家の売り時は、「相場が高いとき」「築年数が浅いうち」「税金の負担を抑えられるとき」などが目安です。
ただし、すべての条件がそろう完璧なタイミングはありません。同じ時期でも、物件の種類や立地、住宅ローンの残高、家族の事情によって適切な判断は変わります。
売り時を判断する最初の一歩
まずは、自宅がいまいくらで売れそうかを確認することが大切です。
現在の相場がわかれば、「いま売る場合」と「もう少し待つ場合」を金額で比較できます。
この記事では、家の売り時を判断する基準をわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 相場が高い時期や築年数が浅いうちは売却を検討しやすい
- 所有期間や特例の期限によって、売却時の税負担が変わる
- 一般的な売り時が、自分の家にも当てはまるとは限らない
- まずは現在の査定額を確認し、売る場合と待つ場合を比較する
家を売る良いタイミングの考え方
家を売るベストタイミングは、相場が高く、築年数が浅く、税金の負担を抑えられる時期がそろったときです。ただし、3つすべてがそろう日はめったに訪れません。実際の売り時は、外から来る条件と自分側の事情が重なった時点になります。
- 市場の要因
- 相場・金利・季節など、自分で動かせない外部環境
- 自分の事情
- 住み替え・相続・家族の変化などの生活の都合
売るタイミングしだいで、同じ家でも手元に残る金額が数百万円変わることも珍しくありません。感覚だけで決めず、市場の動きと自分の事情に、売る物件の種類を加えて見極めましょう。
マンション・戸建て・土地で価格の動き方が違います。マンションは相場や金利、戸建ては築年数、土地は地価が売り時を左右します。

完璧は狙わず、当てはまる基準を2〜3個かさねて選ぶといいよ
不動産市場の動きから見る家の売り時

家の売り時を左右する外部要因のうち、影響が大きいのが相場と金利です。相場が上がっている時期は高く売りやすく、金利が上がると買い手の予算が縮んで、売り出し価格も下がりやすくなります。
まずは市場全体の動きから、今が売りやすい局面かどうかを確認しましょう。
相場が上がっている時期は売りやすい
相場が上がっている局面は、同じ家でも高く売りやすい代表的なタイミングです。相場の大きな流れは、国土交通省が毎月公表する「不動産価格指数」で確認できます※6。
全国の実際の取引価格をもとにした指数で、直近(2025年12月分)では住宅全体が高い水準を保っています※6。
ただし上昇の途中で「もう十分上がった」と早まって売ると、その後の値上がりを取り逃すこともあります。いまが上昇局面かどうかは、次のポイントをまとめて確認すると見極めやすくなります。
- 不動産価格指数が数か月続けて上向いているか
- 近隣で似た条件の物件の成約件数が増えているか
- 成約価格と売り出し価格の差(値引き幅)が縮まっているか
- 売り出しから成約までの期間が短くなっているか
- 売り出し中の在庫が減っているか
- 住宅ローン金利が上昇に転じていないか
上向きの項目が多いほど、相場はまだ伸びている局面と読めます。すべてがそろうのを待たず、2〜3項目が当てはまった時点で売り出しを検討しても遅くはありません。
物件種別で相場の動き方が違う
同じ不動産でも、物件種別によって値動きの大きさは違います。値動きが大きい種別ほど相場の波を読んで売る意味が大きく、値動きが小さい種別は相場以外の要素で売り時が決まりやすくなります。
まずは国土交通省が公表する全国の不動産価格指数(2010年平均=100、2025年12月分)で、種別ごとの水準を比べてみましょう。
| 種別(全国) | 不動産価格指数(2010年平均=100) |
|---|---|
| 住宅総合 | 148.0 |
| マンション(区分所有) | 225.1 |
| 戸建住宅 | 121.9 |
| 住宅地 | 119.8 |
出典: ※6
※不動産価格指数は全国の傾向を示すもので、個別物件の値上がり率や査定額を表すものではありません。
売り時の見極め方は物件種別で分かれます。指数の伸びが大きいマンションは、相場が高く金利が低い局面をねらうと差が出ます。伸びの小さい戸建てと住宅地は、相場の上下を待つより、次の章で見る築年数の節目や地価の動きから判断するほうが現実的です。
金利が上がると買い手の予算が減る
売り手にとって見落としがちなのが、住宅ローン金利の動きです。多くの買い手はローンを組んで家を買うため、金利が上がると、同じ年収でも借りられる金額が減ります。
金利の上昇が売り出し価格に届くまでは、次の3段階をたどります。
- ①毎月の支払いが重くなる
- 同じ借入額でも、金利が上がったぶん毎月の支払いは重くなる
- ②借りられる金額が減る
- 毎月の支払いが重くなるぶん審査で通る金額は減り、買える物件の価格帯が下がる
- ③売り出し価格が下がりやすい
- 買える価格の上限が下がった買い手が増えると、売り出し価格を下げなければ売れにくくなる
借入期間や返済方法、毎月の返済額などを同じ条件にした試算では、金利が1%から2%に上がると借入可能額が1〜1.5割程度減ることがあります(条件によって変わります)。金利が本格的に上がりきる前の、買い手がローンを組みやすい時期は売りやすいタイミングと言えます。

