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相続や老朽化で未登記の家を解体したいものの、手続きや費用、税金が複雑で踏み出せずにいませんか?
補助金の有無など、調べるほど不安が増している方も少なくないでしょう。
この記事では、未登記建物の解体手続きと費用相場から、補助金、税金対策までをわかりやすく解説します。
未登記建物とは、法務局の建物登記簿に登録されていない家屋を指します。登記がないと所有権の公示力が弱いため、売買や相続でトラブルが起こりがちです。
2024年4月の相続登記義務化以降は放置リスクが一段と高まり、法律で定められた期日内に相続登記しないと罰則を受けるようになりました。
未登記のまま放置すると、売却前に名義を証明できず買主が付きにくくなります。
また、自治体は現況課税を行うため、課税漏れや過大課税が混在しやすく、納税通知の修正手続きに時間を要します。必要に応じて表題登記と保存登記を済ませると安心です。
民法第177条は「所有権を登記しなければ第三者に対抗できない」と明記しており、未登記状態で売買契約書を結んでも金融機関が決済を認めない例が多発しています。土地家屋調査士と司法書士に相談する際は「所有権保存登記」と「表題登記」の費用見積もりを依頼し、コストとスピードのバランスを図ることが実務上のポイントです。
未登記の建物は、登記事項証明書を取得できません。そのため、土地上に建物があるにもかかわらず登記事項証明書を取得できない場合は、未登記を疑う必要があります。
建物が未登記の場合は登記しなければならないため、土地家屋調査士と司法書士を通して建物の登記を行います。建物の状況によっては建物の測量も必要となり、費用が高額になる場合があるため注意が必要です。
改正不動産登記法により、相続開始を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務が生じました。違反した場合、10万円以下の過料が科されます。
項目 | 内容 | 罰則 |
---|---|---|
法定期限 | 相続開始を知った日から3年以内 | 10万円以下の過料 |
対象不動産 | 土地・建物(未登記含む) | 同左 |
施行日 | 2024年4月1日 | – |
建物が未登記の場合は相続登記義務化の対象外となりますが、そもそも建物を未登記のまま放置してはいけません。建物を相続した場合には、いち早く登記する必要があります。
未登記のまま長期間放置すると、所有権の主張が困難になるだけでなく、第三者の占有や固定資産税の二重課税につながる恐れもあります。
また、売却機会を逃し、住宅用地特例(固定資産税1/6)が適用されない事例もあります。
特定空家に指定され行政代執行になれば、解体費用が公費立替となるうえ、所有者に費用が請求されます。こうした負担を避けるには、早い段階で登記や解体の判断を下すことが重要です。
未登記建物を解体する際は、次の手順で進めます。
各工程はおおむね1〜2か月で完了しますが、建設リサイクル法の届出は着工7日前までに提出しなければならず、提出忘れは工事中止命令の対象です。
届出義務がない規模でも、分別解体計画書を用意しておくと、追加費用や工期延長を抑えられます。
廃棄物処理法施行規則第8条でマニフェスト保存義務5年が定められているため、解体後に売買を予定している所有者は、保存場所と保管責任者を契約書に明記しておくと安心です。
解体前には測量図の確認とライフライン撤去手配を済ませ、近隣住民に工事スケジュールを説明します。騒音・粉じん対策を共有すると、苦情を防ぎやすくなります。
近隣説明が不十分だと、工事中断や慰謝料請求につながります。事前に苦情窓口を設定し、連絡を受けたら即時対処する体制を作っておくと、トラブルを最小限に抑えられるでしょう。
解体工事は養生→内部撤去→重機解体→仕上げ清掃の順で進みます。産業廃棄物は分別処理が義務で、マニフェストの保存期間は5年間です。アスベスト含有建材がある場合は、追加調査と除去が必須となります。
工程 | 主な作業 | 追加費用要因 |
---|---|---|
養生 | 足場・防音パネル | 敷地が狭い場合 |
内部撤去 | 建具・配線・断熱材 | 木材量が多い場合 |
重機解体 | 躯体破砕 | RC造・石綿除去 |
清掃 | ガラ搬出・整地 | 地中埋設物 |
重機搬入不可の狭小地では手壊し解体となるため、費用が2〜3倍に膨らむ場合があります。現地調査時に重機搬入経路を確保できるか、必ずチェックしましょう。
未登記建物でも、解体費用は構造と立地で決まるため、登記済み建物と大きな差はありません。ただし、追加測量が必要になる分、登記済み建物よりは高額になる点に注意しましょう。
構造 | 坪単価(円) | 30坪モデル費用 |
---|---|---|
木造 | 3万〜5万円 | 90万〜150万円 |
軽量鉄骨 | 4万〜6万円 | 120万〜180万円 |
RC造 | 6万〜8万円 | 180万〜240万円 |
地方では、重機搬入効率が高く処分費も低い傾向があるため、都市部より1〜2割安く済むケースもあります。最終見積もりを比較する際は、産廃処分費と残置物撤去費が個別に計上されているか確認してください。
