【マンション売却の基礎知識】5つの注意点や流れ、高く売るコツも徹底解説

【マンション売却の基礎知識】5つの注意点や流れ、高く売るコツも徹底解説
マンションを売却したいと思った場合、どのようなことから始めれば良いでしょうか。マンション売却は人生の一大イベントと言っても過言ではないため、万全な準備で臨む必要があります。

しかし、具体的な流れや期間、そして必要な書類について詳しく知っているという人は多くないでしょう。

そこで当記事では、マンション売却の基礎知識や高く売るためのコツについて、詳しく解説します。「マンションを少しでも高く売却したい」「スムーズなマンション売却をおこないたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。

マンション売却とは?基礎知識をご紹介

マンション売却とは?基礎知識をご紹介

はじめに、マンション売却の基礎知識について、確認しておきましょう。マンション売却をおこなう際には、大きく分けて下記の5つの事柄を頭に入れておく必要があります。

  • 売却までの流れと期間
  • 必要な書類
  • 費用・税金
  • マンション売却における媒介契約の種類
  • マンション売却の特別控除・特例

それぞれ詳しく解説していきます。

マンション売却の流れと期間

マンションの売却を決めたら、まずは全体の流れや期間を確認しておきましょう。あらかじめ流れを把握しておくことにより、余裕を持った売却スケジュールを立てられます。

以下に、マンション売却の流れをまとめたので、参考にしてください。

  1. 売却準備
  2. 価格査定
  3. 書類提出
  4. 媒介契約
  5. 販売活動
  6. 売買契約
  7. 引き渡し
  8. 確定申告

マンション売却は大きく分けて、上記の8つの手順で進んでいきます。この間に要する期間は、3か月から半年程度なので、売却したい時期から逆算して準備を進めてください。

マンション売却に必要な書類

マンションの売却時には、さまざまな書類が必要になります。なかには取り寄せる必要がある書類も含まれるので、あらかじめ確認しておきましょう。

下記に、必要書類とその入手方法をまとめたので、参考にしてください。

書類 入手方法
身分証明書 運転免許証やパスポートがない場合、市役所でマイナンバーカードや健康保険証を入手する。
印鑑登録証明書 お住まいの市区町村の役場で発行。発行から3か月以内のもの。
実印 印鑑登録証明書に登録されている印鑑。
登記済証(権利証)または登記識別情報 登記名義人が所有者であることを証明する書類。物件取得時に受け取る書類だが、紛失した場合は法務局に事前通知依頼をする。
固定資産税・都市計画税納税通知書 毎年春頃に市区町村から発行される税金の支払い通知書。紛失した場合は、市区町村の役場で固定資産税評価額証明書を発行する。
マンション管理規約・パンフレット・長期修繕計画書 共有施設や仕様について記載された書類。マンション購入時に受け取っているが、紛失した場合はマンション管理組合に問い合わせて、再発行を依頼する。
管理に関わる重要事項調査報告書 マンションの管理費や修繕積立費について記載された書類。紛失した場合は、マンション管理組合に問い合わせて、再発行を依頼する。

この他にも、耐震補強やマンションの修繕に関する書類がある場合には、用意しておきましょう。

マンション売却にかかる費用・税金

続いて、マンションの売却にかかる費用について、確認していきましょう。
マンションの売却にかかる費用は、仲介手数料のみではありません。印紙税・譲渡所得税などの税金や登記費用もかかります。

想定外の出費に悩まされることのないよう、それぞれどの程度の費用が発生するか、把握しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、買主を探してくれた不動産会社に対して支払う報酬です。着手金とは異なり、不動産会社を通して買主が見つかった場合にのみ、費用が発生します。

仲介手数料は、宅地建物取引法により、取引価格に応じた上限が定められています。下記に、取引価格ごとの上限額をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

取引価格(税別) 仲介手数料
200万円以下の金額 取引価格の5%以内の額+消費税
200万円~400万円以下の金額 取引価格の4%以内の額+消費税
400万円を超える金額 取引価格の3%以内の額+消費税

印紙税

売買契約書は課税文書であるため、印紙税が発生します。印紙税は、取引価格に応じて、以下のように異なります。

取引価格 印紙税
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
50万円以下 400円
100万円以下 1,000円
500万円以下 2,000円
1,000万円以下 1万円
5,000万円以下 2万円
1億円以下 6万円
5億円以下 10万円
10億円以下 20万円
50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円

ただし、契約書が平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されたものであれば、「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」が適用され、印紙税が20〜50%カットされます。

