と媒介契約する方法は3種類あります。一般媒介契約では、複数の不動産会社に売却の依頼ができ、さらに自分自身で買い手を見つける「自己発見取引」も可能です。
専任媒介契約では、1社の不動産会社にしか売却の依頼ができませんが、自己発見取引は可能です。また、一般媒介契約とは異なり2週間に1回の頻度で業務状況の報告をおこなってくれるので、より細やかな対応が受けられると言えるでしょう。
専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか売却の依頼ができず、さらに自己発見取引もできない契約方法です。契約の自由度は減りますが、その分1週間に1回の頻度で業務状況を報告してくれるなど、不動産会社の丁寧さ・熱心さも変わります。
不動産会社は、基本的に自社にとってメリットの大きい専属専任媒介契約を勧めますが、鵜呑みにせず自身のニーズにあった契約方法を選択してください。
不動産会社による囲い込みには要注意
不動産会社の言葉を鵜呑みにしていると、知らないうちに囲い込みに合っている可能性もあります。不動産会社の囲い込みとは、売主から依頼された不動産を自社に訪れた顧客にしか紹介しないことです。
なぜこのような囲い込みが行われるかというと、他社に不動産の情報を公開しないことで、自社で売主と買主の両方から仲介手数料を得られるメリットがあるからです。囲い込みは売主にとってまったくメリットがないので、早急に対処しましょう。
効果的な対処方法は、不動産会社から「登録証明書」を受け取ることです。登録証明書があれば、不動産ポータルサイトである「レインズ」で物件が他社と共有されているかを確認できます。
不動産売買契約書の確認をしっかりおこなう
不動産売却をおこなう場合、一般的には買主・売主・不動産会社の3者が集まり契約を取り交わします。契約書の内容に双方が納得した上で捺印すれば契約締結となりますが、契約内容は自由であることを忘れないようにしましょう。
極端な話をすると、売主が圧倒的に不利になる内容が記載されていても、一度締結した契約の変更はなかなかできません。契約内容の最終確認は自己責任となるので、売買契約書の最終確認はしっかりとおこなうようにしてください。
不動産売却した翌年に確定申告をする
不動産を売却した翌年には確定申告が必要となります。確定申告とは、1年間に得た所得を管轄の税務署に申告し、所得に応じた税金を支払う制度のことです。
会社勤めの方は会社側が年末調整を行ってくれるので、確定申告手続きが必要ないと思っている方もいるかもしれません。しかし、不動産売却で譲渡所得が発生した際には、給与とは別に申告する必要があるので確定申告をおこないましょう。
【物件の種類別】不動産売却時の注意点
ここまでは、不動産売却全般に関する注意点を紹介していきました。しかし、不動産には一戸建て・マンション・土地があります。
この項では、物件の種類別に注意点を解説していきます。
【マンション】同じ物件内の売り出し状況を把握する
マンションを売却する場合、同じマンション内で競合している物件がないか把握しておく必要があります。同じマンション内で複数の物件が売り出されていると、比較検討の対象になりやすく、同等の売却条件である場合には高層階や角部屋に人気が集まりやすいです。
自身の売却条件が競合と比較して良い場合には、そのまま売却を継続しても良いですが、条件が悪い場合には売り出しのタイミングをずらすなどの工夫が必要です。
【一戸建て】基本的にはリフォームは必要ない
一戸建てを売却する場合、「できるだけ高額で売却したい」という気持ちからリフォームを検討する方が非常に多いです。もちろん、買主側から見ると古い物件よりはリフォームされて綺麗な方が心証は良いでしょう。
しかし、基本的にはリフォームをする必要はありません。なぜなら、大規模なリフォームをおこなったとしても、リフォーム費用分を回収できる価格で売却できるケースはごく稀だからです。
まずは何もせずに募集をかけて、どうしても買い手がつかないときにリフォームを検討すれば良いので、独断でリフォームをするのはやめましょう。
【土地】境界線を明確にしておく
土地を売却する際には、明確な査定額を算出するために境界線を確定しておく必要があります。境界線とは、その名の通り自分の土地と隣地との境界がわかる線のことです。
先祖から受け継いだ古い土地の場合には境界が明確でないケースも多いので、法務局で「確定測量図」を入手し、境界線を把握しておきましょう。
【状況別】不動産売却時の注意点
続いて、以下の4つの状況別に不動産売却時の注意点を確認していきます。
- 相続した不動産を売却する場合
- ローン残債がある不動産を売却する場合
- 離婚を理由に不動産を売却する場合
- 住み替えを理由に不動産を売却する場合
