マンションの売却を考えたら、次の5つの項目を確認し、事前準備を始めましょう。
それぞれ詳しく解説します。
売却相場を把握していないと、納得できる金額でマンションを売れません。次に紹介する3つの方法を活用し、自身で売却相場を確認しましょう。
レインズマーケットインフォメーションでは、日本全国の不動産取引情報が検索できます。運営・管理は全国指定流通機構連絡協議会で、国土交通大臣の指定を受けた流通機構が提供する信頼できる検索サイトです。
ここでは売出価格ではなく、成約価格が登録されているため、実際の相場に近い売却情報が得られます。ただし、不動産会社向けのサービスであり、個人では不動産の詳細な住所やマンション名などは閲覧できません。
とはいえ、最寄り駅や間取り、専有面積、成約時期といった条件での検索は可能です。築年数と平米単価の分布がグラフ表示されるので、相場を把握しやすいでしょう。
【参考】レインズ・マーケット・インフォメーション|不動産流通機構
土地総合情報システムでは標準地の価格(地価公示)と、基準地の価格(都道府県地価調査)が検索できます。地価公示は国土交通省が発表する土地取引の価格指標です。都道府県地価調査は、各自治体が発表している土地の基準価額です。
都道府県・市区町村を指定すると、該当地域の土地の平米単価が調べられます。 売るマンションの所在地近くの土地価格がわかれば、相場の判断材料になるでしょう。
【参考】土地総合情報システム|国土交通省
各種不動産ポータルサイトでは、売り出されている不動産の価格が検索できます。エリアや築年数、間取り、専有面積などの条件を指定し、売る予定のマンションと似た物件を調べれば相場がつかめるでしょう。
また、複数の不動産会社に一括査定を依頼でき、比較検討しながらマンション売却の準備を進められます。
マンションなどの不動産を売却する際は、名義人や物件の詳細を確認するために必要な書類があります。
※紛失した場合は事前通知を利用
身分証明書は、売主の本人確認のために必要です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、健康保険証などを用意しましょう。
実印は契約や登記手続きに使用しますが、持っていなければ作成し、印鑑登録をおこないます。印鑑登録証明書は、市区町村役場などの窓口やコンビニで発行できるので、実印を使用する時期に合わせて用意しましょう。
登記済証(権利証)または登記識別情報は、登記名義人が所有者であると証明する書類です。紛失しても再発行できないので、手元になければ法務局に問い合わせて「事前通知」を利用します。
固定資産税・都市計画税納税通知書は、毎年1月1日時点の所有者宛に届く書類です。年の途中で売却すると所有者が変わるため、税金を按分しなければなりません。そのための金額の根拠として必要です。紛失した場合は、市役所にて固定資産税評価証明書を取得しましょう。
マンションでは居住時に守らなければならないルールや、共用部の修繕計画が管理組合ごとに用意されています。そのため、新たな所有者となる買主への引き継ぎ資料として、管理規約や長期修繕計画書、総会議事録が必要です。
マンションの所有者に配布されているものですが、手元になければ管理会社や管理組合に問い合わせましょう。マンションによっては、再発行が有償のケースもあります。
マンションの間取図は、売出情報として掲載するためだけでなく、新しい所有者への引き継ぎに必要です。もし、手元になければ管理会社または管理組合で保管している図面がないか、問い合わせましょう。ただし、リフォームによって間取りを変更しているなら、新築時の図面では役に立ちません。変更後の図面が必要となるので、リフォーム工事を依頼した業者に確認しましょう。
管理に係る重要事項調査報告書は、マンションを購入する買主に対して、不動産会社が重要事項説明をするために必要です。不動産会社がマンションの管理会社に依頼し、発行するケースが多いでしょう。
耐震診断書やアスベスト使用調査報告書は、該当する調査をマンションで実施している場合にあるとよい書類です。買主への重要事項説明の際に調査内容の根拠として提示できます。
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書も同様に、該当する書類があるならばマンションの価値を証明する材料となるので用意しましょう。
新築時の販売パンフレットやチラシ広告が残っているなら、販売当初の物件情報が分かるためマンションの魅力を伝えやすくなります。
