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「うちのブロック塀、古くて危ないかも…」「地震が来たら倒れないか心配…」そう感じていながらも、撤去費用の負担が気になって、つい後回しにしていませんか?
実は、そのお悩み、国や自治体の「補助金(助成金)」を活用することで、負担を大きく減らせる可能性があります。
しかし、補助金制度は自治体ごとに内容が異なるため、「誰が対象なの?」「どうやって申請するの?」と、分かりにくい点が多いのも事実です。
この記事では、ブロック塀撤去の補助金制度の探し方から、対象条件、費用相場、申請の具体的なステップ、失敗しないための注意点までをわかりやすく解説します。
安全な暮らしへの第一歩を、この記事と一緒に踏み出しましょう。
ご自宅のブロック塀の撤去に、なぜ税金が使われる補助金が出るのか、不思議に思う方もいるかもしれません。
その理由は、個人の所有物でありながら、「公共の安全」に大きな影響を与える可能性があるからです。
ブロック塀の危険性が大きくクローズアップされたきっかけの一つに、2018年の大阪府北部地震があります。この地震では、倒壊したブロック塀の下敷きになり、通学中の児童が亡くなるという大変痛ましい事故が起きました。
この事故を機に、国土交通省は全国のブロック塀の緊急点検を指示し、特に通学路などに面した危険なブロック塀の存在が社会問題として認識されるようになりました。
建築基準法で定められた基準を満たしていない塀や、老朽化が進んだ塀は、地震の揺れによって凶器になりかねないのです。
ブロック塀の撤去補助金は、こうした悲劇を二度と繰り返さないための、行政による「安全なまちづくり」の一環です。所有者個人に撤去を促すだけでなく、社会全体で安全を確保するという目的があります。
特に通学路に面しているブロック塀は、優先的に対策を取ることが求められ、補助金の優遇措置を設けている自治体もあります。
具体的には、以下のような目的で制度が運用されています。
補助金の主な目的 | 具体的な内容 |
---|---|
人命の保護 | 通学路や避難路に面する塀を優先的に撤去し、登下校中の子どもや避難する住民の安全を守る。 |
避難・救助活動の確保 | 倒壊した塀が道を塞ぐことを防ぎ、緊急車両の通行や救助活動をスムーズにする。 |
二次災害の防止 | 倒壊による火災の延焼や、ガス管の破損などを防ぐ。高いフェンスの撤去により見通しを良くする。 |
防災意識の向上 | 住民一人ひとりに、身の回りの危険について関心を持ってもらうきっかけにする。 |
危険だと認識していても、費用への懸念から解体を先延ばしにしようと考える住民もいるため、経済的ハードルを下げるために自治体が支援します。
補助金制度は、お住まいの市区町村が主体となって実施しているため、内容や有無は自治体によって様々です。 ここでは、ご自身の自治体の制度を確実に見つけ出すための具体的な方法をご紹介します。
まずは、インターネットで検索するのが最も手軽で早い方法です。以下のキーワードの組み合わせで検索してみてください。
基本パターン
より詳細な条件を含むキーワード
「補助金」は「助成金」や「支援制度」という言葉で運用されている場合もあるため、これらの言葉で試してみると良いでしょう。
検索上位のサイトが、個人ブログやアフィリエイト目的の業者だったりするケースもあるので、必ず自治体の公式サイトで確認するようにしましょう。
サイト内では、主に以下のような部署が担当していることが多いです。
これらの部署のページに、補助金(助成金)の案内、募集要項、申請書のダウンロードリンクなどが掲載されています。
ウェブサイトで情報が見つからない、または内容がよくわからない場合は、ためらわずに電話で問い合わせましょう。その際に、以下の項目を確認するとスムーズです。
電話問い合わせ用チェックリスト | 確認する内容 |
---|---|
制度の有無 | 「ブロック塀の撤去に関する補助金制度はありますか?」 |
担当部署 | 「担当の課と、ご担当者様のお名前を教えていただけますか?」 |
対象となる塀 | 「補助金の対象となるブロック塀の条件(高さ、場所、経過年数、材質など)を教えてください」 |
補助金額 | 「補助金の上限金額や、計算方法について教えてください」
「補助率または定額補助のどちらでしょうか?」 |
申請期間 | 「今年度の申請期間はいつからいつまでですか?」
「工事期間が年度をまたぐ場合はどうなりますか?」 |
必要書類 | 「申請に必要な書類一式はどこで入手できますか?」 |
補助金は、どんなブロック塀でも対象になるわけではありません。この章では、多くの自治体で共通して設けられている、主な5つの条件について解説します。
ただし、これはあくまで一般的な基準であり、最終的な判断は必ずお住まいの自治体の公募要領で確認してください。
まず最も重要なのが、ブロック塀がどこに面しているかです。
対象になりやすい
対象外になりやすい
公共の安全確保が目的のため、倒壊時に公衆への影響が大きい場所にある塀が優先されます。
