亡くなった親の家を売る手順・流れと手続きや注意点を紹介
親が亡くなり、残された実家をどう処分するかは、多くの相続人が直面する課題です。葬儀や相続手続きと並行して家の売却まで進めるのは初めての経験で、何から手をつけてよいか戸惑う人もいるのではないでしょうか。
相続登記の義務化、特例の適用期限、共有名義の合意形成、税金の種類など、確認したい項目は多岐にわたります。親の購入時の契約書が見つからないと、税負担が数百万円増えるケースもあるので注意しないといけません。
相続発生の直後から書類を探しつつ、全体像をつかんでから売却活動を進めると、後悔や余計な税負担を避けやすくなります。
亡くなった親の家を売るときの全体像
相続発生から売却完了まで平均10ヶ月〜1年。査定依頼・媒介契約・売却活動・売買契約・引渡し・確定申告の手順を踏む。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例など、主要な節税特例を活用すれば、譲渡所得税を最大3,000万円軽減できる。適用要件と期限の確認が節税効果を左右する。
この記事では、亡くなった親の家を売る具体的な手順を中心に解説します。
この記事のポイント
- 相続登記は2024年4月義務化、3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科される
- 売却前に遺品整理・境界確定・購入時契約書探し・共有名義合意・インスペクションを準備
- 節税特例は適用期限と要件が異なり、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例と相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は同一物件で併用不可
- 売れないときは買取・更地化・賃貸活用が選択肢、放置で固定資産税が最大6倍になる
亡くなった親の家を売る手順と全体の流れ
亡くなった親の家を売るには、相続発生から平均10ヶ月〜1年かけて手順を踏みます。
一般の住宅売却と大きく違うのは、査定や売り出しの前に「相続」と「相続登記」という前段が欠かせない点です。家の名義を被相続人から相続人へ移しておかないと、売買契約や引き渡しに進めません。相続人が複数いるときは、売却に共有者全員の合意も要ります。
相続と相続登記を終えたうえで、査定依頼・媒介契約・売買契約・引き渡し・確定申告と進めるのが全体の流れです。
売却完了までの平均所要期間と全体マップ
亡くなった親の家を売るときは、査定の前に相続手続きと相続登記という前段があり、段階ごとに必要な手続きと所要期間が大きく異なります。まず全体像をつかんでおきましょう。
各段階の所要期間の目安は、以下のとおりです。
| 段階 | 所要期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 相続手続き | 2〜3ヶ月 | 遺産分割協議・相続人確定 |
| 相続登記 | 1〜2ヶ月 | 名義変更・必要書類収集 |
| 査定〜契約 | 3〜4ヶ月 | 査定依頼・媒介契約・売却活動 |
| 引き渡し | 1ヶ月 | 残代金決済・所有権移転 |
レインズ(不動産会社が物件情報を登録する全国共有システム)の統計では、首都圏の中古マンションが成約に至るまでの平均日数は82.5日です※1。戸建てや郊外にある物件は、首都圏の中古マンションよりも売却期間が延びやすい傾向にあります※1。
急いで売りたいときは、不動産会社による買取も選択肢です。ただし価格は仲介の70〜80%まで下がります。
1. 不動産会社へ机上査定と訪問査定を依頼する
査定は机上方式と訪問方式に分かれ、それぞれの特徴は、以下のとおりです。
| 項目 | 机上査定 | 訪問査定 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 最短当日 | 1〜2週間 |
| 精度 | 概算レベル | 高精度 |
| 確認方法 | 物件情報+取引事例 | 現地確認+物件情報 |
| 向くケース | 大まかな相場確認 | 本格的な売却検討 |
机上査定は匿名で複数社へ一括依頼でき、相場感の把握に向いています。
一方、訪問査定は担当者が現地を確認したうえで価格を算出します。建物の劣化状況や周辺の環境を踏まえた、精度の高い価格が得られるのが強みです。
築年数が古い物件や室内の状態がわからない物件は、訪問査定で精度を確保しましょう。亡くなった親の家は売主自身が住んでいないため、特に訪問査定が欠かせません。
1社の査定だけで判断せず、3〜6社程度に査定を依頼して比べてみましょう。不動産査定には共通の評価基準がなく、各社の取引実績や得意な地域によって査定額に差が出ることもあります。複数社を比較すると、相場感をつかみやすくなります。
2. 媒介契約(専属専任・専任・一般)を選んで締結する
査定額に納得した不動産会社と媒介契約を結びます。専属専任・専任・一般の比較は、以下のとおりです。
| 項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 契約社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社可 |
| 自己発見取引 | 不可 | 可 | 可 |