金利は買い手の予算に直結するから、売る側も見ておきたいね
築年数から見る家の売り時

相場や季節と違って、築年数は待っている間にも確実に進んでいきます。建物の評価は築年数とともに下がる傾向があるため、売却を待つほど価格面では不利になりやすくなります。
そのため築年数は、「いつまでに売るか」を考えるときの軸になります。ここでは、下がり方が違うマンション・戸建て・土地を分けて確認します。
マンションは築年数が進むと成約価格が下がりやすい
首都圏の成約データでは、築年数が古い区分ほど平均成約価格が低い傾向が見られます。東日本不動産流通機構(レインズ)は「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」で、中古マンションの築年数帯ごとの平均成約価格を公表しています※12。築0〜5年の水準を100として比べると、次のとおりです。

| 築年数(首都圏の中古マンション) | 平均成約価格の目安(築0〜5年=100) |
|---|---|
| 築6〜10年 | 約95 |
| 築11〜15年 | 約85 |
| 築16〜20年 | 約77 |
| 築21〜25年 | 約70 |
| 築26〜30年 | 約49 |
出典: ※12 ※上記の目安は、築年数の帯ごとに成約した別々の物件の平均を比べたもので、同じ物件が値下がりした率を示すものではありません。
立地や面積、内装や設備の状態によっても価格は変わります。それでも、売却を待つほど平均価格の低い築年帯に入っていくという傾向は変わりません。

築26年を超えると大きく下がるから、その前に動くのが目安だよ
戸建ては建物と土地を分けて売り時を考える
戸建ての価格は、建物と土地に分けて決まります。建物は築年数が進むほど評価が下がる一方、土地は経年で価値が減らず、地価が上がれば評価も上がります。
下がり方の手がかりになるのが、構造ごとの法定耐用年数(税務上、建物の価値を何年かけて減らすかを定めた年数)です。住宅用では木造が22年、鉄骨造は骨格材の厚さに応じて19〜34年、鉄筋コンクリート造は47年とされています※13。

査定でも、残りの年数に応じて建物の評価を減らす計算がよく使われるよ
法定耐用年数に近づくほど、建物の評価は小さくなりがちです。建物に値段がつくうちに売りたいなら、木造と骨格材の薄い鉄骨造(厚さ3mm以下)は築20年前後が一つの区切りになります。骨格材の厚い鉄骨造(厚さ4mm超)は築30年前後、鉄筋コンクリート造はさらに先が目安です。
ただし実際の評価は、次のような要素によっても変わります。
- 建物の状態・性能
- 耐震性・修繕やリフォームの履歴・住宅性能で評価が変わる
- 再利用の可否
- そのまま住めるか、古家付きの土地として扱うかで変わる
- 地域の需要
- 中古住宅のニーズが強い地域ほど評価が残りやすい
建物の評価が小さくなっても土地の評価は残るため、売却価格がゼロになるわけではありません。建物の状態がよく需要のある地域なら、築年数が進んでも建物に一定の評価がつくことがあります。
土地は築年数より地価で決まる
土地には建物のような経年劣化がないため、築年数という考え方は当てはまりません。売り時を左右するのは、その地域の地価の動きです。地価が上向いているかどうかは、次の3つを調べると見当がつきます。
- 再開発や区画整理の計画
- 駅前の再開発や区画整理が周辺で進むと、街の便利さへの期待から地価が上がりやすい
- 駅や商業施設の開業
- 新しい駅や大型商業施設ができると、通勤や買い物の便がよくなり土地の評価が上がる
- 公示地価と近くの取引価格
- 国が毎年公表する公示地価と、近くで実際に売れた土地の価格が上向いているかを確かめる
地価が上向いている局面は、土地の売り時になりやすい時期です。売り出す前に、後の章で触れる公的なサービスで近い条件の土地の取引価格を調べておくと、価格の見当がつけやすくなります。
税金から見る家の売り時

