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家の査定はどこを見る?訪問査定で不動産業者がチェックしているポイントを紹介

家の査定を頼んで金額が出てきたとき、「これどこを見て決めた金額なの?」と戸惑うことはありませんか?

訪問査定で担当者が見ているのは、突きつめれば建物・土地・周りの環境です。

見る対象 主に確かめられること
建物 築年数や傷み、水回り設備、傾きや基礎といった構造の状態
土地 形のよさ、道路への接し方、日当たりや方位
周辺環境 駅への近さ、買い物や通院の便、嫌悪施設の有無

同じ家でも会社によって査定額がばらつくことです。高い数字に惹かれて任せても、相場とかけ離れていれば買い手がつかず、値下げが続くこともあります

トラフィー

査定額の根拠の深さで会社を見極め、複数社で比べるのが、売却を成功させる第一歩だよ

この記事では、建物・土地・周りのどこを見られているのかを具体的にたどり、机上査定との違いや、信頼できる会社の見分け方まで整理していきます。

この記事のポイント

  • 訪問査定では建物・土地・周辺環境を部位ごとに見て査定額を出す
  • 見られているのは「直すのにいくらかかるか」と「売りやすいか」の二点
  • 傷みを隠すより、手入れや工事の記録をそろえるほうが評価で有利
  • 査定額は会社でばらつくので、根拠を確かめ複数社で見比べる
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訪問査定で見られる建物の評価ポイント

この見出しのポイント

訪問査定では雨漏り・外壁・基礎・傾き・シロアリ・水回りなど建物の劣化を部位ごとに目視し、原価法で経年減価を控除して評価します。木造は法定耐用年数22年が目安ですが、リフォーム履歴があれば有効経過年数の考え方で評価が上向く場合もあります。

訪問査定では、不動産業者が建物のどこを見て評価額を決めているのかが気になるところです。担当者は雨漏りや傾きといった傷みから設備の状態まで、修繕費や構造の安全性に関わる部位を順に確認していきます。

建物で見られる主な部位

出典:※1

建物の評価には原価法(同じ建物を建て直す場合の費用から、年数に応じた目減りを差し引いて価値を求める方法)が使われ、築年数とともに価値は下がっていきます。

雨漏りや天井のシミと小屋裏の確認

雨漏りは建物内部の腐食につながるため、訪問査定でまず確認される箇所です。天井や壁の茶色いシミが手がかりになります。

雨漏りで見られる箇所

担当者は和室の天井の隅や押し入れの天袋、点検口から見える小屋裏(屋根裏の空間)に目を向けます。シミが乾いた古いものか、いま進行中の濡れかで見立ても変わります。

乾いたシミと進行中の濡れの違い

進行中の濡れは内部腐食が続いているとみなされ、古い乾いたシミより評価への影響が大きく見られます。

このため、シミを見つけたら原因を確かめておくと、査定時のやり取りがスムーズになります。

外壁のひび割れやチョーキングと基礎の亀裂

外壁や基礎のひびは、雨水の浸入や構造の傷みのサインとして評価額に影響します。表面に白い粉がつくチョーキングも劣化の目安です。

チョーキングは塗装が寿命を迎えたしるしで、外壁の塗り替え費用がかかる目安になります。基礎の細いひびは経年で生じやすいものです。

ひびの幅で分かれる評価への影響

細いひびやチョーキングは塗り替え費用の目安にとどまりますが、幅の広い亀裂は構造への影響が疑われ評価が下がりやすくなります。

ひびが気になる場合は、幅や本数をメモしておくと担当者に状況を伝えやすくなります。

建物の傾きとシロアリ被害の有無

建物の傾きやシロアリ被害は構造の安全性に直結するため、見つかると評価額が大きく下がりやすいポイントです。

傾きはビー玉が転がるか、建具の開け閉めがスムーズかといった点から推測されます。床のわずかな勾配も手がかりになります。

構造に関わるから減点が大きい

傾きとシロアリはいずれも基礎や柱の安全性に関わり、補修も大掛かりになりやすいため、買い手が敬遠しやすく下げ幅も大きくなります。

シロアリは床下や柱の根元、湿気のたまりやすい水回り周辺で確認されます。木部の食害や、蟻道(ぎどう)と呼ばれる土の通り道の有無が見られます。

水回り設備の状態と交換費用

キッチンや浴室など水回り設備は、傷み具合によって交換費用がかさむため、査定で状態が細かく見られます。

水回り設備はおおむね10年から20年ほどで交換時期を迎えるとされます。設備一式の入れ替えには数十万円から百万円を超える費用がかかる場合もあります。

交換時期の目安:10〜20年
この時期を境に、設備の古さが査定でマイナスに働きやすくなる。
1箇所あたりの交換費用:数十万〜100万円超
買い手が見込む将来の出費として、査定額の差に表れる。
査定への影響
残りの使用年数が短いほど不利。新しいほど評価は有利。