| レインズ登録義務 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
| 報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
| 契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 規定なし |
専属専任媒介は1社のみと契約し、自分で買主を見つけることも禁止される最も拘束力の強い形態です。
一方、報告義務とレインズ登録義務が課されるため、不動産会社は注力して販売活動を行います。
専属専任と専任の契約期間は最長3ヶ月以内と定められており、期間満了時には他社へ切り替える選択肢もあります※2。
迷ったら専任媒介から始めるのが無難だね。
3. 売却活動を行い内覧に対応する
媒介契約を結ぶと、不動産会社は広告掲載・レインズ登録・購入希望者への紹介を進めます。売主は内覧の準備と日程調整に集中しましょう。
内覧前に整えておく主な準備項目は、以下のとおりです。
- 遺品整理と家財の搬出
- 空き家の換気と消臭
- 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の重点クリーニング
- 外観の草刈り・落ち葉清掃
- 不動産会社との最低許容価格の事前共有
購入希望者から値下げ交渉が入ることも少なくありません。あらかじめ最低許容価格を不動産会社と共有しておくと、交渉時の判断を迷わず進められます。
売り出しの開始から3ヶ月を一つの目安として、買主が決まらないようであれば、価格設定や販売戦略の見直しを担当者に相談してみるとよいでしょう。
4. 売買契約を締結し手付金を受け取る
買主が決まると、重要事項説明を行ったうえで売買契約を結びます。契約時には、買主から手付金を受け取ります。
売買契約で確認すべき主な項目は、以下のとおりです。
- 重要事項説明
- 宅地建物取引士が買主に対して行う説明。物件の状態と契約条件を確認する。
- 手付金
- 売買価格の5〜10%が相場。契約解除時の違約金の役割も果たす。
- 契約不適合責任
- 引き渡し後に発見された欠陥に対する売主の責任範囲。免責条項の取り決めが重要。
- 引き渡し条件
- 引き渡し日・物件の状態(空室・原状回復の要否)・固定資産税の精算方法を明記。
亡くなった親の家は、売主自身が状態を把握しきれないことも多くあります。契約不適合責任の免責範囲は、慎重に取り決めておきましょう。
5. 残代金の決済と物件の引き渡しを完了する
売買契約から1〜2ヶ月後に、残代金の決済と物件の引き渡しを行います。決済は金融機関で売主・買主・不動産会社・司法書士が集まって実施するのが一般的です。
共有名義のときは共有者全員が出席するか、出席できない人は代表者へ委任状(実印押印・印鑑証明書添付)を預けて手続きを委ねます。
決済当日に完了させる手続きは、以下のとおりです。
- 残代金の入金確認
- 買主の住宅ローン実行と同時に売主口座へ振り込まれる。
- 所有権移転登記
- 司法書士へ必要書類を渡し、決済直後に法務局へ申請。
- 抵当権抹消
- 売主側のローン残債がある場合は同日中に司法書士が手続き。
- 鍵の引き渡し
- 所有権移転と同時に物件の鍵を買主へ渡す。
引き渡しまでに、家財の搬出と公共料金(電気・ガス・水道)の精算を済ませましょう。固定資産税は引き渡し日を境に日割りで精算するのが慣例で、清算書は売買契約書と一緒に保管します。
6. 売却した翌年に確定申告を行う
不動産を売却して売却益が出たときは、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行います。売却損が出たときでも、特例の適用や損益通算のために確定申告をすると、節税できるケースがあります※3。
確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。
- 売買契約書の写し(売却時・取得時の両方)
- 取得費を証明する書類(購入時の領収書など)
- 譲渡費用の領収書(仲介手数料・印紙税など)
- 登記事項証明書
- 本人確認書類とマイナンバー
亡くなった親の家では被相続人の取得費を引き継ぐため、親の購入時の契約書を探しておきましょう。申告漏れがあると無申告加算税や延滞税が課されます。不安なときは税理士に依頼するか、税務署の無料相談を活用してみてください。
亡くなった親の家を売る前に確認したい注意点と準備
亡くなった親の家を売る前に、遺品整理・境界確定・親の購入時契約書探し・共有名義の合意形成・住宅診断(インスペクション)の準備を整えましょう。これらの準備を怠ると、売却活動の長期化や税負担の増加につながる可能性があります。
相続後の早い段階で対応するのが安心です。
遺品整理と家財道具を片付ける
亡くなった親の家を売るには、室内に残された家財道具と遺品の整理を済ませておきましょう。家財が残ったままでは、買主が内覧時に物件の広さや状態を判断しにくく、売却活動が長期化しやすくなります。
遺品整理の方法と費用感は、以下のとおりです。
| 方法 | 費用目安 | 向くケース |
|---|---|---|
| 自分で実施 | 処分費のみ | 遺品量が少なく相続人が近隣居住 |
| 専門業者へ依頼 | 20万〜80万円 | 遺品量が多く相続人が遠方 |
| 買取業者の活用 | 買取金額により処分費用は実質なし | 骨董品・家電など値が付く物がある |
