マンション売却・査定

マンション投資は売却と賃貸どっちがお得?メリットや税金の計算方法を解説

マンション投資は売却と賃貸どっちがお得?メリットや税金の計算方法を解説

マンションは売却と賃貸のどっちを選ぶ?

マンションを保有している方が、売却するか賃貸として貸し出すのかは状況によって異なります。そのため、マンションを売却するケースと賃貸として貸し出すケースで、どれほどのリターンが見込めるかを理解しましょう。

また、投資方法によってリターンが得られる期間や相場も異なります。短期的に利益を上げたい方には売却をおすすめしますが、長期で安定収入が欲しい方は賃貸がおすすめです。

マンションを売却するケース

マンションの売却で得られる相場金額は、地域や築年数によって大きく異なります。目安としては、東京都で平均築年数が20年前後のマンションは4,000万円ほどで売却可能です。

マンションの売却額の相場をより細かく理解したい方は、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定の中には無料で行ってくれるものもあり、費用をかけずに売却時の相場を知れるためおすすめです。

この際、まだ購入した際の住宅ローンの返済が終わっていない方の場合は、金融機関との交渉も必要です。

マンションを賃貸するケース

マンションを賃貸するケースでも、家賃相場は様々です。たとえば、都心でワンルームマンションを賃貸として貸し出すと家賃は10万円前後ですが、地方なら5万円程度の家賃と相場はエリアによって異なります。また、築年や駅距離なども影響します。

相場を知りたい方は、保有しているマンションと似ている条件で現在貸し出されているマンションを調べることをおすすめします。賃貸の家賃を決める際には相場金額をもとに決めることが多いため、事前に理解しておくと手続きもスムーズに進められるでしょう。

また、この際、購入した住宅ローンが残っている場合、事業用のローンに変更する必要があります。購入時は「自分が住む」という前提で、低金利の住宅ローンを契約しましたが、その物件を賃貸として他人に貸すということは、住宅ローンの適用外となります。投資用や事業用などのローンに変更する必要があり、金利が一般的には高くなります。

【売却vs賃貸】投資手法別のメリットとデメリット

【売却vs賃貸】投資手法別のメリットとデメリット

マンションを売却するか賃貸として貸し出すかでは、どちらにもメリットとデメリットがあります。

たとえば、マンションの売却をしようと考えた理由として「確実にまとまった現金が手に入るから」と考えている方も多いのではないでしょうか?

しかし、マンションを売却すると賃貸の場合にはかからない税金を支払わなければいけません。以上のように、売却だけでなく賃貸にもメリットとデメリットがあるため、事前に理解したうえでどちらにするか検討しましょう。

マンションを売却するメリット・デメリット

マンションを売却するメリットとして1番に挙げられるのが「まとまった現金が入ること」です。賃貸として貸し出すとまとまって現金を手に入れることはできず、時間をかけて少しずつ回収していく形になります。そのため、短期的にまとまった現金が欲しい方には売却がおすすめです。

ただ、マンションを売却する際には下記のようなデメリットもあります。

  • 譲渡所得税が発生する
  • 仲介手数料がかかる
  • 買い手が見つかるか不明

上記の中でも、マンション売却時に発生する仲介手数料や譲渡所得税に注意しましょう。マンションの売却では、売却額全てが貰えるわけではなく、仲介手数料や譲渡所得税を支払ったあとの残りが利益となります。

そのため、マンション売却前にシミュレーションを行い、どのくらいの利益が出るのかを事前に確認しておきましょう。

マンションを賃貸するメリット・デメリット

マンションを賃貸として貸し出す際のメリットは、長期的に家賃収入を得られたり節税したりできることです。

たとえば、住宅ローンを組んでマンションを購入した方は、前述したように事業用ローンに組み替える必要があります。この際の残債を家賃収入で返済でき、ローンの返済が終わればマンションという資産と家賃収入の両方が手に入ります。また、マンションを経営するのにかかる費用は経費計上できるため、節税効果も期待できるでしょう。

反対に、マンションを賃貸として貸し出す際のデメリットとして、空室リスクが挙げられます。空室リスクとは、マンションを賃貸として貸し出しても部屋の借り手が見つからないことです。また、せっかく見つけた入居者が家賃を払ってくれないという「滞納」のリスクもあります。「入居者が部屋を汚しまくって夜逃げをしてしまい、修繕費用を泣く泣く払った」というようなこともあり得ます。

空室の間は家賃収入が見込めないだけでなく、維持費として毎月コストがかかるため、場合によっては赤字になってしまいます。

メリットだけでなくデメリットに対してどのように対策するかを考えたうえで、賃貸として貸し出しましょう。そのためにも、信頼出来る管理会社と相談して、賃貸経営を堅実にしていきましょう。

マンション運用でかかる税金とは?