そのため査定では、給湯器やコンロの年式、水漏れや排水の不具合の有無まで確認されます。残りの使用年数が短いほど評価では不利に働きます。

間取りや採光と建物のグレード

間取りの使いやすさや日当たり、建物の仕様の高さも、買い手にとっての価値として評価額に反映されます。

採光は南向きの窓の有無や日中の明るさで見られます。極端に暗い部屋や使いにくい間取りは、評価で不利になりやすい要素です。

品等格差率とは

標準的な仕様を基準に建物のグレードを比べる考え方で、上位グレードの住宅は基準より数%高く評価される傾向があるとされます。

設備の仕様書や図面が手元にあれば、グレードを示す材料として役立ちます。

築年数と法定耐用年数による建物評価

建物の評価は築年数の影響を強く受けます。木造住宅では築20年から25年を超えるあたりから評価が大きく下がる傾向があるとされます。

背景には法定耐用年数という目安があります。税務上、木造住宅は22年という年数が一つの区切りとされ※1、建物評価の考え方にも用いられます。

家の査定で築年数が建物評価額に与える影響を示すグラフ

法定耐用年数(木造):22年
税務上の区切りで、建物評価の考え方にも用いられる目安。
評価が下がり始める築年数:20〜25年
木造住宅でこのあたりを超えると評価が大きく下がる傾向。
規模修正率の目安
延床75㎡まで約1.05、135㎡超は約0.95で、広さに応じて価格を増減。

建物の規模も評価に関わり、延床面積に応じた規模修正率(建物の広さで評価を補正する割合)で、規模に応じて価格がやや増減します。具体的な数値は次の表のとおりです。※2

では築40年ほどの古い家には価値がつかないのかというと、必ずしもそうとは限りません。維持状態がよく、リフォーム履歴があれば一定の価値が残る場合もあります。

リフォーム履歴と有効経過年数の若返り

大きなリフォーム履歴があると、有効経過年数という考え方で建物が実年齢より若く見られ、評価が上がる場合があります。

有効経過年数とは、築年数そのものではなく、手入れの状態から見た実質的な建物の年齢のことです。屋根の葺き替えや水回りの取り替えが代表例です。

有効経過年数とは
築年数ではなく、手入れの状態から見た実質的な建物の年齢。
若返りにつながる代表例
屋根の葺き替え、水回りの取り替えなど、傷んだ部位を一新する大きな工事。
記録として効くもの
工事の契約書や領収書。履歴を示せると担当者が状態を判断しやすい。

大きな手入れをしていれば、その分だけ建物の傷み具合が軽く見積もられ、評価額が数%ほど押し上げられる例もあるとされます。

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工事の契約書や領収書を残しておくと評価で有利になるんだよ

訪問査定で見る土地と周辺の評価ポイント

この見出しのポイント

訪問査定では取引事例比較法を基に、接道・間口・形状・高低差・擁壁・境界を現地で一つずつ確認し、駅距離や嫌悪施設まで見て査定額に反映します。評価は土地そのものの物理的条件と周辺環境の二つに分かれ、それぞれで補正されます。

土地の評価では、似た条件で取引された事例から価格を求める取引事例比較法という考え方が使われます。そのうえで、訪問査定では地図ではわからない現地の状況が一つずつ確認されていきます。

土地で見られる主な箇所

見られるのは土地そのものの物理的な条件と、嫌悪施設などの周辺環境の二つで、それぞれ別の補正がかかります。

接道の方角や幅員と間口の広さ

接する道路の向きと幅、土地の入り口の広さは、使い勝手と再建築のしやすさに関わるため評価で補正されます。南側に道路があると採光面で有利に働きます。

道路の幅員(道路の幅)が4メートル未満だと、建て替え時に敷地を後退させる必要が生じ、使える面積が減ります。間口(道路に接する土地の幅)が狭い土地も、車の出し入れや建築の自由度で不利に働きやすい要素です。