次に、塀そのものの高さや安全性の状態が問われます。
危険性があるとされる例※
※あくまで例です。個別の状況により補助金の給付可否は異なります。
申請できるのは、原則としてそのブロック塀の所有者です。ただし、以下のようなケースでは「所有者」でなくても対象となる可能性があるため、覚えておきましょう。
これは非常に重要なポイントです。補助金の申請は、必ず工事業者との契約前、または工事着手前に行う必要があります。
申請者が、固定資産税や住民税などの市県民税を滞納していないことも条件とされるのが一般的です。
補助金の額は自治体によって大きく異なりますが、多くの場合は「実際に工事にかかった費用」と「自治体が定めた基準額」を比較し、いずれか低い方の金額に補助率(例:1/2、2/3など)を掛けた額が支給されます。
また、「上限〇〇万円」といった上限額も設定されています。
計算式というと少し複雑に聞こえますが、以下の例を見ると分かりやすいでしょう。
【例】補助率:2/3、基準額:1mあたり10,000円、上限額:20万円 の場合
パターンA:実費が基準額より安い | パターンB:実費が基準額より高い | |
---|---|---|
撤去する塀の長さ | 15m | 15m |
① 実際にかかった費用(見積額) | 120,000円 | 180,000円 |
② 自治体の基準額 | 10,000円/m × 15m = 150,000円 | 10,000円/m × 15m = 150,000円 |
比較(①と②の低い方) | 120,000円 | 150,000円 |
補助金額の計算 | 120,000円 × 2/3 = 80,000円 | 150,000円 × 2/3 = 100,000円 |
このように、同じ長さの塀でも、実際の工事費用によって補助金額が変わることがあります。
そもそも、ブロック塀の撤去にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
費用は塀の構造(鉄筋の有無など)や現場の状況によって変動しますが、一般的な内訳と相場は以下の通りです。
項目 | 内容 | 費用相場(1㎡あたり) |
---|---|---|
解体・撤去費 | ブロック塀を壊す作業費、人件費 | 5,000円~10,000円 |
運搬・処分費 | 壊したブロック(産業廃棄物)を運んで処分する費用 | 3,000円~5,000円程度(量による) |
重機回送費など | 小型重機を使用する場合の運搬費など | 現場の状況による |
合計(目安) | 1㎡あたり 8,000円~15,000円程度 |
例えば、高さ1.2m、長さ10m(=12㎡)のブロック塀であれば、約10万円~18万円が一つの目安となります。
自治体によっては、ブロック塀の撤去だけでなく、その後に設置する軽量なフェンスや生垣の費用も補助対象としている場合があります。
補助金の申請手続きは、いくつかのステップを踏む必要があり、順序が非常に重要です。 ここでは、一般的な申請から受け取りまでの流れを6つのステップで解説します。
まずは担当窓口へ行き、撤去したいブロック塀が補助金の対象になるか、図面や写真を見せながら相談します。 デザイン性を重視した塀などは対象外となる場合もあります。制度の概要や今後の流れについて詳しい説明を受けましょう。
次に、撤去工事を依頼する業者を探し、見積書を作成してもらいます。 この際、1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をおすすめします。費用だけでなく、不具合があった際にすぐに補修してもらえるなど、工事内容や対応の丁寧さも比較検討しましょう。
業者から見積書を受け取ったら、いよいよ申請です。自治体の指定する申請書に必要事項を記入し、以下の書類を添えて提出します。
主な必要書類の例
提出した書類を自治体が審査し、内容に問題がなければ「交付決定通知書」が送られてきます。 この通知書を受け取って初めて、正式に工事業者と契約を結び、工事を開始することができます。
工事が完了したら、期限内に「実績報告書」を提出します。この報告書には、以下の書類を添付するのが一般的です。
実績報告書の内容を自治体が最終確認し、補助金の額が正式に決定します。その後、「額確定通知書」が届き、指定した口座に補助金が振り込まれます。
また、「代理受領制度」といって、補助金が自治体から施工業者に支払われる場合もあるので、その際は差額を施工業者に支払います。
今回は、危険なブロック塀の撤去に活用できる補助金制度について、その探し方から申請の具体的なステップまでを解説しました。
ご自宅のブロック塀に少しでも不安を感じたら、まずはこの記事を参考に、お住まいの自治体の制度を調べてみてください。補助金を賢く活用することで、費用負担を抑えながら、あなたとご家族、そして地域全体の安全を守ることにつながります。
安全な住環境への第一歩として、まずは自治体の担当窓口に相談することから始めてみましょう。