登記費用

登記費用は、不動産登記にかかる費用です。不動産を売却する場合、名義人を買主に変更するために、登記抹消登録をおこなう必要があります。

登録免許税は、一律1,000円です。登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士費用も別途必要になるため、注意しましょう。

譲渡所得税

マンションをはじめとした不動産を売却すると、譲渡所得税が発生します。譲渡所得税の税率は、売却する不動産の所有期間に応じて、以下のように異なります。

所有期間 所得税 住民税
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年超え 15.315% 5%

譲渡所得税は、マンション売却の特別控除や特例を利用することにより抑えられます。特別控除や特例については、後の項で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

マンション売却における媒介契約の種類

不動産会社にマンション売却を依頼した場合、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類です。

下記に、それぞれの契約方法のメリット・デメリットをまとめたので、ぜひ参考にしてください。

メリット デメリット
一般媒介契約
  • 複数社と契約できる
  • 自分で買主を探せる
  • 売却活動報告の義務がないので、自分で現状を確認する必要がある
  • 他の契約方法と比較すると、案件を後回しにされる可能性がある
専任媒介契約
  • 自分で買主を探せる
  • 2週間に1度の頻度で売却活動報告を得られる
  • 複数社と契約ができない
専属専任媒介契約
  • 不動産会社が最も熱心に営業活動をしてくれる
  • 1週間に1度の頻度で売却活動報告を得られる
  • 複数社と契約ができない
  • 仲介手数料が必ず発生する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約を結べる方法です。また、売主自身が自力で買主を見つけた場合には、買主と売主の2者で契約を締結できるという自由度があります。

しかし、一般媒介契約では不動産会社から売主へ売却活動の報告が義務化されていません。そのため、売却活動の実態が見えにくいデメリットがあります。

さらに、不動産会社の目線から見ると、仲介手数料を得られるとは限らない安定性の低い契約であるため、案件を後回しにされて買主が決まりにくくなるリスクも高いです。

専任媒介契約

専任媒介契約では、1社の不動産会社のみと契約を結べます。他社との契約はできませんが、一般媒介契約と同様に、売主自身が買主を見つけることは可能です。

一般媒介契約と比較すると契約の自由度は制限されますが、2週間に1回の頻度で売却活動の報告も義務付けられています。契約の有効期限は、最大で3か月です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約と同様に不動産会社1社のみと契約を結べます。売主が買主を見つけた場合でも不動産会社を介さなくてはならないため、必ず仲介手数料がかかる点に注意が必要です。

不動産会社には、1週間に1回の頻度で売却活動を報告する義務があります。契約の自由度は制限されますが、3つの契約の中で最も熱心な売却活動が期待できます。

マンション売却で利用できる特別控除・特例

最後に知っておきたい基礎知識は、マンション売却の際に利用できる特別控除や特例についてです。

マンションを売却すると譲渡所得税がかかりますが、特例や特別控除を利用することにより税金を軽減できます。それぞれの特例を詳しく確認していきましょう。

マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)

3,000万円特別控除は、マイホームを売却した際に所有期間に関係なく譲渡所得から最大で3,000万円控除できる特例です。

下記に特例を受けるための要件をまとめたので、参考にしてください。

【3,000万円特別控除の要件】

  1. 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
    (注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。
    (イ)その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
    (ロ)家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
  2. 売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
  3. 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
  4. 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
  5. 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  6. 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

(引用:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

上記からもわかるように、3,000万円特別控除の特例は、売却したマンションが居住用財産であることが前提です。

さらに、最後に居住していたときから3年以内に売却するなど、さまざまな要件を満たす必要があります。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームを売ったときの軽減税率の特例では、一定の要件を満たすと長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率にできます。

下記に軽減税率が適用される要件をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

【軽減税率の特例を受けるための要件】

  1. 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること。
    なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
    (注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です
    (イ) 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
    (ロ) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
    (ハ) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
  2. 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
  3. 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
  4. 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと。ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。
  5. 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。

(引用:国税庁「No.3305マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

上記の5つをすべて満たすと、下記の軽減税率が適用されます。

課税長期譲渡所得金額(=A) 税額
6,000万円以下 A×10%
6,000万円超え (A-6,000万円)×15%+600万円

マンション売却における5つの注意点

マンション売却における5つの注意点

マンションの売却には、いくつかの注意点が存在します。マンション売却を失敗しないためにも、必ず注意点を押さえておきましょう。

  • 売却相場を加味して売り出し価格を設定する
  • 自分に合う契約方法を選択する
  • 物件の瑕疵を隠さない
  • 複数社に査定を依頼する
  • マンション売却後に確定申告をおこなう