また、住宅ローンの返済が終わっていない場合はマンションを売却する際に一括返済しなければならず、その手続きのためにローン残高証明書が必要です。毎年10月末頃に届きますが、借入先の金融機関に確認すれば再発行できます。
中古マンションが流通機構に登録されてから成約に至るまでの日数は、2011年~2021年のデータを見ると、60~90日の間で推移しています。
マンションを売るには、事前の相場確認や不動産会社との媒介契約を交わす時間もかかるため、3か月以上の期間を見ておくとよいでしょう。
事前準備や販売活動に使える時間が限られると、売却価格を妥協する結果にもなりかねません。後悔のないマンション売却のために、十分な時間が取れるよう計画したいところです。
【参考】首都圏不動産流通市場の動向(2021年)|人東日本不動産流通機構
住宅ローンが残っているマンションを売る場合、残債の一括返済が必須です。売却で得た資金によって返済できればよいのですが、売却価格が低ければ、残債を下回って返済資金が不足する可能性(オーバーローン)もあります。
オーバーローン時の対応には、以下の3つが考えられるでしょう。
いずれにせよ、ローン残債を把握しなければ資金の準備ができません。ローン残高証明書を確認したり、借入金融機関に問い合わせたりして、正確な額を把握しましょう。
マンションを売ると、売却資金が入るだけでなく、費用や税金といったお金の負担も生じます。売却時にかかる費用を詳しく見ていきましょう。
マンション売却で主にかかる費用は、仲介手数料と住宅ローンの返済手数料です。仲介手数料は不動産会社によって金額が異なりますが、法律により上限額が決められています。
住宅ローンが残っている場合は、一括繰上返済して抵当権を抹消しなければ売却できません。 返済手数料は金融機関によっても違いますが、ネット申請を利用すると安く済むケースもあるので借入先に確認しておくとよいでしょう。
また、必要に応じてリフォームやクリーニング費用、引っ越し費用などもかかります。
マンションを売却すると、印紙税や抵当権抹消の登録免許税、譲渡所得税がかかります。
また、譲渡所得税には税率が軽減されたり、特別控除が適用されたりする特例があるのでぜひ利用しましょう。
売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていたなら、通常の長期譲渡よりもさらに低い税率が適用されます。
また、この制度は次に説明する3,000万円の特別控除の特例とも併用可能です。
所有期間にかかわらず、自宅として住んでいたマンションを売却した場合は3,000万円の特別控除の特例を適用できます。
譲渡所得から3,000万円が差し引かれた残りの金額に対して税率をかけるので、支払う税金を大きく減らせるでしょう。
自宅を売却して新たに住まいを購入した場合、譲渡益にかかる税金を先送りできる特例があります。
たとえば、5,000万円で自宅マンションを売ったと仮定しましょう。この売却価格からマンションの購入代金や売却にかかった費用を差し引き、譲渡所得が2,000万円になったとします。
通常ならこの2,000万円の譲渡所得に対して税金が課せられますが、売却後に新しく住宅を購入した場合は新居を売却するまで課税を繰り延べられるのです。
将来、住み替えた新居を売却したときの譲渡所得に繰り延べた分の2,000万円を加算した譲渡所得税がかかります。
ここからはマンション売却の流れを順番に解説していきます。
<①事前準備> 売却相場や必要書類、ローン残債を確認して、売却期間を確保しましょう。
<②査定を依頼> 客観的な売却価格を判断するため、不動産会社に査定依頼します。
<③媒介契約> 仲介をお願いする不動産会社と媒介契約を締結。
<④売出価格の決定> 事前準備で知った相場価格や査定額から売出価格を決定します。
<⑤売却・販促活動> 媒介契約を結んだ不動産会社が、売却・販促の活動を開始。 内覧希望に対応するのはこのタイミングです。
<⑥買付申込と売買契約> 売出情報を見た購入希望者から買付申込が入り売買契約が成立。 買主から手付金を受け取り、仲介業者には手数料の半額を支払います。
<⑦決済・引き渡し> 手付金を除く残りの売却価格分を受け取り、いよいよマンションの引き渡しです。 不動産会社には仲介手数料の残りを支払います。
<⑧確定申告> 売却した翌年の3月15日までに確定申告をおこない譲渡所得税を納税します。 損失があった場合も、確定申告により損益通算と繰越控除の特例が受けられます。
中古マンションの成約物件あたり単価は年々上昇しています。しかし、年単位で時期を遅らせるとマンションの築年数も増えてしまい、売れにくくなる一面も。
