登記識別情報通知とは、不動産が自分の名義に変更された時に発行される、本人確認のための書類です。
書類に記載された12桁の符号を、不動産の売却や次の名義変更の際に本人確認として使用します。
2005年に登記識別情報の制度が始まるまでは「権利書(権利証)」と呼ばれていた登記済証に代わるもので、使い方もほぼ同じです。
登記識別情報が他者に見られたり盗まれたりすると、自分の持っている不動産の名義が盗まれたり売却できなくなったりするため、保管には細心の注意を必要とします。
この記事では、登記識別情報通知の概要のほか権利書との違い、届く時期、紛失した場合の対処法などについて紹介していきます。
この記事のポイント
- 効力があるのは通知書という紙ではなく、記載された12桁の符号
- 2008年7月14日より前の登記では権利証が交付されていることがある
- 登記完了から1〜2週間で受け取れ、3か月以内に受け取らないと廃棄される
- 売却では決済当日に司法書士へ渡し、目隠しシールははがさなくてよい
- なくしても再発行はできず、本人確認情報などの手続きで代替する
登記識別情報通知とは

登記識別情報通知は、不動産の名義人が本人であることを確認するために、法務局が交付する書面です。
名義人ごとに英数字12桁の符号が割り当てられ、書面に印字されています。
かつて「権利証」「権利書」と呼ばれていた登記済証に代わるもので、不動産を売るときや、住宅ローンを借りて土地建物を担保に入れる(抵当権を設定する)ときに使います。
登記識別情報通知の基本的な情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付するところ | 不動産を管轄する法務局 |
| 交付されるとき | 不動産の名義人になる登記が完了したとき |
| 記載されている情報 | 英数字を組み合わせた12桁の符号 |
| 必要になる場面 | 売却・贈与・抵当権の設定など、名義を動かすとき |
| 再発行 | できない |
参照:法務局
効力を持つのは通知書という紙そのものではなく、そこに記載された12桁の符号です。
符号を第三者に盗み見られると、通知書が手元にあっても、その人になりすまして名義を書き換えられる恐れがあります。
そのため通知書は、符号の部分に目隠しシールを貼るなどして隠した状態で交付され、手続きで必要になるまでは開けないのが原則です。
登記識別情報通知の取得方法
- 売買や相続などで、不動産の名義人になる登記を法務局に申請する
- 登記が完了すると、名義人になった人の分の通知書が作成される
- 手続きを依頼した司法書士から、または法務局の窓口・郵送で受け取る
登記識別情報通知は、住民票や印鑑証明書のように自分で請求して取り寄せる書類ではありません。
名義人になる登記を申請し、その登記が完了したときに、法務局から交付されます。
なお、相続で名義を移す「相続登記」も名義が動く手続きですが、亡くなった人の登記識別情報通知は原則として必要ありません。

ただし、同じ相続でも、法定相続人ではない人が遺言で不動産を受け取る「遺贈」のときは、亡くなった人の「登記識別情報」が必要になるよ!
登記識別情報通知はいつからできた制度?
登記識別情報通知は、2005年3月7日に施行された改正不動産登記法によって始まった制度です。
法務局の窓口に紙の権利証を持参する仕組みでは登記をオンラインで申請できないため、符号を送信して本人確認をする方式に切り替えられました。
ただし切り替えは全国一斉ではなく、オンライン申請に対応した法務局から順に進められ、すべての登記所で移行が完了したのは2008年7月14日です。
そのため、同じ時期の登記でも、不動産を管轄する法務局によって手元に届く書類が変わります。
| 登記した日 | 交付される書類 |
|---|---|
| 2005年3月6日以前 | 権利証(登記済証) |
| 2005年3月7日〜2008年7月13日 | 管轄の法務局がオンライン申請に対応していれば登記識別情報通知、未対応であれば権利証 |
| 2008年7月14日以降 | 登記識別情報通知 |
移行期間にあたる2005年3月7日〜2008年7月13日の登記は、時期だけではどちらが交付されているか判断できません。
手元の書面を実際に見て確かめるのが確実です。
登記識別情報通知と権利証(権利書)との違い