それぞれ詳しく解説していきます。

売却相場を加味して売り出し価格を設定する

マンション売却における一番の懸念点は、売れ残ることです。売り出し価格が適正でないと、売れ残る可能性が高くなります。

そのため、売却相場を加味して売り出し価格を設定しましょう。売却相場をしっかりと加味して売り出しをおこなえば、よほどのことがない限り売れ残る可能性は低いです。

売却相場は周辺の同条件のマンションの売り出し価格や、過去の成約価格から知ることができます。いくつかの不動産会社に査定を依頼するのも、相場を把握するうえで非常に有効です。

自分に合う契約方法を選択する

不動産会社との契約方法は、どの方法が最善ということはありません。3つの契約方法のそれぞれにメリット・デメリットがあるので、よく検討してから自分に合うものを選びましょう。

不動産会社は、自社にとって有利な契約である専属専任媒介契約を勧める傾向にあります。しかし、無理に専属専任媒介契約を結ぶ必要はないので、メリットとデメリットを加味し、ご自身にとって最善の契約方法を選択してください。

物件の瑕疵を隠さない

次に挙げられる注意点は、物件の瑕疵(かし)を隠さないことです。瑕疵とは、物件の欠陥のことを言います。

売主は、不動産を売却する際に、「瑕疵担保責任」を負います。瑕疵担保責任とは、契約後に告知されていない瑕疵が見つかった場合、売主が責任を持たなければならない義務のことです。

つまり、瑕疵を隠した状態のままうまく売却したとしても、後々欠陥が発覚したら責任を追及されてしまいます。瑕疵担保責任は契約後も免責にはならないため、瑕疵は隠さず、事実をありのまま申告しましょう。

複数社に査定を依頼する

不動産の査定を複数社に依頼することも大切です。不動産会社は、会社ごとに独自の査定基準を持っています。

そのため、1社のみの査定では正確な査定額が出ているとは言えません。査定額の相場を正しく把握するには、少なくとも3社以上に査定依頼をおこないましょう。

また、査定時は営業担当者の熱心さや会社の対応を見る良い機会でもあります。いくつかの会社に査定を依頼し、相性の良い不動産会社を見つけてください。

マンション売却後に確定申告をおこなう

最後に挙げられる注意点は、確定申告についてです。マンション売却は家を引き渡したら終了ではありません。売却して出た利益である「売却益」の確定申告が必要となります。

確定申告は、マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間におこないます。手続きは、税務署もしくはe-Taxを利用すればインターネットからでも可能です。

マンションを高く売るためのコツ

マンションを高く売るためのコツ

マンションの売却は、下記のいくつかのコツを押さえることで、高値での取引ができる可能性があります。

  • 市場が活発な2~3月を狙って売却活動を始める
  • マンション売却が得意な不動産会社と契約する
  • 営業担当者と頻繁に連絡を取る
  • 余裕を持ったスケジュールで売り急がない
  • 査定額の根拠を確認する
  • 内覧に力を入れる

それぞれ詳しく解説していきます。どの方法も特別な技術やノウハウは必要ないので、ぜひ試してください。

市場が活発な2~3月を狙って売却活動を始める

1点目のコツは、市場の動きを見ながら売却活動を始めることです。中古マンション市場は、1年間の中で2月と3月が最も活発になります。

これは、4月から新生活をスタートする人が多いことが影響しており、高くマンションを売却したいのであれば、この時期を逃さないようにしましょう。

2~3月に売却活動をおこなうためには、前年の9〜11月には査定依頼や不動産会社との媒介契約を結んでおく必要があります。

マンション売却が得意な不動産会社と契約する

マンションの売却を得意とする不動産会社と契約するのも大切です。

不動産会社と一口に言っても、賃貸仲介をメインとする会社から新築戸建ての売却を得意とする業者まであります。そのため、会社の規模や知名度だけで不動産会社と契約してしまうと、後悔する可能性があるでしょう。

不動産会社の得意とする分野を見極めるためには、過去の取引情報を参考にすることが有効です。不動産会社のウェブサイトに過去の販売実績が記載されているため、依頼前に得意分野をしっかりと確認しておきましょう。