地中埋設物(基礎杭・浄化槽など)の追加撤去は平均15万〜30万円を計上する事例が多く、事前試掘調査費5万円程度で高額リスクを回避できます。見積もり依頼時は「地中埋設物の想定有無」「追加単価」を書面で提示させるとトラブルが激減するでしょう。建設業法第19条に基づき「内訳を示した書面交付」は義務であるため、提示を渋る業者は選定から外すのが安全策です。
多くの自治体では、空き家対策として解体補助金を設けています。対象条件は築年数や危険度評価など自治体ごとに異なるため、まずは所在地の都市計画課や建築指導課へ問い合わせることが重要です。
申請は工事契約前が原則で、交付決定前に着工すると対象外になります。助成金を確実に受け取るには、見積書・写真・所有者同意書などの書類を揃え、余裕をもった申請スケジュールを組み立てましょう。
相続した建物が未登記の場合、まず所有権証明を整える必要があります。被相続人の固定資産税納税通知書と現地写真を用意し、相続人全員の同意を得たうえで表示・保存登記、または解体の方針を決定しましょう。
売却益が見込める立地なら保存登記を行い、リフォーム後に売却する選択肢も検討すると良いでしょう。
相続登記は、法定相続情報一覧図の写しを用いると戸籍の束を省略でき、申請が簡素化されます。名義変更を終えた後に解体する流れなら、所有権保存登記を省ける点がメリットです。
手順 | 書類 | 費用の目安 |
---|---|---|
1 | 法定相続情報一覧図 | 1通無料
ただし、法務局に提出する戸籍の取得費用がかかる |
2 | 相続登記申請書 | 登録免許税:固定資産評価額×0.4% |
3 | 名義変更完了後、解体 | – |
登録免許税は、固定資産評価額が200万円なら8,000円程で済みますが、司法書士へ依頼すると別途3万〜5万円の報酬が必要となる点を考慮してください。
兄弟姉妹で共有相続した未登記建物を放置すると、次世代で共有者が増えて合意形成が困難になります。そのため、早期に遺産分割協議書で代表相続人を定め、解体手続きを一任する方法が現実的です。
共有名義のまま解体に進むケースでは、各相続人の委任状が求められます。委任状が揃わず手続きが停滞すると、補助金申請期限を逃す恐れがある点に注意が必要です。
固定資産税は、登記の有無に関係なく課税されます。解体前後で税額がどのように変わるかを把握することで、予算計画を立てやすくなります。
状態 | 課税対象 | 税率 | 1月1日基準課税 |
---|---|---|---|
未登記建物あり | 建物+土地 | 1.4%(標準) | 〇 |
解体後 | 土地のみ | 同上 | 〇 |
特定空家指定 | 住宅用地特例の解除 | – | – |
住宅用地特例(1/6軽減)は建物解体で失われるため、更地の税額は最大6倍になる可能性があります。売却予定がない場合は利用計画を立てるか、解体時期を翌年1月1日後にすることが税負担を抑える工夫ができます。
たとえば、土地評価額1,000万円のケースでは、解体後に住宅用地特例が外れ年額約4万円→約24万円へ増加する試算となります。そのため、一時的に税負担が増える点を想定しておくと資金繰りが楽です。
増税を避けるには、解体後すぐに新築計画を進めるか、近隣駐車場として活用するなどの土地活用を検討しましょう。
未登記建物が長年課税漏れしていた場合、市町村が遡及して最大5年分の固定資産税を徴収することがあります。調査通知が届いたら速やかに現況報告し、一括納付が困難な場合は分割納付を相談しましょう。
遡及課税を受けた後に解体を決断すると、解体費用+滞納税という二重負担になります。そのため、早期の申告が結果的にコストを抑えるポイントです。
解体費用は業者によって最大30%程も差が出るため、見積もり比較が不可欠です。資格・許可の有無やマニフェストの運用体制を確認し、違法投棄リスクを排除しましょう。
許可がそろっていても下請比率が高い業者は、中間マージンで費用が割高になることがあります。元請直営率と産廃処分ルートを質問すると、比較がしやすくなるでしょう。
見積書は「仮設工事」「本体解体」「産廃処分」「付帯工事」の4項目が分かれているかが判断基準です。合計金額だけで決めると追加費用が発生しやすいので、内訳を同条件で比較しましょう。
項目 | 相場割合 | チェック観点 |
---|---|---|
仮設工事 | 10〜15% | 足場・養生 |
本体解体 | 50〜60% | 坪単価 |
産廃処分 | 20〜25% | 処分場名 |
付帯工事 | 5〜10% | 樹木・外構 |
樹木伐採やコンクリート基礎撤去が含まれているかを確認し、追加請求の可能性を減らしましょう。
契約書には「工期」「追加費用条件」「産廃処分先」が明記されているかを確認します。加えて、工事保険の加入状況を聞き、万一の事故への備えがあるか判断することも重要です。
契約書に明文化されていない口頭説明は、書面で追記してもらいましょう。文書化することでトラブル時の証拠として機能し、スムーズな問題解決へつながります。
未登記建物の解体では、登記手続き・費用・補助金・税金という複数の論点が絡みます。これらを押さえたうえで解体フローを理解し、補助金申請を期限内に行えば、コストを抑えながら土地活用へ移行できるでしょう。
これらのステップを進めることで、将来的な資産価値の保全と不要な出費の削減が実現するはずです。早い段階で専門家に相談し、最適なスケジュールと資金計画を立てましょう。