登記識別情報通知と権利証は、名義人が本人であることを確認するという役割は同じですが、確認のしかたが違います。
権利証は「その紙を持っていること」が本人確認の手段でしたが、登記識別情報通知は「記載された12桁の符号を知っていること」が本人確認の手段です。
| 登記識別情報通知 | 権利証(登記済証) | |
|---|---|---|
| 交付されていた時期 | 2005年3月7日以降 | 2008年7月13日まで |
| 形式 | 12桁の符号が印字されたA4の書面 | 登記申請書に法務局の印が押された書面 |
| 本人確認のしかた | 符号を提供する | 書面そのものを提出する |
| 現在の交付 | 交付されている | 交付されていない |
| 再発行 | できない | できない |
権利証は新しく交付されなくなっただけで、すでに手元にあるものは今も有効です。
権利証が交付されている不動産を売るときは、権利証をそのまま司法書士に渡せば手続きが進みます。
どちらも不動産ごと・名義人ごとに1通ずつ交付されるため、所有している不動産の数だけ書類があります。
登記識別情報通知が交付される通数の数え方
- 土地と建物を持っている:土地で1通、建物で1通
- 夫婦2人で共有している:1つの不動産につき2人分で2通
- 土地が2筆(登記上の土地の数え方)に分かれている:1筆ごとに1通

取得した時期がバラバラなら、権利証と登記識別情報通知の両方が手元にあることもあるよ!
売却するときは対象の不動産の分がそろっているかを確認し、足りないものがあれば早めに司法書士へ伝えておきましょう。
登記識別情報通知はいつ届く?

登記識別情報通知は、登記が完了してから1〜2週間ほどで受け取れます。
受け取り方は3通りありますが、売買や相続の手続きを司法書士に依頼している場合は、司法書士が法務局から受け取って依頼者に引き渡すのが一般的です。
| 受け取り方 | 受け取れるまでの目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 司法書士から受け取る | 登記完了から1〜2週間 | 引き渡しの日時を事前に確認する |
| 法務局の窓口で受け取る | 登記完了後すぐ | 本人確認書類と印鑑が必要 |
| 郵送で受け取る | 登記完了から1〜2週間 | 登記を申請するときに郵送の希望を出しておく |
書面で登記を申請した場合、登記が完了してから3か月以内に受け取らないと、通知書は法務局で廃棄されます。
「届かない」「もらった覚えがない」というときは、次のいずれかに当てはまることが多いです。
登記識別情報通知が手元にない主な原因
- 司法書士や不動産会社が預かったままになっている
- 登記完了から3か月を過ぎて法務局で廃棄された
- 登記を申請するときに、通知を希望しない申出をしていた
- 登記した時期が古く、権利証が交付されている
通知書が廃棄されても、登記そのものの効力には影響しません。不動産の所有者であることは変わらないので、慌てなくて大丈夫です。
ただし再発行はできないため、売却するときはなくした場合と同じ手続きが必要になります。

まずは登記を依頼した司法書士に問い合わせるのが早いよ!
登記識別情報通知はいつ・誰に渡して使う?

登記識別情報通知は、不動産の名義を動かす手続きのときに、依頼した司法書士へ渡して使います。
買主や不動産会社へ直接渡すものではありません。
登記識別情報通知が必要になる手続き
- 不動産を売却して買主に名義を移すとき
- 子どもや配偶者に贈与して名義を移すとき
- 住宅ローンを借りて抵当権を設定するとき
- 遺言で不動産を受け取った人へ名義を移すとき
売却の場合は、まず決済当日に司法書士に通知書を渡します。
司法書士はその場で符号を確認し、代金の支払いを見届けて、法務局へ名義変更の登記申請を行います。
符号を隠している目隠しシールや折り込みは、はがさずに司法書士へ渡すようにしましょう。
自分で開けても登記識別情報が使えなくなるわけではありませんが、一度開けたものは元に戻せず、符号を盗み見られるリスクが残ります。