営業担当者と頻繁に連絡を取る

一般媒介契約の場合、不動産会社側からの販売状況の報告義務がないため、売主側から頻繁に営業担当者に連絡を取ったほうが良いです。営業担当者と頻繁に連絡を取ることで、自分の案件を後回しにされない利点があります。

また、営業担当者とコミュニケーションを取ることによって、モチベーション向上にも繋げられるでしょう。

余裕を持ったスケジュールで売り急がない

マンションの売却は、スケジュールに余裕を持つことも大切です。タイトなスケジュールで売り出した場合、やむを得ず、値下げ交渉に承諾しなければならないケースもあります。

一般的には、不動産を売り出してから売却までに、3か月から半年程度かかると言われているので、余裕を持ったスケジュールを組むようにしてください。

査定額の根拠を確認する

次に挙げられるコツは、査定額の根拠を確認することです。査定額はあくまで売却予想価格であり、売却価格を補償するものではありません。そのため、査定額の高さのみで不動産会社を選ぶことはやめましょう。

重要なのは、査定額ではなく、その価格に至った根拠です。査定額の根拠を資料や過去の販売実績を交えて詳しく解説してくれる不動産会社は、信頼や実績があると言えます。

内覧に力を入れる

最後に挙げられるコツは、内覧に力を入れることです。内覧は、買主が実際に部屋を訪れることを言います。

内覧時のイメージが契約の成否を左右すると言っても過言ではないため、できる限り力を入れましょう。具体的には、以下のようなことをおこなうと効果的です。

【内覧のコツ】

  • 部屋を綺麗に保つ
  • 換気をおこなう
  • スリッパを用意しておく
  • 物件のアピールポイントを用意しておく

どれも単純なことですが、少しの清掃や換気で部屋の印象は大きく変わります。特に、水回りは汚れやすい部分なので、清潔を保つようにしてください。

マンション売却でよくある失敗事例

マンション売却でよくある失敗事例

最後に、マンション売却でよくある失敗事例をまとめました。マンション売却に失敗しないためにも、下記の事例を押さえておきましょう。

  • ローンを完済できずに手持ち資金の持ち出しが必要になった
  • 確定申告をおこなわず特別控除・特例を受けられなかった
  • 付帯設備表と告知書が原因で契約解除になった

それぞれ詳しく解説していきます。

ローンを完済できずに手持ち資金の持ち出しが必要になった

マンション売却における失敗事例の中でも多いとされているのが、売却価格がローン残債を下回るケースです。

一般的に、マンションを売却する場合には、住宅ローンを完済している必要があります。そのため、売却価格がローン残債を下回る場合には、手持ちの資金を持ち出して完済しなければなりません。

このような事態に陥る最大の原因は、売却価格の見積もりミスです。マンションは希望通りの価格で売却できるわけではないため、最低売却額で資金計画を立てましょう。

最低売却額でもローンを完済できるのか、資金の持ち出しが必要な場合にはどの程度の費用がかかるのかをしっかりと把握して、完済できなかった場合にも備えてください。

確定申告をおこなわず特別控除・特例を受けられなかった

次に挙げられる失敗事例は、確定申告をおこなわなかったために、特別控除や特例が受けられなかったケースです。

昨今では、マンションの価格高騰により売却益が出る人も多くなりました。売却益には税金が課税されますが、特別控除や特例を利用することにより税率を軽減できます。

しかし、なかには確定申告をおこなわなかったために、特別控除や特例が受けられなかったケースもあるようです。控除や特例を利用するためには確定申告が必須となるので、忘れずに手続きをおこないましょう。

付帯設備表と告知書が原因で契約解除になった

契約不適合責任による契約解除にも、注意する必要があります。契約不適合責任とは、売却したマンションに契約内容に適合しない瑕疵があった場合、買主が売主に対して保証や賠償を請求できるものです。

場合によっては契約解除も要求できるため、告知を正確におこない、売却後のトラブルをなくすようにしましょう。

告知には、「付帯設備表」と「告知書」を作成します。事前に建物状況調査をおこなうなどして、設備の状況を確認しておきましょう。

まとめ

当記事では、マンション売却の基礎知識や高く売るためのコツ、注意点などについて詳しく解説してきました。

マンション売却を成功させるためには、事前準備や余裕のあるスケジューリングが大切です。マンション売却に失敗しないためにも、当記事でご紹介した基礎知識をしっかりと頭に入れておきましょう。

また、マンション売却を成功させるには、不動産会社選びも重要です。不動産一括査定サービスを利用するなどして、マンション売却に強い理想的なパートナーを見つけてください。

プロフィール
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。