プラス評価とマイナス評価の分かれ目

同じ広さの土地でも、道路との接し方しだいで評価の向きは反対になります。南向き接道は採光で加点される一方、幅員不足や狭い間口は再建築のしにくさとして減点側に振れ、土地の絶対面積より「どう建てられるか」が補正を左右します。

反対に、二方向が道路に接する角地は、採光や出入りのしやすさから評価で有利に働きやすい要素です。

土地の形状や高低差と擁壁の状態

土地の形と道路との高低差、擁壁の状態は、建築コストや安全性に直結するため評価で大きく見られるポイントです。整形地に比べると、変形地は不利に見られます。

道路より大きく高い、または低い土地は造成費がかさみます。擁壁(高低差のある土地を支える壁)に古さやひび、傾きがあると、買主が積み直し費用を見込むため評価が下がりやすくなります。

減額の正体は買主が見込む追加コスト

変形地や高低差、傷んだ擁壁で評価が下がるのは、土地の欠点そのものより、買主が造成費や積み直し費用を先回りで差し引くからです。裏を返せば、工事費の見積もりが小さく済む土地ほど減額幅は抑えられます。

旗竿地や三角地といった使いにくい形状も、建築の制約となり価格に影響する要素です。

境界標の有無と越境の可能性

隣地との境界が未確定だと、土地の範囲が定まらず将来のトラブル要因になるため、評価が下がる対象とされます。境界標の有無が現地で確認されます。

境界がはっきりしない場合、確定測量(隣地所有者の立会いで境界を確定させる測量)が必要になることがあります。費用は数十万円規模、期間も数ヶ月かかるのが目安です。

査定が気にするのは現状より引き渡し後

境界や越境で評価が下がるのは、いま揉めているからではなく、引き渡し後にトラブルへ発展する芽があるからです。買主が測量や解消の手間とコストを嫌うぶん、未確定のまま売り出す土地は提示額が抑えられます。

塀や樹木、屋根が隣地にはみ出す越境(境界を越えた状態)があると、その解消も求められやすく、評価で考慮されます。

駅距離や嫌悪施設などの周辺環境

最寄り駅までの距離や周辺の施設も、買い手の需要を左右するため評価に反映されます。駅から近い土地ほど流通性比率という補正で有利に働きます。

流通性比率とは、その土地の売れやすさを価格に反映させる補正で、おおむね0.85から1.10の範囲で増減します※3。墓地や工場、騒音源などの嫌悪施設(住み心地を下げると受け取られやすい施設)が近いと、比率は低めに見積もられがちです。

周辺環境は加減点でなく倍率で効く

立地条件は評価額に足し引きされるのではなく、流通性比率という倍率で最終額を上下させます。だからこそ算定上は同じ評価額の土地でも、嫌悪施設が近いか生活利便が高いかで売主の手取りに差がつきます。

反対に、公園やスーパーが近いといった生活の利便性は、評価を押し上げる方向に働く要素です。

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バス停や病院が近い土地も評価を押し上げる要素なんだ

評価ポイントから査定額が決まる仕組み

この見出しのポイント

査定額は土地と建物それぞれの価格を合算し、物件の売れやすさを表す流通性比率(概ね0.85〜1.10)を乗じて求められます。建物価格は広さや仕様、手入れの状態で補正され、その割合は既存住宅価格査定マニュアルに根拠があります。

これまで見てきた建物と土地の評価ポイントは、最後に一つの計算式へと集約されて査定額になります。一見むずかしそうですが、土地と建物の価格を足して、売れやすさで微調整するという流れがわかれば十分です。

家の査定額が決まる計算の仕組みを示す図

出典:※2

建物価格は広さや仕様、手入れの状態に応じて補正され、その割合は業界共通の既存住宅価格査定マニュアルに根拠があります。仕組みを押さえておくと、査定書に並ぶ数字の意味を自分の目で読み解けるようになります。