形見分けや貴重品の確認は、相続人全員で行いましょう。預金通帳・権利証・契約書類が遺品のなかに紛れているケースもあります。相続手続きが完了するまでは、安易に処分しないよう気をつけましょう。
仏壇や位牌を処分する際は、供養が必要になる場合があります。菩提寺(先祖代々のお墓や法要をお願いしているお寺)や宗派に応じた近隣の寺院に相談し、供養を行ったうえで処分するのが一般的です。
仏壇や位牌の取り扱いでは、寺院への相談が必要になることもあります。適切な供養を行ったうえで処分しましょう。
隣地との境界確定と測量を依頼する
戸建てや土地付き物件を売却するときは、隣地との境界が確定しているかを確認しましょう。境界が未確定のまま売り出すと買主が見つかりにくく、見つかっても値下げ交渉に発展しやすくなります。
境界確定の費用と所要時間の目安は、以下のとおりです。
- 費用相場
- 30万〜80万円(土地家屋調査士の報酬+測量実費)
- 所要時間
- 依頼から完了まで3〜6ヶ月
- 立ち会い
- 隣地所有者の同意と立ち会いが必須
- 成果物
- 確定測量図と境界確認書を買主へ引き渡し
古くから所有している土地では、境界標が経年でずれている、または失われていることがあります。隣地の所有者との調整が円滑に進まないときは、立ち会いの日程調整に時間がかかることがあります。
隣地所有者との合意がスムーズにいかない場合、完了までに時間がかかる可能性がある点に注意しましょう。境界が確定していれば確定測量図を買主へ引き渡せるため、契約後のもめごとを防ぎやすくなります。
親が購入したときの売買契約書を探す
親の家を売却するときの譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に課税されます。取得費を証明する書類が見つからないと、概算取得費として売却価格の5%しか経費に計上できません※5。
取得費不明で生じる税負担の差
取得費2,500万円が証明できれば譲渡所得は500万円。長期譲渡所得税率20.315%で約100万円。
取得費が不明だと概算取得費150万円となり、譲渡所得は2,850万円。約580万円の譲渡所得税が課され、差額は約480万円となる。
契約書が見つからないと、譲渡所得税が数百万円増える可能性があります。親の家を整理するときは、書類の保管場所を優先して確認しましょう。仏壇や金庫、押し入れの奥、銀行の貸金庫などに保管されているケースが多くみられます。
どうしても見つからないときは、購入時の不動産会社・分譲会社・金融機関の住宅ローン契約書から取得費を推定する方法もあります。
共有名義は相続人全員で売却方針を合意する
相続人が複数いるとき、亡くなった親の家は共有名義になります。共有名義の不動産を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
売買契約や所有権移転の手続きでは共有者全員の署名・押印や必要書類の準備が求められるため、事前に合意形成をしておくことが重要です。事前に方針を共有しておきましょう。
全員が契約や決済の場に揃えないときは、代表者へ売却を任せる委任状を用意し、実印の押印と印鑑証明書の添付をそろえます。
合意形成で取り決めたい項目は、以下のとおりです。
- 売却価格の下限
- 査定額の何割までなら値下げを許容するか、書面で取り決める。
- 売却時期
- 相続税申告期限・空き家特例の3年期限を踏まえた逆算スケジュールを共有する。
- 諸経費の負担割合
- 仲介手数料・登記費用・解体費・税金の負担を持分割合で按分するのが原則。
- 売却益の分配方法
- 譲渡所得税控除後の現金を持分割合で分配。書面化が原則。
相続人の1人でも反対すると売却を進められないため、相続発生後の早い段階で意思を確認しておきましょう。意見が割れるときは、司法書士や弁護士に仲裁を依頼する選択肢もあります。
共有名義のまま放置すると、共有者が亡くなった際に次の世代へ持分が細かく分かれていき、合意形成はさらに難しくなります。
口約束は後でトラブルのもと。覚書として書面化すると安心だね。
契約不適合責任に備えてインスペクションを行う
2020年4月の民法改正で、これまでの瑕疵担保責任(欠陥に対する売主の責任)が契約不適合責任に変わり、売主の責任範囲が広がりました※6。契約書に書かれていない欠陥が引き渡し後に見つかると、買主から修補・代金の減額・契約の解除を求められる可能性があります。
亡くなった親の家は売主自身が住んでいないため、雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合など、内側に潜む欠陥を把握しきれません。あらかじめ住宅診断(インスペクション)を受けておくと、欠陥の有無と修繕の必要性がはっきりします。
インスペクションで主に確認される項目は、以下のとおりです。
- 構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁・屋根)
- 雨水浸入を防止する部分(外壁・屋根・開口部)
- 給排水管の不具合・漏水の有無
- シロアリ被害の有無
インスペクションの費用は戸建てで5万〜10万円程度です。診断結果を買主へ開示することで、建物の状態を事前に共有できるため、安心材料になるだけでなく売却後のトラブル防止にもつながります。診断結果を契約書に添付すれば、買主の安心材料になると同時に、売主の責任範囲もはっきりさせられます。
