家の売却を決めたら、まずは査定からスタートします。
しかし、家の査定といってもどこに頼めば良いのか分からないという人も多いでしょう。査定依頼に失敗すると、数百万円単位で損をする可能性もあります。査定は今後の売却を大きく左右する、重要なポイントでもあるのです。
この記事では、家の査定の依頼先や査定の注意点、知っておきたいポイントについて分かりやすく解説します。これから家の売却を検討している人は、ぴったりの査定先を選ぶ参考にしてください。
家の査定の依頼方法としては、大きく次の4つに分けられます。
不動産会社に直接査定依頼することが可能です。直接依頼すればいろいろな説明も受けられるので、売却知識がない人は選びやすい依頼先と言えるでしょう。
直接会社に出向くだけでなく、電話での依頼や、最近はインターネットからの依頼に対応している会社も多くあります。ただし、一度相談するとしつこい営業をかけられる可能性もあるので、他も比較したい人や押しに弱い人は注意しましょう。
また、不動産会社で直接依頼する場合、査定方法には次の2つがあります。
簡易査定とは、築年数や所在地などのデータをもとに査定する方法です。インターネットでの査定も簡易査定になります。
簡易査定であれば、簡単な情報だけで査定できるので、即日や数日で査定結果が分かる手軽さがあります。大まかな売却価格の目安が知りたい、とりあえず今売ったらいくらになるか知りたいといった場合に適しているでしょう。
ただし、簡易査定は家の状況などは考慮されないため、実際の売却額とは大きく異なる可能性がある点には注意が必要です。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が直接家に出向いて家をチェックして査定する方法です。
個別の状況などを考慮して査定するので、精度の高い査定結果を得られます。訪問査定の場合、担当者との日程調整なども必要になり、結果が分かるまで1週間から1ヶ月ほどかかってしまう点には注意しましょう。
簡易査定で不動産会社を比較し、その中から2〜3社に訪問査定を受けるとあなたにぴったりの不動産会社を選びやすくなります。
一括査定サイトとは、インターネット上で家の査定を受けられるサービスのことです。
提携する不動産会社数社の査定結果をまとめて入手できるので、複数の不動産会社に依頼する手間を省き、簡単に不動産会社の比較ができます。情報の入力は基本的に数分で完了するので、依頼の手間も大きくかかりません。
ただし、一括査定サイトもさまざまなサービスがあるので、利用するサイトを選ぶ際には次のような点に注意しましょう。
また、査定時に入力した電話番号やメールアドレス宛に営業がかかってくる可能性が高い点にも注意が必要です。複数の不動産会社を比較できる反面、それらの会社からの営業をしつこく感じてしまう場合もあるでしょう。
不動産会社に依頼せずに査定する方法として、査定ツールの利用があります。インターネット上のソフトでのAI査定や査定アプリを利用することで、不動産会社を介さずに査定結果を入手できます。
査定ツールなら不動産会社に個人情報を提供する必要が無いので、査定後に営業をかけられる心配がありません。また、基本的に即時で査定結果が分かるので、とりあえず価格が知りたいといった場合に適しているでしょう。
ただし、査定ツールはあくまで査定額を算出するだけなので、その後売却に進む場合は改めて不動産会社から査定を受ける必要があります。査定ツールによっては不動産会社が提供しており、そのまま連絡が取れるものもあるので検討してみるとよいでしょう。
不動産鑑定とは、不動産鑑定士による不動産の適正な価格の算定のことです。国家資格者である不動産鑑定士が、法律に基づいて家を査定し、価格を算出します。
この査定額は、裁判や特殊な不動産の売買など、第三者に適正な不動産価格を示す際に必要になります。不動産鑑定額は公的にも利用できる価格ですが、売主の事業などは一切考慮されない純粋な不動産としての価格です。
また、鑑定には30〜50万円ほどの費用がかかる点には、注意しましょう。
有料の査定の方が正確で効力もあるように感じますが、家の売却であれば無料の査定で十分です。
不動産会社のおこなう査定は、売買のための値付けのもととなる価格です。不動産鑑定のような明確な算出基準がなく、不動産会社独自のルールで算出されるため、会社によって価格も異なります。一般的には、おおよそ3ヵ月以内で売却できそうな価格に売主の事情を反映して算出されます。
また、不動産会社の査定は営業活動の一環であり、無料で行われるのが一般的です。無料といっても、しっかりとした情報をもとに査定する会社やサービスがほとんどです。
公的な証明として利用する場合や特殊な取引の場合であれば、有料の不動産鑑定が適していますが、一般的な市場での売却であれば無料の査定で問題ありません。不動産査定が必要な理由によって使い分けるとよいでしょう。
不動産査定については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:不動産査定をプロが解説!手順や査定額の計算方法、相場の調べ方