マンション運用でかかる税金とは?

マンション運用には、売却と賃貸それぞれに対して税金がかかります。売却と賃貸にかかる税金の種類は下記の表の通りです。

売却 賃貸
かかる税金
  • 印紙税(オンライン契約では不要)
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 所得税
  • 住民税
  • 固定資産税
  • 都市計画税

マンションを売却するか賃貸として貸し出すかによって、かかる税金が異なります

続いて解説する税金の内容や計算方法をもとに、シミュレーションしておきましょう。

マンションの売却でかかる税金の計算方法

マンションを売却する際には3種類の税金がかかりますが、「印紙税」と「登録免許税」は一律で支払う金額が決まっています。状況によって計算が必要なのは「譲渡所得税」のみとなっており、各項目の税金額と計算方法は下記の通りです。

かかる税金 税金がかかるケース 計算方法
印紙税 一律

(オンライン契約では不要)

契約金額500万〜1,000万円:5,000円

契約金額1,000万〜5,000万円:1万円

契約金額5,000万円〜1億円:3万円

登録免許税 一律 売却する不動産1件×2,000円
譲渡所得税 利益が出た場合 譲渡所得×税率

(20.315%~39.63%)

上記を踏まえたうえで、2,500万円で購入したマンションを3年間保有し、100万円の仲介手数料を支払ったうえで2,000万円のマンション1件を売却すると、下記の税金がかかります。

  • 印紙税:1万円
  • 登録免許税:2,000円
  • 譲渡所得税:812,600円

合計で824,600円が税金として引かれるため、売却額の全てが利益となるわけではありません。また、マンションを5年以上保有すれば「長期保有」とみなされ、譲渡所得税を約半分にできます。税金を減らしたい方は5年以上保有してから売却しましょう。

マンションの賃貸でかかる税金の計算方法

マンションの賃貸でかかる4種類の税金の計算方法は、下記の表の通りです。

かかる税金 税金がかかるケース 計算方法
所得税 不動産所得が
年間20万円以上
(給与所得+不動産所得)-各種所得控除
×税率(課税金額で異なる)
住民税 課税所得金額で異なる 課税所得金額×10%
固定資産税 固定資産税評価額で異なる 固定資産税評価額×1.4%
都市計画税 固定資産税評価額で異なる 固定資産税評価額×0.3%

所得税や住民税は家賃収入がある場合に税金がかかりますが、固定資産税や都市計画税はマンションを保有している限り必ずかかります。

ただ、固定資産税減税や都市計画税などは、条件に当てはまれば軽減措置を受けることができ、税金を抑えることも可能です。マンションを売却するか賃貸で貸し出すか悩んでいる方は、一度シミュレーションをしてみましょう。

マンション売却と賃貸の流れ

マンション売却と賃貸の流れ

マンションを売却する場合と賃貸として貸し出す場合には、事前にどのような流れで手続きを進めるのかを理解しておきましょう。事前に流れを理解しておけば、スムーズに手続きを進めやすくなります。

マンションを売却する際の流れ

マンションを売却する際には、なんとなくの流れだけでなく各項目の注意点も理解しておきましょう。注意点を理解しておけば、マンション売却をよりスムーズに進められます。

マンションを売却する流れは、下記の通りです。

  1. 事前準備をして不動産会社へ相談
  2. 不動産会社と媒介契約締結
  3. マンションの売却開始
  4. 購入希望者への対応
  5. 買主決定後に売買契約締結
  6. 物件を引き渡す
  7. 利益確定後に確定申告を行う

上記の7ステップがマンション売却の流れですが、最も注意すべき点は売却前の事前準備です。不動産会社へ相談して媒介契約を締結した後は、不動産会社がスムーズに手続きを進めてくれます。

ただ、不動産会社と契約する前に相場金額や保有しているマンションの状況を細かく理解していなければ、契約をスムーズに進められません。そのため、マンション売却を行う際には事前準備にしっかりと時間をかけましょう。

マンションを賃貸する際の流れ

マンションを賃貸として貸し出す場合は、売却に比べて契約書を締結する数が少ないのが特徴です。ただ、家賃や契約金額を適切に選択しないと損をしてしまう恐れがあるため注意しましょう。

マンションを賃貸として貸し出す流れは、下記の通りです。

  1. 不動産会社へ相談
  2. 契約種類を選択
  3. 家賃の決定
  4. 管理委託契約の締結(自主管理しない場合)
  5. 募集を開始
  6. 賃貸借契約の締結