欠陥が見つかったときは、価格へ反映するか、修繕してから売却するかを判断します。隠して売ると後日のもめごとにつながるため、診断結果は買主へ正直に伝えましょう。
亡くなった親の家を相続する流れ
親の家を相続するには、法定相続人を確認し、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選び、遺産分割協議で分け方を決める3段階を踏みます。家を売る前提となる枠組みです。
相続発生から3ヶ月以内に承認方法を選ぶ必要があり、相続税が発生する場合は10ヶ月以内に申告と納付を行います。期限管理は後の売却スケジュールにも直接影響します。
法定相続人と相続分の決め方
法定相続人と相続分は民法で定められています※7。被相続人の配偶者は、常に相続人となります。また、配偶者以外の相続人には順位があり、子がいる場合は子、子がいない場合は直系尊属、さらに直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。
主な相続パターンと法定相続分は、以下のとおりです。
- 配偶者と子の場合
- 配偶者が半分、残り半分を子どもたちで均等に分ける
- 配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)の場合
- 配偶者が三分の二、残り三分の一を直系尊属が取得する
- 配偶者と兄弟姉妹の場合
- 配偶者が四分の三を取得し残り四分の一を兄弟姉妹側で取得する
- 配偶者のみの場合
- 配偶者が全部を相続する
遺言書があるときは、遺言書が法定相続分より優先されます。配偶者・子・直系尊属には遺留分が認められており、遺言書で完全に排除はできません。
相続承認パターンの選び方
相続には、単純承認・限定承認・相続放棄という3つの承認方法があります。亡くなった親の財産状況に応じて選びましょう。
承認パターンの違いは、以下のとおりです。
- 単純承認
- 資産と負債のすべてを引き継ぐ方法。特段の手続きは不要で、3ヶ月以内に他の意思表示をしない場合は自動的に単純承認とみなされる。
- 限定承認
- 相続した資産の範囲内で負債を弁済する方法。相続人全員の同意と3ヶ月以内の家庭裁判所への申述が必要。
- 相続放棄
- 資産も負債も一切引き継がない方法。家庭裁判所に3ヶ月以内に申述すれば認められるが、撤回はできない。
被相続人の負債が資産を上回りそうなときは、限定承認や相続放棄が選択肢になります。ただし3ヶ月の熟慮期間を過ぎると単純承認とみなされ、撤回できません。相続発生を知った時点から、早めに財産調査を進めましょう。
負債の有無は信用情報機関で照会できるよ。早めに調べておこう。
遺産分割の現物・代償・換価・共有の使い分け
相続人が複数いて遺言書がないときは、遺産分割協議で財産を分けます。分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4種類があります。
分割方法の比較は次のとおりです。
- 現物分割
- 財産をそのまま個々の相続人へ振り分ける方法。分割可能な財産が複数あれば公平に取り分けられる。
- 代償分割
- 一人の相続人が不動産を取得して他の相続人へ代償金を支払う方法。家を残したい場合に向く。
- 換価分割
- 不動産を売却して現金化したうえで分配する方法。家を売却して分けたい場合の選択肢となる。
- 共有分割
- 持分割合で共有する方法。合意に至らない場合の一時的措置に留めるのが望ましい。
亡くなった親の家を売る前提なら、換価分割が選ばれることが多くなります。共有分割では後の管理や処分で意見が分かれやすいため、いずれ別の分割方法へ移すことも視野に入れておきましょう。
亡くなった親の家の相続登記|義務化と必要書類
相続登記は、亡くなった親の家を売るための欠かせない手続きです。家の名義を相続人へ移さないと買主へ所有権を移転できず、売却そのものが成立しません。加えて2024年4月から、親の死亡を知った日から3年以内の申請が義務づけられ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されます。
司法書士へ依頼した場合の費用相場は、4万〜15万円で、義務化前の相続でも登記が未了なら対象になります※8。
所有者不明の土地が増加していることへの対策とし導入された制度で、義務化前の相続については2027年3月末までが申請期限です。
2024年4月施行で相続登記が義務化された背景
2024年4月1日に不動産登記法の改正が施行され、相続人は相続登記の申請を法的に求められるようになりました。背景には、所有者不明土地の問題があります。
義務化の主な施策内容は、以下のとおりです。
- 申請期日
- 相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請
- ペナルティ
- 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料
- 遡及適用(施行前の相続)
- 義務化前に発生した相続も対応が必要
- 相続人申告登記
- 暫定的に申告のみで義務を果たす制度を新設
従来は相続登記の申請に法律上の義務がなく、登記費用や手続きの煩雑さから放置されるケースが相次いでいました。所有者不明の土地は全国に広がっており、その面積は九州全体よりも広いとされています。
