固定資産税とは、土地や建物、マンションなどの資産を、その年の1月1日時点で所有している方が納める税金です。対象となるのは、主に下記の種類となります。
固定資産税は地方税で、住所がある市町村への納税となりますが、東京23区は例外として「東京都」に納める形となります。
また、所有者とされるのは「固定資産税課税台帳」に登録されている方となり、そこに住んでいない場合でも所有者と認められれば固定資産税を支払う義務が生じます。
固定資産税の金額は、一律ではありません。資産価値が高いものほど税金の額も大きくなるのが特徴です。住民税がおよそ4割、固定資産税もおよそ4割の税収となっており、市町村における重要な税金といえます。
固定資産税評価額とは、固定資産評価基準に基づいて、それぞれの市町村が定めます。「登録免許税」「固定資産税・都市計画税」「不動産取得費」の3種類を計算するうえで基となる重要な項目です。
土地の場合は60%から70%ほど、建物に関しては50%から70%になるように定められています。3年に一度見直されますが、償却資産に関しては1月1日から1月31日までに申告し、その内容を基にして評価額が決定されます。
もしも決定された評価額が納得できないと感じる場合、納税通知書の交付から3ヶ月までであれば、再審査を申し出ることが可能です。
固定資産税の計算は、基本的に、下記の計算式になります。
固定資産税評価額×税率1.4%
この計算式を用いて固定資産税を算出した結果、土地の場合は30万円未満、家屋は20万円未満であれば、固定資産税はかかりません。この場合、申請は必要なく、自動的に免税されるため煩わしい手続きなども不要です。
また、税率1.4%は、国が目安としている税率であり、全国一律で定められているものではありません。たとえば、財政的な問題を抱えている市町村などのなかには、1.4%にプラスした税率で固定資産税を算出しているケースもあります。
土地のみの場合、固定資産税評価額は、納税通知書に記載されている金額を確認してください。評価額は先ほども述べたように、3年に一度しか見直されません。そのため、いつでも最新の状態ではないということを念頭に置いておきましょう。
固定資産税評価額は変動するため、見直し時期を正しく把握しておけば、いつ最新の状態に更新されるかわかります。
固定資産税は、さまざまな特例や税制を活用すれば、減税することが可能です。ここでは、主な7つの条件について詳しく解説します。
どのような場合であれば適用されるのか、具体的にどの程度の減税が受けられるのかについて把握することで、税金を抑えるための方法を正しく理解できます。
新築の一軒家であれば3年間、マンションの場合は5年間固定資産税が減税となる制度です。どちらも本来の税額の半分が引かれるため、大きな減税処置といえます。
もともと、軽減措置は2022年に終了となる予定だったものの、税制改正により延長され、2024年3月31日までに新築された家屋が対象で適用されるようになりました。
基本的に、固定資産税は土地・建物のどちらも課税対象となりますが、住宅用地として利用される土地に関して税率を下げる特例です。
土地の大きさによって減税率が異なります。200平方メートル以下の部分は土地評価の6分の1、200平方メートルを超える部分に関しては3分の1が固定資産税額になります。
省エネを目的として住宅のリフォームをした場合、その翌年1年間の固定資産税が減額される制度です。工事終了後から3ヶ月以内に、必要書類を添付してお住まいの役所に提出します。
省エネ改修促進税制は、2024年3月31日までに工事した場合に限られます。
100平方メートル相当分に限られますが、バリアフリー改修工事をした翌年分の固定資産税額が3分の1に減税される税制です。築10年以上の住宅、費用が50万円以上などの条件があり、それらすべてがクリアしないと受けられません。
また、この税制も省エネ改修促進税制と同じく、2024年3月31日までの工事に限られます。
耐震リフォームをした場合、減額が半分で最大2年間の減税が受けられます。一般的な住宅における耐震リフォームであれば減税期間は1年間ですが、重要な避難路に指定されている道路の沿道にある住宅の場合、2年間の減税処置が受けられます。
ただし、耐震改修促進税制も2024年3月31日までとなっています。
耐震改修や省エネ改修の工事などと併せ、住宅の耐久性向上のための改修工事をおこなうリフォームで認定されると、翌年の1年間、固定資産税額が3分の2減額されます。
床面積が50平方メートル以上、リフォーム費用が50万円を超える場合などの条件があるため、減税を受ける場合は必ず事前に細かな内容をチェックしておきましょう。こちらも2024年3月31日までとなっています。
農地に転用することで、固定資産税が「農地課税」にかわります。その結果、宅地と比較すると大幅な減税になる方法です。農地課税の場合、ケースによっては10分の1を下回るほど減税されることもあるため、大きく税金を減税したい場合にはぜひ検討してみてください。
しかし、場合によっては宅地と同様の方法で固定資産税が課税されることもあるため、注意が必要です。気になる場合は、お住まいの固定資産税課に問い合わせてみましょう。
上記のように、さまざまな方法で固定資産税の減税が受けられますが、正しく申請しなければせっかくの特例を活用できません。
詳しい手続き方法や期限についてここで詳しくお伝えしますので、まずは申請の具体的な流れについてよく理解しておきましょう。
固定資産税の減税は、自ら特例の種類や受けられる条件を調べて申請する必要があります。自動的に適用されて減税というわけではないので注意が必要です。
手続きをするためには、申請書を作りお住まいの役所に提出します。作成すべき書類は住宅用地等申告書になり、所有者の名前や住所、家屋の住所、種類や床面積などを記載して提出することによって申請完了です。
特例を受ける場合、それぞれの種類ごとに申請期限が異なるため、気をつけてください。たとえば、軽減措置の減税を受ける場合、申請書を初年度に提出が必要となります。
省エネ回収促進税制やバリアフリー改修促進税制などは、工事完了から3ヶ月以内の申請となります。しかし、期間中に工事が完了していても、申請期限を越えてから申請すると減税処置は受けられません。
自ら申告して手続きを行わなければ減税は受けられないため申告忘れをしてしまうと、固定資産税の減税がされず税負担が大きくなってしまいます。必ず期限内に申告するようにしましょう。
固定資産税は、1年に1度送付される固定資産税納税通知書に同封されている振込用紙で支払いをします。自治体により送付時期は異なりますが、ほとんどの場合4月から6月の間に届きますので、必ず確認してください。
また、納期はそれぞれの地域により異なるため、市町村の公式ホームページや納税通知書を確認しましょう。固定資産税の支払い方法は、下記の通り複数あるため、そのなかから自分で選んで支払います。
自治体によって取り扱いが異なるため、支払い方法について事前にチェックしておくようにしてください。
また、もしも滞納してしまった場合には延滞金が発生します。固定資産税額により金額は異なりますが、年間で数万円から数十万円ほど上乗せして支払う必要があります。滞納期間が長くなってしまうと差し押さえとなることもあるため、忘れず納税するようにしてください。
固定資産税は、土地や建物などを所有している場合に納めなくてはならない税金です。しかし、さまざまな特例や税制があるため、減税でお得にすることも可能となっています。
しかし、自分で調べて申請しなければいけないため、知っておかなければ損してしまい節税できなくなってしまいます。
今後もさまざまな税制が出てくることが予想されているため、国の施策や不動産情報などをよくチェックしておくことが大切です。本記事で紹介している内容を参考に、効率よく税金を減らして固定資産税をお得にしましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。