物件の種類だけではなく、売却時にはその物件の状態や条件によって注意点が異なります。いくつかのケースの注意点をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【相続した不動産を売却する場合】相続登記をおこなっておく
相続した不動産を売却する場合、まずは相続登記をする必要があります。相続登記とは、相続によって所有者が変更した場合に必要な登記です。所有者変更を行わない状態では、相続した不動産の売却はできないので注意しましょう。
相続登記には、相続から何日以内におこなわなければならないルールはないので後回しにしてしまいがちですが、スムーズに売却するためにも早めに手続きをおこなってください。
【ローン残債がある不動産を売却する場合】住宅ローンを完済して抵当権の抹消登記をしなければならない
売却したい不動産に住宅ローンの残債がある場合、ローンを完済して抵当権の抹消登記をおこなう必要があります。
抵当権とは、ローン返済が滞った場合に融資している金融機関が物件を差し押さえて競売にかけられる権利です。ローンの残債がある限りは、金融機関の承諾なしに勝手に不動産を売却できません。
不動産の売却益でローンを一括返済できれば問題ありませんが、売却金額よりローン残債が多い場合は以下の3つで対処しましょう。
- 手持ちの資金で補填する
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却を利用する
【離婚を理由に不動産を売却する場合】財産分与やローン残債について決めておく
離婚を理由に不動産を売却する場合には、あらかじめ財産分与や住宅ローン残債について決めておく必要があります。住宅ローンの残債が残っていない場合には、不動産を売却して売却金を折半する方法が理想的です。
しかし、残債がある場合には、夫婦のどちらが残債を支払うか、不動産の名義人はどちらにするかを決めておきましょう。
【住み替えを理由に不動産を売却する場合】購入と売却の順序を決める
住み替えを理由に不動産を売却する場合、多くの方は新居を先に購入するか、居住中の不動産を先に売却するか迷うことでしょう。どちらの方法もメリット・デメリットが存在するので、事前に確認しておいてください。
順序 | メリット | デメリット |
---|---|---|
新居を先に購入する | 新しい新居が見つかるまでの仮住まいを用意する必要がない | 現在の住居を想定していた価格で売却できなかった場合には、資金計画に狂いが生じる |
先に不動産を売却する | 新居に使える資金が確定しているので、計画的な新居の購入ができる | 希望の新居がすぐに見つからない場合、仮住まいに費用がかさむ |
一概にどちらの方法がおすすめとは言えませんが、資金計画通りに順序を進めたい場合には、先に不動産を売却することをおすすめします。
内覧の際の注意点
最後に内覧の際の注意点を解説して終わります。内覧とは、不動産会社の募集を受けて買主が物件を見に来ることです。
この内見の印象によって購入の可否が決定すると言っても過言ではないので、必ず注意点を押さえておいてください。
内覧前に掃除をしておく
商品である不動産をなるべく良く見せる簡単な手段として挙げられるのが清掃です。床や壁の清掃をはじめ、可能であれば水回りも掃除しておきましょう。
もし、ご自身での清掃が難しい場合には、ハウスクリーニング業者に依頼するのも1つの手と言えます。
内覧者と口約束をしない
内覧に訪れた買主との口約束は決しておこなわないようにしましょう。内覧に家主も立ち会う場合、「もう少し値引きしてくれたら住みます」「ここにある家具もつけてもらえませんか」などと直接交渉してくるケースがあります。
買ってくれる雰囲気を出されると交渉に応じたくなりますが、売主と買主の直接交渉はトラブルのもとです。内覧時に交渉を受けてもその場で返事はせず、不動産会社を介して話し合うようにしてください。
物件の瑕疵を正直に伝える
最後に挙げられる注意点は、物件の瑕疵を正直に伝えておくことです。瑕疵とは、物件の設備等で故障や修理が必要な個所を言います。
不動産を売却するにあたって、できる限り物件を良い物に見せたいと誰もが思うことでしょう。しかし、良く見せたいあまりに物件の瑕疵を隠すことは絶対にやめてください。後々発覚した場合、大きなトラブルに繋がるので必ず事前に伝えておきましょう。
瑕疵の説明は一概に売主が説明する必要はなく、場合によっては不動産会社が事前に内覧者に伝えておくケースもあります。このため、不動産に瑕疵がある場合にはあらかじめ不動産会社に相談しておきましょう。
まとめ
当記事では、不動産売却の注意点について詳しく解説してきました。不動産売却の際には、業者選びや不動産の状況に応じた注意点が数多くあります。
あらかじめ注意点を把握しておくと、後から困ることがなくスムーズな売却をおこなえる可能性が高くなります。当記事を参考に、ぜひ賢い不動産売却をおこなってください。