所有者不明の土地は、公共事業の用地買収や災害復旧、空き家対策の妨げになっていました。義務化で相続登記を促し、所有者情報を最新の状態に保つことが狙いです。
申請期限と過料リスクの詳細
相続登記の申請期限は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内です。期限内に正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
法務省が示す「正当な理由」の主な例は、以下のとおりです。
- 相続人の数が極めて多く、戸籍収集や遺産分割協議に時間がかかる
- 遺言の有効性や遺産分割を巡って争いがある
- 相続人自身が重病である
- DV被害者で住所を秘匿する必要がある
- 経済的に困窮し費用が支払えない
3年以内の申請が難しいときは、相続人申告登記の制度を活用できます。相続人申告登記とは、相続人であることを法務局へ申し出ることで、相続登記の義務をいったん果たしたとみなされる暫定的な手続きです。
相続人申告登記は単独で申請でき、添付書類も戸籍謄本のみで済みます。ただし所有権の移転を反映する手続きではないため、最終的には正式な相続登記が欠かせません。
3年の起算は相続で不動産を取得したことを知った日。急がないと過料リスクが出るね。
相続登記の必要書類一覧
相続登記を行う際には、以下の書類を準備します。書類の取得先は役所と法務局に分かれます。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 本籍地のある市区町村役場で取得。転籍を繰り返している場合は複数役場へ請求。
- 被相続人の住民票除票
- 最後の住所地の市区町村役場で取得。登記簿上の住所との一致確認に使用。
- 相続人全員の戸籍謄本・住民票
- 本籍地・住所地で取得。相続人が遠方の場合は郵送請求も可能。
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の署名と実印押印、印鑑証明書の添付が必要。遺言書がある場合は基本的に不要。
- 固定資産税評価証明書
- 物件所在地の市区町村役場で取得。登録免許税の算出に使用。
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書の添付が必要です。遺言書がある場合は、遺産分割協議書に代えて遺言書を提出します。なお、自筆証書遺言などの場合は家庭裁判所での検認が必要になることがあります。
登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。評価額が3,000万円の物件なら12万円になります。法務局の窓口で収入印紙を購入して納付しましょう。
なお、本記事で紹介している書類は一般的な例です。相続関係や不動産の状況によって必要書類が異なる場合もあるため、事前に管轄の法務局や市区町村役場へ確認することをおすすめします。
司法書士に依頼した場合の費用相場
相続登記は自分で申請することもできますが、司法書士へ依頼するのが一般的です。費用相場は4万〜15万円で、登録免許税が別途かかります。
費用変動の主な要因と費用感は、以下のとおりです。
- 物件の評価額
- 不動産の評価額や司法書士事務所の報酬体系によって費用が変動する場合がある。
- 相続人の数
- 相続人の人数が多い場合は、追加費用が発生することもある。
- 遺産分割協議書の作成
- 協議書作成を依頼する場合は追加で3万〜5万円。
- 戸籍・住民票の取得代行
- 代行費の目安は1通あたり1,000円〜3,000円程度。
- 物件数
- 物件が複数ある場合は2件目以降で追加報酬が発生する場合がある。
司法書士の報酬は、物件の評価額・相続人の数・遺産分割協議書の作成の有無で変わります。物件が複数あるときや相続人が遠方にいるときは、報酬が増える傾向です。
司法書士へ依頼すれば、必要書類の取得代行も含めて対応してもらえます。相続人が遠方に住んでいるときや多忙なときは、依頼するメリットが大きくなります。
亡くなった親の家を売るときにかかる税金の種類
亡くなった親の家を売るときにかかる税金は、相続税・登録免許税・印紙税・譲渡所得税の4種類です。
相続後の早い段階で、全体像をつかんでおきましょう。
相続税の基礎控除と申告期限
相続税は、被相続人から相続する財産の総額が基礎控除を超えたときに課税されます。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」で算出します※9。
相続税の基本構造は、以下のとおりです。
- 基礎控除額
- 3,000万円+600万円×法定相続人数
- 不動産評価
- 路線価・固定資産税評価額で評価(市場価格より20〜30%低い)
- 申告期限
- 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
- 期限超過
- 無申告加算税と延滞税が課される
法定相続人が3人(配偶者と子2人など)なら、基礎控除は4,800万円です。財産総額が4,800万円以下であれば相続税はかからず、申告も原則として必要ありません。