家を売って利益(譲渡所得)が出ると税金がかかり、その税率は所有期間で大きく変わります。売り時を1年ずらすだけで税額が変わることもあるため、所有期間と特例の期限は押さえておきましょう。
所有5年・10年を境に税率が変わる
譲渡所得の税率は、売った年の1月1日時点の所有期間で「短期」と「長期」に分かれ、両者には約2倍の差があります※2※1。具体的な税率は次の表のとおりです。

| 所有期間(売った年の1月1日時点) | 区分 | 課税譲渡所得(控除を引いた後の利益)への税率の目安 |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡 | 約39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡 | 約20.315% |
| 10年超(マイホーム) | 軽減税率 | 課税譲渡所得6,000万円以下の部分は約14.21% |
さらにマイホームで所有10年を超えると、要件を満たせば軽減税率(税率がさらに低くなる特例)が使えます※4。長く住んだ家ほど、税の面では売りやすくなる場面があるということです。
売り急いで所有5年以下で売ると、税率が高いほうの短期になります。5年目の年末に売るとまだ「5年以下」の扱いになる場合がある点にも注意しましょう。

所有期間は売る年の1月1日で数えるから、1年ずれることもあるよ
マイホームは3,000万円まで控除できる
自分が住んでいた家(マイホーム)を売るときは、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特別控除が使えます※3。この控除は所有期間の長短を問わないため、住んで間もない家でも利用できるのが特徴です。
控除前の譲渡所得が3,000万円以下なら、3,000万円特別控除の適用で所得税・住民税が発生しない場合もあります。売却価格が3,000万円以下なら非課税、という意味ではない点に注意しましょう。売り時に直接かかわるのは、次の2つの条件です。
- 売却の期限(引っ越し済みの家)
- すでに引っ越した家は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らないと控除を使えない※3
- 共有で持っている家
- 夫婦などで持ち分を分けている家は共有者ごとに判定し、要件を満たす人は1人につき最高3,000万円を差し引ける※9
親子・夫婦間の売買など一部は対象外です。共有でも敷地だけを分けて持っているケースなどは条件が異なるため、自分に当てはまるかは事前に確認しておくと安心です。
相続した家は特例の期限内に売る
相続した実家などを売る場合は、要件を満たすと最高3,000万円を控除できる空き家の特例があります※5。
ただし、空き家の特例には次のような期限と条件があり、控除できる金額も相続人の数で変わります。
- 対象物件
- ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(とその敷地)
・売却代金が1億円以下
・2027年(令和9年)12月31日までの売却であること - 売却期限
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 対象外
- 区分所有のマンションは対象外
- 相続人が3人以上のとき
- 相続した家を3人以上で取得して売る場合、差し引ける上限は1人あたり2,000万円に下がる※5
相続した家は、相場や季節よりも「期限から逆算していつ動くか」を優先して考えるのが安全です※5。期限を過ぎると特例が使えなくなり、税負担が大きくなることもあります。
季節から見る家の売り時

不動産の売れやすさには、1年の中での波が見られます。買い手が動きやすい時期に売り出せれば、内覧が増えて売却が進みやすくなることがあります。
暦の上での売れやすい時期の傾向と、それに間に合わせる準備の考え方を確認します。
需要が高まりやすい2〜3月
進学・就職・転勤で新生活が始まる2〜3月は、家を探す人が増えやすい時期です。首都圏の市場統計でも、春先に取引が増え、夏季や年末年始に落ち着く年が多い傾向があります※8。
| 時期 | 傾向(首都圏の市場統計) |
|---|---|
| 2〜3月 | 新生活需要で取引が増えやすい |
| 9〜11月 | 秋の異動・引っ越しで動きやすい |
| 8月・年末年始 | 取引が落ち着く年が多い |
出典: ※8
ただし、2〜3月は買い手だけでなく売り出される物件も増えます。買い手が多い時期は競合も多いため、需要期に売り出せば必ず高く売れるとは限りません。
需要期の3〜6か月前から動き出すのが目安
査定から引き渡しまでは、一般に3〜6か月ほどかかります。かかる期間は、物件の条件や価格設定、地域の需要によって前後します。需要期に入ってから動き出すと、売却が終わるのは需要が落ち着いた後になりがちです。
2〜3月の需要期をねらうなら、3〜6か月前にあたる前年の秋には査定と価格の検討に入っておく計算です。
春の需要期から逆算した3〜6か月の流れ
前年秋〜年末:査定・価格の検討・書類(権利証・建築確認済証など)の準備
年明け:市場の動きを見ながら売り出し
春先:需要が増える時期に合わせて成約を狙う
年末年始も、帰省先で家探しを始める人が一定数いるため、市場がまったく止まるわけではありません。前年の秋から動いておけば、値下げの余地を残したまま春の商戦に臨めます。
ライフイベントから見る家の売り時