また、売却が成立しやすい季節もあるので、売却を急がないのであれば時期をずらすのも選択肢の一つです。
国土交通省が発表するマンションの不動産価格指数は2013年以降右肩上がりで、戸建住宅との差が大きく開いています。これだけを見ると、売る時期を遅らせるほどマンションは高く売れると感じるかもしれません。
しかし、首都圏の中古マンションの成約率を見ると、築年数の経過によってマンションが売れにくくなっている様子がうかがえます。
築6年~10年のマンションでは成約率30%を超えていますが、築11年~15年になると30%未満に低下します。築21年を超えてくると成約率は20%ほどになります。
マンションが売れにくいなら、値下げしなければならないかもしれません。そのため、築年数が浅いうちに売却したほうが得策と言えるでしょう。
<不動産価格指数(住宅)(令和3年4月分・季節調整値)> 引用:不動産価格指数(令和3年4月・令和3年第1四半期分)|国土交通省
<中古マンションの対新規登録成約率(新規登録件数に占める成約件数の割合)> 引用:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」
不動産市場が活発に動く春・秋のタイミングはマンションも売れやすくなるので、売却活動の狙い目です。2月から4月にかけては新年度に合わせて新居を求める世帯が増え、中古マンションの成約数も例年増えています。
また、9月・10月のタイミングで異動・転勤になる人も多いため、この時期も市場が動きやすくなるようです。売れやすい時期に売却活動できるよう、逆算してマンションを売る準備を進めましょう。
マンションを売却するなら、相場より高く売りたいものです。 ここからは、高く売るコツ10選を紹介します。
不動産会社には大手・中小といった規模的な違いだけでなく、新築マンションの分譲を専門としていたり、賃貸の仲介を中心としている会社であったりと、さまざまなタイプがあります。
マンションを高値で売りたいなら、マンション売却を得意とする不動産会社に依頼するのが一番です。
中古マンションの取引実績や、取り扱っている物件情報が売却したいマンションと同じタイプかを確認し、マンション売却に強い不動産会社を選びましょう。
マンションを高く売るには、不動産会社が持つノウハウだけでなく担当者の手腕も重要です。知識・経験の豊富な担当者であれば、無駄のない的確な販売活動で売主をサポートしてくれるでしょう。
チラシを配布する範囲やタイミングを見極めたり、反響が少なかった場合は価格を見直したり、根拠のある説明とアドバイスが期待できます。内覧時も購入希望者の心をつかむ物件説明をしてくれるでしょう。
マンション売却が得意な不動産会社を選び、経験豊富で相性の合う担当者に依頼できると、安心してマンションを高額で売却できます。
価格交渉によって最終的な売却価格が決まりますが、売出価格よりも高値で売却できるケースは稀です。
ほとんどの場合、売出価格よりも低い価格で売却することになるため、マンションを高く売るために査定価格より少し高めの金額を売出価格に設定しましょう。
とはいえ、相場や査定価格とかけ離れた金額では、買主が現れません。現実的なラインとして、1割~2割程度高い売出価格にしましょう。
マンションの築年数が経過するほど成約率が下がり、売れにくさから希望価格を下げなければならない可能性がでてきます。
住み替えを急がない場合は別として、今後、住む予定がないマンションであれば、築年数が浅いうちに売却したほうが結果として高くマンションを売却できるでしょう。
ホームインスペクション(住宅診断)を実施し、マンションの品質を証明できれば、売却時のアピールポイントにできます。
「ホームインスペクション」という言葉には聞き馴染みがないかもしれません。しかし、国土交通省は「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を発表し、客観的な調査によって修繕箇所の有無を明らかにするよう呼びかけています。
ホームインスペクションには別途費用がかかりますが、同じマンションが同時に売りに出されている場合は買主に対してアピールしやすく、差別化のポイントにもできるでしょう。
また、万が一問題箇所があっても事前に修繕しておけば売却後のトラブルを回避できます。
購入希望者は予算や間取り、立地といった条件だけでなく、不動産情報サイトに掲載されている室内写真も物件選びの材料にしています。
写真が少なかったり、雰囲気が悪かったりすると、興味を持ってもらえません。当然、購入希望者が現れず、価格の見直しを迫られるでしょう。