基礎控除を超えた場合は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納付を行います。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税の追加負担が生じるため、相続発生直後から書類整理を始めると安心です。
相続登記時の登録免許税
相続登記の際には、登録免許税を法務局へ納付します。税率は固定資産税評価額の0.4%です。
登録免許税の納付概要は、以下のとおりです。
- 税率
- 固定資産税評価額の0.4%
- 納付方法
- 収入印紙を購入して登記申請書に貼付
- 評価額の確認
- 毎年4〜5月頃届く納税通知書または固定資産税評価証明書
- 非課税特例
- 令和9年3月31日まで評価額100万円以下の土地は非課税
固定資産税評価額が2,500万円の家なら、登録免許税は10万円です。司法書士に登記を依頼したときは、報酬とは別に実費として請求されます。
山林や原野など評価額の低い土地を含む相続では、非課税特例の対象になるかを確認しておきましょう。
売買契約書に貼付する印紙税
不動産の売買契約書には印紙税が課されます。税額は契約金額に応じて決まり、令和9年3月31日まで軽減税率が適用されます※10。
軽減税率の主な区分は、以下のとおりです。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率(令和9年3月31日まで) |
|---|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
印紙税は、売買契約書に収入印紙を貼り付けて納付します。売主と買主がそれぞれ契約書を保管するのが原則で、双方が同額を負担します。
近年は電子契約の普及で、印紙税が不要になるケースも増えてきました。電子契約書は印紙税法上の課税文書に当たらないため、印紙の貼付義務は発生しません。
譲渡所得税の計算式と税率(住民税と復興特別所得税の合算)
不動産を売却して売却益(譲渡所得)出たときは、譲渡所得税が課されます※11。
譲渡所得と税額の計算式
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)
税額 = 譲渡所得 × 税率(長期20.315% / 短期39.63%)
所有期間別の税率は、以下のとおりです。
- 長期譲渡所得(所有期間5年超)
- 税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%、復興特別所得税を含む)。
- 短期譲渡所得(5年以下)
- 税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)で長期の約2倍。
- 相続人の所有期間
- 親の所有期間が自動的に引き継がれるため、多くの場合で長期譲渡所得税率が適用されます。
所有期間は親から引き継ぐ。長く住んでた家は長期で済むよ。
取得費が不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として計上します。3,000万円で売却して取得費が不明なら、長期税率で約580万円の譲渡所得税を納めることになります。
亡くなった親の家の譲渡所得税を最大3,000万円減らせる節税特例と控除
亡くなった親の家を売るときの譲渡所得税は、空き家3000万円特別控除や取得費加算の特例で最大3,000万円を控除できます。特例ごとに適用要件と期限が異なり、税理士へ相談して有利な特例を選べるかどうかが、節税効果を大きく左右します。
節税効果が大きい主要特例の概要は、以下のとおりです。
| 特例名 | 節税効果 | 主な要件 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 譲渡所得から3,000万円控除 | ・被相続人が一人で居住している ・昭和56年5月31日以前の建物 ・売却代金1億円以下 など |
相続の開始があった日から3年経過する年の12月31日までに売却すること |
| 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 相続税の一部を取得費に加算 | ・相続や遺贈により財産を取得している ・相続税が課税されている ・相続税の対象となった財産を売却している |
相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること |
| 小規模宅地等の特例 | 居住用宅地330㎡まで80%減 | 保有継続要件 | 相続税申告期限まで保有 |
| マイホームを売ったときの特例 | 譲渡所得から3,000万円控除 | 売主が居住していた家 | 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の適用要件
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を活用すると、被相続人居住用財産の売却時に譲渡所得から最大3,000万円を控除できます※12。亡くなった親の家を売るときに、よく使われる節税特例です。
適用要件を以下にまとめます。
- 被相続人が一人暮らしだったこと
- 昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であること
- 相続開始から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること
- 売却価格が1億円以下であること
- 譲渡時に耐震基準を満たすか、買主が耐震改修・取り壊しを行うこと
耐震基準を満たさない建物では、耐震リフォーム後の売却、または更地にしてからの売却が条件です。令和6年1月1日以降の売却では、買主側で耐震改修または取り壊しを行う方式も対象となりました。
適用期限が令和9年12月31日まで延長されています。被相続人が老人ホームへ入所していた場合も、要介護認定を受けて住んでいたなど一定の条件下で適用可能となります。
令和6年1月1日以降の譲渡で被相続人居住用家屋を相続した相続人が3人以上の場合、控除額は最大2,000万円までに制限されます※12。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
取得費加算の特例は、相続税を支払った相続人が相続財産を売却したときに、納付した相続税の一部を取得費へ加算できる制度です※13。譲渡所得を圧縮して、譲渡所得税を軽くできます。
制度の主な要件と効果は、以下のとおりです。
- 適用要件
- 相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに売却
- 期限の起算
- 相続開始からは3年10ヶ月以内
- 加算額
- 売却した不動産に対応する相続税相当額
- 有利な層
- 相続税の納税額が大きい資産家ほど節税効果も大きい
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例と取得費加算の特例は、同一物件で併用できません。納付した相続税額が少ないときは、空き家特例が有利になるケースが多くなります。
小規模宅地等の特例と売却タイミング
小規模宅地等の特例は、被相続人の居住用宅地を相続したときに、330㎡まで評価額を80%減らせる制度です※14。相続税の節税効果が大きく、相続税の申告でよく使われる代表的な特例です。
適用には保有継続要件があり、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)まで保有を続ける必要があります。申告期限前に売却してしまうと、適用されていた相続税の軽減がなくなり、遡って相続税が追加請求されるので注意しましょう。
申告期限経過後の売却なら特例は維持されます。亡くなった親の家を売るときは相続税申告期限を過ぎてから売却活動を始めることで、相続税と譲渡所得税の双方を軽減できます。
家なき子特例として、被相続人と同居していない相続人でも、一定の要件を満たせば適用できるのが特徴だよ。
マイホームを売ったときの特例
マイホームを売ったときの特例は、売主が住んでいた家を売却したときに、譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です※15。空き家特例とは別の制度で、適用要件も異なります。
マイホーム特別控除の主な適用条件は、以下のとおりです。
- 対象物件
- 売主が居住していた家(同居していた相続人の場合も対象)
- 売却期限
- 住まなくなった日から3年経過する年の12月31日まで
- 買主の制限
- 親子・夫婦などの特別な関係にないこと
- 過去の特例
- 過去2年以内に同種の特例を受けていないこと
亡くなった親と同居していた相続人が、相続後も住み続けた家を後に売却する場合はマイホーム特別控除を適用できます。空き家特例の旧耐震要件や対価1億円以下の上限がないため、新耐震物件や高額物件でもこの特別控除を使えます。
住み替えを繰り返すときは、適用の順序を税理士と相談しておきましょう。
複数特例の併用可否と有利選択の判断基準
節税特例ごとに適用要件が異なり、すべてを併用できるわけではありません。同一物件での併用の可否を次にまとめます。
| 組み合わせ | 同一物件での併用 | 適用判断 |
|---|---|---|
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 + 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 不可 | 有利選択(相続税額で判定) |
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 + 小規模宅地等の特例 | 可 | 相続税と譲渡所得税の両方で節税 |
| マイホームを売ったときの特例マイホーム3000万円控除 + 小規模宅地等の特例 | 可 | 同居相続人の場合に併用可能 |
小規模宅地等の特例は相続税の節税制度のため、譲渡所得税の特例とは別枠で並行して活用できます。
複数案のシミュレーションを並べて比べると判断しやすいね。
有利な特例を選ぶ判断材料は、相続税の納税額・売却価格・所有期間・相続人の同居の有無です。亡くなった親の家を売る前に税理士へ試算を依頼すると、適用の順番と組み合わせの最適解が見えてきます。
亡くなった親の家が売れないときの対策と空き家放置のリスク
亡くなった親の家が売れないときは、価格・立地・物件状態の見直しに加え、買取や賃貸活用などの代わりの手段で出口を探ります。
放置すると特定空き家の指定で固定資産税が最大6倍になり、行政代執行の恐れも生じます。早めの判断を心がけましょう。
売れない原因を価格と立地と物件状態で見極める
