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「今年の固定資産税、なんでこんなに高いんだ…?」
「去年と何も変わらないはずなのに、数万円も上がっている…」
毎年春に送られてくる納税通知書の金額に驚き、納得できない思いを抱えていませんか?
固定資産税が高くなるのには必ず理由があります。そして、その税額が本当に正しいかどうかは、あなた自身でチェックできるのです。場合によっては、手続きをすることで税金が安くなったり、払い過ぎた分が戻ってきたりする(還付)可能性も十分にあります。
この記事では、あなたの「なぜこんなに高いのか?」という疑問を解消し、具体的な次の一歩をサポートします。
税額が上がるのには明確な理由が存在します。まずは、ご自身の状況が以下のどれに当てはまるかを確認してみましょう。
新築の戸建てやマンションを購入した場合、一定期間固定資産税が減額される特例があります。しかし、この期間が終わると本来の税額に戻るため、急に税金が高くなったと感じるのです。
住宅の種類 | 減額期間 | 減額内容 |
---|---|---|
一般の住宅(戸建てなど) | 新築後3年間 | 居住部分120㎡相当分までの税額が1/2 |
マンションなど(3階建て以上の中高層耐火建築物) | 新築後5年間 | 居住部分120㎡相当分までの税額が1/2 |
認定長期優良住宅 | 新築後5年間(マンション等は7年間) | 居住部分120㎡相当分までの税額が1/2 |
新築から4年目を迎えた戸建てや、6年目を迎えたマンションにお住まいの場合、このケースに該当する可能性が非常に高いです。
住宅が建っている土地には、税負担を軽減するための「住宅用地の特例」が適用され、課税標準額が大幅に圧縮されています。
しかし、家を取り壊して更地にしたり、店舗兼住宅に用途を変更したりすると、この特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がることがあります。
固定資産税の基準となる固定資産税評価額は、原則として3年に一度、全国一斉に見直し(評価替え)が行われます。直近では2024年度(令和6年度)が評価替えの年です。
このタイミングで周辺の土地の価格(路線価など)が上昇していると、あなたの土地の評価額も上がり、結果として税額が上昇します。
評価替えの年でなくても、地域の再開発や新駅の開業などにより土地の利便性が著しく向上した場合、地価が大きく上昇することがあります。
このような場合、評価替えを待たずに評価額が修正され、税額が上がることがあります。
家屋の評価額は、基本的に年々古くなるため下がっていきます(経年減点補正)。
しかし、大規模なリフォームや増築を行うと、家屋の価値が上がったとみなされ、再評価が行われます。その結果、翌年度から家屋の固定資産税が上がることがあります。
税額が上がった理由に心当たりがない場合、あるいは理由が分かっても「それにしても高すぎる」と感じる場合は、市町村から送られてきた書類を詳しく見てみましょう。
注目すべきは「納税通知書」とセットになっている「課税明細書」です。
課税明細書の土地の欄を見て、「摘要」や「異動内容」といった項目に「住宅用地」と記載があるか確認してください。もし、住宅が建っているにもかかわらず、この記載がない、あるいは「非住宅用地」などと記載されている場合、「住宅用地の特例」が適用されていない可能性があります。
【課税明細書での確認例】
確認項目 | 正しい例(特例適用あり) | 間違いの可能性(要確認) |
---|---|---|
摘要欄の記載 | 「住宅用地」 または 「小規模住宅用地」 | 「非住宅用地」 や 「市街化区域宅地」 など |
課税標準額 | 評価額よりも大幅に低い金額(1/6 や 1/3) | 評価額とほぼ同じ金額 |
家屋の欄には、あなたが所有する建物の一覧が記載されています。特に、数年前に取り壊したはずの物置や車庫が、リストに残り続けて課税されているケースが稀にあります。
所在や家屋番号を確認し、現存しない建物が含まれていないかチェックしましょう。
【課税明細書での確認例】
たとえば、課税明細書に以下のように記載されていたら注意が必要です。
この場合、「家屋2」の物置に対して、誤って課税され続けている可能性があります。
課税明細書には、税額の計算過程が記載されています。以下の簡単な式で、検算してみましょう。