無料査定を利用する際の注意点として、次の3つが挙げられます。
利用する査定方法や不動産会社によっては、事前に書類を用意する必要があります。また、情報を入力する場合でも、正確な面積や築年数を調べるためにある程度の情報は必要です。事前に必要書類を用意しておくと、スムーズに査定を受けられるでしょう。
不動産査定に必要な主な書類は、以下の通りです。。
必要書類は不動産会社によっても異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。査定に必要な書類については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:【不動産の見積もりとは?】有料と無料のメリット・デメリットや注意点を徹底解説
先述したように、無料の不動産査定には明確な算出基準はありません。不動産会社やサービスごとの基準で算出するため、同じ物件でも会社やサービスによって価格は異なります。そのため、1社のみしか査定を受けない場合、価格の比較ができない点には注意が必要です。
できるだけ多くの不動産会社の査定額を比較することで、相場や価格の幅を把握でき、安値での売却を防ぎやすくなるでしょう。
査定額はあくまで「売れるであろう価格」であり、「売れた価格」ではない点に注意しましょう。
不動産を売却する際の価格には、次のような種類があります。
売り出し価格とは、チラシなどに掲載されるような、売り出している不動産の価格です。不動産会社の査定額や売主の希望をもとに、売り出し価格を決めていきます。売り出し価格は売主が自由に決められるため、査定額と同じである必要はありません。
また、売り出し価格が売却額と同じになるわけでもありません。家の売却では、買主から価格交渉を受けることや、なかなか売れずに値下げするケースは少なくないものです。そのような過程を経て、最終的に買主と合意して実際に売却できた価格が売却額となります。
そのため、査定額が必ずしも売却額と一致するわけではありません。査定額よりも売却額が下がる可能性がある点を意識して、いくらまで下がっても大丈夫か明確にしたうえで、資金計画を立てることが大切です。
不動産査定は、売り出し価格を決めるための大切な段階です。査定結果によっては売却額も大きく異なってくるので、気を付けておきたいポイントもいくつかあります。
ここでは、不動産査定をする際のポイントとして、次の4つを解説します。
査定を受ける前に自分でも相場を把握しておくことで、査定額の妥当性を判断しやすくなります。
相場は、近隣の類似物件の売買情報を収集することで把握できるでしょう。
売買情報は次のような方法で調べられます。
国土交通省の「土地情報総合システム」では、取引情報を検索できます。また、レインズにも全国の不動産会社の取引情報が掲載されています。ただし、レインズは不動産業者でしか閲覧できないので、一般向けのレインズマーケットインフォメーションを利用するとよいでしょう。
また、不動産会社のサイトから類似物件の売買情報を調べて、査定額と見比べることで、その査定額が適切かどうかを判断することもできます。ただし、同じ条件の不動産でも売却額が同じになるとは限りません。売却額は売主と買主の事情も反映されているものなので、自分の家の査定額と大きく異なる可能性がある点には注意しましょう。
先述したように、不動産会社の査定は複数社受けることが大切です。最初から1社に絞っていると、価格の妥当性を判断できません。複数社に査定依頼することで、査定額や対応力などを比較して選ぶようにしましょう。
査定額だけで判断するのはおすすめできません。査定額が相場よりも高すぎる場合、契約欲しさに高値を提示している可能性もあるからです。その場合、相場よりも高いことで売れにくくなり、売れないことを理由に値下げせざるを得なくなってしまうこともあるでしょう。
反対に、査定額が低すぎる場合も、その不動産の売却が不得意だったり、相場の把握ができていなかったりする可能性があります。
査定額が高いにせよ低いにせよ、その根拠を示せるかが重要です。高い査定額を提示し、さらにその根拠やデメリットなどもしっかり説明できる会社であれば、安心して売却を任せられるでしょう。
査定額を比較する際には、その不動産会社の実績もチェックすることをおすすめします。
不動産会社によって、得意不得意は異なります。自身が売却したい不動産を得意としない不動産会社に依頼しても、査定額の根拠がない、売却ができないという可能性もあるのです。
反対に、自分の売却する不動産の仲介実績が豊富な会社であれば、スムーズな売却が期待できるでしょう。
今回は、家の査定の依頼先や注意点、ポイントについて解説しました。
家の査定方法は、不動産会社への依頼や一括査定、査定ツール、不動産鑑定などがありますが、通常の売却であれば不動産鑑定以外の無料の査定で問題ないでしょう。
まずは簡易査定で不動産会社を比較してから訪問査定を受けると、効率よく不動産会社を選ぶことができます。ただし、査定前には自分でも相場を理解しておくなど準備をしておくことも大切です。
家の売却を検討している方は、この記事を参考に査定の準備や依頼を進めていきましょう。