売り出してから3ヶ月以上経っても買主が見つからないときは、まず売れない原因を分析しましょう。原因の多くは、価格設定が相場とかけ離れている・立地条件が不利・物件の状態に難があるのいずれかです。
原因別の対処方針は、以下のとおりです。
- 価格設定が高すぎる
- 複数社へ再査定を依頼して市場価格との乖離を可視化。不動産会社と相談して値下げ幅を決める。
- 立地条件が不利
- 広告掲載媒体を増やし、地元密着の不動産会社へ切り替える。空き家バンク登録も検討。
- 物件状態に難がある
- クリーニング・小規模リフォーム・ホームステージングで印象改善。費用対効果を見極めて最低限の手入れにとどめる。
価格設定が高すぎるときは、不動産会社と相談して再評価を行います。複数社へ再査定を依頼すると、今の市場価格とのずれがはっきりします。
立地が郊外や駅から遠い物件では、購入層が限られるため売却期間が長引きやすくなります。広告の掲載媒体を増やしたり、地元密着の不動産会社へ切り替えたりを検討しましょう。
買取や更地化や賃貸活用などの代替手段
仲介で売れないときの代わりの手段には、買取・更地化・賃貸活用・空き家バンク登録があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
| 手段 | 所要時間 | 価格・収益 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 不動産会社による買取 | 最短1週間 | 仲介価格の70%程度 | 現金化を急ぐ場合 |
| 更地化して売却 | 解体2〜3ヶ月 | 解体費100万〜300万円 | 築古で建物価値が低い |
| 賃貸活用 | 賃貸開始まで2〜3ヶ月 | 家賃収入 | 立地条件が良い場合 |
| 空き家バンク登録 | 登録から数ヶ月 | 無料利用可 | 地方・郊外の物件 |
買取は最短1週間で現金化でき、内覧や契約不適合責任の心配もありません。価格は仲介よりおよそ20%低くなります。
建物の老朽化が著しいときは、更地にしてから売る方法もあります。木造家屋の解体は1坪あたり3万〜5万円が目安で、買い手が住宅用地としての価値を判断しやすくなります。地方自治体が運営する空き家バンクへの登録も無料で使え、買い手や事業者と直接つながれる仕組みです※16。
特定空き家指定で固定資産税が最大6倍になる
空き家対策特別措置法に基づき、管理状態が劣悪な空き家は行政が特定空き家に指定します※17。指定を受けると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍になることがあります。
住宅用地特例では200㎡以下の小規模住宅用地は固定資産税評価額が6分の1に軽減されています。特定空き家に指定されると、この軽減がなくなり固定資産税が本来の評価額に戻るのです。
令和5年12月施行の改正法では、特定空き家になる前の段階として管理不全空き家の区分が新設されました。管理不全空き家に指定されただけでも住宅用地特例から外れます。
指定の主な基準は、倒壊の恐れ・衛生上の著しい有害・著しく景観を損なう・周辺の生活環境への悪影響などです。年に数回の見回りと、簡単な草刈り・換気で、指定のリスクを大きく下げられます。
管理不全段階でも特例から外れるから、放置は禁物だね。
近隣トラブルと行政代執行と損害賠償の可能性
放置された空き家は、近隣住民とのもめごとや行政処分のリスクを抱えます。倒壊・火災・不法侵入・害虫や害獣の発生など、所有者の責任が問われる事態に発展しやすくなります。
行政処分の段階的なプロセスは、以下のとおりです。
- 助言・指導
- 軽微な改善要求が口頭または文書で行われる
- 勧告
- 住宅用地特例が外れ固定資産税が上昇
- 命令
- 従わない場合は行政代執行へ移行
- 行政代執行
- 強制的に解体され費用は所有者へ請求
行政代執行による解体費用は、通常の解体費用より割高になるケースが多くなります。所有者が支払えないときは、財産の差し押さえの対象になります。
空き家の倒壊や落下物で隣家や通行人に被害を与えたときは、民事上の損害賠償責任を負います。建物の管理上の不備(瑕疵)に基づく無過失責任のため、たとえ所有者が知らなかったとしても、賠償の義務は免れません。
まとめ
亡くなった親の家を売るには、まず相続(法定相続人の確定と遺産分割)を経て、2024年4月から義務化された相続登記を3年以内に完了します。そのうえで、査定依頼から確定申告まで順を追って売却を進めましょう。
本記事の要点は、以下のとおりです。
- 売却前準備:遺品整理・境界確定・親の購入時契約書探し・共有名義の合意形成・インスペクション
- 税金:相続税・登録免許税・印紙税・譲渡所得税
- 節税特例:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例や相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の活用で大幅軽減
- 売れない場合:買取・更地化・賃貸活用などの代替手段で出口戦略を作る
- 放置リスク:特定空き家に指定されることで固定資産税が最大6倍になる
特例ごとに適用要件と期限が異なるため、税理士と相談しながら有利な特例を選びましょう。
出典・参考資料
※4 法務省「筆界特定制度」
※7 法務省「相続のあらまし」
※16 全国版空き家・空き地バンク