「評価額」と「課税標準額」は異なる場合があることに注意してください。「課税標準額」の合計に、お住まいの市町村の税率(通常は1.4%ですが、異なる場合もあります)を掛け合わせた数字が、納税額と一致するかを確認します。
【計算の確認例】
固定資産税には、納税者の負担を軽くするための様々な減額・減免制度が用意されています。ただし、これらは自分から申請しないと適用されないものがほとんどです。
ご自身が使える制度がないか、確認してみましょう。
制度の種類 | 対象となる主なケース | 減額内容(一例) | 申請先・注意点 |
---|---|---|---|
耐震リフォーム | 1982年(昭和57年)1月1日以前に建てられた住宅の耐震改修工事 | 翌年度分の固定資産税額を1/2減額 | 工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申告が必要 |
バリアフリーリフォーム | 65歳以上の方などが居住する住宅での一定のバリアフリー改修工事 | 翌年度分の固定資産税額を1/3減額 | 工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申告が必要 |
省エネリフォーム | 一定の省エネ改修工事(窓の二重化など) | 翌年度分の固定資産税額を1/3減額 | 工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申告が必要 |
災害による減免 | 火災や台風、地震などの災害により家屋や土地に被害を受けた場合 | 被害の程度に応じて税額を減免 | 自治体によって要件や申請期限が異なる |
生活困窮による減免 | 生活保護を受けている、またはそれに準ずるほど生活が困窮している場合 | 税額の全額または一部を減免 | 必ず適用されるとは限らない |
これらの制度の詳細は、お住まいの市区町村のウェブサイトで確認するか、資産税課(固定資産税担当課)に直接問い合わせてみましょう。
課税明細書をチェックし、役所に問い合わせても、評価額や税額に納得できない…そんな場合は、正式な不服申し立ての手続きに進むことができます。
いきなり法的な手続きに入る前に、まずは納税通知書に記載されている資産税課(固定資産税担当課)へ電話または窓口で問い合わせ、評価額の根拠について具体的な説明を求めましょう。
この段階で疑問が解消されることも多くあります。
役所の説明にも納得できない場合、市町村長から独立した中立的な第三者機関である「固定資産評価審査委員会」に対して、「審査の申出」という形で不服を申し立てることができます。
この期間を過ぎると原則として申出ができなくなるため、早めに行動を起こすことが重要です。
審査委員会の決定にも不服がある場合は、その決定の取り消しを求めて、裁判所に訴訟を起こすことができます。
ただし、これは時間も費用もかかる最終手段であり、弁護士などの専門家への相談が不可欠となります。
ここでは、固定資産税に関してよく寄せられる質問にお答えします。
A. 納期限までに支払いができないと、延滞金が発生します。それでも滞納を続けると、役所から督促状が届き、最終的には給与や預貯金、不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。どうしても支払いが困難な場合は、手遅れになる前に必ず役所の納税課や収納課に連絡し、分割納付などの相談をしてください。
A. マンションは鉄筋コンクリート造で耐用年数が長く、戸建て(木造)に比べて家屋の評価額が下がりにくいため、税額が高くなる傾向があります。また、共用部分(廊下、エレベーターなど)の面積も按分して課税対象に含まれることも一因です。
A. 必ずしも安くなるとは限りません。審査委員会が審査した結果、役所の評価が妥当であると判断されれば、申出は棄却され、税額は変わりません。申出を行う際は、評価額が誤っていると考える客観的な根拠(不動産鑑定士の鑑定評価など)を示すことが重要になります。
今回は、固定資産税が高すぎると感じたときに、まず確認すべきこと、そして取るべき行動について解説しました。
理由のわからない高い税金ほど、不安で納得しがたいものはありません。しかし、その根拠は必ず書類に記載されています。
あなたの次の一歩は、手元にある「課税明細書」をもう一度開いてみることです。
この記事を参考に、ご自身の税額が正しく計算されているかを確認し、疑問があれば、ためらわずに役所の担当課へ連絡してみてください。その小さな一歩が、あなたの資産を守る大きな一歩につながるかもしれません。