高く売るには見栄えのよい室内写真を数多く掲載してもらいましょう。
マンション内の様子を自分の目で見て決めたい購入希望者は多く、内覧の印象の決め手となるケースも珍しくありません。
買主は、内覧の予定日を週末の「仕事が休みのタイミング」で希望するケースが多いため、面倒に感じるかもしれませんができる限り対応しましょう。また、室内の印象をよくするため、清掃やマメな整理整頓も重要です。
居住していないマンションなら空室の状態での内覧となりますが、ホームステージングといって家具や照明を配置して室内を演出する方法もあります。
別途費用はかかりますが、相場より高く売れたり、売却期間が短縮できたりといった効果が見込めるので、魅力を伝えるために検討してもよいでしょう。
専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいる場合、不動産会社には定期的な報告義務があります。
しかし、受け身で報告を待つのではなく、売主からもこまめに連絡をとり、広告の反響や内覧後の購入検討者の反応はどうであったかを確認しましょう。
売主からの問い合わせが積極的であれば、不動産会社にも責任感や緊張感が生まれやすくなります。結果として、売却活動に力を入れてくれるようになり好条件での成約が期待できるでしょう
不動産会社と結ぶ媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類です。
一般媒介契約なら、複数の不動産会社が売却活動するため、価格競争できると思うかもしれません。しかし、他社に利益が流れる可能性から、販売活動が消極的になる不動産会社もでてきます。
その点、専任媒介契約は不動産会社を1社に絞るため、選ばれた不動産会社は熱意ある売却活動を実施しやすく、短期かつ高額でマンションを売却できる可能性が高まるのです。ただし、1社に限定するがゆえのデメリットも。
不動産会社の販売力が及ばなければ、希望する時期・金額での成約が叶いません。競合がいないため、かえって販売活動が鈍くなるケースもあります。
専任媒介契約を結ぶ際は、マンション売却が得意で活発な販売活動が期待できる不動産会社選びが重要です。
マンション売却時には「旧居の売却が先(売り先行)」か、「新居の購入が先(買い先行)」かという問題に直面することもあります。売却してから新居に移る「売り先行」では、売却益をローン返済や新居の購入費用にあてられます。売り急ぐ必要もなく、価格交渉で妥協せずに済むでしょう。
しかし、決済・引き渡しからすぐに新居へ入れなければ仮住まいが必要です。家賃節約を考えると、新居探しに時間をかけられないデメリットがあります。
「買い先行」ならば、新居をじっくり探して引っ越してから売却するので、仮住まいを確保する必要がありません。
反面、売却が決まらないと、旧居のローン返済が終わらず二重ローンで負担が増します。早く売らなければという焦りが生まれ、値下げを余儀なくされるかもしれません。
また、マンションを高く売りたいなら基本的には「売り先行」となりますが、不動産価格が上昇傾向にあるなら新居の購入価格も上がる恐れがあるので、「買い先行」にしましょう。
マンションを売るときは不動産会社選びが重要です。 ここでは不動産会社を選ぶポイントを5つ紹介します。
不動産会社の査定額は鵜呑みにせず、根拠を確認しましょう。査定結果が一番高額だった不動産会社に依頼したくなるのは自然な心理ですが、なかには契約を取り付けるため根拠なく相場より高い査定を出してくる不動産会社もあります。
交渉の末、大幅に値引きする結果となれば意味がありません。良質な不動産会社を見抜くためにも、査定額の根拠を開示してもらい、納得できる説明があるかで判断しましょう。
マンションを高く売るには具体的な販売戦略が不可欠です。やみくもな販売活動では成約につながりません。
販売するターゲット設定や、情報の掲載先がニーズに合っているかは重要です。今やネットでの広告掲載はどこの不動産会社でも実施しています。それ以外の宣伝方法を考えているのか、独自の販促経路を持っているのか、といった点についても細かく確認しましょう。
また、広告に掲載する情報がありきたりな紹介文では他の物件と差別化できません。マンションのアピールポイントを把握し、より魅力が伝わる紹介ができているか、といった点にも注目しましょう。
不動産会社によっては仲介だけでなく、売りやすくするためのサービスを提供している場合があります。