シールをはがすときに符号の一部まではがれて、読み取れなくなることもあるよ!
符号が読み取れなくなったときは、通知書を発行した法務局へ申し出れば作り直してもらえます。
ただし、申出は窓口か郵送に限られ、インターネットでは受け付けていない点に注意しましょう。
参照:法務省
登記識別情報通知をなくしたときの対処法3つ

登記識別情報通知は再発行できません。
なくしても不動産の所有権を失うことはありませんが、売却や贈与で名義を移すときには、本人であることを別の方法で証明する必要があります。
証明の方法は3つあり、いずれも司法書士に依頼して進めます。
| 登記識別情報通知以外の本人確認方法 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 事前通知制度 | 無料 | 登記を急がない贈与や名義変更 |
| 司法書士による本人確認情報 | 5万円〜10万円程度 | 決済日に確実に名義を移したい売却 |
| 公証人による認証 | 数千円+司法書士への報酬 | 費用を抑えたいとき |
事前通知制度は、法務局から名義人へ本人限定受取郵便で通知が届き、(法務局が通知を発送した日から)2週間以内に署名と押印をして返送します。
無料ですが、返送が遅れると登記が却下されてしまうので、忙しい人には不向きです。
一般的な不動産の売却では、「司法書士による本人確認情報」が多く採用されます。
もし、通知書が盗まれた、または符号を盗み見られた可能性があるときは、できるだけ早く法務局に失効の申出をしておきます。
申出をすると登記識別情報が使えなくなり、なりすましで登記されることを防げます。
失効の申出をしたほうがよいケース
- 通知書が盗まれた
- 目隠しシールがはがされた形跡がある
- 書類を整理した際に所在がわからなくなった
失効の申出をした後は、その不動産の登記識別情報は二度と使えません。売却するときは、なくした場合と同じく本人確認情報などの手続きが必要になります。
参照:法務局

権利証が交付されている不動産なら、その権利証が同じ役割を果たすよ!
権利証が手元にあれば代わりの手続きは不要です。ただし権利証も再発行はできないため、なくしたときの手続きは登記識別情報通知と同じになります。
登記識別情報通知を希望しない場合

登記を申請するときに申し出れば、登記識別情報通知を受け取らないこともできます。
手元に通知書がなければ、盗まれたり盗み見られたりする心配がなくなるためです。
ただし申出ができるのは登記を申請するときだけで、あとから「やはり発行してほしい」と請求することはできません。
通知を受け取らないメリット
- 紛失や盗難、盗み見の心配がなくなる
- 書類を保管・管理する手間がかからない
- 通知書を受け取る手続きが不要になる
通知を受け取らないデメリット
- 名義を動かすたびに本人確認の手続きが必要になる
- 手続きのたびに司法書士への費用がかかる
- あとから発行を請求できない
通知を希望しない申出が向いているのは、多くの不動産を持っていて、書類の保管そのものが負担になる法人などです。
マイホームを1件持っているだけであれば、売却や贈与のたびに5万円〜10万円程度の費用がかかるため、通常は受け取って保管しておくほうが負担は軽くなります。

住宅ローンを借りて抵当権を設定するときにも、登記識別情報は必要になるよ!
これから住宅ローンを利用する予定がある場合は、通知を受け取っておくほうが手続きはスムーズです。
まとめ
登記識別情報通知は、かつての権利証に代わって法務局から交付される、12桁の符号が記載された書面です。
この記事のポイント
- 効力があるのは通知書という紙ではなく、記載された12桁の符号
- 2008年7月14日より前の登記では権利証が交付されていることがある
- 登記完了から1〜2週間で受け取れ、3か月以内に受け取らないと廃棄される
- 売却では決済当日に司法書士へ渡し、目隠しシールははがさなくてよい
- なくしても再発行はできず、本人確認情報などの手続きで代替する
手元にあるかどうかがわからない場合でも、売却の手続きを進めることはできます。売却を考え始めた段階で不動産会社や司法書士に書類の状況を伝えておけば、必要な手続きを決済日までに間に合わせられます。

書類がそろっているか不安なときは、査定を頼むタイミングで相談しておくと安心だよ!