土地と建物の価格を合算し流通性比率を乗じて算出

査定額は、土地と建物それぞれの価格を足し合わせ、その土地の売れやすさを表す割合をかけて算出されます。これが価格決定の土台です。

式にすると「査定価格=(土地価格+建物価格)×流通性比率」となります。流通性比率とは、立地や周辺環境による売れやすさを価格へ反映させる補正のことです。

算出式
査定価格=(土地価格+建物価格)×流通性比率
流通性比率
立地や周辺環境による売れやすさで、概ね0.85〜1.10に補正

この比率はおおむね0.85から1.10の範囲で動きます。駅に近く需要の高い土地は1に近いかそれ以上、買い手がつきにくい土地は低めに見積もられる目安です。

建物価格は広さ・仕様・有効経過年数などに応じて補正される

土地と建物を合算する前に、建物の価格は広さや仕様、手入れの状態に応じて補正されます。同じ築年数でも条件で価格が変わる仕組みです。

広さによる補正は規模修正率と呼ばれ、狭めの住宅をやや高く、広い住宅をやや控えめに見る調整です。具体的な割合は下記のとおりです。

規模修正率
延床75平米未満は約1.05、135平米以上は約0.95に補正
品等格差率
標準Aランクは1.00、上位AAAランクは約1.07まで
有効経過年数
手入れの状態が良いと実年齢より若く評価

建物の仕様の高さは品等格差率で表され、グレードに応じて評価が数%増減します。さらに有効経過年数(手入れの状態から見た実質的な建物の年齢)が若いほど、価格は高めに補正されるとされます。

補正の割合の指針は「既存住宅価格査定マニュアル」

補正の割合は担当者の感覚ではなく、業界共通の指針である既存住宅価格査定マニュアルにもとづいて根拠づけられています。

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このマニュアルは流通推進センターが作っているんだね

既存住宅価格査定マニュアルは、中古住宅の価格を一定の手順で求めるために定められた計算の指針です。規模修正率や品等格差率といった補正の数値も、ここで示された基準が用いられます。※3

位置づけ
中古住宅の価格を一定の手順で求める業界共通の指針
定める数値
規模修正率や品等格差率などの補正基準
読者の利点
担当者ごとの金額のぶれが抑えられ、根拠を確認できる

担当者ごとに金額が大きくぶれないのは、既存住宅価格査定マニュアルがあるためです。査定書の数字の裏側には、こうした決まった計算の根拠があると理解しておくと安心の材料になります

机上査定と訪問査定でどこを見るかの違い

この見出しのポイント

机上査定は所在地や築年数など書類情報だけで概算を出し、訪問査定は現地の劣化や日当たり、境界まで見て売り出し価格の基準を出します。相場感の把握には机上査定、実際の価格決定には訪問査定と使い分けるのが基本で、両方を順に使うと納得感のある価格に近づけます。

査定には、書類情報だけで概算を出す机上査定と、担当者が現地を見て価格を出す訪問査定の2種類があり、見る対象も精度も所要時間も大きく変わります。

机上査定(簡易査定) 訪問査定
見る対象 所在地・面積・築年数・取引事例(書面情報) 書面に加え現地の劣化・傾き・日当たり・境界など実態
精度 概算(幅が出やすい) 売り出し価格の基準になる精度
所要時間 即日〜3日が目安 現地調査が約1時間、結果は2〜3日から1週間
使いどころ 相場感の把握・最初の比較 実際に売り出す価格を決める段階

まずは机上査定で気軽に相場感をつかみ、本気で売り出す段階になったら訪問査定で価格の根拠を固めると無駄がありません。一方だけで判断せず、役割の違いを踏まえて両方を活かすのが賢い進め方です。

机上査定は書類上の情報だけの査定額になる

机上査定は、立地や築年数、面積といった書類上の情報だけで価格を出す簡易な方法です。結果は即日から3日ほどで届き、おおよその相場をつかむのに向いています。

簡易査定とも呼ばれ、家の中を見ずに過去の取引事例から価格を求めます。手軽に概算を知れる一方、建物の傷みやリフォーム履歴は反映されません。

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内装の良さや眺望も机上では値段に出ないんだね

机上査定が拾えない情報

同じ間取りでも、雨漏りの跡やシロアリ被害、増改築による傾きは書面に現れないため机上査定の数字には乗りません。リフォーム直後でも未実施でも同じ金額が出てしまう点が、目安と割り切るべき理由です。