マンションを賃貸として貸し出す際は、契約の種類を下記3つの中から選ばなければいけません。

  • 普通借家契約:一般的な賃貸契約であり、借主は契約更新が可能
  • 定期借家契約:契約期間が定められており、借主は契約更新が不可能
  • 管理業法制定:管理会社が所有者から借り上げ、入居者との賃貸借契約は管理会社が契約し、マンションを貸し出す契約

それぞれの契約種類に特徴があるため、マンションを賃貸として貸し出す目的や重要視する部分を考えたうえで検討しましょう。

マンション売却や賃貸のよくある質問

マンション売却や賃貸のよくある質問

マンションの売却や賃貸をしようと考えている方の多くは、似たような悩みを持っていることが多いです。マンションの売却や賃貸でよくある質問として、下記の3つが挙げられます。

  • マンションの売却と賃貸は同時にできる?
  • ローンの残債があっても売却できる?
  • 転勤でマンションを離れる場合はどうすればいい?

上記のよくある質問を事前に理解してマンションの売却や賃貸を検討した方が、情報が整理されて不安なく手続きを進められるでしょう。

マンションの売却と賃貸は同時にできる?

マンションの売却と賃貸は同時進行が可能です。「どちらでも良いから早く利益を上げたい」と考えているなら、マンションの売却と賃貸を同時進行で進めましょう。

ただ、マンションの売却と賃貸を同時で進めることには、下記表のようにメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
  • 成約までの時間が短い
  • 売却と賃貸を比較しやすい
  • 買主や借主への対応が大変
  • 不動産会社にとっては優先度が下がりやすい

売却と賃貸を同時に進める1番のメリットは、成約までの時間が短いことです。どちらの契約でも良いため、どちらか一方で進めるよりも効率よく進められます

ただ、デメリットとしては買い主や借り主への対応が大変だったり、不動産会社からすると優先度が下がりやすかったりする可能性が高いです。不動産会社としては、売却の方が仲介手数料として利益を上げやすいですが、他社で契約されてしまうと努力が無駄になってしまいます。

そのため、マンションの売却と賃貸の両方を同時に進めることには、メリットとデメリットがあることを理解しましょう。

また、賃貸契約が決まってしまった後に、「売買契約できそうだ」となっても、簡単に「では出て行ってください」とは言えません。賃貸借契約は、入居者の生活を優先するため一方的な解除は出来ないのです。その点はあらかじめご注意ください。

ローンの残債があっても売却できる?

住宅ローンの残債があっても、マンション売却は可能です。ただ、住宅ローンの残債がある状態で売却するためには、返済と抵当権の抹消を同時に行わなければいけません。

抵当権とは、支払いが滞った際に金融機関が不動産を担保できる権利のことです。つまり、住宅ローンの残債があるマンションを無許可で売却はできません。

そのため、住宅ローンの残債がある方は、マンション売却後に返済が可能かどうかを事前に確認しましょう。

転勤でマンションを離れる場合はどうすればいい?

転勤によって長期間マンションを離れる際は、マンションを売却するか賃貸で貸し出したらどのようなメリット・デメリットがあるのかを一度考えましょう。売却すれば資金面でのメリットが大きいですが、買い主が見つかりづらいデメリットもあります。

反対に、賃貸として貸し出せば転勤中は家賃収入が得られますが、賃貸トラブルが起きた際には遠方でも対応しなければいけないのがデメリットです。

転勤先や転勤年数によってもどちらが最適かは異なるため、自分自身の状況を考えたうえで検討しましょう。

また、転勤から戻ってきた際に「戻ってきたので今の入居者は立ち退きしてください」ということも簡単にはできません。いつ戻ってくるか明確であれば、定期借家契約にするという手もありますが、期間が未定の場合はご注意ください。

まとめ

マンション投資は、売却と賃貸だけと考えればシンプルですが、細部まで特徴やメリット・デメリットを確認すると複雑です。特に「売却の方がまとまったお金が入るから売却にしよう」と安易に決めてしまわないように注意しましょう。

もちろん、マンション投資をする目的や重要視する部分を理解したうえで投資すれば、利益を上げられる可能性も高いです。

中でも、マンションを売却や賃貸として貸し出した際にどのくらいの税金がかかり、利益はいくらになるのかをしっかりと理解してから検討しましょう。

無料でシミュレーションができるものもあり、税金に関する知識が無い方でも簡単にシミュレーションできるため、まずは不動産会社への相談をおすすめします。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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