一例ですが、これらは仲介手数料に含まれないサービスです。別途費用はかかりますが、個別に業者を探して依頼するよりも割安であり、売却価格をアップさせる材料になります。
提供しているサービス内容も不動産会社選びの判断材料として確認しておきましょう。
近隣地域での売却実績が豊富であれば、その不動産会社は地域のニーズを理解した販売活動ができていると言えるでしょう。その会社が過去に売却した物件が、売りたいマンションと同じような条件であれば、その分野に強い不動産会社であると判断できます。
特にマンションの場合、「同じマンションの別の部屋を過去に販売した」という不動産会社を見つけるケースも珍しくありません。同じマンションを売却した実績があるなら、物件の魅力や効率的な販促方法を理解しているとも考えられます。
このような実績も不動産会社選びのポイントになるでしょう。
不動産会社の担当者は、売却活動中、繰り返し連絡を取り合う相手です。信用に足る人物でなければ、こちらの要望を伝えられないでしょう。
このように、マンションの売却を成功させるには担当者との相性や信頼関係を築けるかも重要です。質問をしても回答が曖昧であったり、時間にルーズであったりすると信頼できません。
リフォームやハウスクリーニングを提案されても、不信感があると、自社利益のためにサービスを売りつけているように感じます。
こちらの要望をきちんと聞いてくれるか、顧客の利益を考えた提案をしているか、根拠のある説明をわかりやすくしてくれるかなどをチェックし、信頼できる担当者がいる不動産会社を選びましょう。
マンション売却でよくある質問や注意点を解説します。
「売る」か「貸す」かの判断は、それぞれのメリット・デメリットを考慮して決めましょう。
マンションを売ると、次のようなメリットがあります。
また、デメリットとしては次のものが考えられるでしょう。
一方、マンションを売却せず、賃貸に出す場合のメリットは次のとおりです。
とはいえ、マンションを貸す場合も、デメリットはあります。
将来的に自身や親族が居住する予定があるなら、不動産資産として保有し続けられるよう賃貸に出すのがおすすめです。しかし、住む予定がないならマンションの価値が下がらないうちに売却するほうがよいでしょう。
また、マンションの買主が貸主となり、売主と賃貸借契約を結ぶ「リースバック」という選択肢もあります。リースバックによって不動産を手放せばマンションの維持費は不要です。毎月の家賃支払いはありますが、まとまった金額の売却資金が手に入り、希望すれば買い戻しも可能です。
マンションを売った人の半数以上は、新居に移る前に売り出しています。
「買い先行」「売り先行」のどちらにするべきか状況に応じた検討が重要ですが、居住中でもマンションの売却は可能です。
居住中では内覧対応が難しく、応じる場合もプライベート空間を見られてもよい状態にする手間がかかるでしょう。しかし、実際に住んでいる状態で内覧に来てもらうと、入居後の生活イメージをしやすいというメリットもあります。
販売活動には、以下のものがあります。
なお、これらの活動にかかる費用は不動産会社に支払う仲介手数料に含まれているので、個別の費用請求はされません。
不動産会社と媒介契約を結んだ段階では費用請求されず、買主が決まって売買契約が成立した段階で仲介手数料がかかります。
つまり、売却活動を実施したものの結果としてマンションが売れなかった場合、基本的に請求される費用はありません。
ただし、売主側が特別な依頼をしたために発生した費用については、実費を請求される場合があります。
売却代金は、売買契約時と引き渡し時の2回に分けて支払われるのが一般的です。
契約時に支払われる手付金は、個人間なら金額の決まりはありません。売主が不動産会社である場合は、売却価格の20%が法律上の上限となっています。
実際の相場としては売却価格の5~10%です。たとえば5,000万円の物件なら、手付金は250万円~500万円が相場です。
引き渡し時は手付金を差し引いた残りの金額が支払われます。
マンションを高く売るなら、まずは事前準備をしっかり進めましょう。売却相場に必要書類、ローン残債や売却費用を知り、十分な売却期間が取れるよう計画します。
売れやすい時期を選んだり、交渉時の値引きを見越して高めの価格で売り出したりするのも一つの方法ですが、買主にマンションの魅力が伝わらなければ成約には至りません。
写真を多く掲載したり、見栄えをよくする工夫をしたり、マンション売却に強い不動産会社と連携して売却活動を進めましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。