そのため机上査定の金額は、あくまで目安と受け止めておくのが安心です。実際に売り出す価格を決める段階では、次の訪問査定で精度を高めることになります。

訪問査定は現地の実態を加味した査定額になる

訪問査定は、担当者が実際に家を訪れ、室内や周辺まで確認したうえで価格を出す方法です。現地調査に1時間ほど、結果が出るまで2〜3日から1週間が目安となります。

机上査定ではわからない雨漏りや設備の状態、日当たり、隣地との境界までが見られます。手間と時間はかかりますが、その分だけ実態に近い金額が算出されます。

現地でしか確認できないこと

給排水管の老朽や床下の湿気、隣地との越境や日照の実際は、現地に立って初めて把握できます。プラスにもマイナスにも働くこうした実態を価格へ反映できるのが、訪問査定ならではの強みです。

同じ家でも、机上査定と訪問査定で数百万円から一千万円規模の差が出る場合もあります。売り出し価格の根拠とするなら、現地を見た訪問査定の数字が頼りになります。

家の査定前にしておくとよい準備とアピール

この見出しのポイント

査定額を下げないために事前にできることは多く、必要書類の用意・手入れ記録の提示・不具合の正直な告知・土地境界の確定を押さえておくのが効果的です。なかでも書類と境界の準備は時間がかかるため、早めに動き出すのが安心です。

査定の前にどんな準備をしておけば査定額を下げずに済むのか、気になるところです。書類をそろえ、手入れの記録を加点材料として伝え、不具合は隠さず告知しておくと、安心して当日を迎えられます。

家の査定前に所有者がしておく準備の手順

出典:※4

間取り図や登記の書類の用意

当日までに間取り図や登記の書類を用意しておくと、担当者が建物の正確な情報を確認でき、査定がスムーズに進みます。手元にそろえておくと安心です。

家を建てたときや買ったときの書類一式が手がかりになります。見当たらない書類も、取り寄せる方法があります。

・間取り図
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産税の納税通知書
・住宅ローンの残高証明書
・確定測量図・境界確認書

権利関係を示す登記簿謄本は法務局で取得でき、土地の境界を示す図面も同じ場所で確認できます。書類がそろうほど、建物の状態が正しく評価されやすくなります。

設計図書やインスペクションと瑕疵保険の準備

設計図書やインスペクションの結果、瑕疵保険があると、建物の状態が客観的に裏づけられ、加点につながります。手入れの記録も評価で役立ちます。

インスペクションとは、専門家が建物の傷み具合を調べる建物状況調査のことです。既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡し後に見つかった不具合の修理費を補償する保険を指します。なお、建物状況調査の結果が重要事項説明で有効とされる期間は、木造の戸建てでおおむね1年、RC造の共同住宅では2年が目安です。

・設計図書・仕様書
・リフォーム・修繕の履歴
・インスペクション(建物状況調査)の報告書
・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

設備の入れ替えや屋根の手入れなどの記録があると、建物が実年齢より良い状態と見てもらえる場合があります。手入れが行き届いていることは、評価にプラスへ働く材料になります。

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建物状況調査の結果は1年ほど有効とされるんだね

雨漏りやシロアリの履歴を隠さず告知する

雨漏りやシロアリ、過去の事故といった不具合は、隠さず告知しておくことが大切です。あとから判明すると、トラブルや責任問題につながりかねません

宅建業者の重要事項説明義務として、知っている不具合を買い主に伝える義務があります※4。そのため、一見すると不利に思えますが、不具合は先に伝えておくほうが安心です。

・過去の雨漏りとその修理歴
・シロアリ被害・駆除の履歴
・給湯器やエアコンなど設備の故障
・近隣トラブルや事件・事故の経緯

修理した雨漏りやシロアリの履歴も、対処済みであることを併せて伝えておくと印象が変わります。正直に告知しておくことが、引き渡し後の信頼につながります。

境界未確定の場合は確定測量を行う

土地の境界がはっきりしない場合は、確定測量をしておくと評価の目減りを防げます。隣地との境界が定まっていると、買い手も安心して検討できます。

確定測量とは、隣の土地の所有者の立ち会いのもとで境界を確定させる測量のことです。境界があいまいなままだと、評価が下がる要因になりやすいとされます。

・境界標の有無の確認
・隣地所有者の立ち会い
・確定測量図の用意
・越境物(塀・樹木など)の有無

確定測量には数十万円ほどの費用と、数か月の期間がかかるのが一般的です。時間がかかるため、売却を考え始めた早めの段階で動いておくと安心です。

掃除や注文住宅のこだわりの強さは査定額に関係しない

この見出しのポイント

査定は荷物のない空き家を想定して建物の状態を見るため、念入りな掃除や注文住宅のこだわりの強さが、そのまま査定額を上げることはほとんどありません。一方で、ゴミの散乱や強い臭気のような度を越した状態は、担当者の心証を通じて評価を間接的に下げうる点に注意が必要です。