売り時は市場だけでなく、自分や家族の生活の節目でも決まります。住み替え・相続・離婚など、避けられない事情がきっかけになることは多く、そのときは事情に合わせた進め方を選ぶのがポイントです。

事情がある売却は時期を選びにくいぶん、進め方の工夫が大事だよ
住み替えは資金計画から考える
進学や定年、家族構成の変化といった暮らしの節目は、売却を考える自然なタイミングです。中でも「住み替え」では、売却と購入のどちらを先のタイミングにするかで負担が変わります。
今の家を先に売る「売り先行」と、新居を先に買う「買い先行」の違いは次のとおりです。
| 売り先行 | 買い先行 | |
|---|---|---|
| 資金計画 | 売却額が確定してから買うので立てやすい | 売却額が読めず予算がぶれやすい |
| ローン | 売却代金で完済でき二重ローンを避けやすい | 一時的に二重ローンになりやすい |
| 住まい | 仮住まいが必要になる場合がある | 住まいを空けずに移りやすい |
資金に余裕がない場合は「売り先行」が選ばれやすい一方、仮住まいの手間もあります。手元資金や住まいの都合に合わせて選びましょう。
離婚時は専門家に相談しながら進める
離婚に伴う売却でまず考えたいのが、離婚の成立前に売るか、成立後に売るかという時期の問題です。売って現金を分けたい場合や、住宅ローンを完済して関係を清算したい場合は、成立前に売却を終えるほうが手続きを進めやすくなります。
一方、家を売らずに一方へ名義を移す場合は、成立の前後で税の扱いが変わることがあります※3※10。判断の分かれ目は、次の3点です。
- 名義・持分・居住状況
- 単独名義か共有かで、控除を使える人数や売却に欠かせない同意が変わる
- 住宅ローンの契約
- 残債が売却額を上回ると売却そのものが難しく、連帯保証が残ると離婚後も返済義務が続く
- 財産分与の進め方
- 売って現金を分けるか、不動産のまま分与するかで、譲渡所得がかかる人と時期が変わる
不動産そのものを財産分与した場合は、分与した側に譲渡所得が生じることがあります※10。3,000万円特別控除の適用条件※3も含めて扱いが複雑になりやすいため、自己判断で決めず、税理士・弁護士・不動産会社に相談しながら進めましょう。一般的な流れとしては、ローンの残債と名義を先に確認し、売って分けるか一方が住み続けるかを決めてから、売る時期を選ぶ形になります。
家を売ってはいけない時期

良い売り時がある一方で、売ると不利になりやすい時期や状況もあります。事前に知っておくだけでも、安売りや売れ残りを防ぎやすくなります。
ここでは、売れにくい時期・売り急ぎたくない局面と、待っても解消しにくい残債の問題を解説します。
買い手が減りやすい夏や年末年始
お盆を含む8月や年末年始は、買い手の動きが鈍りやすい時期です。この時期に売り出すと、次のような不利が重なることがあります。
- 内覧が集まりにくい
- 買い手が少なく、内覧の予約が入りにくいことがある
- 営業活動が細りやすい
- 不動産会社も長期休業に入り、広告や営業の量が落ちやすい
- 売れ残りに見えやすい
- 長く売れないと値下げを前提に交渉されやすくなる
急いで売る事情がなければ、売り出しを始める時期は需要が落ち込みやすい季節を避けるのも一つの考え方です。買い手が戻りやすい春や秋を選ぶ手もあります。
相場が下がる局面での売り急ぎ
相場が下落に転じたときに、慌てて売り急ぐのも避けたい行動です。下落局面では、次のような悪循環が起きやすくなります。
- 売り物件が急増
- 先行き不安から同じように売りに出す人が増える
- 買い手の予算は縮小
- 金利上昇などで買える価格が下がっている
- 値下げ圧力
- 価格を下げないと売れず、想定より安くなることも
ただし、相場の底を事前に見極めることはできません。待つ間にも、次のような負担やリスクが積み重なります。
- 固定資産税
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
- 修繕費などの維持費
- 住宅ローンの返済
- 築年数の経過による評価の低下
- さらなる価格下落
「今売る場合」と「一定期間待つ場合」で、保有コストと価格変動のリスクを見比べて判断するのが現実的です。
残債が売却額を上回るとき
住宅ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では、抵当権(住宅ローンの担保として家に設定された権利)を外す必要があります。そのためには、売却代金と自己資金でローンを完済しなければなりません。
自己資金で差額を埋められないと、原則として売れません。
まずはローン残高と査定額を照らし合わせ、残債を下回る時期がいつ頃になりそうかをつかむのが売り時判断の出発点です。そこまで待てない場合には、次のような対処があります。
| 対処法 | 内容と注意点 |
|---|---|
| 住み替えローン | 買い替え時に残債を新しいローンに上乗せする。審査が厳しく金利も割高になりやすい |
| 任意売却 | 金融機関の同意を得て市場で売る方法。売却後も残債が残ることがあり、返済が難しくなる前の相談が望ましい |
| 譲渡損失の特例 | 売却の赤字を給与など他の所得と相殺し、翌年以降に繰り越せる場合がある。所有5年超などの要件がある※7。適用は2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象 |
出典: ※7
オーバーローンを恐れて売らずに持ち続けると、その間に築年数が進んで評価が下がることもあります。