査定前に念入りに掃除をすべきか、注文住宅のこだわりは評価されるのか、気になるところです。じつは査定は荷物のない空き家を想定して建物の状態を見るため、表面的な汚れやこだわりの強さは、思うほど金額に直結しません。

掃除で査定額が上がらない理由

査定前に念入りに掃除をしても、それだけで査定額が上がることはほとんどありません。日常的なホコリや水垢のような表面の汚れは、減点の対象にならないからです。

査定は荷物のない空き家を思い描き、建物そのものの構造的な状態をもとに行われます。床下や柱の傷み具合が見られる一方、拭けば落ちる汚れは評価に響きにくいのです。

掃除より優先される構造の確認

築年数が古い物件ほど、掃除よりも雨漏りやシロアリ跡といった構造の傷みの有無が査定を左右します。気になる箇所は隠さず伝えるほうが、後の値引き交渉を避けられます。

掃除が本当に役立つのは、買い手が見に来る内覧の前と、引き渡しの直前です。査定のためにと張り切りすぎず、労力はその場面までとっておきましょう。

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内覧では水回りの清潔感が特に見られるんだね

こだわりの強い注文住宅の査定額が上がらない理由

こだわりを詰め込んだ注文住宅は、かえって評価が伸びにくい場合があります。個性の強いつくりは買い手の好みを選び、万人受けしにくくなることがあるためです。

査定では、その家がどれだけ売れやすいかを表す流通性比率という見方も使われます。買い手の幅が狭まると、この売れやすさの面で評価が伸び悩むことがあります。

買い手を選びやすい設備の例

床の段差や造作家具など、好みが分かれる設備ほど買い手が限られます。汎用的な間取りの家に比べ、売り出し後に値下げで調整される場面が出やすいのが実情です。

もちろん、こだわって建てた家の価値が無くなるわけではありません。

ただ、費用をかけた分がそのまま査定額に上乗せされるとは限らない、と知っておくと落ち着いて臨めます。

心証を悪くするゴミの散乱や臭気はマイナス評価に影響する可能性がある

ゴミの散乱や強い臭気といった度を越した状態は、査定額を間接的に下げかねません。担当者の心証を通じて、評価に影響することがあるためです。

逆に、丁寧に住まわれてきた家は、それが伝わって良い印象につながる傾向もあります。あくまで傾向ですが、住まいの扱われ方は担当者の目に映るものです。

担当者が本当に見ているサイン

担当者が気にするのは清潔さの度合いではなく、雨漏りやペット臭など建物の不具合を示すサインがないかです。生活感そのものが減点されるわけではありません。

とはいえ、神経質になる必要はありません。常識の範囲で片づけ、気になる臭いに対処しておけば、心証で損をする心配はまずないといえます。

査定額が会社によってばらつく理由

この見出しのポイント

会社によって査定額が違うのは、参照する取引事例や販売力の差から生まれる合理的なばらつきと、契約を取りたい思惑による高めの提示が混ざるためです。高い金額がそのまま良い会社を意味するとは限らず、提示額の根拠が示されるかを冷静に確かめることが大切です。

同じ家なのに会社によって査定額が違うと、どこを信じればよいのか迷ってしまいます。査定額のばらつきには、根拠のある合理的な差と、契約を取りたい思惑による高めの提示という、性質の異なる2つの要因が混在しています。

この2つは切り分けて見ておきたいポイントで、提示額がいちばん高い会社が、そのまま最も良い会社とは限りません。

家の査定額が会社によってばらつく2つの理由を示す図

取引事例や販売力による合理的なばらつき

査定額の差は、各社が参照する取引事例や販売力の違いから合理的に生まれることがあります。拠り所とするデータや売り切る自信が異なれば、金額に差が出るのは自然なことです。

得意なエリアや顧客層が会社ごとに違うため、同じ家でも見立てが変わってきます。同じ物件でも数百万円から一千万円規模でばらつくことがあり、それ自体は珍しくありません。

・参照する取引事例の選び方の違い
・その会社が抱える見込み客の有無や販売力
・立地や設備に応じたプラスマイナスの補正の判断

こうした差は根拠のあるものなので、金額そのものより、なぜその額になったのかという説明を比べる視点が役立ちます。

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査定額の根拠は書面で示してもらえることが多いんだね

媒介契約目的の高値査定

相場より高い金額があえて提示される高値査定という背景も起こりうるとされます。高値査定とは、売却を任せてもらう媒介契約を取りたいために、相場より高い金額を示すことです。

高い金額に惹かれて契約しても、相場と離れていれば買い手が現れにくくなります。結果として売れ残り、値下げを重ねる期間が長引いてしまう場合もあります。

・媒介契約を取りたいという会社側の事情が関わる場合がある
・相場より高い金額が提示されることも起こりうる
・高く売り出すと問い合わせが減り、販売の長期化や値下げにつながりうる

金額の大きさだけで会社を選ぶのではなく、その金額の根拠が示されるかを冷静に確かめることが大切です。

妥当な査定額を見極める方法

この見出しのポイント

査定額が妥当かどうかは、金額の根拠がどれだけ深く説明されるかと、自分で調べた相場と照らし合わせられるかの二つの軸で見極められます。根拠の薄い金額や、相場と大きくかけ離れた高値は慎重に受け止めるのが安心です。

提示された査定額が妥当なのか、だまされていないか、不安になるのは自然なことです。見極めのポイントは大きく2つに分けられ、金額の根拠がどれだけ深く語られるかと、自分で相場を調べて照らし合わせられるかにかかっています。

家の査定額が妥当かを見極める2つの軸を示す図

根拠の深さで高値査定を見抜く

査定額が妥当かどうかは、その金額の根拠がどれだけ深く説明されるかで見抜けます。金額だけを示して根拠が薄い場合は、慎重に受け止めたほうが安心です。

確かめたいのは、近所の似た物件の取引事例が選ばれているか、公示地価という国が公表する目安と大きくずれていないかです。さらに、雨漏りや老朽といったマイナス要因がきちんと反映されているかも見ます。

・比較に使われた事例が、自分の物件と立地や築年数の近い家になっているか
・提示額が、公示地価や近隣の成約相場と大きくかけ離れていないか
・駅からの距離や劣化といったマイナス要因が、金額にきちんと織り込まれているか

こうした根拠の説明がはぐらかされ、金額の大きさばかりが強調されるなら、契約を取るための高値査定を疑う一つの手がかりになります。

相場を自分で調べ3社で比較する

提示額が妥当かは、自分でも相場を調べて照らし合わせれば確認できます。手元に比べる目安があるだけで、高すぎる金額に気づきやすくなります。

トラフィー

成約価格は実際に売れた値段だから、ぼくも目安に使えるんだ

相場は、実際の成約価格を調べられるレインズ・マーケット・インフォメーションや、国土交通省が取引価格などを公開する不動産情報ライブラリで確かめられます。どちらも無料で、似た条件の家の値段を見られます。※5

・レインズ・マーケット・インフォメーションで、似た条件の家の成約価格を調べる
・不動産情報ライブラリで、近隣の実際の取引価格を確かめる
・規模や得意分野の毛色が違う3社程度に査定を依頼し、金額と根拠を見比べる

そのうえで、規模や得意分野の毛色が違う3社程度に査定を依頼し、金額と根拠を見比べると判断しやすくなります。突出して高い一社があれば、その理由を確かめる余地があります。

まとめ

家の査定では、訪問時に建物の劣化や設備、土地の形状や接道・駅距離などの周辺環境まで部位ごとに確認され、それらが流通性比率を含む計算式で査定額になります。机上査定と訪問査定では見る対象も精度も異なります。

・訪問査定では建物の劣化・設備、土地の形状や周辺環境まで部位ごとに見られる
・査定額は土地と建物の価格に流通性比率を掛けた計算式で決まる
・査定前に書類やリフォーム履歴を整え、不具合は隠さず告知する
・高い査定額に飛びつかず、根拠の深さで会社を見極め複数社で比較する

所有者にできるのは、書類とリフォーム履歴を整え、雨漏りなどの不具合を隠さず告知しておくことです。そのうえで根拠の深さで会社を見極め、複数社で比べると、納得して進める売却の第一歩になります。

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西山雄介

西山雄介

■肩書:不動産ライター / ディレクター ■保有資格:宅地建物取引士 / マンション管理士 / 管理業務主任者 / 賃貸不動産経営管理士 / 日商簿記2級 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 ■プロフィール: 不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。