残債は早めに確認して、苦しくなる前に相談すると選択肢が広がるよ
売り時を見極めるときの注意点

ここまでの基準がそろっても、最後の見極め方を誤ると売却額は変わります。注意したいのが、1社の査定額をうのみにして売り時を決めてしまうケースです。相場や査定額を不動産会社任せにせず、自分でも確かめる姿勢が、納得のいく売却につながります。
ここでは、査定と相場の確認で気をつけたい2つのポイントを解説します。
1社だけの査定額で売り時を決めない
自分の家がいまいくらで売れそうかがわからないと、売り時の判断はできません。ただし1社の査定額だけでは、その価格が高いのか安いのかを確かめようがありません。
複数の不動産会社に査定を依頼し、価格帯を比べるところから始めましょう。
- 複数社に査定を依頼する
- 1社だけで判断せず、価格帯の目安をつかむ
- 根拠を確認する
- 近くで実際に売れた家の価格や販売計画など、査定額の根拠を確認する
- 公的データで裏づける
- 公開されている成約価格の動向と照らし合わせる
相場より大幅に高い査定額が提示された場合は、その根拠をよく確認しましょう。媒介契約(不動産会社に売却の仲介を依頼する契約)を結んだ後に値下げを勧められることもあるため、査定額の高さだけで会社を選ばないよう気をつけましょう。

待つ間も家は古くなり維持費もかかるから、待つ理由と期限を決めてね
相場の確認を不動産会社任せにしない
査定額を受け取ったら、公的なデータでも取引価格や相場の動きを確かめておきましょう。会社任せにせず自分で裏づけを取れば、提示された価格が妥当かどうかを判断できます。
次のサービスは、誰でも無料で使えます。
自分で相場を調べられる公的サービス
不動産情報ライブラリ(国土交通省)※11:実際の取引価格・地価公示・都道府県地価調査・都市計画・防災情報などを地図から確認できます。
レインズ・マーケット・インフォメーション:中古マンション・中古戸建ての成約価格の動向を確認できます。物件そのものを検索するレインズの情報交換システムは、原則として不動産会社向けです。
こうしたサービスで近い条件の取引価格や相場動向を調べておけば、査定額が妥当かどうかを自分で判断でき、根拠のない安売りや高すぎる価格設定を避けやすくなります。
まとめ
家を売る良いタイミングに、誰にでも当てはまる正解日はありません。相場・金利・築年数・税金・季節、そして住み替えや相続といった自分の事情が重なったところが、その人にとっての売り時です。
- 築年数
- 築年数が古いほど平均成約価格は下がりやすい(物件の条件で異なる)
- 税金
- 所有5年を境に課税譲渡所得への税率が変わる
- 避けたい時期・状況
- 取引が落ち着きやすい夏・年末年始、相場の下落局面での売り急ぎ、オーバーローン
- 相場の確認
- 複数社の査定と公的データで相場を確かめる
土地は築年数ではなく地価で判断します。迷ったときは、この中で自分に当てはまる基準を軸に、家計や住まいの予定と照らして考えると判断しやすくなります。
すべての条件がそろう完璧な日を待つ必要はありません。焦らず、しかし値下がりの節目や税金の期限を逃さずに動くことが、後悔のない売却につながります。
出典・参考資料
※3 No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
※4 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁)
※5 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
※7 No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(国税庁)
※8 不動産市場動向(統計)(公益財団法人東日本不動産流通機構)
※9 No.3308 共有のマイホームを売ったとき(国税庁)
※10 No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき(国税庁)
※12 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)(公益財団法人東日本不動産流通機構)